第96回日本生化学会大会

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ご挨拶

Greeting

第96回日本生化学会大会を、2023年10月31日(火)~11月2日(木)の3日間、福岡国際会議場とマリーンメッセ福岡において開催いたします。
福岡での開催は2012年以来11年ぶりになります。

今大会では、「生き物は不思議だ!生化学は楽しい!」をテーマに掲げました。「生化学」を合言葉に、しかし拘泥せず、生命科学の原点(「生き物は不思議だ!」)に立ち返る機会になれば、と思っています。そして、これから本格的に研究に打ち込む学生たちにとって、また、新たな方向を模索する若き研究者にとって、示唆に富んだ大会となることを希望します。

さいわい大会終了の翌日からは3連休ですので、心に残った講演・出会いを噛みしめつつ、博多をそして九州を楽しんでいただきたいと思います。

生化学会は昔から自由な学会として知られていました。例えば、学生から大先生まで、お互いを「さん付け」で呼ぶのが当たり前でした。原点に帰って、第96回日本生化学会大会では、「さん付け」でディスカッションしましょう。最初は若い人は恥ずかしいかもしれませんので、ここはまず、経験の多い方(年配の方、ともいう)から学生さんに若い方に「さん付け」で話しかけて下さい。そうしたら、学生さんも「さん付け」で返しましょう。実は歳を取るにつれて、顔が浮かんでも(本人を目の前にしても)名前だけがどうしても出てこなくなるもので、私くらいの年齢になると名前をつけずにただ「先生」と話しかけるのが安全で楽なのでそうしてしまいがちです。でも、しっかり「名前にさん付け」して、話しかけましょう。そのために、と言うわけではありませんが、幸い、大会中は皆さん名札をつけています。どうか宜しくお願いいたします。
それから、例えば、ネクタイをするかどうかも全く自由にしましょう。そもそも、クールビズの期間はネクタイなしでも失礼でないのに、クールビズが終わった途端にネクタイが礼儀、というのは妙な話です。また、せっかく日本の端っこまで来て、裃を脱がない手はありません。私も大会期間中は(正確に言えば、大会期間中「も」)ノータイで過ごします。どうか皆さん、カジュアルなスタイルで大会会場に来て下さい。

特別講演は、生命の不思議について、生化学そのものあるいは少し離れた視点から独創的な研究をしておられ、かつ広い見識をお持ちの方々にお願いしました。分子細胞生物学の後藤由季子さん(東京大学)、硫黄代謝の赤池孝章さん(東北大学)、理論生物学の望月敦史さん(京都大学)、構造生物学の神田大輔さん(九州大学)、ゲノム科学の伊藤隆司さん(九州大学)、理論生物学の三浦岳さん(九州大学)。まさに、「生化学」を合言葉に、しかし拘泥せず、生命科学の原点に立ち返る機会を与えて下さること請け合いです。さらに、「こういうワクワクするテーマがまだまだ手付かずに残っている」といった話もたくさんして下さいとお願いしていますので、これから本格的に研究に打ち込む学生たちにとっても、また、新たな方向を模索する若き研究者にとっても、示唆に富んだものとなることでしょう。

シンポジウムも、皆さんのおかげで、様々に工夫されたものがいっぱいです。多くの最前線のシンポジウムに加えて、先輩方の話をじっくり聞く、というシンポジウムも企画していただきました。1つは、日本生化学会の前会長である菊池章さん(大阪大学)オーガナイズのシンポジウム“先輩からのメッセージ”で、菊池さんに加えて、長田重一さん(大阪大学)、西村いくこさん(奈良国立大学)、中野明彦さん(理化学研究所)が話して下さいます。もう1つは、2012年の福岡での生化学会大会の会頭を務められた藤木幸夫さん(九州大学)オーガナイズのシンポジウム“生化学の先輩・先達から聞く「生化学の面白さ・楽しさ」”です。ここでは藤木さんに加えて、大隅良典さん(東京工業大学)、永田和宏さん(JT生命誌館)、吉田賢右さん(京都産業大学)、伊藤維昭さん(JT生命誌館)がシンポジストとして話して下さいます。

他にも興味深いシンポジウムがまさに目白押しです。例えば、コロナウイルス研究
で世界をリードした日本の基礎研究者オールキャストによるシンポジウム、魚が先
導する生化学研究、in vivo生化学に資する新技術、液液相分離、バイオデータベー
ス、微生物共生、タンパク質立体構造予測AlphaFold、形態形成の数理、等々。今
まで縁のなかった分野のシンポジウムも是非のぞいてみて下さい。
今回の全てのシンポジウムでは、最初の10分間以上を使ってその分野の専門でない
方もわかるように『イントロダクション』が行われます。これは今大会の新しい試
みです。『イントロダクション』では、シンポジウムのテーマに関して、その研究
の歴史、生命科学(生化学)における位置付け、現状(ここが各シンポジストから
話される演題になるかと思います)、および今後チャレンジすべき課題について、
他分野の研究者・大学院生にも解るように解説してもらいます。
プログラムをしっかりチェックして、じっくり予定を立てて下さい。

第96回日本生化学会大会のポスターは、生き物を前面に分子を背景として、「生き物は不思議だ!生化学は楽しい!」 を表現してみました。皆さんで自由に想像を膨らませていただくのが一番ですが、個々の図柄について興味がおありの方は、日本生化学会・会長の一條秀憲さんの「会長便り第4号(https://www.jbsoc.or.jp/letter/4th_2023-05-01.html)」もご参照くださればと思います。

それでは福岡でお会いしましょう。

第96回日本生化学会大会   
会頭 住本 英樹(九州大学)