プログラム
Program
日程表
特別講演
1PL01
日時:10月31日(火)11:00~11:50 会場:第1会場(メインホール)
遺伝子重複による進化への構成的アプローチ
講演者 : 伊藤 隆司(九州大学) 座長 : 岡田 眞里子(大阪大学)
1PL02
日時:10月31日(火)11:50~12:40 会場:第1会場(メインホール)
超硫黄分子の発見と生理機能の解明
講演者 : 赤池 孝章(東北大学) 座長 : 有澤 美枝子(九州大学)
2PL01
日時:11月1日(水)11:00~11:50 会場:第1会場(メインホール)
細胞の運命選択メカニズム
講演者 : 後藤 由季子(東京大学) 座長 : 川畑 俊一郎(九州大学)
2PL02
日時:11月1日(水)11:50~12:40 会場:第1会場(メインホール)
生命システムの振る舞いをネットワークの形だけから決定する
講演者 : 望月 敦史(京都大学) 座長 : 野田 展生(北海道大学)
3PL01
日時:11月2日(木)11:00~11:50 会場:第1会場(メインホール)
蛋白質分子が立体構造を素早く形成できる謎に残基ベースの平衡定数と 速度定数の相関関係で答える
講演者 : 神田 大輔(九州大学) 座長 : 南後 恵理子(東北大学)
3PL02
日時:11月2日(木)11:50~12:40 会場:第1会場(メインホール)
頭蓋骨と植物細胞壁:生物の形を数理モデルで理解する
講演者 : 三浦 岳(九州大学) 座長 : 佐藤 ちひろ(名古屋大学)
シンポジウム一覧
セッションNo. | 日程 | 会場 | テーマ |
---|---|---|---|
1S01e | 10月31日(火) | 第1会場 (メインホール) | in vivo生化学に資する新しい化学技術 |
1S02m | 10月31日(火) | 第2会場 (201) | 分泌経路の新しいタンパク質輸送・修飾システム |
1S02e | 10月31日(火) | 第2会場 (201) | 膜輸送体研究の最前線 2023 - 生命を支える膜輸送体 |
1S03m | 10月31日(火) | 第3会場 (202) | 微生物のパワー!~世界をリードする微生物生化学の最先端~ |
1S03e | 10月31日(火) | 第3会場 (202) | 研究評価と研究公正を考える |
1S04m | 10月31日(火) | 第4会場 (203) | チャネル・トランスポーター研究からヒト疾患に迫る! |
1S04e | 10月31日(火) | 第4会場 (203) | 次世代シーケンス解析の医学生物学への展開 -NGSコアファシリティ施設とその研究- |
1S05m | 10月31日(火) | 第5会場 (204) | 脂質ライフサイクルによるオルガネラ動態制御 |
1S05e | 10月31日(火) | 第5会場 (204) | 細胞老化と代謝 |
1S06m | 10月31日(火) | 第6会場 (411+412) | オルガネラ定量化による生命現象の理解 |
1S06e | 10月31日(火) | 第6会場 (411+412) | 次世代RNAバイオロジーの展望 |
1S07m | 10月31日(火) | 第7会場 (413+414) | DNA二重鎖切断損傷に応答するゲノム維持システム |
1S07e | 10月31日(火) | 第7会場 (413+414) | 疾患病態におけるミトコンドリア機能 |
1S08m | 10月31日(火) | 第8会場 (402+403) | 架橋酵素トランスグルタミナーゼの比較生物学的研究の成果と応用 |
1S08e | 10月31日(火) | 第8会場 (402+403) | アクチン細胞骨格の生物学・疾患における多面性と普遍性 |
1S09m | 10月31日(火) | 第9会場(405+406) | 付加体科学とは何か? |
1S09e | 10月31日(火) | 第9会場(405+406) | 型破りな代謝の制御機構が織りなす糖鎖生物学の新展開 |
1S10m | 10月31日(火) | 第10会場 (409) | 最前線研究から見えてくる低分子量Gタンパク質の新機能 |
