シンポジウム

※オンライン開催は、ライブおよびオンデマンド配信(~12月31日(日))を予定しています。

オンライン開催シンポジウム テーマ一覧

※セッション番号について:
オンライン(O) + 開催日 + 午前 / 午後 (A / P) + シンポジウム(S)+ -(ハイフン)+ Ch
(例)O-1AS-01:オンライン・第1日目・午前・Ch1

※時間について:
(午前)9:00-11:15、(午後)16:00-18:15

※講演言語について:
E 英語 J 日本語

O-1AS-01 11月27日(月)
9:00-11:15
冬眠と代謝制御 / Metabolic regulation in hibernation
指定企画E
冬眠と代謝制御
Metabolic regulation in hibernation
オーガナイザー
山口 良文(北海道大学)、平野 有沙(筑波大学)
詳 細

冬眠は、飢餓と寒冷に見舞われる厳しい季節を低体温・低代謝の休眠状態で乗り切る生存戦略である。冬眠現象自体は古くから人々の興味を惹いてきたが、その制御機構は未だ多くの点が謎のまま残されている。近年、解析技術の進歩や休眠状態を誘導する神経細胞の発見などにより、哺乳類の冬眠現象に新しい視点で切り込むことが可能となった。本シンポジウムでは、冬眠・休眠中の動物の体で生じる代謝変化に着目した最新研究を紹介する。

O-1AS-02 11月27日(月)
9:00-11:15
大気中粒子・化学物質の生体影響 / Biological effects of atmospheric particles and chemicals
公募企画J
大気中粒子・化学物質の生体影響の最前線:感染からアレルギーまで
Frontiers of Biological Effects of Airborne Particles and Chemicals: From Infection to Allergy
オーガナイザー
三村 達哉(帝京大学)、吉田 安宏(産業医科大学)
詳 細

近年、COVID-19の感染拡大に伴い、空気中の微小粒子による感染経路が注目されている。大気中には花粉、黄砂やPM2.5を含む大気汚染物質、タバコからの副流煙、ペット、ダニ、真菌など、様々な粒子状物質、化学物質が浮遊している。これらの肉眼では見えない粒子は細胞レベルでは免疫攪乱・毒性を及ぼす。また、この細胞毒性は呼吸器、アレルギー・免疫疾患、循環器、生殖、加齢、感覚器などへの全身への生体影響を及ぼす。本シンポジウムでは、昨年度に着目した細胞レベルのテーマから、より生体に近づけた大気中粒子・化学物質が及ぼす生体影響の最前線というテーマのもと、各分野の専門家が科学的な側面から公開討論を行う予定である。

O-1PS-01 11月27日(月)
16:00-18:15
動植物初期化原理 / Nuclear reprogramming across kingdoms
指定企画E
動植物を通じて考えるリプログラミング原理と多様性
Principles and diversity of nuclear reprogramming across kingdoms
協賛:新学術領域研究「全能性プログラム」
オーガナイザー
宮本 圭(近畿大学)、池内 桃子(奈良先端科学技術大学院大学)
詳 細

リプログラミングは、分化した細胞が未分化状態へと遷移するために必須であり、動植物いずれにおいても観察される現象である。しかし、リプログラミング研究において、動物科学者と植物科学者の間でその普遍原理や多様性を協力して探る試みは未だ少なく、リプログラミングの包括的な理解は達成されていない。そこで本シンポジウムでは、コケ、種子植物、両生類から哺乳類に至るまで、幅広い生物学的システムを使用してリプログラミングを研究している科学者を集め議論する場を設ける。多様な生命システムをリプログラミングという共通の枠組みの中で議論することにより、リプログラミングの基本原理と多様な特徴を探求し、新たな研究の方向性を切り拓くことを目指す。

O-1PS-02 11月27日(月)
16:00-18:15
細胞内鉄 / Cellular iron dynamics
公募企画E
細胞内の鉄の動態から拓くオルガネラの生物学
Cultivating organelle biology from cellular iron dynamics
オーガナイザー
田中 敦(山形大学)、簗取 いずみ(京都大学)
詳 細

鉄は生命にとって必須の元素でありその厳密な代謝制御機構は,細胞における恒常性の維持に必須である。細胞内における鉄の動態とその崩壊は疾患の発生メカニズムなどに密接に関わることが明らかにされつつある。このシンポジウムでは細胞内の鉄動態,いわゆる取り込み・利用・貯蔵・排出のさまざまな場面において,分子から疾患メカニズムまでを網羅する最新の知見を紹介し,オルガネラ生物学に新たな潮流を生み出すことに挑戦する。

O-2AS-01 11月28日(火)
9:00-11:15
遺伝子制御 / Gene Regulation Dynamics
指定企画E
遺伝子制御ダイナミクスの解明:イメージングからシングルセルオミックスへ、そしてその先へ
Resolving gene regulatory dynamics: from imaging to single-cell omics and beyond
オーガナイザー
大川 恭行(九州大学)、Timothy Stasevich(コロラド州立大学)
詳 細

遺伝子は、細胞核のクロマチン構造レベルで転写され、その後、細胞質で必要に応じて翻訳され、タンパク質を合成する。このように、遺伝子発現は、外来および内在性のシグナルによって、複数の階層レベルで制御されるダイナミックで複雑なプロセスである。本シンポジウムでは、ライブセルイメージングからシングルセルオミックス、さらにその先のアプローチを用いて、遺伝子制御における様々な事象のダイナミクスを解析している研究者とともに、最先端のトピックスを議論したい。

O-2AS-02 11月28日(火)
9:00-11:15
核の進化と多様性 / Diversification of the cell nucleus
公募企画E
細胞核の進化と多様性
Evolution and diversification of the cell nucleus
オーガナイザー
新冨 圭史(理化学研究所)、原 裕貴(山口大学)
詳 細

細胞核は遺伝情報の維持と発現の場として機能する。これらの機能がすべての真核生物に共通するのに対し、核のサイズ、形状、細胞あたりの数は様々である。真核生物は多細胞化とゲノムサイズの増大に適応する過程で、多様な核の制御様式を進化させてきたのかもしれない。本シンポジウムでは、さまざまな生物を用いた研究成果を紹介し、核の構造や機能の多様性が発生や分化、種形成にどのような影響を及ぼしているのかを議論したい。

O-2PS-01 11月28日(火)
16:00-18:15
クロス生物学 / Cross-scale new biology
指定企画E
クロススケール計測技術で細胞内のメゾスケールの構造動態に迫る
Cross-scale analyses visualize the mesoscale structural dynamics in cells
共催:学術変革領域(A) クロススケール新生物学
オーガナイザー
田中 元雅(理化学研究所)、仁田 亮(神戸大学)
詳 細

生命科学あるいは基礎医学研究者の究極の目標の一つは、生命現象あるいは疾患を、原子・分子レベルから個体レベルまで切れ目なく理解することである。そして、これを達成するためには、20-500nm程度のメゾスケールの細胞内現象の構造動態を可視化・定量化する技術の開発・整備が必要である。本シンポジウムでは、様々な細胞内構造・動態解析技術を開発あるいは応用し、メゾスケールの生理・病理現象の解明に取り組む国内外第一線で活躍する研究者にご参集いただき、メゾスケール解析技術の現状と展望を議論する。

O-2PS-02 11月28日(火)
16:00-18:15
左右非対称性形成 / Diverse mechanics of left-right asymmetry
公募企画J
明らかになった左右非対称性形成機構の進化的多様性と共通性
Evolutionary diversity and conservation in mechanisms of left-right asymmetry
オーガナイザー
八代 健太(京都府立医科大学)、松野 健治(大阪大学)
詳 細

生物のからだの「左右非対称性」は、ボディープランの重要な要素である。表面的には「左右非対称性」は生物に共通の形質に見える。しかしながら、脊椎動物内で対称性が破られる仕組みが複数存在する事実が示す様に、進化的に多様な機構がこれを支えている。一方、最近の研究から、特に無脊椎動物においては左右非対称性の形成機構の予想外の進化的共通性が明らかになってきた。本シンポジュウムでは、左右非対称性形成機構の進化と多様性について議論したい。

O-3AS-01 11月29日(水)
9:00-11:15
ウイルス感染事象 / Virus infection causes various events
指定企画E
ウイルスによるNaturalな外部刺激が細胞内・生体内で引き起こすイベントを知る
What will happen in your bodies and cells upon virus infection?
オーガナイザー
澤 洋文(北海道大学)、渡辺 登喜子(大阪大学)
詳 細

ウイルスはタンパク質の殻と核酸、時に宿主細胞由来の脂質二重膜で構成されるシンプルで微小な構造体である。宿主細胞に感染したウイルスは、増殖するために細胞内機能をハイジャックし、時には細胞内の構造を都合良く作り変える。ウイルス感染がトリガーとなり、細胞内・生体で様々な現象が起こり、時に細胞傷害・疾病を起こす。本シンポジウムは、ウイルスによる外部刺激=感染によって生じる細胞内・生体内イベントについての理解の深化を図る。

O-3AS-02 11月29日(水)
9:00-11:15
減数分裂組換え / Meiotic recombination in multiple organisms
公募企画E
多モデルから考える減数分裂期組換えの多様性と根幹
Diverse mechanisms and principle of meiotic recombination among multiple organisms
オーガナイザー
伊藤 将(大阪大学)、今井 裕紀子 (国立遺伝学研究所)
詳 細

減数分裂期の相同組換えは、配偶子形成における正常な染色体分配を担うとともに、ゲノムシャッフリングにより次世代に遺伝的多様性をもたらすメカニズムである。近年、主要なモデル生物における新規知見に加え、新たな生物種においても組換えメカニズムが明らかになりつつある。本シンポジウムでは、酵母から哺乳類まで幅広い生物種をモデルとした減数分裂期組換えの研究を対象とし、組換えメカニズムの多様性とその根幹について議論する。

O-3PS-01 11月29日(水)
16:00-18:15
進化する共生 / Evolving Symbiosis
指定企画E
進化する共生の理解
Evolving Understanding of Evolving Symbiosis
オーガナイザー
深津 武馬(産業技術総合研究所)
詳 細

ERATO共生進化機構プロジェクトでは、昆虫―大腸菌人工共生系を用いた大規模進化実験、および培養困難な共生細菌の遺伝子操作や全ゲノムクローニングを可能にする新規技術開発を突破口として、さらに無菌マウス腸内での相互進化系に展開し、無脊椎動物から脊椎動物にわたる共生機構の共通性と多様性の理解に取り組んでいます。本シンポジウムでは、共生進化の機構および起源への実験進化による実証的アプローチについて、最先端の研究分野の現状を共有することをめざします。

O-3PS-02 11月29日(水)
16:00-18:15
TORシグナル / TOR signaling
公募企画E
TORシグナル:カノンと変奏
TOR signaling: Canon and Variation
オーガナイザー
前田 達哉(浜松医科大学)、丑丸 敬史(静岡大学)
詳 細

TORシグナルはアミノ酸栄養などの増殖関連シグナルを統合し、細胞の成長と代謝とを統御するという重要かつ根本的な役割を果たしており、その制御機構と生理的・病理的機能について研究が進んでいる。近年、TORシグナルにはRag GTPaseとRhebの両者を介する「標準的」機構に加え、「非標準的」機構の存在が明らかになってきた。両機構に関する研究の現状と相互の関連について議論を深めたい。

O-4AS-01 11月30日(木)
9:00-11:15
オルガノイド/Organoid Biology
指定企画E
オルガノイド研究が解く生物の共通原理と種の個性
Organoid biology uncovering the universality and uniqueness of species
オーガナイザー
森本 充(理化学研究所)、高里 実(理化学研究所)
詳 細

幹細胞培養における自己組織化の発見により、実験室内で3次元ミニ臓器、いわゆる「オルガノイド」を作製することが可能となった。オルガノイド培養技術は、これまでできなかったヒト発生生物学や希少疾患モデルへのアプローチを可能にした。また異なる種に由来するオルガノイドの比較は、生物の共通原理の発見と、固有の現象を見出す有用な手法でもあった。本シンポジウムでは、オルガノイドの世界先端研究者を糾合し、ヒトと非ヒトの共通性と差異について討論する。

O-4AS-02 11月30日(木)
9:00-11:15
慢性腎臓病 / Chronic Kidney Disease
公募企画J
腎臓から全身のホメオスタシスを学ぶ
Learning systemic homeostasis thorough kidneys
オーガナイザー
鳥巣 久美子(九州大学)、西 裕志(東京大学)
詳 細

慢性腎臓病の患者数は増加の一途であるが、腎臓特有の非常に複雑な細胞構成や生理作用から,たとえば臓器別再生医療ロードマップでは腎臓の臨床応用は最も遅くなると予測され、腎臓は研究困難な臓器と認識されてきた。しかし近年、慢性腎臓病の新たな治療薬が複数開発され、single cell analysisなどの解析方法の進歩により腎臓研究が飛躍的に進歩した。日本腎臓学会では、腎臓病の病態解明と新たな治療法の開発に向けてこれまで全力で取り組んできた。本シンポジウムでは、腎臓病の病態と新しい治療法の可能性について、日本を代表する主に若手の研究者による最新の知見を紹介する。複雑な細胞構成をもつ腎臓の理解は全身の恒常性制御を理解するカギになる。

O-4PS-01 11月30日(木)
16:00-18:15
表現型可塑性 / Phenotypic plasticity and epigenome control
指定企画E
表現型可塑性とエピゲノム制御による生物の適応戦略
Adaptive tactics via phyenotypic plasticity and epigenomic regulations
オーガナイザー
三浦 徹(東京大学)、角谷 徹仁(東京大学)
詳 細

