プログラム
特別講演 | 教育講演 | 会長企画 |
シンポジウム | 共催シンポジウム | ランチョンセミナー |
モーニングセミナー | イブニングセミナー | 一般演題 |
特別講演
どのように研究をするか? 興味があることについて、できることから始めよう
座長: | 鈴木 利人(順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院) |
演者: | 鍋島 俊隆(藤田医科大学保健学研究科、医薬品適正使用推進機構) |
教育講演
双極性障害の薬物療法
座長: | 下田 和孝(獨協医科大学精神神経医学講座) |
演者: | 加藤 忠史(順天堂大学医学部精神医学講座) |
新型コロナウイルスの予防薬としての向精神薬
座長: | 大谷 浩一(山形大学医学部精神医学講座) |
演者: | 橋本 謙二(千葉大学社会精神保健教育研究センター) |
統合失調症における認知機能のゲノミクス:統合失調症患者と一般人を対象としたゲノムワイド関連解析から得られたエビデンス
座長: | 上野 雄文(肥前精神医療センター) |
演者: | Philip D. Harvey(University of Miami Miller School of Medicine, USA) |
デジタル薬理学の未来に向けて
座長: | 山田 光彦(国立精神・神経医療研究センター) |
演者: | 池谷 裕二(東京大学大学院薬学系研究科) |
向精神薬の新しい命名法(Neuroscience-based Nomenclature)の最近の動向
座長: | 尾崎 紀夫(名古屋大学大学院医学系研究科精神医学・親と子どもの心療学分野) |
演者: | 内田 裕之(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室) |
統合失調症の治療に対するアンメットニーズと新しいアプローチ
座長: | 水野 雅文(東京都立松沢病院) |
演者: | John M. Kane(The Donald and Barbara Zucker School of Medicine at Hofstra/Northwell, USA) |
会長企画
世代、性に寄り添う向精神薬薬物療法を考える
オーガナイザー・座長: | 鈴木 利人(順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院) |
座長: | 久住 一郎(北海道大学大学院医学研究院) |
演者:根本 清貴(筑波大学医学医療系精神医学)、竹内 啓善(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室)、馬場 元(順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院メンタルクリニック)、中林 哲夫(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)
概要:
大会のテーマは「世代に寄り添う薬物療法」です。精神科領域では、薬物療法を中心にさまざまなガイドラインが作成されています。薬物療法ガイドラインは、地域の医療事情の格差にかかわらず、より多くの精神科医がエビデンスに基づく合理的な薬剤療法を実践するにあたり有益なものとなっています。その一方で、臨床医はガイドラインの限界を意識することもあり、その一つに層別化(性差、年齢差など)の問題があります。ガイドラインの作成にあたり、この問題が関連する研究のエビデンスレベルや結果としての推奨レベルの問題から明文化に至っていない可能性も否定できない。結果として、証左を得がたい層別化の薬物療法は、臨床現場では敢えて“個人の診療経験によるナラティブレベル“を拠り所としている。本シンポジウムでは世代の生物学的特徴などを考慮した薬物療法の実践の在り方について、各向精神薬の臨床研究や臨床治験の観点から議論してみる。
シンポジウム
パーソナルリカバリーに向けて薬物療法に出来ること
オーガナイザー・座長: | 渡邊 衡一郎(杏林大学医学部精神神経科学教室) |
座長: | 嶽北 佳輝(関西医科大学精神神経科学教室) |
演者:嶽北 佳輝(関西医科大学精神神経科学教室)、菊地 俊暁(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室)、渡邊 衡一郎(杏林大学医学部精神神経科学教室)、岡田 俊(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所)
