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共催企業ウェビナー
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ICD講習会

:日本語セッション
:英語セッション
:日英セッション

 

基調講演 

Accelerating tuberculosis drug development

2021年3月24日(水) 19:00~21:00 チャンネル1
座長:大原 直也(岡山大学)、片山 誠一(岡山理科大学)
演者:Stewart Cole(パスツール研究所 所長)

 

特別講演1 

次世代シーケンサの活用によって広がる細菌のゲノム研究

2021年3月23日(火) 14:00~15:00 チャンネル1
座長:内藤 真理子(長崎大学)
演者:林 哲也(九州大学)

 

特別講演2 

Muse細胞のもたらす新しい医療

2021年3月25日(木) 12:45~13:35 チャンネル1
座長:藤井 潤(鳥取大学)
演者:出澤 真理(東北大学)

 

【YRS1】若手研究者支援シンポジウム1 

海外研究留学が変えた私の研究者人生 明日への扉を開こう

2021年3月23日(火) 09:15~11:45 チャンネル2
コンビーナ:港 雄介(藤田医科大学)、平川 秀忠(群馬大学)

演者:港 雄介(藤田医科大学)、平川 秀忠(群馬大学)、宮腰 昌利(筑波大学)、北尾 公英(岐阜大学)、鈴木 仁人(国立感染症研究所)

パネリスト:港 雄介(藤田医科大学)、平川 秀忠(群馬大学)、宮腰 昌利(筑波大学)、北尾 公英(岐阜大学)、鈴木 仁人(国立感染症研究所)、瀬川孝耶(University of Minnesota)

ビデオメッセージ:E. Peter Greenberg (University of Washington, Professor), Gary M. Dunny (University of Minnesota, Professor), Jorg Vogel (University of Wurzburg, Professor), Maria Hadjifrangiskou (Vanderbilt University, Associate Professor), Elizabeth M. Adamowicz (University of Minnesota, Postdoc)

概要:
海外研究留学では、国内で出会えない研究テーマに遭遇し、異なる考え方を持つPrincipal Investigator(PI)や同僚と切磋琢磨しながら研究を行うことができる。そのため若手研究者にとって留学は研究人生を飛躍させる大きなチャンスである。他方、全く異なる環境に飛び込むことは大きなリスクでもあり、必ずしも留学は研究者のキャリア形成にプラスに作用するとは限らない。本シンポジウムでは、米国または欧州に留学経験を持つパネリストおよび、米国人PIや現在留学中の日本人研究者から次世代細菌学研究者に向けたメッセージをいただき、留学を研究人生飛躍の場として最大限に活かす戦略について議論する。具体的には、理想的な留学先の見つけ方や留学時の過ごし方、留学後のキャリアの考え方を総合的に議論するとともに、卒業後に留学を考えている大学院生も含め、これから留学を考えている若手研究者から質問を受け付けて、若手研究者のキャリアアップに繋がるシンポジウムとしたい。

 

【YRS2】若手研究者支援シンポジウム2 

研究環境の選択と適応 -テーマの探し方、付き合い方-

2021年3月23日(火) 13:00~15:00 チャンネル2
コンビーナ:阿戸 学(国立感染症研究所)、松本 靖彦(明治薬科大学)

演者:阿戸 学(国立感染症研究所)、松本 靖彦(明治薬科大学)、尾花 望(筑波大学)、松本 光晴(協同乳業株式会社)

概要:
新型コロナウイルス感染症により、社会が大きな影響を受けている。細菌学研究においても、その母体となる研究機関・大学の活動制限及び経済基盤の動揺により危機に面している。新型コロナ前から、若手研究者のキャリア形成や将来展望については、その短期間雇用や不確実性で「キャリアの辺獄」(Nature, 585:160.(2020)とも呼ばれて問題視されていた。今や、新型コロナが追い打ちをかける形で、最も立場の弱い若手研究者が厳しい状態に晒されている。本シンポジウムでは、若手研究者の支援のため、研究者として「生き残り」を図ってきた立場の異なる研究者が、「生き残り」を可能にする研究テーマの選択、そのために必要なキャリアの種類や意思決定時期、という観点から、研究施設・企業等の研究組織・ポストを紹介する。若手研究者のキャリア選択と研究展開についてWebinarシステムを使い双方向に活発に議論したい。

 

【YRS3】若手研究者支援シンポジウム3

異分野融合研究の推進

2021年3月24日(水) 09:15~11:45 チャンネル2
コンビーナ:玉井 栄治(松山大学)、内山 淳平(麻布大学)

演者:玉井 栄治(松山大学)、石田 卓也(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)、尾鶴 亮(鳥取大学)、若尾 昌平(東北大学)、岩瀬 忠行(東京慈恵会医科大学)、光永 眞人(東京慈恵会医科大学)、内山 淳平(麻布大学)、宮崎 直幸(筑波大学)

概要:
一つの分野だけの研究では、新しいサイエンスが生まれることは難しく、学術領域を超えた他分野との融合が求められる時代となっています。近年、ナノ技術や分析技術の著しい発展により、高度な解析ができるようになりました。しかし、高度な解析を行うためには、高価な機器や専門技術・知識が必要であり、導入にはハードルが高いのが現状です。また、他分野と細菌学が相互にアプローチすることで、新たなブレイクスルーやお互いの利用価値が見つかる可能性があります。本シンポジウムでは1セッション2人という形をとり、1名には異分野の現状、異分野から見た細菌学等を紹介していただき、もう1名には異分野との共同研究の実例を紹介いただきます。最後に、異分野と共同研究するためのコツを議論する予定です。本シンポジウムは、細菌学会会員に異分野との共同研究を身近に感じていただき、共同研究への動機作りを目的と致します。