地球上の多様な生物は、進化の過程で様々な適応戦略を獲得してきた。モデル生物と非モデル生物の両者における分子生物学やゲノミクスの進展から、どのような機構を獲得することで生物が表現型進化を成し遂げてきたかについての研究成果が蓄積しつつある。本シンポジウムでは、表現型可塑性とエピゲノム制御を用いた適応戦略に着目し、この分野で研究を展開している研究者による最近の発見から、動物と植物の枠を超えた新たな生物進化の原理を考察する。

O-5AS-01 12月1日(金)
9:00-11:15
社会行動神経科学 / Neural basis for social behaviors
指定企画E
社会性行動の動的な制御を支える神経基盤
Neural basis for dynamic modulation of social behaviors
オーガナイザー
磯江 泰子(ハーバード大学)、宮道 和成(理化学研究所)
詳 細

ヒトを含めて社会を構成する動物はそのライフステージ、経験、社会的な関係性を踏まえて適切に社会性行動を調整する必要がある。近年、このような社会性行動の動的な制御を支える神経基盤についての解明が進展している。そこで本シンポジウムでは分子遺伝学的ツールの発達した魚類・げっ歯類をモデルに、分子から神経回路、神経ダイナミクスを経て行動出力の調整に至るまで階層縦断的な新進気鋭の研究を中心に、今後の課題を議論する。

O-5AS-02 12月1日(金)
9:00-11:15
高解像度生物学 / High-resolution biology
公募企画E
機能ゲノミクスとシングルセル生物学の融合
Integration of functional genomics and single cell biology
オーガナイザー
永江 玄太(東京大学)、熊坂 夏彦(国立成育医療研究センター)
詳 細

近年急速に発展してきたシングルセル解析や空間トランスクリプトーム技術は、多細胞生物が営む生命現象を1細胞レベルで俯瞰し、そのダイナミクスを可視化してきた。これまでに蓄積されてきた機能ゲノミクスや疾患生物学と統合し、遺伝子制御ネットワークを再構築することで新たな解釈や生物学的知見を与えている。本シンポジウムでは、こうしたシングルセルマルチオミックス解析やシングルセルeQTL解析などの最新の応用例を紹介し、ヒト生物学に与える今後の可能性について議論したい。

O-5PS-01 12月1日(金)
16:00-18:15
合成バイオ / Synthetic biotechnology
指定企画E
合成バイオテクノロジーとその将来展望
Synthetic biotechnology and beyond
オーガナイザー
鐘巻 将人(国立遺伝学研究所)、末次 正幸(立教大学)
詳 細

生命科学の追求は時に革新的テクノロジーを生み出し、そのテクノロジーが分野をこえて広がるところに新たなステージが生まれる。本シンポジウムでは、生命システムを自らデザインして作り上げたり、機能を拡張していくアプローチを合成生物学と位置づけ、合成生物学的アイデアを取り込んだ最新のテクノロジーを取り上げる。分野を超えたテクノロジーの議論の中から、生命科学の「Next Game Changerは何か」を野心的に展望していきたい。

現地開催シンポジウム テーマ一覧

※セッション番号について:
開催日 + 午前 / 午後 (A / P) + シンポジウム(S)+ -(ハイフン)+ 会場
(例)3PS-05:第3日目・午後・第05会場
※時間について:
(午前)9:30-11:45、(午後)16:00-18:15

※講演言語について:
E 英語 J 日本語

※現地開催プログラムのオンライン配信やオンデマンド配信はありません。

1AS-01 12月6日(水)
9:30-11:45
新世代絶滅生物 / New Generation Extincts
公募企画J
絶滅生物と新世代技術
Extinct Species and New Generation Technologies
オーガナイザー
山縣 一夫(近畿大学)、林 克彦(大阪大学)
詳 細

サイエンスフィクションは、想像上の技術によって絶滅生物を復活させる夢を語ってきた。実際の技術はそれに遠く及ばないまでも、絶滅危惧種の保全のみならず育種や繁殖、生殖医療などに活かされている。一方で近年、多能性幹細胞や生殖細胞誘導、遺伝子工学などの技術が劇的に進展している。本シンポジウムでは、最新の技術を開発し、絶滅危惧種の保全・復活をめざす研究者を集めて、未来や今後の課題について議論する。

1AS-02 12月6日(水)
9:30-11:45
液滴の多角的検討 / Multidimensional study of droplets
公募企画J
相分離生物学の再検討:分子科学的基礎の深掘りと液滴操作技術の革新
Critics for Phasing Biology to reinforce the fundamental parts: deep understandings from pure and applied viewpoints about droplets
オーガナイザー
延山 知弘(筑波大学)、三浦 夏子(大阪公立大学)
詳 細

近年タンパク質やDNAを始めとする生体高分子が特定の条件で相分離し反応場(液滴)を形成する現象(液液相分離)が注目されている。代謝やストレス応答等細胞内での高度なふるまいが液液相分離という観点から説明されつつある。一方で多くの研究は現象論にとどまり、液滴の観察技術や構成原理に関する深い考察はあいまいに済ませたまま分野が発展している面は否めない。本シンポジウムでは観察技術や定義におけるあいまいな点を実験・理論双方の現場の視点から明示すると共に、工学的な観点からの液滴の制御技術や応用展開を議論する。液滴を見る人と作る人の双方の知見を照らし合わせ、相分離生物学の基盤を立体的に構築する。

1AS-03 12月6日(水)
9:30-11:45
多細胞生命自律性 / Multicellular autonomy
公募企画J
多細胞生命システムの自律性の生成機構
Emergence of multicellular autonomy
共催:学術変革領域研究 (A)「多細胞生命自律性」
オーガナイザー
大谷 哲久(生理学研究所)、平島 剛志(シンガポール国立大学)
詳 細

多細胞生命システムは自律的にその構造や機能を構築し最適化することができる。多細胞生命システムにおいては外因的な攪乱や内因的なばらつきがあっても、そのゆらぎやばらつきが細胞間相互作用などによって解消される。本シンポジウムでは細胞競合をはじめとした様々な機構によって多細胞生命システムの自律性が生成される仕組みについて、分野横断的に議論する。

1AS-04 12月6日(水)
9:30-11:45
エピジェネ癌進展 / Epigenetic dynamism and cancer development
公募企画J
エピジェネティックダイナミズムとがん進展
Epigenetic dynamism and cancer development
オーガナイザー
金田 篤志(千葉大学)、近藤 豊(名古屋大学)
詳 細

近年の解析法の進歩を通じてがんは様々な外的因子によりダイナミックに変化することが明らかになり、特に可塑性の高いエピジェネティック制御はその重要な要因であり、がん細胞や、線維芽細胞や免疫細胞などがん細胞を取り巻く環境の多角的・網羅的な解析により詳細に解明されつつある。本領域は新規治療標的として研究の進展が著しく、また我が国で世界レベルの研究が進んでおり、本学会でも活発な議論による高いレベルのセッションが期待される。

1AS-05 12月6日(水)
9:30-11:45
細胞運命情報 / Information controling cell fate
公募企画J
細胞の運命を左右する多次元の情報をどう解きほぐすのか
Uncovering the multidimensional information that controls cell fate
オーガナイザー
服部 奈緒子(星薬科大学)、武田 はるな(国立がん研究センター)
詳 細

細胞の運命は、微小環境から受けとるシグナルによって大きく左右される。個体発生・細胞分化・がん化の諸過程において、微小環境が如何に標的細胞の運命を変えるのかに関しては不明点が多く残されている。これらの点について、本シンポジウムでは、先進的動物モデル・オルガノイド・オミクス解析・数理モデルなど新たな解析手法を用いて得られた最先端の知見にフォーカスし、新規知見の創出、病態解明へと結びつけられるよう議論したい。

1AS-06 12月6日(水)
9:30-11:45
ECMと老化 / ECM and Aging
公募企画J
細胞外マトリックスから見た老化研究
Aging Research from the Viewpoint of Extracellular Matrix
オーガナイザー
柴田 幸政(関西学院大学)、伊原 伸治(広島県立大学)
詳 細

細胞外マトリックスは、細胞集団の形を維持するのみではなく、動的なシグナルソースとしても働く。また、老化とともに細胞外マトリックスが変化することは知られていたが、近年この細胞外マトリックスが、老化の過程を積極的に制御することが明らかになりつつある。本シンポジウムでは、細胞外マトリックスが個体や組織において老化と恒常性に果たす役割について議論したい。

1AS-07 12月6日(水)
9:30-11:45
神経RNA破綻 / Neuronal Dysregulation of Protein/RNA Homeostasis
公募企画J
神経機能におけるタンパク質/RNA恒常性の破綻 ~神経新生から神経病態まで~
Dysregulation of Protein/RNA Homeostasis in Neuronal Function - From Neurogenesis to Neuropathology -
オーガナイザー
塩田 倫史(熊本大学)、森本 悟(慶應義塾大学)
詳 細

神経変性疾患において多数のRNA結合タンパク質遺伝子変異が同定されている。また、神経病態の患者脳内にRNA結合タンパク質の凝集体形成が認められる。さらに神経系の発生過程においてもRNA結合タンパク質が重要な機能を担うことが明らかになっており「タンパク質/RNA恒常性破綻」が神経機能・病態解明の鍵になる。本シンポジウムでは神経細胞のタンパク質/RNA恒常性破綻メカニズムの包括的理解を目指し、神経新生から神経病態まで幅広く講演する。

1AS-08 12月6日(水)
9:30-11:45
DNA損傷応答研究 / DNA damage response
公募企画J
DNA損傷応答研究の発展と展開
The expanding field of DNA damage response
オーガナイザー
安原 崇哲(京都大学)、柴田 淳史(慶応大学)
詳 細

ゲノムの安定性はホメオスタシス維持に必須である。昨今の実験技術の発達により、より詳細なDNA損傷応答の分子メカニズムが解明され、個体でのフェノタイプとの関連も明らかになりつつある。当シンポジウムではまず、当分野の最新の知見について議論する。さらに、ゲノム安定性を起点とした研究は分野の垣根を越えて様々な研究分野へと展開していることを踏まえ、転写、老化、がんなどの関連周辺分野で活躍する新進気鋭の研究者を招いて当分野の将来的な発展性について議論したい。

1AS-10 12月6日(水)
9:30-11:45
ncRNA装置 / Analytical tools of ncRNA machinery
公募企画E
非コードRNAが形成する作動装置とコンデンセートの先端解析法
Advanced research tools approaching machinery and condensates assembled with ncRNAs
オーガナイザー
廣瀬 哲郎(大阪大学)、甲斐 歳恵(大阪大学)
詳 細

非コード(nc)RNAの機能解明は、ポストゲノム時代のゲノム機能の理解のための重要な課題である。ncRNAはタンパク質と会合しRNP複合体や相分離したコンデンセートを作動装置として機能しており、ncRNAの機能理解のためには、作動装置の作用機構の解明こそが重要である。本シンポジウムでは、1分子解析、超解像イメージング、RADICL-seq、BioID、合成生物学などの先端手法を駆使した多彩な研究を取り上げ、今後のncRNA研究を展望したい。

1AS-11 12月6日(水)
9:30-11:45
動的高次構造体 / Molecular dynamics of gene regulation
公募企画E
動的高次構造体を介した遺伝子発現制御
Dynamics of genome organization and transcription machineries in gene regulation
オーガナイザー
岩崎 由香(理化学研究所)、深谷 雄志(東京大学)
詳 細

遺伝子発現の第一段階である転写は、高次ゲノム構造や、転写因子などの核内タンパク質の動的挙動を介して非常に緻密に制御されている。しかしその一方で、こうした「動的高次構造体」の動作原理やその分子作用機序についての理解は、大きく遅れている。本シンポジウムでは、最新のゲノミクス解析やライブイメージングを用いて研究を展開している研究者による議論を通じて、遺伝子発現制御の新たな原理について考察する。

1AS-12 12月6日(水)
9:30-11:45
オルガネラ小分子 / Organelles and small biomolecules
公募企画E
オルガネラを起点とする生体内小分子の認識・動態制御と細胞応答
Multifaceted cellular responses driven by organelle-based recognition and handling of small biomolecules
オーガナイザー
関根 史織(University of Pittsburgh)、山野 晃史(東京医科歯科大学)
詳 細

生体内小分子の細胞内における動態は、様々な仕組みでモニターされ、細胞内外の環境変化に応じて厳密に制御されている。本シンポジウムでは、生体内小分子の認識・動態制御において、オルガネラが足場となるユニークな現象とメカニズムに注目する。若手を中心に国内外から演者を招き、様々なオルガネラにおける生体内小分子の認識・動態制御の詳細な分子機構、さらにそれによって駆動される多面的な細胞応答(ストレス応答、シグナル伝達、恒常性維持、細胞運命決定等)について、議論したい。

1AS-13 12月6日(水)
9:30-11:45
脳の発生と進化 / Brain development and evolution
公募企画E
脳発生進化研究の最前線
Frontiers in the study of brain development and evolution
オーガナイザー
呉 泉(京都大学)、隈元 拓馬(東京都医学総合研究所)
詳 細

脳の発生は、神経管の前端にある上皮細胞の層から始まる。これらの細胞は増殖し、さまざまな種類の神経細胞と、アストロサイトやオリゴデンドロサイトなどの支持細胞へと分化する。また、脳は発達の過程で、成体脳で区別された機能を持つさまざまな領域に分割される。興味深いことに、異なる細胞種や領域が生成される仕組みは、進化の過程で高度に保存されている。しかし、このメカニズムの分子的基盤や、高次認知機能の獲得にどのように寄与しているかは、ほとんど分かっていない。異種間比較は、このような疑問を解明するための効率的なアプローチである。さらに、単細胞RNA解析、空間トランスクリプトーム解析、単細胞ATAC解析、脳オーガノイド誘導などの新しい技術は、次世代の神経科学者にこの問題を探求する新しい視点を与え、従来の理解に挑戦する機会を与えてくれる。一方で、これらの技術に基づく解釈は慎重であるべきで、議論される必要がある。本シンポジウムでは、すでにこれらの技術を用いて脳の発達や進化を研究している次世代の神経科学者を招待し、これらの新しい技術の利点と限界について意見を交換し、これまでに得られた結果について議論する予定である。