概要:
リカバリーが精神疾患の治療ゴールと記載されるようになって久しいが、最近ではリカバリーも、臨床家が重んじる臨床的リカバリーと、当事者の就労や就学、さらには希望や満足、人との関わりなどからなる主観的リカバリーを含むパーソナルリカバリーとに分けて考えられるようになっている。症状の寛解をどうすれば良いかは周知だが、今回のシンポジウムでは、さまざまな精神疾患におけるパーソナルリカバリーに向けて、薬物療法では何が出来るかについて議論したいと考えている。
1人でも、明日からでも。臨床薬理研究入門 3年後のポールヤンセン賞をとる方法
オーガナイザー・座長: | 加藤 正樹(関西医科大学精神神経科学講座) |
座長: | 堀 輝(福岡大学医学部精神医学教室) |
演者:堀 輝(福岡大学医学部精神医学教室)、池田 匡志(藤田医科大学医学部精神神経科学)、加藤 正樹(関西医科大学精神神経科学講座)、古郡 規雄(獨協医科大学精神神経医学講座)
概要:
昨年度は、ポールヤンセン賞・海外留学奨学金のWinnerに集まっていただき座談会を開催し、本学会や臨床精神薬理フィールドの未来について討論しました。本年は、様々なフィールドのポールヤンセン賞獲得者に、同賞獲得クオリティーの研究をどのように行ったらいいのかを、入門編としてレクチャーいただきます。
ゲノム研究、臨床薬理研究、RCTやメタ解析、そして学会主導の大規模データ研究など、どこから、どのように開始したら良いのかわからないような研究ジャンルにおいて、勤務施設内に指導者がいなくても、明日からでも始められる可能性があるかもしれません。3年後のポールヤンセン賞の道はここから始まります。
臨床から得られる向精神薬の反応予測因子:Up to Date
オーガナイザー・座長: | 伊賀 淳一(愛媛大学大学院精神神経科学講座) |
演者:河邉 憲太郎(愛媛大学大学院精神神経科学講座)、内田 裕之(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室)、伊賀 淳一(愛媛大学大学院精神神経科学講座)、馬場 元(順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院メンタルクリニック)
概要:
向精神薬の治療反応性や副作用を臨床から得られる情報から予測できれば、日常臨床において適切な症例に適切な治療を提供できる可能性が高まる。予測因子は年齢や性別で異なる可能性もあり、様々な層別化を意識する必要がある。そこで本シンポジウムでは日進月歩で蓄積されるエビデンスをもとに、年齢や性別、症状など日常臨床から得られる予測因子について各向精神薬(抗ADHD薬、抗精神病薬、抗うつ薬、抗認知症薬)のエキスパートに解説していただく。
クエチアピンを再考する
オーガナイザー: | 馬場 元(順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院メンタルクリニック) |
座長: | 鈴木 雄太郎(医療法人敬愛会 末広橋病院 精神科) 前嶋 仁(順天堂大学医学部付属順天堂越谷病院) |
演者:鈴木 雄太郎(医療法人敬愛会 末広橋病院 精神科)、岸田 郁子(医療法人社団 清心会 藤沢病院)、前嶋 仁(順天堂大学医学部付属順天堂越谷病院)、高江洲 義和(琉球大学大学院医学研究科精神病態医学講座)
概要:
クエチアピンはわが国では2000年に統合失調症に対する保険適用を取得し、翌年の発売開始から20年が経過した。
クエチアピンは発売当初から統合失調症以上に気分障害圏に使用されることが少なくなかった。そうなると統合失調症治療におけるクエチアピンの位置づけとは?実臨床ではどのような患者に使用されることが多いのであろうか?
2017年にはその徐放性製剤が双極性障害におけるうつ症状に対する適用を取得し、エビデンスも多いことから、代表的なガイドラインではファーストラインとなっている。しかし双極II型障害や混合性の特徴を伴う場合、急速交代型にも有効なのか?また鎮静催眠作用を有することから眠気による脱落も多いが、この眠気に対する対策はあるのか?
最近うつ病に対するクエチアピン単剤治療のRCTがいくつか報告され、メタ解析でも有用性が示唆されている。しかし日本うつ病学会のうつ病治療ガイドラインでは抗精神病薬単剤治療は推奨されていない。うつ病にクエチアピン単剤治療は有用なのか?
そしてクエチアピンはその鎮静催眠作用から、しばしば不眠症の治療を目的として使用されることがある。これももちろん適応外ではあるが、ベンゾジアゼピン系薬を使用するよりは有益なのであろうか?
