この度、第40回日本・炎症再生医学会の会長を担当させていただくことになりました。徳島県内の会場事情と参加して下さる先生方の利便性を考慮して、神戸国際会議で7月16日(火)、7月17日(水) 開催させていただきます。伝統ある本学会の会長を務めることを身に余る光栄に存じると同時に、今までの大会に劣ることがないように充実したプログラムとなるように気を引き締めて準備を進めて参りました。
炎症は、傷害後の感染防御、組織修復、再生に必須です。一方で、炎症の異常が膠原病などの自己免疫疾患の原因となります。また、動脈硬化やメタボリックシンドロームが、生活習慣病によっておこる脂肪組織や動脈壁での慢性炎症が原因ということが最近の研究によって報告されています。炎症制御に関わるいくつもの分子が同定され、無菌的な慢性炎症が持続するメカニズムも少しずつ明らかにされています。しかし、慢性炎症を制御する有効な治療法が開発されているとは限りません。また、再生医学においては、ES細胞、iPS細胞、体性幹細胞、増殖因子研究などに著しい進歩がありましたが、再生医療が臨床における一般的な治療になるためには、まだまだ超えないといけないハードルがあるのが現実です。
本学会は、基礎、臨床の様々な領域の研究者が「炎症」と「再生」をキーワードに一堂に会する学際的な大変意義のある学会であると毎回実感しております。循環器内科が専門の大会長は40回の歴史の中でも初めてではないかと思います。本大会のテーマは「炎症と再生の架け橋」とさせていただきました。異分野の先生方が交流する中から、新しい発想が導かれるように、プログラム委員やオ―ガナイザーの先生方の御協力で15個もの興味深いシンポジウムを企画することができました。
会長招聘講演には、私の恩師であるVirginia大学のKenneth Walsh先生に「The role of clonal hematopoiesis in inflammatory cardio-metabolic diseases」と題して、生活習慣病によって生じる慢性炎症の新しい機序について御講演いただきます。特別講演では、再生の立場から高橋政代先生に「網膜再生医療 モノからコトへ」というテーマで、炎症の立場からは長田重一先生に「アポトーシスと死細胞の貪食」というタイトルで御講演いただきます。招聘講演では、杉浦悠毅先生に「酸素添加により生成される生理活性分子の、質量分析による可視化」というテーマで質量顕微鏡に関する最新の知見を発表いただく予定です。教育講演は12企画で、各分野の最新の知見を、第一人者の先生方に御講演いただきます。今回、84題の一般演題を応募いただきました。ポスター発表していただき、その中から、優秀ポスター賞を数題選び、閉会式の前に表彰する予定です。
第一日目夜の会員懇親会では、日本最大の連(阿波踊りのチーム)である、娯茶平による阿波踊りの演舞と体験コーナーが用意されています。得難い体験になると思いますので、是非とも御参加ください。夏の神戸で、全国の炎症、再生研究者に熱いディスカッションをしていただき、満足していただければ幸いです。多くの先生方に御参加いただけますようにお願い申し上げます。
第40回日本炎症・再生医学会
会長 佐田 政隆
徳島大学大学院医歯薬学研究部 循環器内科学分野