1AS-14 12月6日(水)
9:30-11:45
ゲノム複製 / Genome replication
公募企画E
正確なゲノム複製・継承を可能にする細胞内・核内ダイナミックス
Cellular and nuclear dynamics that allow accurate genome replication and inheritance
オーガナイザー
坪内 知美(自然科学研究機構)
詳 細

DNA複製は生物種を超えて保存された生命の要となる現象である。DNA複製の基盤原理は明らかになりつつある一方で、DNA複製を司る因子がどのように染色体動態や細胞周期制御を含む細胞内イベントとも連携しながらミスなくゲノム複製を完遂し娘細胞に継承するのか、という点についてはまだ不明な点が多い。本シンポジウムでは DNA複製開始・完了・染色体分配までに機能する細胞内・核内ダイナミックスに焦点をあて、ゲノム継承のための様々な仕組みについて議論したい。

1AS-15 12月6日(水)
9:30-11:45
非細胞形態形成 / Morphogenesis by non-cellular materials
公募企画J
「非細胞素材」による形態形成のメカニズム
Mechanisms of morphogenesis by non-cellular materials
共催:学術変革領域研究(A) からだ工務店
オーガナイザー
田尻 怜子(千葉大学)、小沼 健(鹿児島大学)
詳 細

生物の形をつくりだす仕組みとして、体を構成するブロックである細胞の動態が注目されてきた。しかし、生物の体は単なる細胞だけの塊ではない。特に多細胞生物の体を形づくり支えるのは、骨・細胞壁・外骨格など、細胞外に産生される材料、つまりそれ自体は細胞ではない材料である。こういった「非細胞素材」による形態形成をどのように理解するのか。本企画では多様な生物を用いて独創的な研究を展開している演者を迎え、分野の最前線と展望を議論する。

1AS-16 12月6日(水)
9:30-11:45
内在性ウイルス / Endogenous viral elements
公募企画J
内在性ウイルスエレメント:その叡智をここに集約せよ!
Endogenous viral elements: Let's gather our wisdom for further knowledge!
オーガナイザー
小林 美栄(慶應義塾大学)、川崎 純菜(早稲田大学)
詳 細

多くの生物ゲノムにはウイルス由来の配列(内在性ウイルスエレメント:EVEs)が存在し、例えばヒトゲノムでは約8%を占める。しかし、EVEの大部分は長らくJunk DNAと考えられてきた。近年の技術発展により、EVEsは"敵"として疾患に関わる一方、"味方"として新しい生理機能の一端を担うことがわかってきた。本シンポジウムでは、新進気鋭の研究者を招き、EVEsのさらなる可能性について議論したい。

1AS-17 12月6日(水)
9:30-11:45
バイオDX / BioDX
公募企画J
バイオDXによるデータ駆動型ゲノム育種に向けて
Toward Data-Driven Genome Breeding with Bio-DX
共催:COI-NEXT 「バイオDX産学共創拠点」
オーガナイザー
坊農 秀雅(広島大学)、中前 和恭(広島大学)
詳 細

Digital Transformation (DX)の生命科学版、バイオDXが昨今注目され、ラボオートメーションや生命科学ビッグデータの利活用が進められている。しかしながら、その流れは限定的なのが実情である。そこで、本シンポジウムではバイオDXを実践している先駆者たちにそれぞれのバイオDXを語ってもらう情報交換の場としたい。議論を通じ、それぞれの研究に役立つ活用知識が形成されることが目標である。

1AS-18 12月6日(水)
9:30-11:45
マルチ機能と疾患 / Protein multifunctionality and diseases
公募企画J
タンパク質の機能多様性と疾患:基礎から診断・治療まで
Diseases involving protein multifunctionality and multiple localization :From basics to diagnosis and treatment
オーガナイザー
山田 幸司(東京慈恵会医科大学)、山田 健人(埼玉医科大学)
詳 細

タンパク質の局在様式は時間・空間的な細胞機能を規定しており、個体発生や免疫、恒常性の維持などほぼ全ての生命現象に関わる極めて重要な生物学的特性である。近年、想定しえない場に局在し、思いもよらない働きをするタンパク質が存在し、がんなどの疾患に関わることが知られはじめている。本シンポジウムでは、タンパク質の局在・機能多様性に着目して病態の基礎メカニズムから診断、治療にわたる幅広い側面から議論したい。

1PS-01 12月6日(水)
16:00-18:15
発生時計の理解と制御 / Understanding and Controlling Developmental Clock
公募企画J
発生・再生の時を刻む時計の理解と制御
Uncovering and Controlling the Clock That Sets Tempo for the Development and Regeneration
オーガナイザー
中西 未央(千葉大学)、松田 充弘(ドレスデン工科大学)
詳 細

組織形成の時間的制御は発生・再生現象の要であるにもかかわらず、そのメカニズムには依然多くの謎が残されている。本シンポジウムでは各組織の形成や機能的成熟化をつかさどる自律的または他律的な発生・再生の時間的制御メカニズム研究の最先端を紹介し、再生医療研究への応用をも視野に入れた総合的な討論をおこなう。

1PS-02 12月6日(水)
16:00-18:15
ジェロサイエンス / Geroscience research
公募企画J
分子の目で見るジェロサイエンス研究
Geroscience research from molecular view
オーガナイザー
丸山 光生(国立長寿医療研究センター)、清水 孝彦(国立長寿医療研究センター)
詳 細

人生100年時代を生きる私たちは「老化」について意識する機会も増えてきた。寿命研究の持つ普遍性と老化研究から明らかになる多様性を併せもつ、新しい老化研究、ジェロサイエンス研究を通して、老化の制御や老化プロセスに関わる分子に注目した最前線の研究を紹介する。さらにその成果をヒトに応用することで老化関連疾患の発症や進行を制御する可能性を議論し、一人ひとりの健康長寿の実現を共に考えてみたい。

1PS-03 12月6日(水)
16:00-18:15
複製ストレス寛容 / DNA replication stress tolerance
公募企画J
DNA複製ストレストレランスの功罪―疾患生物学について―
Molecular networks of DNA replication stress tolerance behind molecular pathology
オーガナイザー
勝木 陽子(九州大学)、塩谷 文章(国立がん研究センター)
詳 細

DNA複製ストレスは内的・外的因子によってDNA複製フォークの進行を妨害し、ゲノム不安定性を誘発する要因となり、様々な生命現象に深く関わっている。本シンポジウムでは、DNA複製ストレスの要因及びそれに対する応答機構に焦点を当てがんや遺伝性疾患など疾患生物学の観点から考察し、DNA複製ストレストレランスの分子基盤、さらにがんの治療戦略についても議論したい。

1PS-04 12月6日(水)
16:00-18:15
がん微小環境 / Therapy resistant-tumor microenvironment
公募企画J
最先端テクノロジーを駆使した治療抵抗性がん微小環境の解明
State-of-art technology reveals therapy-resistant tumor microenvironment
オーガナイザー
後藤 典子(金沢大学)、岡本 康司(帝京大学)
詳 細

がん組織は、がん幹細胞を含むがん細胞集団のみならず、がん関連線維芽細胞、免疫細胞等の様々な細胞が複雑な微小環境を構築し、治療抵抗性の原因となっている。本シンポジウム(シンポジウム)では、最先端のテクノロジーである空間トランスクリプトーム、シングルセル解析、微小環境を模倣したオルガノイド培養などを駆使して、このがん微小環境の実態の解明に迫る研究をご紹介する。

1PS-05 12月6日(水)
16:00-18:15
ゲノム生物物理学 / Genome Biophysics
公募企画J
ゲノム生物物理学:核内生体分子動態への生物物理学的アプローチ
Genome biophysics: Biophysical approaches to understand the dynamics of nuclear biomolecules
オーガナイザー
寺川 剛(京都大学)、山本 哲也(北海道大学)
詳 細

ゲノムDNA上では、複製・転写・修復など多様な生命現象が同時多発的に起きており、それらはゲノムの立体構造によって複雑に制御されている。ゲノムの構造形成原理や構造/機能相関を理解するためには、実験・理論の枠組みや手法の垣根を越えた、多様な分野の研究者によるアプローチが不可欠である。本シンポジウムでは、この問題に生物物理学的アプローチで取り組む若手研究者の講演を通して、分子生物学に新しい風を吹き込む。

1PS-06 12月6日(水)
16:00-18:15
構造基盤創薬 / Structural basis of drug investigation
公募企画J
膜タンパク質や超分子複合体の構造を基盤とした創薬研究
Frontiers of the structural basis of drug investigation targeting membrane proteins and multi-protein complexes
オーガナイザー
今崎 剛(神戸大学)、鈴木 仁人(国立感染症研究所)
詳 細

創薬ターゲットは、膜タンパク質や超分子複合体を始め、かつては創薬が困難であった分子へ広がっている。このような創薬研究アプローチが可能となった理由の一つに、X線結晶構造解析、NMR、クライオ電顕やAIといった既存・新規の高分解能構造解析手法の発展、組み合わせによる解析がある。本セッションではこのような難しいターゲットの構造生物学的知見を基盤とした創薬研究について、新進気鋭の若手研究者による最新の研究、手法の組み合わせを紹介する。

1PS-07 12月6日(水)
16:00-18:15
翻訳後修飾 / Various post-translational modifications
公募企画J
様々なタンパク質の翻訳後修飾が織りなす生命現象
Various post-translational modifications on cellular dynamics
オーガナイザー
岩崎 未央(京都大学)、川村 猛(東京大学)
詳 細

タンパク質は数百を超える種類の翻訳後修飾を受けてその機能を変化させ、様々な生命現象を調整している。本セッションでは、タンパク質の翻訳後修飾に焦点を当て、リン酸化や糖鎖、ユビキチン化といったメジャーな修飾から、脂質やカルボキシル化といった様々な翻訳後修飾が関連する研究内容を紹介し、今後の翻訳後修飾解析の重要性と今後の課題を議論する。

1PS-08 12月6日(水)
16:00-18:15
脂質由来グリケーション / Lipid-derived glycation and its pathopysiology
公募企画J
脂質酸化から捉えるグリケーションの病因論
Updated pathophysiology of glycation mediated by lipoxidation
後援:日本メイラード学会
オーガナイザー
稲城 玲子(東京大学)、仲川 清隆(東北大学)
詳 細

糖・脂質代謝障害は様々な臓器において病態形成・進展の原因となる。その主な分子機序として、グリケーション(glycation, 糖化反応)によるタンパク質の機能障害や脂質過酸化を介した酸化ストレス障害が挙げられる。これらの機序は決して独立したものではなく、例えば、糖のみならず脂質酸化由来化合物によってもグリケーションは惹起される。本シンポジウムでは脂質酸化を介したグリケーションの観点から、糖・脂質代謝障害の病態生理学的メカニズムを考察する。

1PS-09 12月6日(水)
16:00-18:15
創造的生物情報学 / Innovative Bioinformatics
公募企画E
創造的計算による生物学の革新
Biology innovations by creative computing
オーガナイザー
谷内江 望(The University of British Columbia)、岩崎 渉(東京大学)
詳 細

分子生物学やゲノム科学の発展とともに、バイオインフォマティクスや計算生物学が登場し、この数十年で急速に発展してきました。計算機的アプローチは初めは膨大な生物学的データを解釈するために取り入れられるようになりましたが、新しい計算ビジョンに導かれた戦略的な実験設計が生物学的発見のために登場したのはごく最近のことです。時代とともに、科学者たちは、高性能計算機に慣れ親しむようになりました。今日、次世代を担う科学者たちが目覚ましく活躍しています。本シンポジウムでは、想像力に富んだ研究を進めている講演者をお招きし、コンピュータによって拡張された我々の能力が、現在の生物学の想像をさらに超える可能性があることを考えます。本シンポジウムのオーガナイザーは、参加者が広い視点と勇敢なビジョンを持って、次の革新的な科学を推進しようと思いを強くしてくれるように仕掛けます。

1PS-10 12月6日(水)
16:00-18:15
in vivo神経分化 / In vivo neuron arbor differentiation
公募企画E
神経樹状突起と軸索の分化を研究するためのin vivo テクノロジー
In vivo technologies to study neuron arbor differentiation
オーガナイザー
ムーア エイドリアン(理化学研究所)、岩里 琢治(国立遺伝学研究所)
詳 細

発達過程において神経細胞は、樹状突起、軸索、シナプス接続の構造を大きく再編することによって分化し、神経回路を構築します。そして、その調節不全は、神経発達障害につながります。本シンポジウムは、神経突起分化のダイナミクスとその調節メカニズムをin vivo で研究するための、革新的なイメージング、機械学習ベースの画像解析、分子遺伝学的アプローチに焦点を当てます。

1PS-11 12月6日(水)
16:00-18:15
核内事象と疾患 / Intranuclear event and human diseases
公募企画E
ヒト疾患の治療標的としての核内事象
Intranuclear event as therapeutic target of human diseases
オーガナイザー
伊藤 敬(長崎大学)、井上 聡(東京都健康長寿医療センター)
詳 細