本セッションではこうしたクエチアピンに対する臨床疑問に対して、それぞれの分野のエキスパートよりレクチャーしていただく。
なお本セッションはクエチアピンの適応外使用を推奨するものではないことを強調しておく。
気分障害における診断と治療の標準的スキルを身につけるコツ
オーガナイザー・座長: | 松尾 幸治(埼玉医科大学医学部精神医学) |
演者:中川 伸(山口大学大学院医学系研究科高次脳機能病態学講座)、竹林 実(熊本大学大学院生命科学研究部神経精神医学講座)、白川 治(医療法人尚生会 湊川病院)、松尾 幸治(埼玉医科大学医学部精神医学)
概要:
特に都市部のクリニック経営者の中には、精神科を専門としない医師にもうつ病評価尺度の付け方を学ばせ、抑うつを主訴に受診した患者には自記式スクリーニングを行わせて、DSMの項目に〇×をつけてうつ病の診断をし、治療ガイドラインのリストに挙がっている抗うつ薬を処方して診療をおこなっているところが出てきている。専門家からみると「そんな表層的な診療をして良くなるはずがない」といいたくなるが、形式的には整っており、一般人にはその違いが分かりにくい。こうした機械的診断・治療はもちろん精神科医療の本質から大きく外れているが、マニュアルを求める医師や患者が増えるに従い、こうした診療が必ずしもごく少数でなくなってくる時代がそこに来ているとみた方が良いだろう。 その中で、私たち精神科医が専門家として生き残るべく抑えておきたい標準的知識やスキルは一体何かをいま一度整理し、これまで以上に本質を見極めた診療を行うきっかけにしてもらいたい。
日本臨床精神神経薬理学会の現状の課題と今後の展開について
オーガナイザー・座長: | 古郡 規雄(獨協医科大学精神神経医学講座) |
座長: | 渡邊 衡一郎(杏林大学精神医学教室) |
演者:堀 輝(福岡大学医学部精神医学教室)、嶽北 佳輝(関西医科大学精神神経科学教室)、内田 裕之(慶応義塾大学精神・神経科学教室)、下田 和孝(獨協医科大学精神神経医学講座)
指定討論者:大隅 典子(東北大学発生発達神経科学)
概要:
日本臨床精神神経薬理学会では様々な課題を抱えている。例えば、英文学会誌や専門医、他学会との連携に関してなどの課題が数多くみられる。本学会には種々の委員会があるが、各委員長が次世代になり、委員会を含めた本学会が大きく変わろうとしている。そこで、現時点で課題と思われる各委員会の委員長にご登壇していただき、現状の課題と今後の展望について報告していただき、議論を交わし、学会そのものの在り方についても議論していきたい。ゲストコメンテーターとして関連学会である日本神経精神薬理学会理事長の大隅典子先生にも議論に加わっていただくことにする。
強度行動障害を伴う知的・発達障害児(者)への薬物療法
オーガナイザー・座長: | 岡田 俊(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所) |
座長: | 會田 千重(国立病院機構肥前精神医療センター) |
演者:成田 秀幸(国立重度知的障害者総合施設のぞみの園)、藤田 純一(横浜市立大学附属病院児童精神科)、山下 健(大阪府立病院機構大阪精神医療センター)、谷口 豪(国立精神・神経医療研究センター病院)、吉川 徹(愛知県医療療育総合センター中央病院)、會田 千重(国立病院機構肥前精神医療センター)
概要:
強度行動障害とは噛みつき、頭突き等の他害、強固な同一性保持などの行動特性、自傷、異食などの行動障害が著しく高い頻度で起こるため、家庭生活や地域生活における支障が大きく、精神科医療の提供がしばしば必要であるものの、その実態はまだ限られた知見しかなく、エビデンスは限定的である。本シンポジウムでは、本邦における調査結果や、精神科救急、行動制限を含む病棟での入院医療、地域医療などを通して、その実態と精神科薬物療法の役割や留意点を明らかにするとともに、その均霑化を目指す試みについて述べる。
高齢者の精神障害に対する薬物療法Up-to-Date
オーガナイザー・座長: | 馬場 元(順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院メンタルクリニック) |
座長: | 上野 修一(愛媛大学大学院医学系研究科分子・機能領域精神神経科学講座) |
演者:中島 振一郎(慶應義塾大学医学部精神神経科学教室)、武島 稔(明心会柴田病院精神科)、伊賀 淳一(愛媛大学大学院精神神経科学講座)、鈴木 正泰(日本大学医学部精神医学系)
概要:
