会長挨拶

このたび、2024年12月5日(木)・6日(金)に、出島メッセ長崎にて、第61回日本消化器免疫学会総会を開催させていただくことになりました。
 日本消化器免疫学会は、1978年に慶應義塾大学内科学(消化器)の故・土屋雅春先生らが中心となって「消化器と免疫研究会」として発足して以来、臨床医のみならず多くの国際的にも著名な基礎免疫学者の参加も得て、当時未開の分野であった消化器領域における免疫学を、熱い発表と議論を闘わせることで発展させてきました。爾来学際領域である消化器免疫学の課題に対して、基礎医学者と臨床医学者が一堂に会して活発な議論を展開することが本学会の伝統として連綿と続いているのは、学会員の皆様の精進の賜物と感謝しております。本学会では、消化管、口腔、肝臓、胆膵と多臓器にわたる炎症、腫瘍、感染をはじめとした疾患に関わる消化器免疫学を発展させることが設立当初から貫かれています。さらに最近では、腸脳連関などに代表される臓器連関もまた本学会の新たな研究テーマに加わり、益々学際的な研究が求められているところです。したがって、学会参加者が専門外の知識も含めて多くを吸収し、活性化され、次なる挑戦へのヒントを得ることが可能な学会と信じています。
本学会は比較的小規模な学会ですが、今回は、第53回日本免疫学会学術集会と合同開催というユニークな形式で開催します。2018年の第55回の際にも、同じ福岡開催でかつ両学会の会期が隣接していたこともあり、第47回日本免疫学会学術集会初日に2つの消化器関連のシンポジウムを両学会の共催として企画しました。今回はさらに踏み込んで、両学会のどちらか一方で参加登録すれば、両学会の全てのプログラム・セッションに参加可能と致します。感染免疫、リウマチ膠原病、アレルギー、生殖免疫、皮膚免疫、神経免疫、腫瘍免疫といった消化器免疫学以外の臨床・疾患領域や、さらには免疫系の発生・分化や免疫老化といった免疫系の正常や発達など生物学としての免疫まで、日本免疫学会は免疫学の全てをカバーする学会です。そこで、日頃はあまり交流のない基礎・臨床免疫研究者の最新の研究内容に接し、交流する機会を是非活用していただき、次なる発見や新たな共同研究につなげるきっかけを作る場になることを願っております。そこで今回の大会のテーマとして“呉越同舟〜切磋琢磨〜雲外蒼天”を掲げさせて頂くこととしました。日頃余り接点のない基礎と臨床の免疫学者が一堂に会し、力を合わせて免疫学というサイエンスに磨きをかけることで、未知・不明の雲を突き破ってその上に拡がる本質や真理を探究し新たな発見を成し遂げよう、と言う意味を込めました。
若手を含む多くの臨床研究者が参加することを期待すると共に、全日程4日間と臨床に従事される方にはちょっと長丁場かとは思いますが、教室や診療科の上司の先生方には、所属の若手医師達から参加の申し出があった際には、「行って大いに勉強して来い」と快く背中を押して送り出していただきたく、よろしくお願い申し上げます。

2023年11月 


第61回日本消化器免疫学会総会
会長 大野博司
理化学研究所生命医科学研究センター
副センター長