近年、クロマチン構造の変化を含む核内事象が、細胞の運命、機能、疾患発症の重要な決定因子であることが明らかになってきた。ERなどの転写因子、ヒストンテールの共有結合修飾を触媒する酵素複合体、ATP依存性クロマチンリモデリング複合体などがクロマチン構造を変化させ、遺伝子発現の増強や抑制に寄与していることが知られている。これらの核内事象は、不適切な遺伝子発現による疾患発症に特化した機能を持ち、治療のターゲットとなり得る。本企画では、ヒト疾患の治療標的としての核内事象に焦点を当てる。

1PS-12 12月6日(水)
16:00-18:15
クロマチン進化学 / Evolutionary perspectives of chromatin
公募企画E
生命の3ドメインから切り開くクロマチン進化学
Evolutionary perspectives of chromatin in the three domains of life
共催:国立研究開発法人科学技術振興機構 CREST・さきがけ「ゲノムスケールのDNA設計・合成による細胞制御技術の創出」
オーガナイザー
竹俣 直道(京都大学)、越阪部 晃永(東京大学)
詳 細

われわれ真核生物は、クロマチンを基盤とした複雑なゲノム三次元構造を形作ることで高次の生命機能を制御している。では、クロマチンを土台としたゲノムの構造・機能制御メカニズムは原核生物からどのように誕生し、その後どう多様化したのだろうか?本シンポジウムでは、真核生物・バクテリア・アーキアの3ドメインにわたる多様な研究成果を紹介しながら、クロマチン構造と機能制御の多様性獲得の進化を俯瞰したい。

1PS-13 12月6日(水)
16:00-18:15
種固有性の生物学 / Biology of species-specificity
公募企画E
種固有の特徴を生み出すメカニズム
The biological mechanisms originating species-specific traits
オーガナイザー
鈴木 郁夫(東京大学)、岩田 亮平(ルーベンカソリック大学)
詳 細

どのような生物種にも、進化過程で適応し生き残るための固有の特徴がある。近年の技術進歩により、種特異的形質の出現を促した進化メカニズムを明らかにすることが可能になってきた。本シンポジウムでは、異なるモデル生物を用いた研究を行う講演者と共に、種の独自性を生み出す生物学的メカニズムを議論する。

1PS-14 12月6日(水)
16:00-18:15
RNAと生命機能 / Non-coding RNAs in biological processes
公募企画E
機能性ノンコーディングRNAが制御する生命機能
Functional non-coding RNAs in a variety of biological processes
オーガナイザー
斉藤 典子(がん研究会がん研究所)、秋光 信佳(東京大学)
詳 細

タンパク質に翻訳されないノンコーディングRNAは細胞内に多数存在する。細胞の種類、発生分化の時期、疾患特異的に発現するため、生命の重要な制御因子と考えられる。RNAやRNA結合タンパク質は液-液相分離を起こしやすく、分子濃縮体や非膜型オルガネラ形成を介した機能発現の基盤であることもわかってきた。本シンポジウムでは、RNAの分子機序、作動原理、生命機能における役割と、疾患の治療標的としての可能性などについて、最先端の研究や研究技術の情報交換をし、議論の場としたい。

1PS-15 12月6日(水)
16:00-18:15
糖シグナル新展開 / New insights of carbohydrate signals
公募企画J
生活習慣病発症に繋がる糖シグナルの分子機構の新展開
New insights of molecular mechanism underlying life-style diseases related-carbohydrate signals
オーガナイザー
望月 和樹(山梨大学)、岩崎 有作(京都府立大学)
詳 細

糖質の過剰摂取は、2 型糖尿病等の生活習慣病を誘導するが、そのシグナル伝達機構は不明な点が多かった。本シンポジウムでは、味覚、迷走神経、エピジェネティックス、概日リズムを介した最新の糖シグナル伝達機構を紹介する。上記経路の撹乱による生活習慣病発症促進についてモデル動物、2型糖尿病患者においても考察し、生活習慣病予防のための分子生物学的基盤を提示する。

1PS-16 12月6日(水)
16:00-18:15
次世代培養技術 / next-generation culture technology
公募企画J
次世代インビトロ培養技術への挑戦
Challenges for next-generation in vitro culture technology
オーガナイザー
中村 和昭(国立成育医療研究センター研究所)、小島 伸彦(横浜市立大学)
詳 細

in vitroにおける細胞培養はこれまでの分子生物学研究に多大なる貢献を果たしてきた。一方で、シャーレを用いた培養ではin vivoの生理機能を必ずしも再現できないことも課題と認識されてきた。近年、特に装薬支援分野の要求に応える形で、生理学性を高めた新しい培養技術の開発が急速に進んでいる。in vivo機能を再現する組織モデルは、細胞機能を支える分子基盤の理解を飛躍的に向上させるだろう。本シンポジウムでは、分子生物学を発展させるためのツールとしての新たな細胞培養技術に焦点を当てた研究を紹介し、細胞培養の可能性と今後の課題を議論する。

1PS-17 12月6日(水)
16:00-18:15
高深度生命動態 / High-depth Biosystem Dynamics
公募企画J
高深度オミクスで迫る生命システムダイナミクス
Unravelling the dynamics of life systems with high-depth omics
オーガナイザー
島村 徹平(東京医科歯科大学)、大澤 毅(東京大学)
詳 細

がん、生活習慣病などの疾患や感染症の進行には、分子、オルガネラ、細胞、組織などのさまざまなスケールにおけるシステム動態が複雑に関わっているが、どのような生命情報のやり取りが行われているかは未解明なままである。本シンポジウムでは、新進気鋭の若手研究者が集まり、高深度オミクス、超解像イメージング解析や情報解析技術を駆使して、生命科学の根幹に迫る生命システムダイナミクスの世界を紹介するとともに、若手研究者の新規参入のきっかけを提供する。

1PS-18 12月6日(水)
16:00-18:15
エピ標的治療 / Therapy targeting epigenetic alterations
公募企画J
エピゲノム異常を標的とした新たなる疾患治療戦略
Disease therapeutic strategy targeting epigenome alterations
オーガナイザー
竹島 秀幸(星薬科大学)、竹信 尚典(埼玉県立がんセンター)
詳 細

我々の体に存在する細胞は様々な外部刺激に対し生体内の恒常性を守る仕組みを作動させて応答している。しかし、外部刺激の増強・長期化や細胞間相互作用の変化はその仕組みの破綻を招き、エピゲノムの異常な変化として細胞に記憶されてしまう。このエピゲノム異常が蓄積することで、がんなどの様々な疾患の発症につながる。本シンポジウムでは、エピゲノム制御とその異常に焦点をあて、それらの破綻を標的にした疾患治療戦略と活用できるモダリティについて議論したい。

2AS-01 12月7日(木)
9:30-11:45
脈管ダイナミクス / Dynamics of vasculature development
公募企画J
脈管形成と機能獲得の時空間ダイナミクス
Spatiotemporal dynamics of vasculature development
共催:日本血管生物医学会
オーガナイザー
渡部 徹郎(東京医科歯科大学)、横山 詩子(東京医科大学)
詳 細

脈管は全ての臓器が統合的に機能するためのネットワークである。血管とリンパ管は脈動環境を利用して部位特異的に発達・分化して機能を獲得する一方で、ダイナミックに変動する機械的ストレスを受容して破綻しない仕組みを備える必要がある。本シンポジウムでは、血管生物医学領域において先駆的な研究を進めている研究者が、脈管形成と機能獲得の時空間的・動的な分子メカニズムに関して最新の知見を紹介し、議論を深める。

2AS-02 12月7日(木)
9:30-11:45
細胞デジタル社会 / Cell Digital Society
公募企画J
細胞デジタル社会が織りなす高次生命現象の理解
Understanding Higher Biological Phenomena Driven by Cell Digital Society
オーガナイザー
野村 征太郎(東京大学)、油谷 浩幸(東京大学)
詳 細

生命科学において、データ計測・解析の多様化・先端化が急速に進んでいる。シングルセル解析・計測技術・デザイン工学・生物物理学の飛躍的な発展に伴って、生体における細胞の分子挙動を統合的かつ定量的に扱えるようになってきた。細胞がデジタル情報を受け渡すかの如く、周囲の細胞とコミュニケーションをとりながら社会を構成している様子を我々は理解できるようになり、疾患・老化・がんなどの高次生命現象における分子機序の理解が深まってきた。本シンポジウムでは、このように多様化・先端化するデジタル解析技術を分野融合的に統合して集約(コンバージェンス)させ、細胞デジタル社会を中心とした生命科学の新しい理論の構築を目指す。

2AS-03 12月7日(木)
9:30-11:45
ヒト実装比較生物 / Comparative Biology for Human Health
公募企画J
ヒトへの実装を目指した未来型比較生物学
Comparative Biology aiming for the Application to Human Health
オーガナイザー
石谷 太(大阪大学)、三浦 恭子(熊本大学)
詳 細

オミクスやゲノム編集の技術革新により、地球上に存在する全生物の解析が理論上可能になった。これを受け、比較生物学研究による個体発生や進化の理解が加速した。一方、種間・系統間比較解析から再生や老化、がん感受性、冬眠など高次生命機能の分子基盤解明に挑み、そこからヒトの治療や老化抑制への発展を狙う挑戦的研究も進みつつある。本シンポジウムでは、このようなヒトへの実装を狙った未来型比較生物学について議論する。

2AS-04 12月7日(木)
9:30-11:45
血管周囲推測航法 / Perivascular cell dead reckoning
公募企画J
血管周囲細胞の推測航法的視点による存在意義の理解
Perivascular cell dead reckoning
オーガナイザー
山本 誠士(富山大学)、榎本 篤(名古屋大学)
詳 細

「推測航法」とは航行した経路や進んだ距離、起点、偏流などから、過去や現在の位置を推定し、その位置情報をもとにして行う航法のことである。血管周囲細胞研究には、まさに推測航法的研究アプローチが取り入れられてきた。その大きな理由は、血管内皮細胞が形成する管腔構造という起点は存在するが、そこからの距離、偏流にあたる微小環境、さらには血管周囲細胞自体のアイデンティティーが複雑に会合するためである。本シンポジウムは、血管周囲細胞の種類や出自、独特な血管機能調節、病態形成機構に関する様々な知見を統合的に理解し議論するものである。

2AS-05 12月7日(木)
9:30-11:45
心臓の形と機能 / Cardiac morphology and function
公募企画J
多彩な時空間的アプローチで解き明かす心臓の形と機能
Uncovering cardiac morphology and function through multifaceted approaches
オーガナイザー
渡邉 裕介(国立循環器病研究センター研究所)、平井 希俊(関西医科大学)
詳 細

心臓は心筋細胞・内皮細胞・線維芽細胞を含む様々な細胞種から構成され、心房・心室・流出路とそれらを区切る中隔や弁を備え、全身循環を一手に担っている。本シンポジウムでは、心臓を構築する種々の細胞の分化・成熟・老化、形態形成や疾患を対象とし、イメージングやシングルセル解析などの先端技術による多角的アプローチによりサブミクロンからマクロなレベルでのシームレスな現象の理解に挑む、「心臓の形と機能」を基盤とした最新の研究を紹介し議論する場としたい。

2AS-06 12月7日(木)
9:30-11:45
DNA修復化学 / DNA repair chemistry
公募企画J
化学修飾から読み解くDNA修復とゲノム安定性維持機構
DNA repair and genome stability maintenance mechanisms decoded by chemical modifications
オーガナイザー
松本 翔太(東京大学)、山元 淳平(大阪大学)
詳 細

DNAやタンパク質の化学修飾は生命の根幹と密接に結びつき、機能を果たしている。DNAが化学修飾を受けて生じるDNA損傷は生物にとって化学修飾の負の一面である一方で、生物はヒストン修飾をはじめとしたタンパク質化学修飾を巧みに操りゲノム安定性維持を担う正の一面も存在する。本シンポジウムでは、これら化学修飾の両面に関与するDNA修復およびゲノム安定性維持機構の化学的側面に注目した最新の研究成果について議論する。

2AS-07 12月7日(木)
9:30-11:45
転移因子コード / Transposable element code (TEC)
公募企画J
転移因子コードが誘導する3次元核内構造形成
3D nuclear architecture mediated by the transposable element code (TEC)
オーガナイザー
シャリフ ジャファル(理化学研究所)、日比野 絵美(名古屋大学)
詳 細

SINEやLINE, ERVなどの転移因子はゲノムDNAの約半分を独占する。SINEとLINEはゲノム内に不均一に分布し、しかも相互排他的である。近年の研究からSINEがCTCFなどの核内3次元構造を制御する因子をリクルートし、さらにLINE L1 RNA核内での相分離を促進することによりヘテロクロマチンを構築することが示された。本シンポジウムでは、SINEやLINEによる分子コード(転移因子コード:TEC)が核内3次元構造を制御する重要な要素になりうることを提唱し、転移因子や3次元ゲノム構造に関連する国内外の最新の研究を取り上げる。

2AS-08 12月7日(木)
9:30-11:45
Wntの新潮流 / New era of Wnt signaling
公募企画J
Wntシグナル研究の新たな潮流
A new era of Wnt signaling research
オーガナイザー
菊池 浩二(熊本大学)、三井 優輔(基礎生物学研究所)
詳 細

Wntシグナルは、組織・器官の形成や恒常性維持に重要な機能を果たし、その異常は先天性疾患やがんなどの様々な疾患の原因となる。Wntの発見から40年が経過し、Wntシグナルに関する研究領域は大きく拡大したが、新たな解析技術の登場や先進的な分野横断研究により、Wntシグナル研究に新たな潮流が生まれつつある。本シンポジウムでは、各領域でWntシグナル研究を進める研究者が最新の話題を紹介し、議論する場を提供したい。

2AS-09 12月7日(木)
9:30-11:45
個と種の恒常性 / Homeostasis of animals and species
公募企画E
個と種の恒常性維持行動の制御機構~その共通性と多様性~
Mechanisms of homeostatic behaviors across animals and species
オーガナイザー
船戸 弘正(東邦大学)、上川内 あづさ(名古屋大学)
詳 細