急速に進むわが国の高齢化を背景に、精神障害においても高齢患者の割合が増えてきている。精神障害に対する薬物療法に関しては、それぞれ疾患に対するガイドラインが公開されているが、そこで推奨されている薬物療法の根拠となるエビデンスは、その多くが高齢者以外の若年成人を対象とした臨床試験から得られたものである。このためこれらのガイドラインにおける薬物療法の推奨をそのまま高齢患者にも適応させてよいかどうかは慎重に検討する必要がある。
今回の大会テーマは「世代に寄り添う薬物療法」であり、高齢者の精神障害に対する薬物療法は今大会の重要なテーマのひとつでもある。本シンポジウムでは、精神科領域の代表疾患である統合失調症、双極性障害、うつ病、そして睡眠障害を有する高齢患者に対する適切な薬物療法について、各分野のエキスパートからレクチャーしていただき、知識をアップデートしたい。
産業精神薬理学2021
オーガナイザー・座長: | 吉村 玲児(産業医科大学医学部精神医学教室) |
座長: | 池ノ内 篤子(産業医科大学病院認知症センター/産業医科大学医学部精神医学教室) |
演者:池ノ内 篤子(産業医科大学病院認知症センター/産業医科大学医学部精神医学教室)、岩本 邦弘(名古屋大学大学院医学系研究科発達老年精神医学分野)、吉村 玲児(産業医科大学医学部精神医学教室)、中尾 智博(九州大学大学院医学研究院精神病態医学)
概要:
向精神薬を服用しながら仕事をしている人は多い。現在の薬物治療ガイドラインは向精神薬の就労に対する影響を十分に考慮しているとは言えません。本シンポジウムは抗精神病薬・抗うつ薬・気分安定薬・抗不安薬・睡眠薬などの作用を就労との観点から掘り下げて考える場としたいと思います。
新しい薬はどこまで気分障害の治療に貢献するか?
オーガナイザー・座長: | 寺尾 岳(大分大学医学部精神神経医学講座) |
座長: | 井上 猛(東京医科大学精神医学分野) |
演者:寺尾 岳(大分大学医学部精神神経医学講座)、井上 猛(東京医科大学精神医学分野)、小曽根 基裕(久留米大学神経精神医学講座)、堀 輝(福岡大学医学部精神医学教室)
概要:
ルラシドン、ボルチオキセチン、レンボレキサント、アリピプラゾールLAIが本邦で上市後ある程度の期間が経過し、使用経験が蓄積されてきたため、これらの薬物の有用性を検討し、他の同効薬との比較を行った上で、気分障害治療におけるこれらの薬物の位置づけをすることが本シンポジウムのねらいである。具体的には、寺尾が双極性障害うつ病エピソードにおけるルラシドンの有用性と位置づけを検討し、井上先生がうつ病におけるボルチオキセチンの有用性と位置づけを検討し、小曽根先生がうつ病や双極性障害に伴う不眠に対するレンボレキサントの有用性と位置づけを検討し、堀先生が双極性障害の再発予防に対するアリピプラゾールLAIの有用性と位置づけを検討する。これらによって新しく使用可能になった薬物を使いこなすコツを知っていただきたい。
診療ガイドに基づく周産期の向精神薬薬物療法
オーガナイザー: | 鈴木 利人(順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院) |
座長: | 鈴木 映二(東北医科薬科大学医学部精神科学教室) 根本 清貴(筑波大学医学医療系精神医学) |
演者:鈴木 映二(東北医科薬科大学医学部精神科学教室)、武島 稔(明心会柴田病院精神科)、菊地 紗耶(東北大学病院精神科)、三島 和夫(秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座)
概要:
周産期メンタルヘルスの分野には多職種が関わり、精神科医の役割が最も期待されている。そして近年、各地で周産期メンタルヘルスの多職種連携作りを目的とした研修会が開催され、多くの精神科医の参画が期待されている。そのためには精神科医をサポートするガイド作りが求められる。2017年、「周産期メンタルヘルスコンセンサスガイド2017」が公開された。これは日本周産期メンタルヘルス学会、日本産婦人科医会、日本産科婦人科学会の協働で、多職種により作成された国内初のガイドである。さらに日本精神神経学会が日本産科婦人科学会とともに、「精神疾患を合併した、或いは合併の可能性のある妊産婦の診療ガイド」を作成し、2020年6月総論編、2021年4月各論編が両学会ホームページで公開された。そこで本シンポジウムでは、これらの診療ガイドに基づく向精神薬薬物療法について、統合失調症、双極性障害、睡眠障害に注目し紹介する。
向精神薬の薬物動態・薬物相互作用アップデート
オーガナイザー・座長: | 古郡 規雄(獨協医科大学精神神経医学講座) |
座長: | 猿渡 淳二(熊本大学大学院生命科学研究部薬物治療設計学講座) |
