シンポジウム
開催日 + 午前 / 午後 (A / P) + シンポジウム(S)+ -(ハイフン)+ 会場
(例)1AS-01:第 1 日目・午前・第 1 会場
※時間について:(午前)9:00-11:15、(午後)15:45-18:00
※シンポジウムはすべて英語での開催となります。
1AS-01 | 12月1日(水)09:00~11:15 |
医薬標的とワクチンの「使者」: メッセンジャーRNA ‘Messenger' RNA: Drug Target and Vaccine |
E |
オーガナイザー:前田 明(藤田医科大学)、Adrian R. Krainer(Cold Spring Harbor Laboratory)
- mRNAにおける基礎研究で得られた重要な分子生物学的知見が、疾患の治療や予防に見事に生かされる〜その橋渡し研究の最前線に招待したい。アンチセンス核酸医薬「スピンラザ」は、致死性の脊髄性筋萎縮症の画期的な治療薬として承認され、多くの患児の命を救うだけでなく劇的な治療効果をあげている。RNAを標的とする低分子化合物の開発もめざましく、神経・筋変性疾患、感染症、癌などの治療にむけての挑戦が続いている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、mRNAワクチンが各国に配備、大規模な接種が始まり、この未曾有の世界的流行を抑えこむ救世主として期待されている。それらの開発の当事者をお招きして、その成功に至る技術開発を語ってもらう。画期的な創薬技術を開発されている我が国の第一線の研究者にも来ていただき、前途有望なRNAを標的とする創薬、その基盤技術を発展させるための熱き議論の場としたい。
1AS-02 | 12月1日(水)09:00~11:15 |
非ヒト霊長類を用いた霊長類発生学研究の進展に向けて Toward a new era for primate developmental biology 共催:霊長類発生学研究の基盤構築 |
E |
オーガナイザー:中村 友紀(京都大学)、高島 康弘(京都大学)
- ヒトの発生は倫理的な問題から、主にマウスの知見から推測されてきた。高い種の保存性から多くの発展があったが、技術の進展に伴い、種差も無視できなくなりつつある。この意味で発生学における非ヒト霊長類の重要性がますます高まっている。学術変革領域B「霊長類発生学」との共催による本シンポジウムでは、非ヒト霊長類を用いた発生学研究の第一線で活躍する新進気鋭の若手研究者を招聘するとともに、学術変革領域B「霊長類発生学」における最新の成果を披露し、ヒトの胚発生理解に向けた今後の展望を議論したい。
1AS-03 | 12月1日(水)09:00~11:15 |
ミトコンドリアが繋ぐ高次生命機能と医学の統合理解 Mitochondria link higher-ordered biological functions and medical sciences |
E |
オーガナイザー:石原 直忠(大阪大学)、中田 和人(筑波大学)
- ミトコンドリアは内部に独自の遺伝子発現系を持ちつつ、その維持や機能制御の多くを核のセントラルドグマに依存するという、ユニークな機能発揮形態を持つ。ミトコンドリアはエネルギー代謝だけにとどまらず、様々な細胞応答を介して生命活動の根幹を担っており、また多様な病態にも関与している。本シンポジウムでは、ミトコンドリアの関わる様々な病態発症の分子基盤に新たな視点をもたらす分子機構に関して、基礎と臨床の両面から同時に議論することで、拡大するミトコンドリア生命科学研究の進展を議論する。
1AS-04 | 12月1日(水)09:00~11:15 |
DNA構造ダイナミクスを基盤とするゲノム複製と維持の生物種を超えた共通原理 The common mechanism for regulation of genome maintenance by DNA structural dynamics |
E |
オーガナイザー:加生 和寿(九州大学)、片山 勉(九州大学)
- 原核細胞、及び真核細胞オルガネラの環状ゲノムは非クロマチン型の核様体を形成する。そこでは多様な核様体蛋白質との相互作用を含む高次なDNA構造動態が生じる。その中には真核細胞と同様なグアニン4重鎖DNA形成等も含まれている。DNAの高次構造動態が核様体や染色体の機能発現、複製、恒常性維持などにおいて制御的役割を有することは進化的に保存されている。一方で、多彩な制御ゆえ生物種の垣根を超えた共通原理の理解には至っていない。本シンポジウムでは幅広い生物種におけるDNA動態制御の最先端研究を結集し、その共通原理に迫る。