 

【YRS4】若手研究者支援シンポジウム4 

臨床細菌学研究 -臨床現場・感染症医との協働-

2021年3月24日(水) 16:00~18:00 チャンネル2
コンビーナ:佐藤 豊孝(札幌医科大学)、和知野 純一(名古屋大学)

演者:佐藤 勇樹(札幌医科大学)、青木 弘太郎(東邦大学)、木下 真央(京都府立医科大学)、河野 正充(和歌山県立医科大学)

概要:
昨今のCOVID-19のパンデミックを代表とする新興感染症の発生や薬剤耐性菌による世界的な問題、高齢社会を抱えて懸念される各種感染症の患者数の増加や重症化といった社会的背景から、わが国を含めた国際社会において「臨床」を見据えた感染症対策に対する質の高いかつ迅速なアプローチが求められている。その中において臨床細菌学研究は、各種細菌感染症の予防・治療に資する科学的知見を見出す上で極め重要な役割を担い、その根幹を支える基礎細菌学研究の一層の推進および両細菌学の融合的研究が重要である。本シンポジウムでは、臨床現場ー臨床細菌学研究ー基礎細菌学研究といった統合型細菌学研究の枠組みの推進に日本細菌学会がどのような役割を担い、また、いかにしてそれらの成果を社会に還元していけるのかといった議論を、それぞれの現場で細菌学研究に従事するシンポジスト(臨床医、検査技師、基礎講座の研究員など)からご講演いただき成熟させたい。

 

【YRS5】若手研究者支援シンポジウム5 

産業化を組み込む細菌学の生存戦略

2021年3月25日(木) 09:15~11:45 チャンネル2
コンビーナ:島本 整(広島大学)、二川 浩樹(広島大学)
共催:広島大学 日本食・発酵食品の革新的研究開発拠点

演者:島本 整(広島大学)、二川 浩樹(広島大学)、永利 浩平(株式会社優しい研究所)、福田 真嗣(慶應義塾大学)、乾 将行(地球環境産業技術研究機構(RITE))

概要:
研究者が行っている研究成果が産業化されることによって,社会に貢献できるとともに共同研究費や特許料収入による研究費への還元も図ることができます。しかしながら,実際に研究シーズを産業化するとなると大きなハードルがあるのが現状です。本シンポジウムではオーガナイザーを含む5人のパネリストから自らの研究紹介と産業化を考えた経緯,企業との共同研究などについて紹介していただき,研究の産業化について議論を深めたいと考えています。本シンポジウムが細菌学会会員(特に若手研究者)にとって研究の産業化や企業との共同研究を身近に感じていただき,研究シーズを発展させる機会となることを期待しています。

 

学会企画
招待講演(学会賞受賞者による)
細菌学若手コロッセウム
中・高校生研究発表セッション
学会本部企画セッション

学会本部企画セッション 

新型コロナに立ち向かう細菌学会が成すべき行動と変革

コンビーナ:菊池 賢(東京女子医大)、松下 治(岡山大学)

演者:赤池 孝章(東北大学)、長谷川 直樹(慶応大学)、菅井 基行(感染研)、槇村 浩一(帝京大学)、菊池 賢(東京女子医大)

概要:
COVID-19が地球に出現して1年が経過した。この新興感染症は日本でも2021年1月7日現在、累計感染者数26万人、死者3800人を越え、遂に2回目となる非常事態宣言が発令された。COVID-19は我々の日常を奪い、新たな生活様式を強いるばかりでなく、医療はもとより、政治、経済、教育、文化などの社会活動にも大きな変革が求められている。COVID-19はコロナウイルスによる急性呼吸器感染症だが、その病態はまだまだ未解明なことが多い。免疫機構に大きな影響を及ぼすことから、細菌感染症、抗酸菌感染症、真菌感染症などへの影響も懸念されるし、医療原資を割かれる事での病院感染や耐性菌跋扈の引き金にもなりかねない。予防や治療薬も未知数である。感染症の基礎、疫学解析、教育の一躍を担う日本細菌学会がこの猖獗にどのように対峙して、変革をもたらすべきかも、また問われている。本企画ではCOVID-19下で、日本細菌学会がどのようにこの難題に立ち向かい、問題解決、新たな展望を提示出来るか、多いに議論したい。

 

【共催】細菌学若手コロッセウム-若手研究者による最先端研究- 

若手研究者による最先端研究:細菌学の明日を切り拓く若人たちの発想と挑戦、今此処に!

2021年3月23日(火) 16:00~21:00 チャンネル2
コンビーナ:山口 雅也(大阪大学)、山崎 聖司(大阪大学)、高野 智弘(国立感染症研究所)、一色 理乃(早稲田大学)
共催:細菌学若手コロッセウム 準備委員会

演者:藤木 純平(酪農学園大学)、河合 聡人(藤田医科大学)、大嶋 淳(大阪大学)、前田 智也(理化学研究所)、平松 征洋(大阪大学)、久留島 潤(群馬大学)、林 航(信州大学)、松本 愛理(徳島大学)、雫石 早矢佳(横浜市立大学)、古閑 修輝(大阪大学)、永沢 亮(筑波大学)、松榮 美希(金沢大学)