演者:古郡 規雄(獨協医科大学精神神経医学講座)、新岡 丈典(弘前大学医学部附属病院薬剤部)、福井 直樹(新潟大学大学院医歯学総合研究科精神医学分野)、近藤 悠希(熊本大学薬学部・大学院生命科学研究部 臨床薬理学分野)、赤嶺 由美子(秋田大学医学部付属病院薬剤部)
概要:
向精神薬は、体内動態の個人差が大きく、治療効果や副作用発現の個人差を引き起こす重要な要因となっている。そのため、薬物投与量の設定にはtry and errorが繰り返されることから、寛解まで長期間を要し、稀で重篤な副作用を事前に予測することも困難な場合が多い。加えて、精神科領域では、多剤併用が臨床で大きな問題になることが多いため、薬物間の相互作用を事前に予測し、可能な限り回避することが必要不可欠である。本シンポジウムでは、薬物動態学や臨床精神神経薬理学の様々なエキスパートに、向精神薬の体内動態や薬物相互作用の基本的な考え方から最新の知見までを概説していただくことで、その適正使用の一助となることを期待する。
成人の神経発達症に併発する精神疾患の薬物療法
オーガナイザー・座長: | 尾関 祐二(滋賀医科大学精神医学講座) |
座長: | 柏 淳(医療法人社団ハートクリニックハートクリニック横浜) |
演者:尾関 祐二(滋賀医科大学精神医学講座)、柏 淳(医療法人社団ハートクリニックハートクリニック横浜)、岩波 明(昭和大学医学部精神医学講座)
概要:
神経発達症は様々な精神疾患を併発することが知られている。自閉スペクトラム症(ASD)を例にとれば、20%の症例に不安症、4%に統合失調症スペクトラム障害が併発するなどと報告されている(Lai MC et al Lancet Psychiatry. 2019)。また、逆に統合失調症にASDが合併する割合は3.4 to 52%の範囲であると報告されている(Zheng Z et al Autism Research 2018)。さらに、神経発達症の傾向まで含めると、こうした値はより上昇すると考えられる。臨床現場では神経発達症が併発していると、心理教育が難しくなったり、疾病の理解を行っても知識に従って行動することが困難になったりする場合がある。また薬物療法においては感覚の敏感さやこだわりの強さが服薬アドヒアランスに影響を与える場合がある。 今回のシンポジウムは、神経発達症が併発する場合の向精神薬療法の問題点や対処方法を中心に、神経発達症を併発する精神疾患患者への治療について知見を深めることを目的とする。
モノアミン仮説を超えて:精神疾患の病態生理を理解する
オーガナイザー・座長: | 内田 裕之(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室) |
演者:中島 振一郎(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室)、橋本 謙二(千葉大学社会精神保健教育研究センター)、平野 羊嗣(九州大学大学院医学研究院精神病態医学)、谷 英明(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室)
概要:
精神疾患の病態解明の模索と薬物療法の開発は、モノアミンを中心に展開してきたと言える。例えば、統合失調症とドパミン仮説、うつ病とセロトニン仮説は、研究と臨床を強力に推進してきた。しかし一方で、臨床家と研究者はモノアミン仮説の限界に遭遇している。例えば統合失調症。ドパミン神経伝達を低減する抗精神病薬の効果は必ずしも十分でないことが多く、「治療抵抗性」統合失調症は大きな課題である。また、クロザピンはドーパミンD2受容体の遮断の程度が低いにも関わらず、他の抗精神病薬より優れた治療効果を発揮する。次にうつ病。セロトニン神経系等に作動する従来の抗うつ薬に反応しない患者は約3割と見積もられる。モノアミン系に焦点を当てた研究により、さらに洗練された薬物療法の開発につながる可能性は、まだ十分にあると考えられるが、大きなブレイクスルーはなかなか望めないかもしれない。病態生理解明の観点でも同様にモノアミン仮説は大きな限界に直面している。ドーパミンやセロトニンの多寡や分布で統合失調症やうつ病などの病態生理解明の足掛かりは得られても、本丸に到達したとは言い難い。
このように精神疾患の病態生理を理解する上で、モノアミン仮説は限界を迎えている。本シンポジウムでは、さまざまな疾患の病態におけるモノアミン仮説の枠組みを超えたところでの最新の知見を、各分野の牽引者に共有していただく。この機会を、参加していただく方々の今後の研究・臨床活動に役立てていただければ幸いである。
我が国の統合失調症急性期治療を見直す
オーガナイザー・座長: | 竹内 啓善(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室) |