1AS-05 | 12月1日(水)09:00~11:15 |
異細胞間コミュニケーションが高める脳機能:アストロサイトと神経の新たな互恵 Brain functions enhanced by intercellular communication: new-found reciprocity of astrocytes and neurons |
E |
オーガナイザー:有村 奈利子(国立精神・神経医療研究センター)、 高野 哲也(慶應義塾大学)
- 近年、脳機能を担う神経回路についての「主役である神経細胞の接続を、脇役のアストロサイトが補助する」というイメージが、大きく変貌しつつある。即ち、アストロサイトと神経細胞の積極的な相互コミュニケーションが、互いの形態形成や機能遂行の中核を担い、その破綻が精神・神経疾患の発症に関連していることが続々と報告されている。本シンポジウムでは、これらのパラダイムシフトを世界的にリードしてきた研究者と、新進気鋭の研究者を招聘し、アストロサイトー神経回路連関における最新の知見と今後の展望について議論したい。
1AS-16 | 12月1日(水)09:00~11:15 |
有性生殖における染色体・クロマチン・核動態 Chromosome, chromatin, and nuclear dynamics in sexual reproduction 共催:新学術領域研究 多様かつ堅牢な細胞形質を支える非ゲノム情報複製機構 |
E |
オーガナイザー:石黒 啓一郎(熊本大学)、行川 賢(University of California, Davis)
- 有性生殖に関連する様々なテーマを題材とする染色体・核・クロマチン・細胞周期の研究内容について発表および討論を行う。本セッションでは有性生殖にかかわる発生生物学、染色体・クロマチン構造、細胞分裂、細胞周期などの幅広い分野にまたがる研究内容を対象とする。有性生殖に関連する研究でありながら、生殖発生、性分化、減数分裂、受精、初期胚発生などこれまで細分化されていた異分野の研究者が一同に会する場を提供することにより、演者と聴衆との相互交流・情報交換の促進を目的とする。
1AS-17 | 12月1日(水)09:00~11:15 |
現実世界のノイズと多様性に挑むデータサイエンス・機械学習 Data science and machine learning: Tackling the Noise and Heterogeneity of the Real World |
E |
オーガナイザー:川上 英良(理化学研究所)、黒田 真也(東京大学)
- 近年、生物学・医科学研究においてもデータ駆動型研究が急速に普及しつつある。データ駆動型研究で対象となる現実世界のデータは、実験室で得られるデータと異なり、コントロールされておらずノイズと多様性に満ちている。本シンポジウムでは、現実世界のデータを探索し、知識発見を行うのに必須となるデータサイエンス、機械学習に焦点を当て、最先端の解析手法とテクノロジーを紹介する。
1PS-16 | 12月1日(水)15:45~18:00 |
生物多様性による生物学の展開 Biodiversity for Exciting Discoveries |
E |
オーガナイザー:東山 哲也(東京大学/名古屋大学)
- 地球上には多種多様な生物種が存在する。その一方で、分子生物学を進める上では限られた種類のモデル生物に頼らざるを得ない。しかし近年のオーム解析やゲノム編集などに関する技術開発は、その壁を壊しつつある。生物多様性そのものから新たな仕組みを発見したり、ユニークな非モデル生物を活用したり、研究者の自由度は大きく増している。本シンポジウムでは、生物多様性を活かした研究を進める演者達の、ユニークな研究を楽しみたい。
1PS-17 | 12月1日(水)15:45~18:00 |
RNAによる核内構造体とクロマチンの制御 RNA in Nuclear Architecture and Chromatin Organization |
E |
オーガナイザー:胡桃坂 仁志(東京大学)、岩崎 由香(慶應義塾大学)