1S10e | 10月31日(火) | 第10会場 (409) | 実験生物学と理論生物学の間隙を埋めるために |
1S11m | 10月31日(火) | 第11会場 (410) | マルチバレント相互作用にフォーカスした生化学及び創薬の新展開 |
1S11e | 10月31日(火) | 第11会場 (410) | 生化学・病態生理学・生物物理学から迫る核膜恒常性維持とその破綻 |
1S12m | 10月31日(火) | 第12会場 (501) | 魚が先導する生化学研究の新しい潮流 |
1S12e | 10月31日(火) | 第12会場 (501) | グリア多様性の理解に基づく精神・神経変性疾患の機序解明と治療法開発 |
1S13m | 10月31日(火) | 第13会場 (502) | 細胞骨格制御とシグナル伝達におけるDOCKファミリー分子の多彩な機能と構造基盤~DOCK GEF発見から20年を経て~ |
1S13e | 10月31日(火) | 第13会場 (502) | ポリアミン研究の最前線 |
1S14m | 10月31日(火) | 第14会場 (503) | 生命金属動態の破綻・疾病・創薬 |
1S14e | 10月31日(火) | 第14会場 (503) | マクロファージによる恒常性と病態の制御 |
2S01m | 11月1日(水) | 第1会場 (メインホール) | 新型コロナウイルスの進化とその宿主応答、ワクチン開発:今後のCOVID-19の課題 |
2S01a | 11月1日(水) | 第1会場 (メインホール) | 先輩からのメッセージ |
2S01e | 11月1日(水) | 第1会場 (メインホール) | 生化学の先輩・先達から聞く「生化学の面白さ・楽しさ」 |
2S02m | 11月1日(水) | 第2会場 (201) | グライココードの解明に向けて-変わった糖鎖構造に真剣に思いを巡らす |
2S02a | 11月1日(水) | 第2会場 (201) | 生体シグナル情報の定量化・数値化に基づく生命システムの時空間的理解 |
2S02e | 11月1日(水) | 第2会場 (201) | 統合的糖鎖情報によってヒト疾患を俯瞰する |
2S03m | 11月1日(水) | 第3会場 (202) | 精神・神経疾患発症のメカニズム解明と治療に向けたエピジェネティック・アプローチ |
2S03a | 11月1日(水) | 第3会場 (202) | 顕微鏡新技術と糖鎖研究から迫るゴルジ体でのタンパク質品質管理機構 |
2S03e | 11月1日(水) | 第3会場 (202) | アルツハイマー病の発症機構と発症分子機構に基づいた治療法開発戦略 |
2S04m | 11月1日(水) | 第4会場 (203) | ケミカルプロテオスタシス研究の黎明 |
2S04a | 11月1日(水) | 第4会場 (203) | 低酸素応答機構研究における計測系・再構築系・動物モデル系の再検証 |
2S04e | 11月1日(水) | 第4会場 (203) | 血管形成・成熟化のシステム生化学 |
2S05m | 11月1日(水) | 第5会場 (204) | 日本発のLUBAC、直鎖状ユビキチン鎖研究の新展開 |
2S05a | 11月1日(水) | 第5会場 (204) | オルガネラ・ライフ・サイクル |
2S05e | 11月1日(水) | 第5会場 (204) | ディープオミクスから眺める新たな生命現象 |
2S06m | 11月1日(水) | 第6会場 (411+412) | 上皮組織の形態形成メカニズム ー接着、極性、病態の観点からー |
2S06a | 11月1日(水) | 第6会場 (411+412) | 休眠・冬眠研究の最前線 |
2S06e | 11月1日(水) | 第6会場 (411+412) | 老化を制御するプロテオスタシスとその変容 |
2S07m | 11月1日(水) | 第7会場 (413+414) | 医学観点からの生体膜分子呼応と疾患制御 |
2S07a | 11月1日(水) | 第7会場 (413+414) | ケミカルバイオロジーが挑む生体分子の化学修飾 |