座長: | 三澤 史斉(山梨県立北病院) |
演者:三澤 史斉(山梨県立北病院)、松井 健太郎(国立精神・神経医療研究センター病院臨床検査部)、嶽北 佳輝(関西医科大学精神神経科学教室)、竹内 啓善(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室)
概要:
統合失調症急性期治療に関しては、各国独自の文化・風習が存在する。本シンポジウムでは、特に我が国で特徴のある、鎮静、抗精神病薬の多剤併用、クロザピンと抗精神病薬の持効性注射剤の使用方法について取り上げ、現状とエビデンスについて概観し、検討する。そして、これらを踏まえた上で本学会のアルゴリズム委員会が作成した、統合失調症急性期治療アルゴリズムを紹介する。
エビデンス通りにいかない子どもの状態像に薬物療法でどう立ち向かうのか
オーガナイザー・座長: | 岡田 俊(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所知的・発達障害研究部) |
座長: | 桝屋 二郎(東京医科大学精神医学分野) |
演者:小平 雅基(総合母子保健センター愛育クリニック)、桝屋 二郎(東京医科大学精神医学分野)、岡田 俊(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所知的・発達障害研究部)、河邉 憲太郎(愛媛大学大学院医学系研究科精神神経科学講座)
概要:
小児を対象とした臨床試験の実施が広がりを見せているが、臨床試験の対象者は、本人のアセントと一致した保護者の同意が得られ、併存障害や知的障害がなく、試験期間にわたり十分な観察と通院が可能な患者に限られる。児童精神科臨床における対象とは乖離もあることから、本シンポジウムでは臨床試験の対象外とされることの多い状態像に焦点を当て、ここへエビデンスをどのように外挿し得るのか、し得ないのかを検討したい。
共催シンポジウム
双極性障害の各状態像の最適薬物治療を考える
-各治療ガイドラインを活用し、臨床での適正化医療を検討する-
共催: | 共和薬品工業株式会社 |
座長: | 井上 猛(東京医科大学精神医学分野) |
演者:田中 輝明(KKR札幌医療センター精神科)、仁王 進太郎(東京都済生会中央病院心療科(精神科))、武島 稔(明心会柴田病院精神科 / 東京医科大学精神医学分野)
概要:
昨今、双極性障害の治療ガイドラインは、国内外とも勢力的につぎつぎと更新がされ充実してきている。しかし必ずしも各ガイドラインの内容が一致していないばかりでなく、実際の治療に落とし込んだ時には、不十分な部分も多く残されている。本シンポジウムでは、双極性障害の治療(薬物治療)において、臨床上よく遭遇するにも関わらず、治療法が十分に確立されていない状態像を取り上げ、エビデンスベースのガイドラインと、日常臨床を融合させる議論を展開していきたい。今回取り上げる状態像は、①双極性障害Ⅱ型②不安症状との併存例③混合型であり、各シンポジストより、最新の各ガイドラインと実際の薬物治療上の課題、更に様々な臨床上の工夫を紹介していただく。
うつ病からの回復を目指すには
共催: | 武田薬品工業株式会社 ジャパンメディカルオフィス/ルンドベック・ジャパン株式会社 メディカルアフェアーズ部 |
座長: | 渡邊 衡一郎(杏林大学医学部精神神経科学教室) |
演者:Roger S. McIntyre(University of Toronto)、坪井 貴嗣(杏林大学医学部精神神経科学教室)、加藤 正樹(関西医科大学精神神経科学講座)
概要:
うつ病の治療ゴールとして社会機能・生活機能の回復が意識されるようになってきた。うつ病からの真のリカバリーを実現するには、抑うつ症状を取り除くことに加えて残遺しやすい症状にも留意して治療を行う必要がある。本シンポジウムでは、うつ病からの回復を目指すには何に配慮すべきかについて考察する。例えば、emotional bluntingは、ポジティブな感情だけでなくネガティブな感情もトーンダウンした状態として提唱されており、治療の継続を妨げるとともに機能回復阻害の一因になっている可能性が指摘されている。他にも、当事者達が何を求めているのか、そして回復とはどういうものか、治療上有用となるヒントを国内外のエキスパートから得る機会としたい。
見えないハンディキャップとサステナブル・パーソナル・リカバリー:早期精神病への挑戦
共催: | 大日本住友製薬株式会社 メディカルアフェアーズ部 |
座長: | 上野 雄文(肥前精神医療センター) |