- 近年の研究成果から、LLPS(液-液相分離)やゲノムの空間的配置によって形成される核内高次構造体が、DNA複製や修復に加えて、遺伝子転写・発現にも重要な役割を果たすことが明らかになりつつある。そして、そうした構造体の形成や機能に、タンパク質やクロマチンに加えて、RNAが重要な役割を果たすケースも多数報告されている。本シンポジウムでは、最新の知見をもとに核内高次構造体と遺伝子転写・発現のリンクをひもといて行きたい。
2AS-01 | 12月2日(木)09:00~11:15 |
睡眠・冬眠研究の最前線 Frontiers in Sleep and Hibernation Research |
E |
オーガナイザー:柳沢 正史(筑波大学)
- 睡眠や冬眠・休眠は、動物が能動的に制御された形で活動性を低下させる興味深い行動である。この分野では「なぜ神経系を持つ全ての動物種に睡眠が必要なのか」「なぜ長く覚醒していると眠気が蓄積するのか」「冬眠・休眠はどのように制御されているのか」「冬眠をしない動物種を冬眠様の状態に導くことは可能か」「睡眠と冬眠はどのように相互作用するのか」といった根源的な疑問が現在も謎として残されている。このシンポジウムでは、このような魅惑的な謎への最先端の取組みを紹介する。
2AS-02 | 12月2日(木)09:00~11:15 |
躍進するユビキチンケモテクノロジー研究 Breakthroughs in the ubiquitin research accelerated by chemo-technologies 共催:新学術領域研究「ケモテクノロジーが拓くユビキチンニューフロンティア」 |
E |
オーガナイザー:佐伯 泰(東京都医学総合研究所)、内藤 幹彦(東京大学)
- ユビキチン化はほぼ全ての細胞機能を調節する生体に必須の翻訳後修飾である。近年のユビキチン創薬の爆発的な進展により、ケミカルバイオロジーと連携したユビキチン研究が世界的に拡大している。本シンポジウムでは、翻訳調節や相分離などの新しいユビキチンバイオロジー研究、標的タンパク質分解誘導法やユビキチン化学プローブ、さらにそれらを活用した次世代型ユビキチン研究に取り組む第一線の研究者が集結し、最新の知見を紹介する。
2AS-03 | 12月2日(木)09:00~11:15 |
エピジェネティクス植物園ー次世代に向けて Epigenetic botanical garden-towards next stage |
E |
オーガナイザー:渡邊 雄一郎(東京大学)、小宮 怜奈(沖縄科学技術大学院大学)
- 植物が様々な環境変化に合うと、エピジェネティックに遺伝子の発現パターンが変化し、適応した形質を示すことが様々報告されている。いくつかの興味深いヒストン修飾、ノンコーディングRNAなどの関与が示されてきた。植物は適応しようとしてこのような分子機構を動かすのか、あくまで様々な変化を起こした個体を生み出して選抜がかかっているのだろうか。興味ある事象に関係したエピジェネティクス研究を見渡して展望を試みたい。
2AS-04 | 12月2日(木)09:00~11:15 |
翻訳スピード調節を基盤としたパラメトリック生物学 Parametric Biology Based on Translation Rate Control 後援:学術変革領域研究(B) パラメトリク翻訳 |
E |
オーガナイザー:土居 雅夫(京都大学)、原田 慶恵(大阪大学)
- 分子生物学の黎明期から翻訳はベルトコンベヤーのような定常的製造装置だという思い込みが支配的であったが、昨今の次世代シークエンサーを用いたRibo-seq法の登場と、RNAの化学修飾、RNA-蛋白質集合体による液-液相分離、オルガネラ局所翻訳という新たな視座が、翻訳を従来の定速的存在から、時空間的可変性を備えたパラメトリック調節の場へと変革させつつある。翻訳速度制御の最新の知見/技法を海外演者らと共に徹底討論する。
2AS-05 | 12月2日(木)09:00~11:15 |
生体防御の最前線としての血管ネットワーク Vascular Network System as a Frontline in Biological Defense 共催:日本血管生物医学会 |
E |
オーガナイザー:渡部 徹郎(東京医科歯科大学)、吉田 雅幸(東京医科歯科大学)