概要:
細菌学若手コロッセウムは、今後の細菌学分野を担う若手研究者が切磋琢磨する場となることを目的とした、合宿形式の学術集会です。若手コロッセウムでは、"微生物"をキーワードとしながらも専門分野の異なる若手研究者が、率直な疑問・意見をぶつけあいます。そこでは、若手研究者の成長だけでなく、新しいネットワークの構築や日本における細菌学の裾野拡大も期待されます。今年度は、8月31日から9月2日にかけて「第14回 細菌学若手コロッセウム in 南紀白浜」が開催される予定でしたが、新型コロナ感染症のため残念ながら中止となりました。本セッションでは、中止となった若手コロッセウムにおいて行われたであろう交流を補うべく、現在活躍中の若手研究者にご自身の研究を紹介していただくとともに、活発な議論を行いたいと思います。

公募企画
シンポジウム
ワークショップ
イブニングワークショップ

公募企画
オンデマンド口頭発表

【S1】シンポジウム1 

生命金属の新潮流

2021年3月23日(火) 09:15~11:45 チャンネル1
コンビーナ:中川 一路(京都大学)、澤 智裕(熊本大学)
共催:新学術領域研究「生命金属」

演者:横山 武司(東北大学)、中木戸 誠(東京大学)、澤井 仁美(兵庫県立大学)、古川 良明(慶応大学)、相川 知宏(京都大学)

概要:
鉄、亜鉛、銅をはじめとするいくつかの金属元素は、生体内に微量しか存在しないものの、エネルギー変換、物質変換、情報変換など重要な生命現象に関わっている。あらゆる生物の生命を維持する上で必須の金属や半金属元素を「生命金属」と定義すると、生命金属の吸収、輸送、運搬、感知、活用といった生体内動態は厳密に制御され、その破綻は疾病の原因となる。病原性細菌にとっても、病原性遺伝子の発現やその制御において、金属は重要な機能を担っている。その一方で、これまで「表現系」のみで解析されてきた細菌の金属の獲得・制御メカニズムがその構造的な解析と共に機能的に詳細な解析が可能となってきている。本シンポジウムでは、生命金属による細胞機能の制御メカニズムを、化学・構造生物学・分析化学や創薬対象として幅広い視点からの最新知見を交えて紹介し、「生体金属科学」研究が迎えた新たな展開と将来展望について議論したい。

 

【S2】シンポジウム2 

病原細菌の宿主適応―細菌は病気を起こさせたい訳ではない?

2021年3月23日(火) 09:15~11:45 チャンネル3
コンビーナ:三室 仁美(大阪大学)

演者:三室 仁美(大阪大学)、今西 市朗(北里大学)、桑原 知巳(香川大学)、小椋 義俊(久留米大学)、児玉 年央(長崎大学)、藤永 由佳子(金沢大学)

概要:
これまでの病原細菌学では、病原細菌を、“人間に敵対する微生物”として捉え、病原細菌がどのようにして病気を引き起こすか、を中心とした研究が展開されてきた。しかし、病原細菌も一生命体であり、有利な自己分裂・増殖環境を求め、生命現象を営んでいる。そして、宿主や他の微生物との相互作用のなかで、病原細菌自身が生きながらえるための生存戦略として獲得したものが、たまたま人間にとって病原性を示すものであったのかもしれない。本セッションでは、病原細菌の目線に立ち、宿主適応と病原性を基軸とした病原細菌の生態解明研究について理解を深める場としたい。

 

【S3】シンポジウム3 

真菌と生存空間を共有する微生物から見た真菌学

2021年3月23日(火) 09:15~11:45 チャンネル4
コンビーナ:田邊 公一(龍谷大学)、豊留 孝仁(帯広畜産大学)
共催:日本医真菌学会

演者:西澤 智康(茨城大学)、浦山 俊一(筑波大学)、高塚 翔吾(国立感染症研究所)、高橋-中口 梓(千葉大学)、田邊 公一(龍谷大学)

概要:
菌が存在する実空間は、実験室空間とは異なり、免疫系の細胞のほか、ウイルスを含めた他の微生物と生育環境を共有している。そのため、病原性を含め、真菌のさまざまな形質は真菌単独の性質によってのみ生じるのではなく、共存する微生物が介在することで成立していることが、分かり始めている。そこで、本シンポジウムでは、それら真菌と生存空間を共有する微生物に関わる研究を紹介してもらい、実空間における真菌の姿の理解を深め、停滞する抗真菌薬開発等の研究へつながるブレークスルーに向けた議論ができることを期待する。

 

【S4】シンポジウム4 

病原細菌と宿主免疫の鬩ぎ合い

2021年3月24日(水) 09:15~11:45 チャンネル1
コンビーナ:久堀 智子(岐阜大学大学院医学系研究科)、日吉 大貴(長崎大学熱帯医学研究所)

演者:北尾 公英(岐阜大学)、塚本 健太郎(藤田医科大学)、山崎 晶(大阪大学)、津川 仁(慶應義塾大学医学部)、日吉 大貴(長崎大学熱帯医学研究所)、三木 剛志(北里大学)

概要:
私たちの体に備わっている免疫機構は、なんらかの方法で体中に侵入した病原細菌を、洗練されたメカニズムによりいち早く認識、それを排除しようと試みます。しかし病原細菌側も、様々な病原因子を用いてそのような複雑な免疫機構を巧みに回避、場合によっては利用することで増殖する場所をみつけ、結果として病態を引き起こすことがあります。そのような、感染時に見られる「病原菌と宿主免疫のせめぎ合い」は、細菌の種類、宿主の状態や免疫細胞の組み合わせにより多種多様でとても興味深いものである反面、その複雑さは解析を困難なものにしています。本セッションでは、私達の体の中でどのような「せめぎ合い」が起きているのかについて、病原細菌と宿主免疫、それぞれの多角的な視点からのご研究を紹介して頂き、今後の研究のさらなる展開へとつながる議論を深めていきたいと考えています。

