ご挨拶


第54回日本医学教育学会大会 大会長
群馬大学 学長 石崎 泰樹


 この度、第54回日本医学教育学会大会(2022年8月4日~6日)を開催することとなりました。歴史ある医学教育学会の大会を開催できること、群馬大学教職員一同大変光栄に思っております。

 本学医学部医学科は昭和18年に設立された前橋医学専門学校がその前身であり、創立78年を迎えます。「科学的知Science、倫理Ethics、技能Skillの3つの面にわたって生涯自己研鑽を続けることができる学生」の育成を目指し医学教育改革を推進してまいりました。また、本学においては医療安全教育の拡充に重きを置いており、核になる組織として医療の質・安全学講座を大学院医学系研究科に設置しております。大学院保健学研究科や地域医療機関と連携して、患者中心の医療・チーム医療を推進するため多職種連携教育のさらなる充実、ノンテクニカルスキルトレーニングや質改善手法の導入等を通して医療安全の知識および技能の修得を図っております。

 第54回日本医学教育学会大会の開催テーマは「まもる ささえる 医学教育:文化の醸成~時代のニーズに応える医療のために~」と致しました。このテーマは、医学教育をまもる・ささえると読めますが、患者さんをまもる、学生をささえる、教員をささえるなど多くの意味を込めております。医学教育において、国際基準を踏まえかつ社会からのニーズに対応するために行うべき改革は多岐にわたっております。学修成果基盤型教育を構築して能動的学習を拡充し、卒前・卒後のシームレスな臨床研修を充実させながら、高度先進医療や医学研究の実践のみならず、高齢化社会への対応、地域医療への貢献などを目指す教育が求められております。これらの課題、及び、本学の医学教育の特徴も踏まえ、開催テーマを決めさせていただきました。

 また、基調講演者として医学教育分野および医療安全教育分野において著名な2名の方が決定しております。お一人目は、テキサス大学Dell Medical School医学教育学講座のDee Silverthorn教授で、臨床前教育における能動的学習と態度評価についてお話しいただく予定です。お二人目は、ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のAlbert Wu教授で、医療安全教育についてお話しいただく予定です。

 大会会期までには新型コロナウイルス感染症の拡大も落ち着くであろうことを期待して、現地開催できるよう準備を進めております。高崎駅は東京駅から新幹線で約50分と、とても交通の便のよい場所です。全国各地から皆様にお集まりいただき、医学教育について知見、経験を分かち合う場となりますよう準備を進めてまいります。皆様と高崎でお会いできることを楽しみにしております。