動物が個体として、もしくは種として存続していくには、睡眠、配偶、養育、攻撃、摂食は必須の行動である。近年、これらの「恒常性維持」行動の制御には分子レベルおよび神経回路レベルで共通する基盤や、各動物種が独自に獲得した機構が存在することが明らかになってきた。本シンポジウムでは、動物個体や、世代を超えた生物システムの恒常性を支える行動制御機構の多様性と共通性を議論することで、動物が進化させてきた「個と種の恒常性」維持機構の全体像を俯瞰する。

2AS-10 12月7日(木)
9:30-11:45
グリア多様性 / Glial cell diversity
公募企画E
グリア細胞の多様性が紡ぎ出す特異な脳機能
Specialized brain functions tuned by glial cell diversity
オーガナイザー
服部 祐季(名古屋大学)、長井 淳(理化学研究所)
詳 細

脳活動の恒常性を保つグリア細胞は長らく同質な細胞群であるとみなされてきた。一方で、一細胞レベルの分子網羅解析の発展によりグリアの多様な性質が明らかにされつつある。しかしながら、グリア多様性がいつ・どこで・どのように生じ、脳機能の特異性に寄与するのかについては未解明な点が多い。本シンポジウムでは、脳の形成・機能発揮メカニズムのさらなる理解を目指し、幅広いライフステージの多様なグリアの時空間的特性を解析する先端研究を紹介する。グリアに特化した遺伝学・分子学的解析、活動計測・操作、生体イメージングにおいて先鋭的な成果を上げる若手が中心に技術的ノウハウを共有し、神経細胞のみでは説明困難な脳の形成・機能について議論する場を提供する。

2AS-11 12月7日(木)
9:30-11:45
分裂スケーリング / Regulation of cell division scale
公募企画E
時間とサイズから切り込む細胞分裂制御
Right time, right scale: cell division regulation
オーガナイザー
太田 緑(沖縄科学技術大学大学院)、角井 康貢(早稲田大学)
詳 細

細胞分裂では、中心体・微小管といった分裂装置や染色体の数や大きさ・形のみならず、分裂にかかる時間など、様々な要素が時空間的に制御されている。本シンポジウムでは、細胞分裂制御因子の大きさや長さといった細胞分裂における「スケーリング」に焦点を当てる。分野を横断する研究者による最新の知見を共有することで、細胞分裂の分子メカニズムを新たな切り口から紐解いていきたい。

2AS-12 12月7日(木)
9:30-11:45
線維芽細胞生物学 / Fibroblast Biology
公募企画E
がん、免疫、恒常性:縁の下で働く線維芽細胞生物学
Fibroblast Biology: Unraveling the Functions of Connective Tissue Cells
オーガナイザー
仁科 隆史(東邦大学)、倉島 洋介(千葉大学)
詳 細

結合組織を構成する線維芽細胞は近年、生体の恒常性、ならびに炎症性疾患やがんなどの病態増悪に関わる重要な細胞の一つであることが明らかとなってきた。しかしながら、線維芽細胞には多様性が存在し、それぞれの線維芽細胞がどのようにして外的環境に応じた働きをしているのか不明である。本シンポジウムにおいては、近年明らかとなってきた生体での線維芽細胞の機能的な役割について国内外の研究者より得られた最新の知見について議論する。

2AS-13 12月7日(木)
9:30-11:45
多能性 / Pluripotency
公募企画E
多能性幹細胞生物学の最前線
Frontiers in pluripotent stem cell biology
オーガナイザー
木下 将樹(University of Nottingham)、小林 俊寛(東京大学)
詳 細

マウスES細胞の樹立から40年以上が経った今日、様々なタイプの多能性幹細胞が異なる発生時期、動物種から樹立されている。このシンポジウムではマウスおよびヒト細胞から得られた知見を中心に、他の動物種、またそれぞれの発生段階における胚対外組織や生殖細胞系列への分化能に特に着目して議論を行いたい。

2AS-14 12月7日(木)
9:30-11:45
時空間統合代謝学 / Spatiotemporal multiscale analysis for metabolism
公募企画E
マルチスケール解析が進める細胞代謝研究
Spatiotemporal multiscale analysis for metabolism
共催:国立研究開発法人 科学技術振興機構
オーガナイザー
大坂 夏木(東京工業大学)、千田 俊哉(高エネルギー加速器研究機構)
詳 細

細胞機能解明のための代謝ダイナミクス解析には時空間マルチスケール解析が必須で、空間的には分子から細胞、時間的にはfsからdayのオーダーを複数手法で網羅し統合する必要がある。細胞内の高分解能解析と生化学との統合も大きな課題である。本シンポジウムではマルチスケール解析の試みの一例としてGTPエネルギー代謝研究の進展を紹介するとともに今後必要とされる技術も紹介し、これからの代謝研究について議論する。

2AS-15 12月7日(木)
9:30-11:45
栄養学ルネサンス / Renaissance Nutrition
公募企画J
栄養学ルネサンス:基礎と応用
Renaissance Nutrition: Fundamentals & Applications
オーガナイザー
高橋 伸一郎(東京大学)、宮本 崇史(筑波大学)
詳 細

私たちが『食』を通して健康を保持・増進するためには、「何を、いつ、どのくらい」食べたらいいのかを理解する必要がある。しかし18世紀後半にはじまった栄養学は、未だこの問いに対して明確な答えを導き出せていない。本シンポジウムでは特定の表現型を紡ぎだす栄養素の情報性を理解するため、基礎から応用にわたる多種多様な栄養学研究を取り上げ、次世代に向けて展開すべき栄養学研究の在り方について議論する。

2AS-16 12月7日(木)
9:30-11:45
最先端のBioID技術 / Cutting edge of BioID technology
公募企画J
BioID技術が切り拓く細胞から個体レベルまでのタンパク質間相互作用解析
Cutting edge of BioID technology: Protein-protein interaction analysis from cell to in vivo organism
協賛:プロテオインタラクトーム解析共同研究拠点(PRiME)
オーガナイザー
高橋 宏隆(愛媛大学)、谷内 一郎(理化学研究所)
詳 細

生体内のタンパク質の多くは、他のタンパク質と複合体を形成し機能するため、研究対象とするタンパク質の機能やその制御機構の解明には、複合体構成因子の全貌を解明する技術が必要である。本シンポジウムでは複合体解析ツールとして最近注目されている近接ビオチン化ラベル法(BioID)に焦点をあて、細胞から個体レベルでBioID技術を駆使した相互作用解析の最新の実施例と成果を紹介すると共に、本技術の新たな応用についても議論する。

2AS-17 12月7日(木)
9:30-11:45
機能性RNA / Functional RNA
公募企画J
長鎖非コードRNAの機能発現プログラム-lncRNAと結合タンパク質の分子生物学-
Long noncoding RNA and cellular program of gene regulation -Molecular Biology of lncRNA and its binding protein-
オーガナイザー
黒川 理樹(埼玉医科大学)、片平 正人(京都大学)
詳 細

21世紀に入り、Central Dogmaから逸脱した多くのRNAの転写が見出された。この大半は機能性の長鎖非コードRNAで、特異的タンパク質(RBP)と結合して作用すると考えられている。RBPに異常が生じると神経難病や発がんが惹起される。これらlncRNA機能と分子機構は謎の部分が大きい。今回、多様なlncRNAに取組む第一線の研究者が集結する。ここでの論議から新たな展開が期待される。

2AS-18 12月7日(木)
9:30-11:45
ポストゴルジ輸送 / Common system of post-Golgi traffic
公募企画J
種をこえたポストゴルジ輸送の共通システム
Common system of post-Golgi traffic in the eukaryotic cell
オーガナイザー
植村 知博(お茶の水女子大学)、佐藤 明子(広島大学)
詳 細

細胞内で合成された多種多様なタンパク質は、それぞれの定められた運命に従って機能すべき目的地に運ばれる。膜交通は、このような物質輸送システムを担う重要なシステムの一つである。本シンポジウムでは、動物、酵母、植物といった多様な生物種におけるポストゴルジ輸送の発表を通じて、「種をこえたポストゴルジ輸送の共通システム」を探る。

2PS-01 12月7日(木)
16:00-18:15
修飾生物学 / Modification Biology
公募企画J
修飾生物学 -分子修飾が生み出す精巧な生命制御システム-
Modification Biology - Elaborate control systems of biological sciences via molecular modification-
オーガナイザー
今野 雅允(産業技術総合研究所)、常陸 圭介(藤田医科大学)
詳 細

DNA、RNA、タンパク質に対する分子修飾は生命科学の中心原理を制御するシステムとして注目を浴びている。近年では様々な生命現象に分子修飾が関与することが明らかになりつつある。本シンポジウムでは、メチル化修飾を中心とした分子修飾が生み出す生命制御システムについての最先端の知見を発見した若手研究者を中心に議論を深める。これにより、今まさに最盛期を迎えようとしつつある分子修飾研究分野の現状と将来展望を紹介する。

2PS-02 12月7日(木)
16:00-18:15
ロボット生物学 / Robotic Biology and Laboratory Automation
公募企画J
分子生物学のためのロボット生物学
Robotic Biology and Laboratory Automation for Molecular Biology
オーガナイザー
神田 元紀(理化学研究所)、尾崎 遼(筑波大学)
詳 細

ロボットと情報技術による実験操作を含む研究の自動化は、人手による実験という制約から分子生物学を解き放ち、拡張する可能性を秘めている。このロボット生物学ともいうべき新たな研究潮流は、基礎~臨床、モデル~非モデル生物、ウェット~ドライの垣根を越えて、新たな分子生物学的課題へのアプローチを可能にしている。本シンポジウムでは、ロボット生物学を推進する新世代の研究者を中心に、実例を紹介しつつその可能性を議論する。(※終演後に本会場隣駅の建物においてロボット施設の見学会を予定)

2PS-03 12月7日(木)
16:00-18:15
小胞体が紡ぐ世界 / The world of the ER
公募企画J
小胞体が紡ぐミクロからマクロの世界
Microscopic and macroscopic world created by endoplasmic reticulum
オーガナイザー
蜷川 暁(神戸大学)、有岡 祐子(名古屋大学医学部附属病院)
詳 細

小胞体の主要な役割の1つは、全タンパク質の約1/3のタンパク質生合成を行い、それらの品質管理を行うことである。そのため、これまでも小胞体の分子群とヒト疾患の密接な関連が明らかにされてきたが、近年の解析技術の向上も相まって、現在これが加速的に理解され始めている。そこで本シンポジウムでは、最前線で研究を行う国内外の若手研究者が参集し、小胞体分子の機能解明を中心としたミクロな視点から、疾患に及ぶマクロな視点をもって、小胞体が紡ぐ生体のマルチスケールな世界について統合的に討議する。

2PS-04 12月7日(木)
16:00-18:15
新世代ゲノム編集 / New trends in genome editing
公募企画J
“ポストCas9”ゲノム編集の新潮流
New trends in“post-Cas9"genome editing
共催:日本ゲノム編集学会
オーガナイザー
吉見 一人(東京大学)、佐久間 哲史(広島大学)
詳 細

Cas9の台頭で一般化されたゲノム編集技術は、より安全、精密かつ自由に細胞・生物の機能を操作する拡張的ツール開発にシフトしている。こうした“ポストCas9”時代のゲノム編集ツールは、多様な微生物から新しいCRISPRを発掘する、dCas9に様々な酵素機能を付加する、などの手法で生み出されている。本セッションでは、これらの新世代ゲノム編集技術の研究開発に焦点を当て、ゲノム編集の新潮流について議論したい。

2PS-05 12月7日(木)
16:00-18:15
核ダイナミクス / Nuclear dynamics
公募企画J
脳神経系における核ダイナミクス
Nuclear dynamics in the nervous system
オーガナイザー
鶴田 文憲(筑波大学)、岸 雄介(東京大学)
詳 細

脳神経系の細胞核は、発生や老化、疾患において、その形態や核内構造がダイナミックに変化し、エピジェネティクスやクロマチン構造の変化を介して遺伝子発現に影響を与える。また近年、これら核動態の変化は、細胞自律的なシグナリングや細胞間コミュニケーションにも関わることが明らかとなってきた。本シンポジウムでは、生理的・疾患状況下における脳神経系の核・クロマチン変化とその生物学的意義に関する最新の知見を紹介する。

2PS-06 12月7日(木)
16:00-18:15
アカデミア創薬 / Academic Drug Development Conference 2023
公募企画J
アカデミア創薬会議2023
Academic Drug Development Conference 2023
オーガナイザー
池田 幸樹(京都大学)、谷中 冴子(九州大学)
詳 細

創薬標的の枯渇が叫ばれる昨今、アカデミアの持つ独自のシーズ・創薬手法に関心が集まっている。アカデミア創薬を大きく発展させるためには創薬の”今”を知り、積極的に相互技術連携する体制を構築することが重要である。そこで本会ではアカデミア創薬を推進する新進気鋭の演者に登壇して頂き、特に最新の抗体・ペプチド等による医薬品開発やそれらを応用した研究に焦点を絞って議論を行う。これら最新の技術や研究内容を通してアカデミア創薬における相互互助体制構築の礎となるよう努める。

2PS-07 12月7日(木)
16:00-18:15
どうするテロメア / What Will Telomeres Do?
公募企画J
染色体末端ドラマ -どうするテロメア-
Chromosome End Drama: What Will Telomeres Do?
オーガナイザー
林 眞理(京都大学)、加納 純子(東京大学)
詳 細