2S07e | 11月1日(水) | 第7会場 (413+414) | 多因子間相互作用による転写ユニティー機構の解明 |
2S08m | 11月1日(水) | 第8会場 (402+403) | 組織の発生と恒常性を制御する代謝 |
2S08a | 11月1日(水) | 第8会場 (402+403) | フェロフェイト:鉄による生命システムの制御とその病理 |
2S08e | 11月1日(水) | 第8会場 (402+403) | レドックスシグネチャーの生物学 |
2S09m | 11月1日(水) | 第9会場(405+406) | 革新的ナノテクノロジーによる脳分子探査 |
2S09a | 11月1日(水) | 第9会場(405+406) | 次世代生化学展望:多様性の中に潜む普遍則の解明 |
2S09e | 11月1日(水) | 第9会場(405+406) | 生殖細胞の品質の定量に向けて |
2S10m | 11月1日(水) | 第10会場 (409) | 間葉系間質細胞の病的・生理的機能の解明に向けて |
2S10a | 11月1日(水) | 第10会場 (409) | 炎症収束学・その先へ:慢性炎症と炎症性組織修復レジリエンスの統合的理解 |
2S10e | 11月1日(水) | 第10会場 (409) | UJA留学のすゝめ2023 日本の科学技術を推進するネットワーク構築 |
2S11m | 11月1日(水) | 第11会場 (410) | 細胞老化の多様性、その統合と理解 |
2S11a | 11月1日(水) | 第11会場 (410) | HTLV-1が引き起こす血液癌(ATL)と脊髄症(HAM)の現状と治療法開発 |
2S11e | 11月1日(水) | 第11会場 (410) | ThermusQ高度好熱菌データベースが拓くフロンティア研究 |
2S12m | 11月1日(水) | 第12会場 (501) | 硫黄代謝研究が拓く新たな生命現象の理解 |
2S12a | 11月1日(水) | 第12会場 (501) | 相分離の駆動力:多様な細胞機能への展開 |
2S12e | 11月1日(水) | 第12会場 (501) | 細胞内ケミカルネットワークの解明と創出 |
2S13m | 11月1日(水) | 第13会場 (502) | ビタミンEと疾患 |
2S13a | 11月1日(水) | 第13会場 (502) | 体内微小環境シグナルが制御する恒常性の維持とその破綻 |
2S13e | 11月1日(水) | 第13会場 (502) | 神秘の生命物質、ポリアミンで実現する健康長寿社会 |
2S14m | 11月1日(水) | 第14会場 (503) | 染色体DNA複製開始複合体と開始制御メカニズムの新たな展望 |
2S14a | 11月1日(水) | 第14会場 (503) | 細胞内外環境を感知するゲノム作動ネットワークの新局面 |
2S14e | 11月1日(水) | 第14会場 (503) | 多面化したDNA修復研究 |
3S01m | 11月2日(木) | 第1会場 (メインホール) | オートファジー研究から拡大する細胞質ゾーニングの世界 |
3S01a | 11月2日(木) | 第1会場 (メインホール) | 適応・修復機構における脂質の役割 |
3S01e | 11月2日(木) | 第1会場 (メインホール) | ミトコンドリア機能の強靱化~そのメカニズムと介入操作~ |
3S02m | 11月2日(木) | 第2会場 (201) | バイオデータベースが切り拓く生命科学の未来 |
3S02a | 11月2日(木) | 第2会場 (201) | AlphaFold時代の構造生物学 |
3S02e | 11月2日(木) | 第2会場 (201) | 細胞のかたちづくりの原理に数理と実験で迫る |
3S03m | 11月2日(木) | 第3会場 (202) | 化学修飾がトリガーする生命応答鍵分子の機能獲得と変容:生理的意義と人為的導入技術の革新 |
3S03a | 11月2日(木) | 第3会場 (202) | 糖鎖を介した微生物の生存戦略を探る |