 

【S5】シンポジウム5 

集団微生物学と細菌バイオフィルム研究の前線

2021年3月24日(水) 09:15~11:45 チャンネル3
コンビーナ:野村 暢彦(筑波大学)、泉福 英信(国立感染症研究所)
共催:JST ERATO野村集団微生物制御プロジェクト

演者:野村 暢彦(筑波大学)、泉福 英信(国立感染症研究所)、高橋 信博(東北大学)、竹下 典男(筑波大学)、若井 暁(国立研究開発法人・海洋研究開発機構)

概要:
細菌は、二分裂して増殖する生物であるが、分裂しても集団を形成することが殆どで、環境や生体でマイクロバイオームを形成するなど、他菌種との集団を形成することも多く、それらは単個菌とは異なる性質を有し、集団として、多細胞生物のような振る舞いが観察される。このような微生物集団の多くが、バイオフィルムとも称され、農業、工業、医療などそれぞれの局面で腐食や難治性感染症などの重大な問題を提起している。細菌集団の生物学的意義を明らかにするとともに、関連する問題を打開するための集団微生物学の難点は、集団の中の菌が見えにくい、個々の役割を解析しにくい点であったが、近年の細菌集団を観る技術や解像度の上昇、個々の細菌を分離し解析する技術浸透により、細菌の分子生物学と相まって、該領域の新知見の蓄積が著しい。本シンポジウムでは、集団微生物学と細菌バイオフィルム研究の最前線の研究者に講演いただき、バイオフィルム研究についての最新のトピックスを紹介する。

 

【S6】シンポジウム6 

細胞外マトリックスを認識する接着因子~病原細菌の感染戦略について~

2021年3月24日(水) 09:15~11:45 チャンネル4
コンビーナ:松永 望(岡山理科大学)

演者:小倉 康平(金沢大学)、橋本 渉(京都大学)、住友 倫子(大阪大学)、古玉 芳豊(岩手医科大学)、堀 克敏(名古屋大学)、松永 望(岡山理科大学)

概要:
細菌が宿主に感染する際、まず細菌が宿主組織・細胞に「接着する」必要がある。現在まで、多くの細菌で様々なタンパク質性の接着因子が発見されてきた。これらには、宿主の細胞表面や組織に存在するグリコサミノグリカン、コラーゲン、フィブロネクチンなどの細胞外マトリックス(ECM)を認識するものがある。近年、一部の接着因子は宿主に結合するのみならず、バイオフィルム形成や宿主細胞内への侵入に関与することが明らかとなり、注目されている。ECMはあらゆる組織に存在し、多細胞生物の安定した生存環境を維持するために必要な物質である。ECMを認識する接着因子の詳細な機能解析は宿主細菌相互作用の解明および感染症の予防・治療にも貢献すると考えられる。接着因子のECMとの関係性および機能解析から細菌の感染戦略について有意義な議論の場を提供することを目指す。

 

【S7】シンポジウム7 

細胞内センサーによる病原体認識の新機軸

2021年3月25日(木) 09:15~11:45 チャンネル1
コンビーナ:野澤 孝志(京都大学)、小川 道永(国立感染症研究所)

演者:芦田 浩(東京医科歯科)、山本 雅裕(大阪大)、小川 道永(感染研)、下畑 隆明(徳島大)、森田 英嗣(弘前大)、野澤 孝志(京都大)

概要:
細胞侵入性の病原体は宿主の免疫バリアを回避するために宿主細胞内へと侵入する。さらに、細胞内ではリソソームによる殺菌、感染細胞の細胞死等の排除機構を巧妙に回避することで生存・増殖のニッチを獲得し、最終的に他の個体へと伝播することで感染を成立させる。一方で、宿主細胞は病原体の付着、侵入、細胞内寄生、エンドソーム膜の破壊、細胞内増殖、隣接細胞への再感染などの感染の各プロセスを監視するために、多くの細胞内センサーを張り巡らしていることが最新の研究から明らかになってきた。そこで本シンポジウムでは、細胞死、炎症応答、オートファジー、寄生胞の破壊といった宿主細胞が発動させる異物排除システムにおいて、宿主細胞の細胞内センサーがどのように細胞内に侵入した病原体を察知し、どのように排除するかに焦点を当て、その分子機構について病原体、宿主双方の視点から最新の知見を紹介する。

 

【S8】シンポジウム8 

細菌エピジェネティクスとメタエピゲノミクス、DNAメチル化を中心に

2021年3月25日(木) 09:15~11:45 チャンネル3
コンビーナ:小林 一三(法政大学)、リチャード・J・ロバーツ(ニューイングランド・バイラブズ)、ヨナス・コーラック(パシフィック バイオサイエンシズ)

演者:ヨナス・コーラック(パシフィック バイオサイエンシズ)、リチャード・J・ロバーツ(ニューイングランド・バイラブズ)、マイケル・P・ジェニングズ(グリフィス大学)、小林 一三(法政大学)、福世 真樹(千葉大学)、平岡 聡史(海洋研究開発機構)