- 血管は全身に分布し、生体の恒常性維持に重要な役割を果たしているが、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の患者において心血管系の基礎疾患が重症化のリスクファクターになることや、重症化の過程で血栓症・血管内皮細胞障害・サイトカインストームなどが観察されることから、感染症の予防と治療において血管系の制御が重要であることが解明されつつある。本シンポジウムにおいては、血管の恒常性維持や炎症応答において先駆的な研究を推進している研究者が最新の知見を紹介し、COVID-19などの新興感染症に対して「血管生物医学」の観点からどのように対応するべきかについて議論を深めたい。
2AS-16 | 12月2日(木)09:00~11:15 |
発生における胚と母体の相互作用 Fetomaternal interactions in development |
E |
オーガナイザー:藤森 俊彦(基礎生物学研究所)、Guojun Sheng(熊本大学)
- 胚と母体との相互作用は哺乳類の胚発生にとって必須である。本シンポジウムにおいては、胚と胚体外環境との相互作用を支える胚体外組織と胚との相互作用とその機能について焦点を充てる。分子生物学会員が胚発生における胚と母体との相互作用について考えるきっかけになることを期待する。
2AS-17 | 12月2日(木)09:00~11:15 |
貪食によって築かれる細胞機能の多様性と進化―貪食細胞転換 Phagocytic Transdifferentiation: A Novel Insight into Evolution and Cell Diversity |
E |
オーガナイザー:森岡 翔(岐阜大学)、津久井 久美子(国立感染症研究所)
- 細胞間コミュニケーションとして、貪食や生細胞の一部を取り込むトロゴサイトーシスの重要性が認識されてきている。これまで生命の構成単位とされる細胞はひとつの自己として完成しており、丸呑みされ、ちぎり取られてシグナルを伝えるイメージは一般的でなかった。演者たちは、この独特なシグナル伝達の型が、細胞の一過的な反応のみにとどまらず、貪食細胞の長期的な機能変化を促すことを独自に見出しており、この新しい視点を「貪食細胞転換」として提唱する。細菌から免疫細胞、癌細胞における多様な貪食の様相と細胞転換の繋がりをプレゼンする。一見散発的な現象に普遍性を見つけ、進化の根源から存在する貪食能が持つ新たな可能性を伝えたい。
2PS-16 | 12月2日(木)15:45~18:00 |
膜のリモデリングと組織化の分子基盤 Molecular bases of membrane remodeling and organization |
E |
オーガナイザー:末次 志郎(奈良先端科学技術大学院大学)、竹田 哲也(岡山大学)
- 細胞やオルガネラは、その機能に適した固有の形態を示す。またその形態は細胞分裂、分化、遊走や浸潤などに加えて、病原体の感染などに伴い顕著に変化する。細胞やオルガネラの動的な形態変化には、生体膜の変形や切断、融合(膜リモデリング)が必要である。これらの膜リモデリングは、膜結合タンパク質によって主になされており、その変異や制御の破綻はがん進展や先天性疾患の発症に深く関与する。本シンポジウムでは、細胞の膜リモデリングと組織化の分子基盤、さらにその破綻で起こる疾患の発症機序について、新しい知見をもとに討議を行う。
2PS-17 | 12月2日(木)15:45~18:00 |
Technology, genomics, computational biology approach towards ncRNA functions | E |
オーガナイザー:Piero Carninci(RIKEN)
- Non-coding RNAs (ncRNAs) play essential role in biological phenomena by folding into complex structures and functioning by interacting with other RNAs, DNA and proteins. However, their functional mechanisms are not broadly studied. In this session, we will discuss the functional mechanisms of ncRNAs with new technologies that allow us to analyze their modification, structures, spatial positioning and interactions.
