ご挨拶

この度、第42回日本炎症・再生医学会を2021年7月7日(水)と8日(木)の2日間、開催する運びとなりました。当初は、2年ぶりに皆様方が集う形式にて京王プラザホテルで予定しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の状況に鑑み、またご参加の方々の安全確保の観点から、やむを得ずオンライン開催に変更いたしました。伝統ある本学会の炎症・再生に関する継続的な幅広い学術知の集積の場となりますよう、会期中はLive配信と双方向の議論の機会を設けるとともに、後日に可能なかぎりオンデマンド配信をいたします。
1980年に発足した『日本炎症学会』は、炎症をめぐる基礎的および臨床的研究を推進して参りました。その過程で、炎症の修復過程での組織再生の重要が認識され、一連の学際的な領域をより広く包含する学会へと発展を遂げるため2000年に学会名を『日本炎症・再生医学会』として新たな活動を開始いたしました。それ以来、炎症医学領域と再生医学領域が相乗的に最先端研究を展開し疾患の病因・病態解明と治療法開発を目指す本学会ならではの研究の広がりが今日に至っております。
当第42回のテーマは「炎症・再生の相互理解を未来に活かす日~Diverse & United~」でございます。本学会が「日本炎症・再生医学会」となりました2000年からまる20年が経過した節目の2021年にあたり、炎症と再生の融合から20年間で培ってきた炎症・再生の相互理解という、多様性と統合によってなし得ることとなった研究の叡智を、尚以て未来に活かす大会となりますよう務めます。
当回は特別講演を、大阪大学の坂口志文教授(制御性T細胞による免疫応答制御と免疫疾患)、東京大学・スタンフォード大学の中内啓光教授(臓器ニッチおよび細胞競合ニッチを利用した異種個体内での移植臓器作出)、慶應義塾大学の本田賢也教授(腸内細菌を活用した疾患治療)、東京大学の合原一幸教授(未病の数理科学に基づく超早期精密医療への挑戦)にお願いいたしております。また、シンポジウム1「COVID-19と炎症・再生医学」をはじめとする12のシンポジウム、11の教育講演のほか、9セッションの一般演題(ポスター・口演)を、プログラム委員および関係の方々のご尽力で用意しております。
21世紀に入ったのがはや二昔となった今日においても、人類が新たに対峙し征圧しなければならないパンデミックが生じる時代であることを、本学会会員の皆様はもちろん、本学会の活動にご興味をお持ちの方々も実感されていることと拝察いたします。疾患の克服を目指す本学会の使命に鑑み、当第42回の学会がさらに一層、炎症・再生の相互理解をDiverse & Unitedにより相乗的に推し進めるべく、日頃の基礎的・臨床的取組の成果発表・討論の場になれば幸いでございます。会場におきまして直接、会員ならびに関係の皆様方にお会いしてご挨拶を申し上げられないことは残念でございますが、当回を皆様方にお楽しみいただけるよう最善を尽くして参りますので、何卒ご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

第42回日本炎症・再生医学会
会長 田賀 哲也
東京医科歯科大学 難治疾患研究所 幹細胞制御分野