概要:
一分子リアルタイムシーケンシング(SMRT)は、細菌メチロームという新しい眺望を切り開いた。配列特異的なDNAメチル化酵素は階層的に遺伝子発現ネットワークを作り、その配列特異性の頻繁な変換はメチロームとそのネットワークとを作り変え、適応を準備する。DNAメチル化酵素は細菌界中を動き回り、その構成員にエピジェネティックな関係を作り出す。メタエピゲノム解析は、その様な関係をあらわにするだけでなく、種内の多様なエピゲノム間の選択によるダーウィン的かつラマルク的な進化を明らかにする。

 

【S9】シンポジウム9 

ディスバイオーシス研究最前線―常在細菌叢の構成変化から非感染性疾患発症リスクをどこまで明らかにできるか―

2021年3月25日(木) 09:15~11:45 チャンネル4
コンビーナ:岡本 成史(金沢大学医薬保健研究域)、吉田 明弘(松本歯科大学)

演者:竹田 潔(大阪大学大学院医学系研究科)、朝原 崇(株式会社ヤクルト本社中央研究所)、中島 沙恵子(京都大学大学院医学研究科)、大貝 和裕(金沢大学医薬保健研究域)、片山 高嶺(京都大学大学院生命科学研究科)

概要:
今世紀初頭よりメタゲノム解析によるマイクロバイオーム研究が立ち上がり、謎に包まれていた常在細菌叢と宿主との関係の一端がみえつつある。例えば、常在細菌叢の構成変化(ディスバイオーシス)と菌交代症、自己免疫疾患、生活習慣病などの発症リスクとの関連が示唆され、一部の疾患において、ディスバイオーシスによる疾患発症のメカニズムが明らかにされている。一方、それらの疾患発症予防と健康増進からみた各種細菌叢ならびにその細菌の取り込む栄養成分の役割(シンバイオティクス)に関する研究が活発に進められている。さらに最近、保健学の立場から問題となっている高齢者の健康障害とマイクロバイオームとの関連性を探る研究も立ち上がっている。本シンポジウムでは、上記視点からマイクロバイオーム研究を進めている演者の方々に現在までの研究成果と今後の展望などを発表して戴き、今後細菌学が挑戦すべき課題を明らかにしていきたい。

 

【S10】シンポジウム10 

進化的観点から見つめる微生物

2021年3月25日(木) 15:45~18:15 チャンネル2
コンビーナ:垣内 力(岡山大学)、市橋 伯一(東京大学)
共催:新学術領域研究『進化の制約と方向性 ~微生物から多細胞生物までを貫く表現型進化原理の解明~』

演者:垣内 力(岡山大学)、古澤 力(理化学研究所)、柏木 明子(弘前大学)、市橋 伯一(東京大学)

概要:
微生物が持つ様々な生物機能は多様な研究手法により調べられて来たが、未だ微生物が特定の生物機能を獲得し、進化するメカニズムは明らかになっていない。生物機能の獲得メカニズムの理解を目指して、様々な生物種において、実験的な進化実験が行われている。本シンポジウムでは、細菌とウイルスの実験的な進化実験、試験管内の生体分子の進化実験について最新の知見を紹介し、分野横断的に生物進化を議論することで、微生物の進化メカニズムの理解に役立てたい。

 

【S11】シンポジウム11 

抗菌薬標的タンパク質の生化学

2021年3月25日(木) 15:45~18:15 チャンネル3
コンビーナ:田辺 幹雄(高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所)、村田 武士(千葉大学 理学研究院)

演者:西野 邦彦(大阪大学 産業科学研究所)、新谷 泰範(国立循環器病研究センター)、佐藤 啓子(長崎大学 医歯薬学総合研究科)、横山 武司(東北大学 生命科学研究科 理化学研究所 生命機能科学研究センター)、村田 武士(千葉大学 理学研究院)

概要:
薬剤耐性菌の蔓延が世界的にも深刻な問題となりつつある中、新規抗菌薬開発へのニーズは日々高まっています。抗菌薬の開発はその収益性の低さから、製薬企業も取り組みづらい課題の一つであると同時に、アカデミアの基礎研究の活躍が望まれています。細菌感染症への防御や化学療法への将来的な活用を目指す研究において、その標的分子となるタンパク質の同定、分子生物学的な理解、さらには精製タンパク質を用いた生化学的な解析は避けて通ることはできません。その中でも標的タンパク質の発現・精製・生化学解析システムの構築はハードルが高く、後回しになりがちな研究分野でもあります。抗菌薬開発の標的分子となるタンパク質を用いた生化学研究の専門家にご講演いただき、その重要性と課題について議論したいと思います。

 

【S12】シンポジウム12 

あなたの知らないファージの世界

2021年3月25日(木) 15:45~18:15 チャンネル4
コンビーナ:安藤 弘樹(岐阜大学・アステラス製薬)、氣駕 恒太朗(自治医科大学)

演者:安藤 弘樹(岐阜大学・アステラス製薬)、満仲 翔一(岐阜大学)、武田 茂樹(群馬大学)、藤本 康介(大阪市立大学・東京大学)、望月 智弘(東京工業大学)、ムジア クタテラジェ(Eliava研究所)