真核生物の線状染色体末端を保護するテロメアの維持は,単細胞生物の生存,多細胞生物幹細胞の機能や組織の維持に重要である一方、がん細胞では不死性を高める手段として利用されている。本シンポジウムでは、生物のホメオスタシスや疾患、がん治療戦略などに関わる、テロメア生物学の最新の研究成果と今後の展開を幅広く議論する。複数の演題を公募することで,分野内外の新しいコラボレーションを促進し、このダイナミックな分野に携わる新しい研究者や若手研究者を歓迎する環境を提供したい。

2PS-08 12月7日(木)
16:00-18:15
心血管系細胞遷移 / Cell state transitions in vasculature
公募企画J
心血管系を支える細胞遷移ダイナミクス
Dynamics of cell state transitions in cardiovascular system
オーガナイザー
坂上 倫久(愛媛大学)、木戸屋 浩康(福井大学)
詳 細

心血管系を構成する細胞群は、側板中胚葉由来の血液血管芽細胞を起源とした分化系譜により生み出される。しかし、最先端の単一細胞オミクスやイメージング技術を駆使した系統追跡解析により、縦に仕切られた分化系譜の枠組みを超えた終末分化細胞間での細胞遷移機構が明らかになりつつある。本シンポジウムでは、これまでの常識を覆す心血管系の細胞状態遷移ダイナミクスを紹介し、発生や病態進展など多様な生命現象におけるその役割を議論したい。

2PS-09 12月7日(木)
16:00-18:15
分子ネット設計 / BioDX for molecular network design
公募企画E
分子ネットワークの設計による生命現象の再構築と操作
Construction and manipulation of biological phenomena by molecular network design
オーガナイザー
木賀 大介(早稲田大学)、岡田 眞里子(大阪大学)
詳 細

システム生物学と合成生物学の興隆は、生命情報の蓄積に基盤を有する。このため、これらの分野は、バイオデジタルトランスフォーメーション(バイオDX)やデジタルツイン構築への近道と考えられている。本シンポジウムでは、生命情報を活かし、生命現象を理解し、操作するための分子・ネットワーク設計の最新の展開を紹介し、バイオDXの先に見える未来の生命科学研究について議論を深めたい。

2PS-10 12月7日(木)
16:00-18:15
RNP分子生物学 / RNP Molecular Biology in Asia
公募企画E
アジアにおけるRNA-核蛋白質複合体分子生物学の最前線
Upfront Molecular Biology of RNA-Nucleoprotein Complexes from Asia
オーガナイザー
前田 明(藤田医科大学)、譚 婉玉(中央研究院)
詳 細

リボ核蛋白質粒子(RNPs)すなわちRNA-核蛋白質複合体の新しく発見された機能に焦点を当てる。それらのRNPsは実に多様な分子活性を有し、生物学的、生理学的に重要な役割を果たしていた。アジアの国々から、画期的な戦略で独創的な研究を展開している新進気鋭の若手研究者や女性研究者を招待した。重要なことは、これらの基礎的研究が、いずれも、疾患や癌の治療への応用に関わる潜在性を秘めていることである。

2PS-11 12月7日(木)
16:00-18:15
細胞界面環境 / Cell interfacial environments
公募企画E
細胞界面環境がつかさどる生体機能調節
Cell interfacial environments dictating biological functions
共催:学術変革領域(B)プレッシオ脳神経科学の創生
オーガナイザー
平田 宏聡(金沢工業大学)、森松 賢順(岡山大学)
詳 細

生体を構成する細胞は、その膜性界面において化学的および物理的相互作用を介して情報をやり取りするとともに、膜性界面の特性を変調させることで、生体機能の発現を調節している。特に近年、膜性界面を介した力学的入力が多様な細胞応答を引き起こすことが明らかになるなど、界面環境に着目した生体機能研究が新たな発展をみせている。本シンポジウムでは、細胞界面環境と生体機能調節との関わりについて最先端の知見をもとに議論する。

2PS-12 12月7日(木)
16:00-18:15
細胞突起機能形成 / Functionality formation of cellular protrusions
公募企画E
細胞突起の形成機構と新たな機能
Cellular protrusions and their new roles and mechanisms of formation
オーガナイザー
末次 志郎(奈良先端科学技術大学院大学)、竹田 哲也(岡山大学)
詳 細

細胞はさまざまな突起構造を形成する。細胞運動や接着構造に関与するフィロポディア、上皮細胞のアピカル面に局在する微絨毛、がん細胞の浸潤に関わる浸潤突起やポドソーム、さらには細胞の移動方向とは反対側に残される退縮突起などがある。これらの突起構造は必ずしも安定ではなく、時に切断され、細胞外小胞となるなど機能の再定義がみられる。本シンポジウムでは、これらの分子構造構築を議論し、新たな構造機能の解明につなげる。

2PS-13 12月7日(木)
16:00-18:15
非ドメイン生物学 / Biopolymers without defined structure
公募企画E
カタチをとらないバイオポリマーの機能と起源
Beyond the structure: new aspects of RNA/Protein without defined structure and the origin
オーガナイザー
井手 聖(国立遺伝学研究所)、佐藤 華江(金沢大学)
詳 細

細胞内においてRNAやタンパク質は、決まった立体構造をとることで機能を持つと考えられてきた。ところが近年、構造に依存しないRNAやタンパク質の機能が、液相分離などを介して生物学的に重要な役割を果たす例が多く見つかってきている。しかし、こうした分子の起源ついては種間での配列の保存性が低いため、従来の分子系統解析では明らかにすることが難しいのが現状である。本講演では、構造に依存しない分子による細胞メカニズムに焦点を当て、その起源を議論することを目指し、最新の知見を紹介する。

2PS-14 12月7日(木)
16:00-18:15
腸内デザイン / Gut Design
公募企画E
疾患発症原理の理解に基づく腸内デザイン法
Gut-Design based on understanding causality between commensal microbiota and disease
オーガナイザー
佐々木 伸雄(群馬大学)、福田 真嗣(慶應義塾大学)
詳 細

難病指定されている潰瘍性大腸炎の治療法として2023年に腸内細菌叢移植療法が国の先進医療Bに認定されるなど,近年の腸内細菌叢研究分野は次なるフェーズに移行している.本分野は,これまでのオミクス解析中心の相関を示す研究だけでなく,疾患発症との因果関係の証明や,腸内環境を“操る”時代に突入している.本シンポジウムでは,腸内エコシステム研究の最先端を紹介すると共に,腸内環境を自在にデザインする可能性について議論する.

2PS-15 12月7日(木)
16:00-18:15
オルガネラ脂質学 / Organelle Lipidology
公募企画J
脂質から迫るオルガネラダイナミクス
Comprehensive Approach to Organelle Dynamics from Lipids
オーガナイザー
吉田 秀郎(兵庫県立大学)、花田 賢太郎(国立感染症研究所)
詳 細

これまでオルガネラはそれぞれ独立に機能する単位であると考えられてきたが、最近の研究からオルガネラには機能的なゾーンが存在し、異なるオルガネラ・ゾーン間で相互作用することによってオルガネラの機能をダイナミックに制御していることがわかってきた。本シンポジウムでは、オルガネラを構成する脂質に注目し、脂質によるオルガネラの制御について最新の研究成果を議論する。

2PS-16 12月7日(木)
16:00-18:15
物理的分子生物学 / Molecular biology using physical methods
公募企画J
物理手法で細胞内の分子を視る,解明する,制御する
Seeing, elucidating, and controlling biomolecules in the cell using physical methods
オーガナイザー
北村 朗(北海道大学)、丹澤 豪人(大阪大学)
詳 細

細胞内外には核酸,タンパク質,脂質など多種多様な生体分子が存在し,細胞の「生」を恒常的に保っている.これら生体分子の状態や活動を理解し,さらには制御するために,物理的手法を用いて可視化して解析することは現在の,そして今後の分子生物学において不可欠なテーマである.本シンポジウムでは蛍光イメージング,蛍光分光法,電子顕微鏡などを主な手法として実施する先駆的な研究テーマについて概説し,討論する.

2PS-17 12月7日(木)
16:00-18:15
遅延制御脳 / Brain kinetics
公募企画J
遅延制御による脳機能障害および神経変性疾患の理解
Understanding the kinetics for brain dysfunction and neurodegenerative disorders
共催:学術変革領域B「遅延制御超分子化学」
オーガナイザー
奥村 正樹(東北大学)、齋尾 智英(徳島大学)
詳 細

反応遅延制御は数多くの生命現象で観測される。例えば、タンパク質フォールディングにおいては緩急のリズムが重要であり、その破綻は不良タンパク質の蓄積を惹起し、様々な変性疾患の原因となる。本講演では速度の緩急と生体システムに着眼し、変性疾患や脳機能障害における分子から個体までシームレスに議論することを目指し、最新の知見について紹介する。

2PS-18 12月7日(木)
16:00-18:15
母子連関分子生物学 / Feto-maternal molecular biology
公募企画J
母子連関を司る分子基盤
Molecular mechanisms governing fetal-maternal crosstalk
オーガナイザー
三原田 賢一(熊本大学)、楠山 譲二(東京医科歯科大学)
詳 細

妊娠期の母体環境は胎児の臓器形成のみならず、出生後の個体の運命にも大きく影響を及ぼすと考えられているが、その制御の多くは未だブラックボックスであり詳細な分子基盤は解明されていない。近年注目を集める不育症(胎児発育遅延)や DOHaDの本態を探るためにも、母子連関を分子生物学的視点から明らかにすることは極めて重要な課題である。本シンポジウムでは若手研究者を中心に多彩な演者を選び、母子連関を構築する複雑な分子メカニズムの正体に迫る。

3AS-01 12月8日(金)
9:30-11:45
性染色体サイクル / The Sex chromosome cycle
公募企画J
様々な性染色体からせまる性の消滅回避機構
Mechanisms of avoiding sex extinction approaching from a variety of sex chromosomes
共催:学術変革領域研究(B)「性染色体サイクル」
オーガナイザー
阿部 拓也(東京都立大学)、風間 裕介 (福井県立大学)
詳 細

多くの生物が持っている性染色体のうち片方の性にしか存在しないY染色体やW染色体では常染色体よりも早いスピードで遺伝情報が失われるため、染色体自体が消滅する危険性を孕んでいる。性染色体の消滅は種の絶滅につながる可能性があるため、いかにしてこの危機を乗り越えるのかというのは多くの生物における共通課題である。本シンポジウムでは種々のユニークな生物を扱う研究者が性染色体に隠された機能、継承の仕組みを紹介し、生物が性の消滅を回避する機構について議論したい。

3AS-02 12月8日(金)
9:30-11:45
ストレス凝縮体 / Biomolecular condensates under stress
公募企画J
生体分子凝縮体を介するストレスへの適応機構
Adaptive mechanisms mediated by biomolecular condensates under stress conditions
オーガナイザー
中井 彰(山口大学)、武川 睦寛(東京大学)
詳 細

タンパク質や核酸などの生体高分子が濃縮してできる凝縮体が、膜のないコンパートメントを形成し、転写、翻訳、分解などの様々な細胞の過程に関与することが分かってきた。温熱や高浸透圧などのストレス条件下で一過性に形成される生体分子凝縮体は、特定の生命現象の調節を担い、細胞の重要な恒常性維持機構であると考えられている。本シンポジウムでは、既知の核内ストレス体、細胞質のストレス顆粒、核内のプロテアソーム液滴の形成機構や役割、さらに新しい凝縮体の解明を目指した研究を紹介することで、ストレス適応機構としての生体分子凝縮体の包括的理解を目指して議論する。

3AS-03 12月8日(金)
9:30-11:45
発生 × 環境応答 / Development × Environmental Responses
公募企画J
多細胞生物の発生過程における環境応答戦略
Developmental adaptation to environment in multicellular organisms
オーガナイザー
岡本 直樹(筑波大学)、小幡 史明(理化学研究所)
詳 細

多細胞生物の発生過程は、遺伝的に厳密にプログラムされつつも、様々な環境的要因に応じて柔軟かつ適切に調節されるロバストな生体プロセスである。本シンポジウムでは、植物、無脊椎動物、脊椎動物を含む多様なモデル生物を用いる若手研究者が一同に介し、発生過程の生命が持つ多岐にわたる環境応答に関する最新の知見を持ち合うことで、多細胞生物の発生過程で起こる環境応答戦略の統合的な理解を目指す。

3AS-04 12月8日(金)
9:30-11:45
創る神経疾患学 / Creative neurosphychiatic disease research
公募企画J
『創る生物学』を通して拓く神経精神疾患研究
Opening up next generation of neuropsychiatric disease research through “creative biology"
オーガナイザー
坂口 秀哉(理化学研究所)、有岡 祐子(名古屋大学)
詳 細

ヒト多能性幹細胞を用いた神経分化誘導研究の進捗によって「創る生物学」が可能となった。これまでアプローチが難しく治療困難と考えられた神経精神疾患において、患者由来のiPS細胞を用いた疾患モデルを創ることで、新たな治療法を開拓することも夢ではなくなった。本シンポジウムでは、2次元/3次元分化誘導法によって神経精神疾患モデルを創る研究の最前線を紹介し、「創る生物学」によって拓く次世代の神経精神疾患研究について議論する。

3AS-05 12月8日(金)
9:30-11:45
多様な糖鎖機能 / Multi-biological importance of glycosylation
公募企画J
多様な生命現象が語る糖鎖の重要性~発生から疾患まで~
Multi-biological phenomena tell the importance of glycosylation ~from the development to diseases~
オーガナイザー
藤平 陽彦(理化学研究所)、加藤 健太郎(長崎大学)
詳 細