演者:John M. Kane(The Donald and Barbara Zucker School of Medicine at Hofstra/Northwell)、Philip D. Harvey(University of Miami Miller School of Medicine)
概要:
認知機能に注目した早期段階での介入が、病態進行の経過に効果的な影響を与え、臨床転帰や日常生活機能およびWellbeingを改善する可能性について、最新の研究成績をレビューし、進歩するテクノロジーを組入れた現時点で最良の治療アプローチを考えます。
ランチョンセミナー
統合失調症治療における抗精神病薬持効性注射製剤の到達点を再考する
共催: | 大塚製薬株式会社 |
座長: | 内田 裕之(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室) |
演者: | 嶽北 佳輝(関西医科大学精神神経科学教室) |
睡眠覚醒の安定化に関わるオレキシンの役割
共催: | MSD株式会社 |
座長: | 渡邉 博幸(千葉大学社会精神保健教育研究センター 治療・社会復帰支援研究部門) |
演者: | 櫻井 武(筑波大学医学医療系/国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)) |
統合失調症薬物療法と就労機能
共催: | 大日本住友製薬株式会社 |
座長: | 古郡 規雄(獨協医科大学精神神経医学講座) |
演者: | 堀 輝(福岡大学医学部精神医学教室) |
レストレスレッグス症候群の診断と治療戦略
共催: | アステラス製薬株式会社 |
座長: | 岡 靖哲(愛媛大学医学部附属病院睡眠医療センター) |
演者: | 井上 雄一(東京医科大学睡眠学講座) |
うつ病の症状評価:主観と客観のズレ
共催: | 武田薬品工業株式会社 / ルンドベック・ジャパン株式会社 |
座長: | 近藤 毅(琉球大学大学院医学研究科精神病態医学講座) |
演者: | 内田 裕之(慶応義塾大学医学部精神・神経科学教室) |
EBMと実臨床を踏まえた統合失調症治療
共催: | Meiji Seika ファルマ株式会社 |
座長: | 嶽北 佳輝(関西医科大学医学部精神神経科学教室) |
演者: | 岸 太郎(藤田医科大学医学部精神神経科学講座) |
統合失調症におけるLAIに対する処方医のAttitudeについて
共催: | ヤンセンファーマ株式会社 |
座長: | 稲田 健(東京女子医科大学医学部 精神医学講座) |
演者: | 小口 芳世(聖マリアンナ医科大学神経精神科学教室) |
統合失調症薬物療法の新たな視点 ~ドパミンD3受容体に着目して~
共催: | 大日本住友製薬株式会社 |
座長: | 岩田 仲生(藤田医科大学医学部精神神経科学講座) |
演者: | 久住 一郎(北海道大学大学院医学研究院精神医学教室) |
モーニングセミナー
不眠症の診断と治療薬の使い分け ~レンボレキサントの有用性を含めて~
共催: | エーザイ株式会社 |
座長: | 内村 直尚(久留米大学) |
演者: | 鈴木 正泰(日本大学医学部精神医学系) |
うつ病患者のレジリエンスを邪魔しない治療とは?
共催: | ヴィアトリス製薬株式会社 / 大日本住友製薬株式会社 |
座長: | 井上 猛(東京医科大学精神医学分野) |
演者: | 大坪 天平(東京女子医科大学東医療センター) |
イブニングセミナー
共催: | 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 医薬開発本部 |
座長: | 中込 和幸(国立精神・神経医療研究センター) |
CIASの疫学・診断・長期予後
演者: | 池澤 聰(東京大学大学院総合文化研究科ギフテッド創成寄付講座、国立精神・神経医療研究センター病院第一精神診療部、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所児童・予防精神医学研究部) |
CIASの臨床評価
演者: | 兼田 康宏(医療法人翠松会岩城クリニック) |
抗精神病薬治療の最大のunmet needs~未知かつ治療が困難な抗精神病薬副作用に挑む
共催: | 田辺三菱製薬株式会社 |
座長: | 渡邊 衡一郎(杏林大学医学部精神神経科学教室) |
演者: | 堤 祐一郎(医療法人永寿会 恩方病院) |
抗うつ薬の至適用量を考える
共催: | 持田製薬株式会社 / 吉富薬品株式会社 |
座長: | 大坪 天平(東京女子医科大学東医療センター精神科) |
演者: | 寺尾 岳(大分大学医学部精神神経医学講座) |