概要:
いま、ファージ研究が “熱い” 。ファージセラピーに対する注目度の高さや、CRISPR/Casを始めとする、細菌が持つファージ耐性機構の発見とそこから派生した遺伝学ツールの革新性がこの盛り上がりを牽引している。
「ファージ」は細菌に感染するウイルスの総称であり、地球上で最も多い生命体様構造物だと言われている。従ってその研究対象は幅広く、ファージ自体の機能解析や構造解析はもちろん、宿主細菌の宿主(例えば私たちヒト)との相互作用、細菌感染症の検査・治療への応用、有用物質の生産やスクリーニング、遺伝学ツールとしての利用など、分野を横断した基礎・応用研究が盛んに行われている。本シンポジウムでは、ファージに関連する様々な研究分野で活躍されている国内外の研究者に登壇していただく。その中にはきっと「あなたの知らないファージの世界」があるはずだ。最新の研究成果を共有していただきながら、ファージ研究の“次なる一手”を議論したい。

 

【WS1】ワークショップ1 

ワクチン開発を進めるきっかけとなった細菌学・免疫学研究

2021年3月23日(火) 13:00~15:00 チャンネル3
コンビーナ:木村 聡一郎(東邦大学)、中尾 龍馬(国立感染症研究所)

演者:金城 雄樹(東京慈恵会医科大学)、松本 壮吉(新潟大学)、小野寺 大志(国立感染症研究所)、中尾 龍馬(国立感染症研究所)

概要:
感染症の発症予防に有用であるワクチンは様々な感染症に対して利用されてきたが、ワクチンによっては感染症に対する発症・重症化予防効果が低いものもあり、またワクチンによる副反応も問題となる。このため、これまでとは異なるワクチンターゲットやアジュバントの創出が重要となる。本ワークショップでは、ワクチン開発を進めるきっかけとなった細菌学・免疫学研究に焦点を当てて、各演者に現在のワクチン研究の方向性を紹介いただく予定である。特に「細菌学・免疫学研究を開始した当初の研究目的」を提示頂いた後に「なぜワクチンに応用可能だと考えたのか」を含めて御講演いただくことにより、参加者の細菌学・免疫学研究の新たな方向性を考えるきっかけになること、また既にワクチンに携わっている研究者にとっても、ワクチン開発のさらなる推進力となることを期待している。

 

【WS2】ワークショップ2 

腸内微生物叢の今

2021年3月23日(火) 13:00~15:00 チャンネル4
コンビーナ:阪口 義彦(北里大学)、原 英樹(慶應義塾大学)

演者:松本 光晴(協同乳業株式会社研究所)、大木 海平(ヤクルト中央研究所)、小田巻 俊孝(森永乳業株式会社)、坂本 光央(国立研究開発法人理化学研究所)、原 英樹(慶應義塾大学)、阪口 義彦(北里大学)

概要:
私たちの健康や疾患には、ヒトと共生関係にある微生物叢が深く関与している。近年、微生物叢の研究により、細菌学的に重要な知見が得られてきた。その1例として脳腸相関が世界的に注目されている。腸内微生物叢の研究では、糞便の16S rRNA解析およびメタゲノム解析のデータが蓄積されてきたと共に、他方では腸内の様々な難培養菌の分離・同定が試みられている。近年の学術研究は、分野の境界がなく異分野融合による新しい分野創生や若手育成という面でも連合の必要性が高まっている。そこで、本ワークショップでは「腸内微生物叢の今」を企画した。本企画の演者は、「腸内微生物叢」というキーワードを基に幅広い分野から横断的に選出したので、異分野間の議論を交わすことで革新的な発見や技術の展開が期待される。

 

【WS3】ワークショップ3

細菌学とマイクロバイオーム研究

2021年3月23日(火) 16:00~18:00 チャンネル1
コンビーナ:秋山 徹(国立国際医療研究センター)

演者:永田 尚義(東京医科大学)、東樹 宏和(京都大学)、高安 伶奈(東京大学)、西嶋 傑(産業技術総合研究所)

概要:
次世代シーケンサの発達と共に、種々のマイクロバイオームの研究が盛んになっている。最も注目されているのは腸内細菌叢と健康・疾患の関係であるが、皮膚や唾液、さらには環境由来など、検体種の広がりは我々の想像を超えている。細菌叢の解析は創薬にもつながり、生菌製剤や選択的除去、宿主因子の制御(活性化や阻害)といった観点での研究が進められようとしている。オリンピック・パラリンピックが開かれれば人々がイベントに集まる「マスギャザリング」により日本ではほとんど見られない薬剤体性菌の侵入のような新たな感染症の局面が発生するかもしれない。細菌叢の研究はヒトに留まらず、家畜などでも重要な分野となっており、多くの研究が実施されている。本セッションでは、細菌学に関連するマイクロバイオーム研究を多面的に紹介し、細菌学研究者に新たな話題を提供したい。

 

【WS4】ワークショップ4(一般演題から選抜) 

選抜ワークショップ:微生物の分類・生理・構造・生態/微生物応用

2021年3月23日(火) 16:00~18:00 チャンネル4
コンビーナ:関崎 勉(東京大学)、長宗 秀明(徳島大学)

演者:大久保 寅彦(北大院・保科・病態解析)、渡邉 健太(山口大・共同獣医・獣医公衆衛生)、関本 美樹(早大・先進理工・生命医科)、笹嶋 雄也 (大阪市大・院理) 、木山 花(大阪市大・院理)、中根 大介(電気通信大学・基盤理工)、細見 晃司(医薬基盤・健康・栄養研究所)、矢原 耕史(感染研・AMR)

概要:
本ワークショップでは,「微生物の分類・生理・構造・生態/微生物応用」の分野に応募された一般演題の中から選抜された8 人の会員による口頭発表が行われます。演者の選抜は,日本細菌学会のシンポジウム企画調整委員会によって行われ,また口頭発表を行う8 人の会員にはオンデマンド口頭発表も行って頂きます。

