大会長挨拶

大会長 佐野 統

謹啓 皆様におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
この度、第84回日本インターフェロン・サイトカイン学会学術集会を2019年8月2日(金)、3日(土)の2日間、神戸国際会議場で開催させて頂くことになりました。大変光栄なことと存じますとともに、この伝統ある学会に恥じない立派な学術集会にできるように全力を尽くす所存でございます。

本学会は、1961年に長野泰一先生により始められた「ウイルス抑制物質研究会」を端初として、「日本インターフェロン研究会」を経て、1998年より現在の「日本インターフェロン・サイトカイン学会」と改名されました。これまで実に81回の学術集会を行い、国際インターフェロン・サイトカイン学会を2回招致されました。この間、インターフェロンなどの国際標準品を設定するWHOの生物薬品専門家会議にも代表が送られており発展に寄与されてきました。その結果、難病とされていた炎症性疾患である関節リウマチを始め、乾癬、クローン病、大動脈症候群、アトピー性皮膚炎、気管支喘息などは、インターフェロン・サイトカインに対する抗体製剤が治療応用され、驚くような治療成績を上げており、これらの効果は各疾患においてパラダイムシフトを起こしたことは間違いのない事実です。この成果も、基礎研究から始まり臨床応用までを本学会で分野を超えて縦断的・横断的な講演と討論から生まれてきたものと考えております。このような背景から、第84回日本インターフェロン・サイトカイン学会学術集会のメインテーマは「サイトカインを標的とした次世代治療薬への展望」と致しました。

今回、大会長招聘講演にはToll様受容体やサイトカイン受容体からの細胞内シグナルの研究の世界的第一人者であり、兵庫医科大学名誉教授でもあります審良静男先生(大阪大学免疫学フロンテイア研究センター拠点長)にお願いしております。更に、5つのシンポジウム、7つのセミナーを通して、臨床への応用が著しく発展してきたサイトカインの基礎的研究分野で、先導的研究を展開している国内の研究者による発表と学会員との熱い討論を期待しております。

神戸港は、「務古水門(むこのみなと)」「大輪田の泊(おおわだのとまり)」と呼ばれていた古くから中国大陸や朝鮮半島の港と交流していました。近年では、平成7年(1995年)1月の阪神・淡路大震災により大きな被害を受けましたが、わずか2年で施設復旧を完了しました。平成18年には神戸空港が開港し、神戸は海・空・陸の総合交通体系が確立され、人・物・情報の交流拠点です。この神戸の地で、我が国のインターフェロン・サイトカインを標的とした次世代治療薬への展望を皆様とともに考えてみたいと思っております。

多くの方々、特に次世代を担う若い研究者のご参加と活発な議論を心より期待しております。

謹白

2018年7月吉日
第84回日本インターフェロン・サイトカイン学会学術集会
大会長 佐野 統
(京都岡本記念病院 院長/兵庫医科大学 名誉教授)