ご挨拶Greeting

「今こそ、健康寿命を延ばす第一歩を」

 わが国の透析医療の分野において今、最も求められているのは何か?
 先人たちの努力のおかげで確固たる透析技術の確立、合併症治療が進歩をとげ、他国と比べても日本の透析患者の生命予後は格段に良くなっています。しかし皆が元気に長生きしておられるのかというと、ADLの低下した患者さんや認知機能の低下した患者さんも増え、QOLが良いとはいえない方も多いように思います。その解決策はしっかりした透析を行うことはもちろんですが、やはり運動と栄養での取り組みではないでしょうか。透析患者さんの運動に真正面から取り組んでいる本研究会が果たさなくてはならない使命は大きいです。
 そのうち運動療法に取り組もうではなく、正に今、開始しましょう。それが患者さんのADLを低下させることなく、独歩で生活でき、笑顔でQOLの充実した人生をおくる未来をもたらすでしょう。ではどんな運動をすべきなのか?いつするのか?どれくらいするのか?長続きのコツは?など、透析患者さんにとってのベストな運動を探求し、それをどのように普及させるのか11回目を迎える本研究会で皆さんと大いに議論し、大きく一歩前進したいと思っています。

 今大会ポスターに使用させていただいている太陽の塔は1970年の日本万国博覧会のシンボルともいえる像です。塔の内部には高さ45mの「生命の樹」があります。生命を支えるエネルギーの象徴であり、未来に向かって伸びていく力強さを表現しているとされています。透析医療分野での運動療法は正に透析患者さんの未来に向かって伸びていく生命の力強さの源になると思います。
 2025年には再び大阪で万博が開催予定です。大いに盛り上がることと思いますが、一足先に我々は今回の透析運動療法研究会で盛り上がりたいと思います。

2020年2月吉日

第11回透析運動療法研究会
大会長 辻本 吉広
社会医療法人愛仁会 井上病院 院長