 

【WS5】ワークショップ5 

新たな視点から口腔内細菌を見つめる―個々の病原体から菌叢解析まで―

2021年3月24日(水) 16:00~18:00 チャンネル1
コンビーナ:大原 直也(岡山大学)、小松澤 均(広島大学)

演者:中山 真彰(岡山大学)、吉田 明弘(松本歯科大学)、松尾(川田) 美樹(広島大学)、久保庭 雅恵(大阪大学)、福田 真嗣(慶應義塾大学)

概要:
細菌叢解析が細菌学研究の大きな潮流になっている。特に腸管細菌叢研究は爆発的勢いで進んでおり、各種疾患との関連が次々と取り上げられている。消化管入り口である口腔の細菌では全身の疾患との関係はより古くから言われてきた。最近では口腔細菌と腸管細菌叢の関係がクローズアップされ、また、両者を融合した理解が進み、口腔細菌が腸管細菌叢に加わることで各種疾患の発症や重症度に影響することが明らかになりつつある。口腔細菌―腸管細菌叢―各種疾患の連携である。各種疾患との関係を語るに”マス”で捉える細菌叢は魅了的であるが、一方で、P. gingivalisの線毛タイプと歯周病原性との関連性等、細菌の個体レベルでの解析も重要である。本シンポジウムでは代表的なう蝕原性細菌と歯周病原細菌の解析を行っている研究者と細菌叢解析の研究者に同じ場で発表していただき、口腔細菌を包括的視点から捉えるきっかけになることを目指す。

 

【WS6】ワークショップ6(一般演題から選抜) 

選抜ワークショップ:微生物の分子論(遺伝子・タンパク質・情報伝達・代謝・各種オミクス等)

2021年3月24日(水) 16:00~18:00 チャンネル3
コンビーナ:塩見 大輔(立教大学)、桑原 知巳(香川大学)

演者:中村 佳司(九大院・医・細菌学)、佐伯 達也1,2,(1bitBiome(株),2早大・ナノライフ創新研)、後藤 恭宏(慈恵医大・細菌学)、杉本 真也(慈恵医大・細菌学)、守田 匡伸(東北大・院医・環境医学)、東 孝太郎(阪大・院歯・口腔細菌)、海老原 慎也(阪大院・保・生体病態情報科学)、日野 千恵子(岡山大・院医歯薬・病原細菌)

概要:
本ワークショップでは,「微生物の分子論(遺伝子・タンパク質・情報伝達・代謝・各種オミクス等)」の分野に応募された一般演題の中から選抜された8 人の会員による口頭発表が行われます。
演者の選抜は,日本細菌学会のシンポジウム企画調整委員会によって行われ,また口頭発表を行う8 人の会員にはオンデマンド口頭発表も行って頂きます。

 

【WS7】ワークショップ7(一般演題から選抜) 

選抜ワークショップ:病原因子と生態防御(毒素・エフェクター・生理活性物質等)

2021年3月24日(水) 16:00~18:00 チャンネル4
コンビーナ:西川 喜代孝(同志社大学)、田端 厚之(徳島大学)

演者:瀧 雄介1,2(1自治医大・医・細菌学部門,2静岡県立総合病院・消化器外科)、阿松 翔1,2(1金沢大・医・細菌学,2金沢大・医・法医)、曵地 京(京都大・医・微生物感染症学)、熊谷 由美(順天堂大・医・生化学生体防御学)、今宮 里沙(京都府大・生命環境・食品安全性学)、藏根 友美(琉球大院・医・生体防御)、後藤 雅貴(北里大・院・感染制御科学府・分子細菌)、清水 健(千葉大学・大学院医学研究院・病原細菌制御学)、

概要:
本ワークショップでは,「病原因子と生態防御(毒素・エフェクター・生理活性物質等)」の分野に応募された一般演題の中から選抜された8 人の会員による口頭発表が行われます。演者の選抜は,日本細菌学会のシンポジウム企画調整委員会によって行われ,また口頭発表を行う8 人の会員にはオンデマンド口頭発表も行って頂きます。

 

【WS8】ワークショップ8 

低酸素環境と疾患(がん、感染症)の分子論

2021年3月25日(木) 12:45~14:45 チャンネル2
コンビーナ:鈴木 敏彦(東京医科歯科大学)

演者:中山 恒(旭川医科大学)、坂本 毅治(金沢大学)、山口 博之(北海道大学)、岡野 徳壽(東京医科歯科大学)、西村 晃史(新潟大学)

概要:
ヒトを含むほぼ全ての多細胞生物は、酸素を失えば生命を維持できない。その一方で生体内の酸素分圧は末梢に向かって低下し、さらに生理的環境要因(歯肉溝や大腸管腔など)や疾患(感染症やがんなど)によって定常的にあるいは一過性の低酸素状態になるなど決して一定ではない。1992年に細胞の低酸素誘導性因子Hypoxia Inducible Factor (HIF)が同定されて以来、細胞の低酸素応答機構の分子レベルでの理解が進んできた。がん微小環境における低酸素応答とがん細胞の増殖や転移能も注目されている。一方で、細菌感染における低酸素環境も考慮すべき環境因子である。歯肉溝に定着する嫌気性菌、消化管下部に定着する腸内細菌や腸管病原細菌も低酸素環境における感染症の代表例である。本WSは、そのような低酸素環境における宿主応答と関連するがんや感染症について、最近の知見を拝聴して理解を深めていく企画である。