3AS-01 | 12月3日(金)09:00~11:15 |
生命の連続性と老化 Continuity of the life and Aging |
E |
オーガナイザー:小林 武彦(東京大学)、高橋 暁子(がん研究所)
- 生き物の生涯は、発生、継承、老化の3つステージで記述される。発生は体の構築、継承は生命の連続性を支える繁殖の時期、そして老化はそれを減衰させ終了へと導く。本シンポジウムでは継承から老化への遷移メカニズムを、幹細胞の維持と老化の分子機構の最新の研究から考える。
3AS-02 | 12月3日(金)09:00~11:15 |
生体分子の物性変化が操る生命現象―ストレス顆粒形成から神経変性疾患まで Physical properties of biomolecules in human life and diseases |
E |
オーガナイザー:池田 史代(九州大学)、木下 専(名古屋大学)
- 生体分子の集合や離散、そして凝集を始めとする一連の物性変化は、多彩な生命現象を制御する。しかし、細胞内における、これらの多様かつ動的な物性変化の制御機構、正常から破綻に至る分水嶺についてはは未だ不明である。本シンポジウムでは、種々の刺激によって誘導される細胞内生体分子の物性変化による下流シグナルの制御および、その制御破綻による疾患誘導メカニズムの最前線について議論したい。
3AS-03 | 12月3日(金)09:00~11:15 |
新たな3Dバイオロジーと組織解析テクノロジーを組み合わせたがん征圧への道 Novel approaches combining 3-dimensional biology and cutting-edge technologies to analyze tumor tissues toward the conquest of cancer |
E |
オーガナイザー:後藤 典子(金沢大学)、岡本 康司(国立がん研究センター研究所)
- 日本における死因の第一位が「がん」となってから40年近くがたつ。がんを根治もしくはがんと共生できる健康社会の実現には、まだ道半ばである。本シンポジウムでは、in vitroでがん組織を再現するオルガノイドやスフェロイドによる新たな3D培養技術が切り開くバイオロジーや、がん組織を超解像度で解析する組織トランスクリプトームやイメージングなどの最先端の組織解析テクノロジー等を融合、駆使して得られる最新の研究成果をご紹介し、がん征圧への道を熱く議論する場を提供したい。
3AS-04 | 12月3日(金)09:00~11:15 |
細胞内クリアランスのメカニズムとその破綻による病態 Mechanisms of intracellular clearance and pathogenesis caused by its disruption |
E |
オーガナイザー:西頭 英起(宮崎大学)、小林 聡(同志社大学)
- 不要な分子の排除は、細胞にとって必須のイベントである。ストレスを受けた細胞は、緻密なシグナル伝達を介して、RNA、タンパク質、脂質、代謝物など様々な分子を分解処理することで、生存し正しく機能することができる。その破綻は、神経変性疾患、がん、代謝性疾患など様々な病態に繋がる。本シンポジウムでは、細胞内クリアランスのメカニズムと、その破綻に基づく疾患の分子機構について議論したい。
3AS-05 | 12月3日(金)09:00~11:15 |
小さな一歩で大きな飛躍:分子や揺らぎが操る植物の発生 One small step, one giant leap: impacts of molecules and fluctuations on plant development 共催:新学術領域研究「植物の周期と変調」 |
E |
オーガナイザー:植田 美那子(東北大学)、大谷 美沙都(東京大学)
- 生物の発生では、分子の振る舞いやリズムの揺らぎといった細胞内のわずかな変化が、組織や個体の大きな形態変化へ表出されます。本シンポジウムでは、植物の形態形成に関する先端的な研究成果の紹介と議論を通じて、細胞内の微細な制御が植物の発生に果たす役割、および、発生プログラムや生育環境に応じたそれらの変調が、発生様式を変化させる仕組みについて議論します。このような議論を通じ、植物の形づくりの新たな基本原理の導出を目指します。
