ご挨拶
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第44回日本分子生物学会年会 年会長 塩見 美喜子 (東京大学大学院理学系研究科) |
【年会長の挨拶 その2】
新型コロナ感染は収まる兆しもなく、それでも例年のごとく新年は明けました。会員の皆様におかれましては、どの様な新年を過ごされたのでしょうか。東京は晴天に恵まれ、空を見上げると綺麗な青色が目に飛び込んできます。都心の新年は大体こんな感じでしょうか。しかし、今年の空の青さは心なしか明るく、透明度が一層高い気がします。新型コロナでテレワークが増え、CO2の放出も控えめとなり、その“結果”なのかもしれません。毎日の生活や行動に制約がかかるのは辛いですが、良い面もあるものだと思う今日この頃です。とはいっても医療崩壊も危ぶまれる中、健康には十分留意してお過ごしください。
さて、covid-19パンデミックをよそ目に「MBSJ 2021 YOKOHAMA」へのカウントダウンも着々と刻まれています。年会ウェブサイトも立ち上がり(https://www2.aeplan.co.jp/mbsj2021/)、シンポジウム・ワークショップの公募もすでに始まっています(フォーラムは3月より企画公募を受付予定)。シンポジウム・ワークショップ・フォーラムには、その時々のサイエンスの時流が大きく反映され、各年会に特色をもたせます。皆様からの積極的な、魅力的な企画投稿をお待ち致します。2021年会はMBSJ初のオンサイト+オンライン ハイブリッド形式。企画もその形式に沿って提案していただくことになりますが、如何せん前例がなく戸惑いを感じる会員も多いと思います。公募の締切は準備の都合上、2月26日(フォーラムは4月30日)に設定致しましたが、企画内容に関しましては今後の状況に応じて柔軟に対応させていただく所存です。
年会特別企画である「横浜ヒストリア」に関しては前回の会報でお知らせ致しました。今回は、「富澤基金メモリアル」に関するお知らせです。富澤純一先生は日本の分子生物学の黎明期においてColE1 plasmidの複製に関する研究を進め、これが非コードRNA(RNA I)によって制御されていることを発見されました(PNAS 1981; Cell 1984)。今、非コードRNAを知らない人は皆無でしょうが、富澤先生によるRNA Iの発見および機能理解はその最初のものとして知られます。優秀な、しかし独立して間もないといった理由で経済支援を必要とする若手研究者を、使途の制約に縛られることなくサポートする「富澤純一・桂子基金」は2011年に発足しましたが、多方に惜しまれつつ2020年に幕を閉じました。私は初代審査員の一人として富澤先生ご列席のもと面接などに携わらせていただきましたが、富澤先生の生命科学研究への深い思い、そしてそれを担う若手教育への情熱には敬服するばかりです。
2021年1月
【年会長の挨拶 その1】
第44回日本分子生物学会(MBSJ)年会は、3年ぶり、パシフィコ横浜での開催です。パシフィコ横浜はMBSJ年会の主会場の一つであり、老若男女を問わず多くのMBSJ会員にとって何気に、“人知れず心待ちにする久方ぶりの帰省”のような感じなのではないかと察します。最初の横浜年会は22年前、1998年に開催されました(第21回年会:吉田光昭年会長)。キャッチフレーズは「時代を先取りした“みなと”横浜での年会」。成長期真っ只中のMBSJに新しい息吹をもたらそうという気鋭、未来を見つめるポジティブな視点が感じられます。その後は、神戸や福岡を挟みつつ数年おきに開催され、2021年の本年会はちょうど10回目の横浜年会に相当します。これは学会として一つの大きな節目であり、特別な年会といえるでしょう。さて、ここで会員の皆様へ重大アナウンスがあります。実は、第44回年会はMBSJの「最後の横浜年会」となります(正確には余程の裏技を使わない限りという限定付き。“余程の裏技”の正体は知る人ぞ知るといったところでしょうか)。つまり、本年会は、特別な年会であることに変わりはありませんが、その意味合いは変貌を遂げることとなりました。このような特殊事情のもと、年会の準備そして実施を仰せつかった組織委員の士気高揚は半端ありません。来年12月であっても新型コロナ禍の影響は排除しきれないだろうという見解から、切望する完全オンサイト形式は諦めざるを得ない状況にあります。「窮即変、変即通」。幸いにも、オンサイトを基軸としたオンライン-プラス形式での開催は、他学会の成功例もちらほら聞こえてくる環境下で、ほぼ見通せる状態になってきています。“未発表データをもとに熱く議論する”という基本理念を守りつつ「MBSJ FES 2021 in Yokohama」と密かに銘打ち、これまで以上に活気に満ちた、実りのあるcommemorativeな年会になることを願っています。皆様の積極的な御参加、並びに厚い御支援をよろしくお願申し上げます。
2020年11月