 

【WS9】ワークショップ9(一般演題から選抜) 

選抜ワークショップ:病原因子と生態防御(感染モデル・寄生・免疫・ワクチン)/病原体と感染症

2021年3月25日(木) 12:45~14:45 チャンネル3
コンビーナ:藤永 由佳子(金沢大学)、住友 倫子(大阪大学)

演者:山﨑 奈穂(富士フイルム株式会社 R&D統括本部・バイオサイエンス&エンジニアリング研究所)、奥田 真由(筑波大・生命環境)、高原 悠樹1,2(1阪大・院歯・口腔細菌,2阪大・院歯・クラウンブリッジ)、袴田 真理子1,2(1新潟大・医・細菌学,2新潟大・医・呼吸器・感染症内科学)、大野 誠之1,2(1阪大・院歯・口腔細菌,2阪大・院歯・クラウンブリッジ)、矢野 大和(東北大学・大学院生命科学研究科)、菊池 賢(東京女子医科大学・感染症科)、黒田 誠(感染研・ゲノムセンター)

概要:
本ワークショップでは,「病原因子と生態防御(感染モデル・寄生・免疫・ワクチン)/病原体と感染症」の分野に応募された一般演題の中から選抜された8 人の会員による口頭発表が行われます。演者の選抜は,日本細菌学会のシンポジウム企画調整委員会によって行われ,また口頭発表を行う8 人の会員にはオンデマンド口頭発表も行って頂きます。

 

【WS10】ワークショップ10(一般演題から選抜) 

選抜ワークショップ:抗菌性物質・薬剤耐性

2021年3月25日(木) 12:45~14:45 チャンネル4
コンビーナ:中山 浩伸(鈴鹿医療科学大学)、西野 邦彦(大阪大学 産業科学研究所)

演者:西山 晃史(新潟大院・医歯学総合・細菌)、山本 尚輝(早大・先進理工・生命医科)、大野 友梨乃(早大・先進理工・生命医科)、高屋 明子1,2(1千葉大・院薬・活性構造化学,2千葉大・真菌セ)、平田 直(藤田医大・医・微生物)、山本 詩織(国立衛研・食品衛生管理)、中村 圭佑(酪農大・獣医・獣医生化)、須田 智也(杏林大・医・総合医療学)

概要:
本ワークショップでは,「抗菌性物質・薬剤耐性」の分野に応募された一般演題の中から選抜された8 人の会員による口頭発表が行われます。演者の選抜は,日本細菌学会のシンポジウム企画調整委員会によって行われ,また口頭発表を行う8 人の会員にはオンデマンド口頭発表も行って頂きます。

 

【EWS1】イブニング・ワークショップ1 

細菌べん毛研究の第2のビックバン!

2021年3月23日(火) 19:00~21:00 チャンネル1
コンビーナ:南野 徹(大阪大学)、小嶋 誠司(名古屋大学)

演者:南野 徹(大阪大学)、寺島 浩行(名古屋大学)、錦野 達郎(大阪大学)、マーク アーハート(フンボルト大学)、スーザン リー(オックスフォード大学)

概要:
1970年代初頭、細菌べん毛が回転分子モーターであると報告された第1のビックバンにより、べん毛運動メカニズムや遺伝子発現と厳密に共役した分子構築メカニズムなどが明らかになった。病原細菌のべん毛は単に運動マシナリーとして働くだけでなく、バイオフィルム形成や感染を誘導する分子センサーとしても機能する。べん毛はIII型分泌装置と構造的にも機能的にも似ていることから、細菌感染症の観点からも脚光を浴びている。近年のクライオ電子顕微鏡技術の発展により、 III型輸送コア複合体、回転子リング複合体、固定子複合体の構造が次々に解き明かされ、 今まさにIII型分泌や回転運動メカニズムについて原子レベルでの議論が可能となった。この第2のビックバンを記念し、細菌学分野のべん毛研究最前線を概観することを目標に本企画を提案した。べん毛機能の最新知見から細菌感染症におけるべん毛の働きまで、原子レベルで議論する。

 

【EWS2】イブニング・ワークショップ2 

世界結核デーにちなんで、世界の結核・抗酸菌症研究のこれまでと今

2021年3月23日(火) 19:00~21:00 チャンネル3
コンビーナ:松本 壮吉(新潟大学)、中島 千絵(北海道大学)

演者:慶長 直人(結核研究所)、Astrid Lewin(Robert Koch Institutes)、袴田 真理子(新潟大学)、Anura Rambukkana(The University of Edinburgh)、山本 太郎(長崎大学)

概要:
3月24日は、ロベルト・コッホが1882年のその日に結核菌を発見したことにちなんで、世界結核デーに指定されている。病原体の発見以来、本年で138年を数え、一定程度はコントロールできる疾病となったはずだが、いまなお結核菌は人命を最も奪っている病原体であり、結核は世界10大死因にランクされている。結核菌と類縁のらい菌によるハンセン病は、本邦での新規患者数は10名に満たないが、世界には未だ汚染地域が残っており、その二極性の病態の謎は解けていない。また非結核性抗酸菌(NTM)症は、先進国において結核の罹患率を上回り、且つ難治性であることから現代の難病ともいえる様相を呈している。本セッションは、世界結核デーにちなみ、臨床的に重要な抗酸菌症について、これまでの積み上げと、現在の研究について、その一部の紹介とはなるが、イブニングセッションとして、気軽に、且つ深く議論することを目的とする。