3AS-17 | 12月3日(金)09:00~11:15 |
低代謝・低体温の制御: 冬眠とその周辺領域 Regulation of hypometabolism and hypothermia in and around hibernation 共催:学術変革領域研究(B) 冬眠生物学~哺乳類の低代謝・低体温による生存戦略 |
E |
オーガナイザー:砂川 玄志郎(理化学研究所)、山口 良文(北海道大学)
- 冬眠は哺乳類の省エネモードである。生命活動は一定のエネルギーを消費するため、エネルギー節約のためには何かしらの生命機能を抑制しなくてはならない。冬眠中の動物は運動や知覚などの高次機能のみならず、代謝の要とも言える体温の恒常性から逸脱し、低代謝・低体温を呈する。哺乳類が通常では細胞障害を生じるような低代謝と低体温に対し、どのように耐性を得て制御しているのか、冬眠とその周辺領域の最先端の研究から迫る。
3PS-02 | 12月3日(金)15:45~18:00 |
多細胞生命システムに自律性を生み出す細胞間コミュニケーション Cell-cell communications generating “autonomy" in multicellular life systems |
E |
オーガナイザー:石谷 太(大阪大学)、井垣 達吏(京都大学)
- 多細胞生命システムが無生物と決定的に異なる理由の一つは、それが自律性を備え、自身の構造や機能を構築・最適化できる点にあるが、その仕組みはほとんど不明である。近年、シングルセル解析技術の進歩や先進的な分野横断研究により、多細胞生命システムに自律性を生成する細胞間相互作用とその物理・化学基盤が姿を現しつつある。本シンポジウムでは、「生命らしさの最大の謎」の一つである自律性の生成ロジックに斬新な発想で挑む最新研究を紹介する。
3PS-16 | 12月3日(金)15:45~18:00 |
新興感染症と闘うためのデジタルトランスフォーメーション Digital transformation for fighting against emerging infectious diseases 後援:ムーンショット型研究開発事業「ウイルス-人体相互作用ネットワークの理解と制御」 |
E |
オーガナイザー:島村 徹平(名古屋大学)、岩見 真吾(名古屋大学)
- COVID-19パンデミック発生時、感染症に対する社会の危機管理体制の脆弱性が露呈し、感染症対策に対する様々な問題点を表面化させることになった。感染症をコントロールするためには、集団レベルにおいても個体レベルにおいても、科学的根拠のある定量的知見に基づいた対策が不可欠である。本シンポジウムでは、情報科学の浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるデジタルトランスフォーメーション(DX)という概念を通じて、今後も発生すると考えられる"パンデミック感染症"との闘いを支える生命医科学研究の最前線テクノロジーについて紹介する。
3PS-17 | 12月3日(金)15:45~18:00 |
合成発生学:発生研究のボトムアップアプローチ Synthetic Embryology - Bottom-up approaches to study human & animal development |
E |
オーガナイザー:斎藤 通紀(京都大学)、Cantas Alev(京都大学)
- 合成発生学は、多能性幹細胞や先進的な工学技術を用いて、発生過程を試験管内再構成し、基盤となるメカニズムを構成論的に理解することを目指す研究領域である。合成生物学は、着床前後胚の試験管内再構成や器官・組織形成を包含する幅広い研究領域を対象とし、これまで研究が困難であったヒトや様々な哺乳類の発生機構の解明を可能としつつある。本シンポジウムでは、本領域の第一線で活躍する国内外の研究者を招聘し、合成発生学の最前線と今後の展望を議論したい。