糖鎖修飾は最も主要な翻訳後修飾で、タンパク質や脂質の機能発現、ウイルスや寄生虫の感染、免疫応答など様々な生命現象に関わる。糖鎖修飾の異常は様々な疾患につながることからも、生物にとって糖鎖が重要であることがわかる。本シンポジウムでは、糖鎖修飾が引き起こす様々な現象・疾患の理解に向けた生物学的・有機合成的な研究から紐解かれた糖鎖の重要性について、気鋭の研究者から最新の知見について発表していただき、生物にとっての糖鎖の重要性について議論を交わしたい。

3AS-06 12月8日(金)
9:30-11:45
環境利用の遺伝子 / Genes in the environmental exploitation
公募企画J
環境を利用する遺伝子とその機能発現のしくみ
Gene functions and its regulations enabling the environmental exploitation
オーガナイザー
亀井 宏泰(金沢大学)、正木 聡(立命館大学)
詳 細

生命には、体の内外由来の悪要因(ラジカルや異常変性分子、毒物など)を消去・無効化し、その恒常性を維持する仕組みが備わっている。一方で、生存ニッチや代謝で生じる「避け難い」逆境(低酸素や酸化ストレスなど)をうまく使って細胞機能や生活史の調節を行う場合もある。本企画では生体内外の様々な環境の感知・利用を可能にする多彩なしくみを取り上げ、生命の環境利用の精妙な分子機構について議論し、その理解を深めたい。

3AS-07 12月8日(金)
9:30-11:45
ポリアミン最前線 / Frontiers in Polyamine Research
公募企画J
ポリアミン研究の最前線
Frontiers in Polyamine Research
オーガナイザー
曽我 朋義(慶應義塾大学)、杉本 昌弘(東京医科大学)
詳 細

生体内のポリアミン類は正電荷を帯びているため、DNAやRNAに結合し、転写や翻訳、細胞増殖、膜安定化、器官形成など、様々な生物学的プロセスに関与していることが知られている。がんでは,ポリアミン代謝の異常が頻繁に見られ,そのレベルの上昇が形質転換や腫瘍の進行に関与するため、ポリアミンは抗癌剤の標的としてだけでなく,診断薬としても注目される。さらに近年の研究で、ポリアミンは、T細胞の機能に直接影響を与えていることも判明した。本シンポジウムでは、最新のポリアミン研究について議論したい。

3AS-08 12月8日(金)
9:30-11:45
免疫と生体制御 / Immune cell and Biological regulation
公募企画J
免疫細胞から見えた組織間相互作用の新展開
Deciphering inter-organ communications from immune cell behavior
オーガナイザー
山川 智子(茨城工業高等専門学校)、榎本 将人(京都大学)
詳 細

免疫細胞は病原性微生物(細菌、ウイルス、寄生虫など)に対する生体防御を担う重要な細胞である。近年、免疫細胞が自己の生体防御機能を巧みに利用することで組織間相互作用の中心的プレイヤーとして個体発生・組織恒常性維持・疾患発症など多様な生命現象を制御していることがわかりつつある。本シンポジウムでは、免疫細胞の振る舞いを通して見えてきた組織/臓器間相互作用を介した多細胞システム制御の新しい知見・展開について議論する。

3AS-09 12月8日(金)
9:30-11:45
貪食生物学 / The Biology of Phagocytosis
公募企画E
貪食によって築かれる細胞機能の多様性と進化―貪食生物学
Various forms of phagocytosis: A Novel Insight into Evolution and Cell Diversity
オーガナイザー
森岡 翔(岐阜大学)、津久井 久美子(国立感染症研究所)
詳 細

細胞間コミュニケーションとして、貪食や、生細胞の一部を取り込むトロゴサイトーシスの重要性が認識されてきている。これまで生命の構成単位とされる細胞はひとつの自己として完成しており、丸呑みされ、ちぎり取られてシグナルを伝えるイメージは一般的でなかった。演者たちは、この独特なシグナル伝達の型が、細胞による多様な機能の獲得と、個体進化を促してきた可能性を独自に見出しており、この新しい視点を本シンポジウムにて議論する。細菌から免疫細胞、くわえて様々な疾患に見られる多様な貪食の様相と細胞機能の多様性の繋がりをプレゼンすることにより、一見散発的な現象に普遍性を見つけ、進化の根源から存在する貪食能が持つ新たな可能性を伝えたい。

3AS-10 12月8日(金)
9:30-11:45
RNAと疾患 / RNA in diseases
公募企画E
mRNA翻訳に支配される生物・疾患
mRNA translation governs organisms and diseases
オーガナイザー
森田 斉弘(University of Texas Health Science Center at San Antonio)、Ola Larsson(Karolinska Institute)
詳 細

mRNAの翻訳は、細胞の中心的かつ基本的なプロセスの1つであると考えられてきた。近年の新しい技術によって、これまでのmRNA翻訳の常識が覆され、様々な生命現象や疾患に影響を及ぼすmRNAの翻訳制御の基本的な仕組みが明らかになりつつある。タンパク質合成のグローバルな制御や特定のmRNAの選択的な翻訳制御が、がんや神経疾患などの病気の発症に重要であることが近年報告されてきた。本シンポジウムでは、mRNA翻訳の分子機構と生理機能に関する研究の現状と将来の展望を紹介する。

3AS-11 12月8日(金)
9:30-11:45
動的ECMと形態 / Morphogenesis by dynamic ECMs
公募企画E
細胞外基質のダイナミクスによる形態形成とホメオスタシス
Tissue development and maintenance by dynamic extracellular matrices
オーガナイザー
稲木 美紀子(大阪大学)、松林 完(ボーンマス大学)
詳 細

生体組織は細胞と細胞外マトリックス(ECM)により構成される。ECMはしばしば細胞の静的かつ受動的な足場にすぎないと考えられてきたが、重合、分解、流動といった活発な動的変化により組織形成のための力を生じうることが近年明らかにされつつある。本シンポジウムでは、線虫から哺乳類に至る多様な生物におけるECMのダイナミクスに焦点を当て、その形態形成及びホメオスタシスへの能動的寄与について議論したい。

3AS-12 12月8日(金)
9:30-11:45
染色体決定因子 / Determinants for chromosome dynamics
公募企画E
染色体動態・維持・機能を決定する多様な因子
Multi-layer regulation of chromosome dynamics, maintenance and functions
オーガナイザー
正井 久雄(東京都医学総合研究所)、阪上‐沢野 朝子(理化学研究所)
詳 細

染色体の動態・維持・機能は、核酸の一次構造、高次構造、エピゲノム、染色体の高次構造、核内局在など多様な因子により制御される。それぞれの過程は、複雑なDNA-RNA、核酸-タンパク質、タンパク質-核膜(リン脂質や核膜孔)などの相互作用、さらに液-液相分離により制御される。本シンポジウムでは、染色体制御の多層性に注目し、細胞周期制御、複製、修復、転写、エピゲノム制御などを可視化し、関与する因子の動態や構造を解析する最新の成果を紹介し、染色体制御の多層性を俯瞰し、議論したい。

3AS-13 12月8日(金)
9:30-11:45
ミトコン微視巨視 / Mitochondria from micro to macro
公募企画E
ミトコンドリア研究の新たな視点 -1分子動態から多細胞相互作用まで-
New Perspectives on Mitochondria Research-from Single Molecule Dynamics to Multicellular Interactions-
オーガナイザー
荒磯 裕平(金沢大学)、椎葉 一心(学習院大学)
詳 細

ミトコンドリアはエネルギー産生や代謝の中心として働く重要なオルガネラである。近年、ミトコンドリアに関する新規機能が次々と解明され、細胞の恒常性維持機構の根幹を担うミトコンドリア研究は目覚ましい進歩を遂げている。本シンポジウムでは、ユニークな視点からミトコンドリア研究を展開している若手研究者を中心に最新の知見をご紹介いただく。1分子観察から生理機能研究を網羅することでミクロ・メゾ・マクロの研究を統合し、新しいミトコンドリア像を見出す。

3AS-14 12月8日(金)
9:30-11:45
亜鉛シグナル / Zinc signal
公募企画E
次世代亜鉛シグナリング
The next generation of zinc signaling study
オーガナイザー
深田 俊幸(徳島文理大学)、神戸 大朋(京都大学)
詳 細

亜鉛は、蛋白質の構造維持や補酵素の作用だけでなく、細胞内外のシグナル因子(亜鉛シグナル)として機能する。亜鉛の恒常性はトランスポーターやチャネルが担い、これらを介する亜鉛シグナルは多様に細胞機能を制御する。このシンポジウムでは、国際亜鉛生物学会、日本亜鉛栄養治療研究会、日本微量元素学会、新学術領域(生命金属)の若手研究者の発表を通して全体像を俯瞰し、最新情報を共有して将来の課題を深く議論する。

3AS-15 12月8日(金)
9:30-11:45
水棲動物・進化 / Genomics of aquatic vertebrates evolution
公募企画J
水棲動物のゲノム科学で進化の謎を紐解く
Genome science of aquatic animals reveals the evolution of vertebrates
オーガナイザー
大森 義裕(長浜バイオ大学)、荻野 由紀子(九州大学)
詳 細

魚類や両生類といった水棲動物は脊椎動物の中でも特徴的な進化を遂げており、形態形成や再生において一般的な哺乳類モデルなどでは解析不可能な形質進化の機構を研究することが可能である。本セッションでは、近年著しく進展しているゲノム科学のツールを使い、水棲動物のダイナミックな進化の背後に存在する分子メカニズムの解明を目指す研究者に集まっていただいた。脊椎動物の進化研究の新たな展開について議論したい。

3AS-16 12月8日(金)
9:30-11:45
幹細胞エピゲノム / Stem cell epigenetics
公募企画J
幹細胞生物学におけるエピジェネティック制御機構
Epigenetic regulatory mechanisms in stem cell biology
オーガナイザー
石津 大嗣(慶應義塾大学)、坂下 陽彦(慶應義塾大学)
詳 細

受精によって形成される接合子は全ての種類の細胞に分化し、個体へと成長することができる全能性をもつ。しかし、受精卵がどのようにして全能性を獲得するのか、そのリプログラミング過程については不明な点が多い。近年、初期胚発生および幹細胞リプログラミング研究の進展から、エピジェネティック情報の初期化と再構築を担うダイナミックなゲノム構造の動態変化が明らかとなりつつある。また、着床前胚発生における全能性から多能性へのプログラム転換に内在性レトロウイルスの活性化によるエピゲノム制御が関与することが示唆された。本シンポジウムでは、全能性幹細胞の特徴を規定するエピゲノムの制御機構について最新の知見を共有し、全能性獲得の背景に潜むエピゲノム制御ネットワークの解明に向けた課題を議論する。

3AS-17 12月8日(金)
9:30-11:45
神経変性研究橋渡 / Translational research of neurodegenerative disease
公募企画J
神経変性疾患研究の基礎と臨床の橋渡しに向けて
Toward translational research of neurodegenerative disease
オーガナイザー
今居 譲(順天堂大学)、伊藤 弦太(帝京大学)
詳 細

アルツハイマー病、パーキンソン病を代表とする老人性神経変性疾患の罹患人口は今後も増大が予想され、その克服が依然課題である。アルツハイマー病に関しては、抗アミロイドβ抗体が疾患修飾薬として承認された。パーキンソン病ではLRRK2キナーゼ阻害剤が第三相に入っている。これらの治療薬の開発は、基礎研究と臨床研究の橋渡しの賜物である。一方で、本邦では基礎研究者と臨床研究者が一同に会合する機会は少なく、成果の橋渡しの障害になっている。本シンポジウムは、それぞれの分野の気鋭の基礎研究者と臨床研究者を招待し、研究ネットワーク構築のきっかけを作ることを意図する。

3AS-18 12月8日(金)
9:30-11:45
新興心血管生物学 / Emerging cardiovascular biology
公募企画J
心血管生物学の新潮流
Emerging trends in cardiovascular biology
オーガナイザー
真鍋 一郎(千葉大学)、尾池 雄一(熊本大学)
詳 細

心血管研究は、従来の心筋細胞肥大や血管新生の枠を大きく超え、多様な細胞社会や、代謝、免疫、神経系等との緊密な相互作用ネットワークの解析へと大きく展開している。例えば、心血管の発生、成熟、恒常性の維持には、細胞代謝のダイナミックな変化や、心血管細胞と線維芽細胞や免疫細胞、神経細胞のコミュニケーションが重要であることが明らかとなりつつある。多様な分野の研究者に、このような心血管生物学の新潮流を紹介し、さらなる展開を議論したい。

3PS-01 12月8日(金)
16:00-18:15
生老病死の新展開 / Pathophysiology of “Life-Aging-Disease-Death"
公募企画J
生老病死の疾患分子病態学の新展開
A New Perspective in the Molecular Disease Pathophysiology of “Life-Aging-Disease-Death"
オーガナイザー
田中 知明(千葉大学)、南野  徹(順天堂大学)
詳 細

シングルセルや空間トランスクリプトミクス解析、臓器間/細胞間シングルセルネットワーク解析技術の発達、プロテオミクスやデータサイエンスの先鋭化と相まって、新たな分子生物学的アプローチから生老病死の分子病態が切り拓かれつつある。また、液-液相分離やAPEX2システムなど、細胞内構造体を高精度に分離/解析する生化学的手法を利用して、核内事象およびミトコンドリア代謝シグナル-栄養・代謝シグナルをシステマティックに捉えることで、病態メカニズムやその制御基盤を明らかにしつつある。本シンポジウムでは、「生老病死の疾患分子病態学の新展開」をテーマに、複合体解析・シングルセル解析やマルチオミクス解析など新たなアプローチを通じて、疾患病態との関わりを切り開いてきた先駆的研究を紹介する。生老病死の分子生物学について、皆さんと議論を深めたい。