3S03e | 11月2日(木) | 第3会場 (202) | 免疫‐神経連関から見えてきた「かゆみ」のメカニズム |
3S04m | 11月2日(木) | 第4会場 (203) | 核と細胞質を繋ぐ核膜孔と様々な生命現象 |
3S04a | 11月2日(木) | 第4会場 (203) | マスト細胞研究が切り拓く細胞制御機構のニューフロンティア |
3S04e | 11月2日(木) | 第4会場 (203) | 幹細胞の発生、恒常性応答、老化を造血幹細胞から考察する |
3S05m | 11月2日(木) | 第5会場 (204) | 微生物共生の科学への招待 |
3S05a | 11月2日(木) | 第5会場 (204) | 一酸化窒素の新規生体内作用と創薬への展開 |
3S05e | 11月2日(木) | 第5会場 (204) | 革新的解析法で挑む生体内脂質酸化反応とレドックス制御研究の最先端 |
3S06m | 11月2日(木) | 第6会場 (411+412) | 細胞内環境変化の臓器・生体への伝達と疾病 |
3S06a | 11月2日(木) | 第6会場 (411+412) | 生老病死における疾患生化学の新展開 |
3S06e | 11月2日(木) | 第6会場 (411+412) | Fcエンジニアリングによる抗体機能向上の新展開 |
3S07m | 11月2日(木) | 第7会場 (413+414) | 革新的なケミカルテクノロジーと生化学への展開 |
3S07a | 11月2日(木) | 第7会場 (413+414) | 臓器リモデリング・可塑性とその破綻 |
3S07e | 11月2日(木) | 第7会場 (413+414) | グリケーション研究で病気がみえる |
3S08m | 11月2日(木) | 第8会場 (402+403) | 細胞リプログラミング制御の最前線 |
3S08a | 11月2日(木) | 第8会場 (402+403) | 酸化脂質が関与する多様な細胞死研究の最前線 |
3S08e | 11月2日(木) | 第8会場 (402+403) | 加齢に伴う病態変化の生化学 |
3S09m | 11月2日(木) | 第9会場 (405+406) | 活性酸素産生酵素NOXファミリーNADPHオキシダーゼ~発見から半世紀、現状、そして未来へ~ |
3S09a | 11月2日(木) | 第9会場(405+406) | 微生物と植物の細胞外小胞・細胞外微粒子:形成機構と異種との相互作用 |
3S09e | 11月2日(木) | 第9会場(405+406) | 脈管と周囲組織とを結ぶ多彩な生命科学 |
3S10m | 11月2日(木) | 第10会場 (409) | 代謝を知るから操作するへの挑戦 |
3S10a | 11月2日(木) | 第10会場 (409) | 「ミトコンドリアーアミノ酸ーエネルギー代謝調節」をキーワードにした未病の理解 |
3S10e | 11月2日(木) | 第10会場 (409) | オルガネラヒモロジー~オルガネラで紐解く生体恒常性~ |
3S11m | 11月2日(木) | 第11会場 (410) | 神経変性疾患の原理探究と革新的治療法開発に挑む |
3S11a | 11月2日(木) | 第11会場 (410) | DOHaD学説の生化学的基盤研究 |
3S11e | 11月2日(木) | 第11会場 (410) | 技術革新が切り開く細胞応答研究の新展開 |
3S12m | 11月2日(木) | 第12会場 (501) | 脂質メディエーター受容体シグナル研究の新しい潮流 |
3S12a | 11月2日(木) | 第12会場 (501) | ストレス応答と制御メカニズム |
3S12e | 11月2日(木) | 第12会場 (501) | タンパク質寿命学の創出 |
3S13m | 11月2日(木) | 第13会場 (502) | 老化の生物学~個体老化と細胞老化を制御する細胞応答の新知見~ |
3S13a | 11月2日(木) | 第13会場 (502) | 情報計算科学にもとづく酵素の創成と応用 ~スーパー酵素が切り拓く生化学の新時代~ |
3S13e | 11月2日(木) | 第13会場 (502) | リソソーム膜の多彩な機能を担うLAMP2タンパク質 |
3S14m | 11月2日(木) | 第14会場 (503) | 動物毒って特異性が高いだけじゃない!どんどん拡がる面白い世界 |
3S14a | 11月2日(木) | 第14会場 (503) | 多様な病原体研究が生み出す新たな生化学領域 |
3S14e | 11月2日(木) | 第14会場 (503) | 生化学で切り拓く腎疾患のメカニズム |
シンポジウム一覧
1S01e
日時:10月31日(火) 17:00~19:10 第1会場 (メインホール)
in vivo生化学に資する新しい化学技術
オーガナイザー
浦野 泰照(東京大学 大学院薬学系研究科・医学系研究科)神谷 真子(東京工業大学 生命理工学院)
浜地 格(京都大学 工学部)
山東 信介(東京大学 工学部)
家田 直弥(名古屋市立大学大学院薬学研究科)
藤岡 礼任(東京工業大学 生命理工学院)
多喜 正泰(名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所)
山東 信介(東京大学 工学部)
家田 直弥(名古屋市立大学大学院薬学研究科)
藤岡 礼任(東京工業大学 生命理工学院)
多喜 正泰(名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所)
生命の本質は、多種多様な分子がクラウディング環境で混在している細胞内で、特定の生化学反応を時空間的に精緻に実現している点にある。さらに高等動物では、多種多様な細胞が混在しているin vivo環境で上記の反応を実現しており、この生命の本質に迫る研究を遂行するためには、新たな科学技術、特にin vivoへの適用が可能な「化学」に基づく技術の開発が極めて重要である。本シンポジウムでは、ケミカルバイオロジーの中でも特にin vivoを指向した可視化・摂動技術研究を展開し、世界をリードする成果を上げられている化学系の先生方にご登壇いただき、最新技術・成果をご紹介いただく。また同時に、如何に時空間分解能高く目的機能をin vivoで実現するかに関する、化学的な背景・アイディアを平易に語っていただき、次代のツール開発に繋がる分野横断的な議論の端緒となることも、本シンポジウムの大きな狙いとする。
1S02m
日時:10月31日(火) 08:40~10:50 第2会場 (201)
分泌経路の新しいタンパク質輸送・修飾システム
オーガナイザー
木塚 康彦(岐阜大学)矢木 宏和(名古屋市立大学)
矢木 宏和(名古屋市立大学)
木塚 康彦(岐阜大学)
森田 英嗣(弘前大学)
福田 光則(東北大学)
沖米田 司(関西学院大学)
上田 貴志(基礎生物学研究所)
木塚 康彦(岐阜大学)
森田 英嗣(弘前大学)
福田 光則(東北大学)
沖米田 司(関西学院大学)
上田 貴志(基礎生物学研究所)
タンパク質の1/3以上は分泌経路に入り、小胞体、ゴルジ体を経て細胞内外のさまざまな場所へと輸送されることで機能を発揮する。この過程において、糖鎖付加など多くの機能的翻訳後修飾がなされ、タンパク質の機能が多様化する。この分泌経路においては、古典的な輸送経路に加え、近年、エクソソームに代表される細胞外小胞(EV)による分泌・伝達や、ウイルスの複製オルガネラの形成など、新たな仕組みの解明が進み、タンパク質輸送経路は従来考えられていたよりも複雑であることがわかってきた。さらには、こうした分泌経路における輸送と翻訳後修飾の新たな関係や、新しい糖鎖修飾メカニズムなども明らかになりつつある。本シンポジウムでは、分泌経路におけるタンパク質の輸送、翻訳後修飾の新たなメカニズムについて研究を行っている第一線の研究者をお呼びし、最近の成果を紹介していただく。
1S02e
日時:10月31日(火) 17:00~19:10 第2会場 (201)
膜輸送体研究の最前線 2023 - 生命を支える膜輸送体
オーガナイザー
木村 泰久(京都大学大学院農学研究科)豊田 優(防衛医科大学校分子生体制御学講座)