3PS-02 12月8日(金)
16:00-18:15
全細胞解析 / whole-organ analysis
公募企画J
全組織解析・全細胞解析の最先端
The cutting-edge of whole-tissue and whole-organ analysis
オーガナイザー
松本 桂彦(東京大学、理化学研究所)
詳 細

このシンポジウムでは、全組織解析、全細胞解析に関する最新の研究を議論することを目的とする。現在、技術的なブレイクスルーによりこのような最先端計測や解析が可能になっていることを受け、医学生物学においてこれらの技術の必要性が増加している。このシンポジウムでは最先端の技術開発や応用を進める研究者を招聘し、先進的なin vivoタンパク質ラベリング、全組織計測、全細胞解析技術等を紹介し、議論を行う。

3PS-03 12月8日(金)
16:00-18:15
新RNA生物学 / RNA biology frontier
公募企画J
RNAが織りなす生命現象の新展開
A new frontier of RNA biology
オーガナイザー
片岡 直行(東京大学)、藤田 賢一(藤田医科大学)
詳 細

真核生物の遺伝子発現では、ゲノムDNAから転写されたRNAが様々な制御を受けており、RNAこそが生命現象の中心的役割を果たしていると考えられる。実際、幅広い生理現象においてRNAが基幹制御要素となっている例も数多く報告されつつある。そこで本シンポジウムでは、RNAが関与する遺伝子・細胞機能発現の基礎的研究から、生物の生理現象や難治性疾患治療への応用を目指した研究まで、幅広い視点の研究を紹介し、異分野研究領域との融合を通したRNA生物学の発展について議論したい。

3PS-04 12月8日(金)
16:00-18:15
構造生命科学 / Structural Life Sciences
公募企画J
構造生命科学の新展開 -Oh yeah hey uh huh-
Recent advances in structural biology
オーガナイザー
加藤 英明(東京大学)、西増 弘志(東京大学)
詳 細

クライオ電子顕微鏡における様々な技術革新により、我々は生体内で起きている様々な現象を原子レベルから理解することが可能になってきている。本シンポジウムでは、タンパク質やタンパク質-核酸複合体の単粒子構造解析や時分割解析、あるいは細胞のトモグラフィー解析などから見えてきた最新の研究成果を中心に発表・討論を行いたい。

3PS-05 12月8日(金)
16:00-18:15
生殖代謝学 / Gametometabolism
公募企画J
生殖代謝学:栄養と代謝が制御する生殖細胞の形成と分化
Gametometabolism: Nutritional and metabolic control of germ cell formation and differentiation
オーガナイザー
林 陽平(東北大学)、前澤 創(東京理科大学)
詳 細

生殖細胞系列は胚発生期に始原生殖細胞として出現し、成体の長い期間に亘って保持され、次世代個体を生み出す機能を維持し続ける。胚発生~新生児期には母体由来の栄養環境、成体では自身の置かれる栄養環境が生殖細胞や支持細胞の代謝状態に影響し、エピゲノム状態や生殖機能の制御に関わるが、その仕組みを明らかにする研究は端緒についたばかりである。本企画ではこのような研究を生殖代謝学と位置づけ、その歩みと展望について議論する。

3PS-06 12月8日(金)
16:00-18:15
流体生命システム / Plant Cytoflow Biology
公募企画J
分子情報フローから迫る植物の流体生命システム
Flow patterning of molecular signaling towards understanding of the plant life system
オーガナイザー
小田 祥久(名古屋大学)、檜垣 匠(熊本大学)
詳 細

植物の体内では個々の細胞がミクロの動力源や流路となり、これらが有機的に連結することでトランススケールの物質情報フローパターンを構築している。この心臓のような動力源も細胞の移動も必要としない植物独自の流体経路の構築や制御、およびそれらを基盤とする物質・情報フローの全貌は未解明である。本シンポジウムでは植物独自の物質流動・輸送システムの分子機構とその基盤となる細胞・組織構造の構築機構を議論する。

3PS-07 12月8日(金)
16:00-18:15
RNAとウイルス / RNA-Virus interaction
公募企画J
RNAとウイルスの相互作用
RNA-mediated Virus-Host interaction
オーガナイザー
高橋 朋子(埼玉大学)、堀江 真行(大阪公立大学)
詳 細

ウイルスは宿主細胞因子などの多様な因子を巧みに利用して複製を行う。一方、細胞も様々なウイルス因子と相互作用し、ウイルスの複製を阻害する。近年、これまでとは違った様式でのRNAを介したウイルス-宿主間相互作用に関する報告が相次いでおり、これらの相互作用を礎とした新たな感染制御法への発展が期待されている。本シンポジウムでは、ウイルス-宿主間相互作用の中でもRNAを介した相互作用にスポットを当て、感染症と基礎生物学の両方の観点から、ウイルス感染を理解することを目指したい。

3PS-08 12月8日(金)
16:00-18:15
微生物ルネサンス / Renaissance for Microbiology
公募企画J
未来へ:微生物学ルネサンス
Back to the future: Microbiology Renaissance
オーガナイザー
片岡 正和(信州大学)、古園 さおり(東京大学)
詳 細

計測・解析技術と計算能力の飛躍的発展により,生命科学各分野のビッグデータが集積する時代となった。それら大量のメタデータを用いて生命の仕組みや生きている状態を知るなどの哲学的な問いに答え,その上でその仕組みを産業へ適用するため,発酵などで産業応用されている微生物を討論材料にしたい。情報科学,進化遺伝学,分子生物学、発酵科学など様々な手法を駆使して多面的で新しい微生物学の幕を開け,連続性のある話題を各分野で独創的な研究を展開している演者から提供する。

3PS-09 12月8日(金)
16:00-18:15
最先端ケムバイオ / Cutting-edge chemical biology technologies
公募企画E
生体を「見る・調べる・操る」最先端ケミカルバイオロジー技術
Cutting-edge chemical biology technologies to "see, examine, and manipulate" living organisms
オーガナイザー
川島 茂裕(東京大学)、林 剛介(名古屋大学)
詳 細

生体内の生命現象が核酸やタンパク質といった生体分子間の化学反応ネットワークによって発現することを鑑みると、化学者にとって生体は大きな試験管と言えるかもしれない。本シンポジウムでは、ケミカルバイオロジー分野の新進気鋭の研究者を集め、生体を「見る・調べる・操る」最先端の技術について紹介していただく。化学と生物学の学際的な分野に興味を持つ多くの聴衆がこのシンポジウムに参加し、活発な議論が展開されることを期待したい。

3PS-10 12月8日(金)
16:00-18:15
有性生殖 / sexual reproduction
公募企画E
有性生殖における染色体・クロマチン・核動態
Chromosome, chromatin, and nuclear dynamics in sexual reproduction
オーガナイザー
石黒 啓一郎(熊本大学)、行川 賢(University of California, Davis )
詳 細

有性生殖に関連する様々なテーマを題材とする染色体・核・クロマチン研究の内容について発表および討論を行う。本セッションでは有性生殖にかかわる発生生物学、染色体動態、クロマチン構造、細胞分裂などの幅広い分野にまたがる研究内容を対象とする。有性生殖に関連する研究でありながら、生殖細胞発生、減数分裂、性分化、受精、初期胚発生などこれまで細分化されていた異分野の研究者が一同に会する場を提供することにより、演者と聴衆との相互交流・情報交換の促進を目的とする。

3PS-11 12月8日(金)
16:00-18:15
NEXT微生物学 / Next-generation Microbiology III
公募企画E
微生物における細胞増殖原理の普遍性を紐解く
Decoding the Universality of Cell Growth Principles in Microorganisms
オーガナイザー
河野 暢明(慶應義塾大学)、尾崎 省吾(九州大学)
詳 細

バクテリアの細胞増殖といえば、一見とてもシンプルなシステムの代表格として紹介されることが多い。しかしその基礎には正確なDNA合成、タンパク質合成、細胞サイズの制御、そして分裂による分配を安定に繰り返すべく、反応過程それぞれのゆらぎが絶妙に調和されて生み出された複雑系が備えられている。本シンポジウムでは微生物の複雑な細胞増殖の構成的な理解に挑む国内外の研究者を集め、生物、化学、物理、理論など多様な視点から細胞増殖原理を紐解く。

3PS-12 12月8日(金)
16:00-18:15
新モデル生物学 / Emerging model systems for biology
公募企画E
新興モデル生物で理解する生物の多様性と可塑性
Understanding diversity and plasticity of organisms using emerging model systems
オーガナイザー
中嶋 悠一朗(東京大学)、楢本 悟史(北海道大学)
詳 細

近年のゲノム編集技術の発展やゲノム解読コストの低下により、様々な生物種で分子レベルの研究が可能となってきた。従来のモデル生物ではアプローチが困難な多様性や可塑性の問題に対して、ユニークな生物学的特徴をもつモデルを選択し、仕組みを明らかにする工夫が肝要である。本シンポジウムでは、形態や生活環の多様性を生み出す仕組み、社会性や休眠、再生に代表される可塑的な生命現象の理解を目指して、動植物の新興モデルを使った最新の研究成果を紹介する。

3PS-13 12月8日(金)
16:00-18:15
新コラーゲン動態 / New Collagen Dynamics
公募企画E
組織構築を創出するコラーゲンの「新・動態」に迫る
Approaching "new dynamics" of collagen that creates tissue construction
オーガナイザー
黒田 純平(大阪大学)、佐藤 伸(岡山大学)
詳 細

コラーゲン分子は、直線状の束や、網目状などの高次構造をつくることで、各組織に最適な物理強度・柔軟さ・耐久性を生み出している。コラーゲン分子を「組み立て」るのは、細胞であるはずだが、その原理はほとんど解っていない。最大の理由は、組織内のコラーゲンが「見えない」からである。本シンポジウムでは、これまでに「見えなかった」コラーゲンのリアルな動態を明らかにすることで、組織構築を創出するコラーゲンの新たな姿に迫る。

3PS-14 12月8日(金)
16:00-18:15
群知能の共通原理 / Common principle of swarm intelligence
公募企画E
群知能に共通原理は存在する?
Is there any common principle of swarm intelligence?
後援:科研費学術変革B「ヘテロ群知能」
オーガナイザー
加納 剛史(東北大学)、梅津 大輝(大阪大学)
詳 細

“Swarms" of living organisms behave intelligently as if the entire group were a single individual with a will. This behavior is generated by local interactions among the components of the swarm and is referred to as “swarm intelligence."Although the concept of swarm intelligence has been proposed several decades ago, each system has been treated separately; thus, the systematic design principle of swarm intelligence has not yet been established. To address issue, we focus on various swarming behaviors that range from cellular to individual scales and to discuss common principle by combining high-precision real data analysis and a synthetic approach using mathematical models and robots.

3PS-15 12月8日(金)
16:00-18:15
制御された細胞死 / Non-apoptotic regulated cell death
公募企画J
非アポトーシス細胞死が制御する生体応答の新展開
Exploring new horizons in understanding non-apoptotic cell death and its role in biological responses
オーガナイザー
徳永 文稔(大阪公立大学)、中野 裕康(東邦大学)
詳 細

細胞死は発生、老化、免疫応答など多様な生体応答を制御し、疾患発症にも深く関わっている。一方で最近アポトーシス以外の制御された細胞死として、ネクロプトーシス、パイロトーシス、パータナトスなども注目を集めている。本シンポジウムでは、これら新規細胞死が関与するさまざまな生命現象(炎症、発がん耐性、細胞老化)や細胞死関連因子のユビキチン化による活性制御などについて最新の知見を紹介し討論したい。

3PS-16 12月8日(金)
16:00-18:15
ポリコーム生物学 / Polycomb Biology
公募企画J
動的な抑制性エピゲノムによる発生制御機構
Developmental regulation by dynamic repressive chromatin
オーガナイザー
椙下 紘貴(東京大学)、井上 梓(理化学研究所)
詳 細

発生過程では数千個に及ぶ発生・分化関連遺伝子の発現が時空間的に制御されている。この遺伝子制御を担うのが、ポリコーム群タンパク質(ポリコーム)である。ポリコームはこれらの遺伝子群の転写抑制に働く重要な因子であり、その標的遺伝子は発生過程で動的に変化する。しかし、どのようにしてポリコームがそのような巧妙な遺伝子制御を行えるのかは明らかでない。本シンポジウムでは、ポリコームが制御する発生現象について多面的に最新の知見を紹介し議論する。

3PS-17 12月8日(金)
16:00-18:15
真核生物翻訳 / mRNA translation in eukaryote
公募企画J
mRNA翻訳ネットワークによる真核生物の生命制御
mRNA translation network regulating eukaryotic biological process
オーガナイザー
山下 暁朗(琉球大学)、藤原 俊伸(近畿大学)
詳 細

真核生物におけるmRNA翻訳ネットワークにおける40年にわたる研究成果はmRNAワクチンの基礎技術として使用されている。本シンポジウムでは、古典的な生化学的解析から、最新の試験管内再翻訳構築解析を含む実験法により、様々なモデル生物や哺乳動物における翻訳ネットワークを紹介する。

3PS-18 12月8日(金)
16:00-18:15
虫の会まじめ版 / Insect meeting
公募企画J
虫の会まじめ版10
10th insect meeting
オーガナイザー
横井 翔(農業・食品産業技術総合研究機構)、仲里 猛留(製品評価技術基盤機構)
詳 細

次世代シーケンサーやRNAi、ゲノム編集の登場によって昆虫における遺伝子・分子レベルの知見を得られるようになった。本会は昆虫を用いた面白い研究を行っている若手研究者に講演していただき、分子生物学を専門とする本学会の会員と議論を行うことで、昆虫学と分子生物学の両方において新たな展開を促進することが狙いである。10回目の今回は若手研究者だけではなく、過去に講演していただいた研究者をもう一度お呼びして、その後どのような研究展開がされたかを講演していただく。