阿部 一啓(名古屋大学 細胞生理学研究センター)
大戸 梅治(東京大学大学院薬学系研究科)
パンパン チャン(京都大学 物質-細胞統合システム拠点)
宮地 孝明(岡山大学自然生命科学研究支援センター)
山梨 義英(東京大学医学部附属病院)
大戸 梅治(東京大学大学院薬学系研究科)
パンパン チャン(京都大学 物質-細胞統合システム拠点)
宮地 孝明(岡山大学自然生命科学研究支援センター)
山梨 義英(東京大学医学部附属病院)
細胞の膜は最も根源的な生命器官であり、膜を介した様々な物質の輸送が生命活動を維持する。その分子実体が膜輸送体であり、細胞内外の物質輸送を司る重要なタンパク質群として研究が進められてきた。加えて、近年では、細胞膜の局所的な脂質制御や、ウイルスの細胞侵入を仲介する受容体としても働くものなどが見出されている。このような事実を踏まえると、膜輸送体研究のさらなる発展のためには、その基質のみならず、足場となる細胞膜との相互作用もより深く理解しなければならない。以上の視点を踏まえ、本シンポジウムでは、生物学的に重要な役割を担う膜輸送体を研究してきた5名の演者を招き、膜輸送体の動作機構や生理機能について最新の情報を発信する。また、それぞれが専門とする構造生物学、生化学、細胞生物学、動物生理学など多様な視点から膜輸送体の本質に迫り、膜輸送体研究の新たな方向性を示す。
1S03m
日時:10月31日(火) 08:40~10:50 第3会場 (202)
微生物のパワー!~世界をリードする微生物生化学の最先端~
オーガナイザー
石野 良純(九州大学大学院 農学研究院)跡見 晴幸(京都大学大学院工学研究科)
高木 博史(奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 バイオサイエンス領域)
大利 徹(北海道大学大学院 工学研究科)
古園 さおり(東京大学大学院 農学生命科学研究科)
跡見 晴幸(京都大学大学院 工学研究科)
石野 良純(九州大学大学院 農学研究院)
大利 徹(北海道大学大学院 工学研究科)
古園 さおり(東京大学大学院 農学生命科学研究科)
跡見 晴幸(京都大学大学院 工学研究科)
石野 良純(九州大学大学院 農学研究院)
近年の生化学では、ヒトや高等真核生物を材料とした研究が急激に増え、高次機能の解析が注目されている。しかし、生化学・分子生物学の発展を支えてきた微生物研究においても今なお活発に進展している。微生物を材料として新規の生命現象が次々と発見され、また、そのような基礎研究を基盤として、微生物の持つ独特の酵素を利用したテクノロジーの開発は、人類の生活に多大の利益をもたらしている。本シンポジウムでは、バクテリア、アーキア、酵母の細胞内で起きている未知の反応を解明する基礎科学とそれらを利用したゲノム編集、創薬、発酵・醸造への応用研究について、現在それぞれの分野で世界をリードする日本人の微生物生化学研究者が集まり、それぞれの細胞内で起きている未知の反応を解明する基礎科学とそれらを利用した応用研究について独創的な研究成果を紹介しながら、その分野の動向と将来について展望する。
1S03e
日時:10月31日(火) 17:00~19:10 第3会場 (202)
研究評価と研究公正を考える
オーガナイザー
田中 智之(京都薬科大学)小出 隆規(早稲田大学)
標葉 隆馬(大阪大学)
小泉 周(自然科学研究機構)
大隅 典子(東北大学)
小泉 周(自然科学研究機構)
大隅 典子(東北大学)
文部科学省や資金配分機関の尽力によりFD活動やオンラインの講習を通じた研究倫理の認知度は大きく向上したが、一方で研究不正は減少したとはいえないようである。理想的な環境で、自らのモチベーションを追求する研究者にとって研究不正が意味のない行為であることを考えると、研究環境は研究者の姿勢に大きく影響するはずである。競争的な環境において数値評価が重視されると、研究不正や疑わしい研究活動を通じてそうした指標をハッキングしようという動きが生じる。本シンポジウムでは、JSTプログラム「ライフサイエンスにおける誠実さの概念を共有するための指針の構築」において実施された調査結果、およびその分析について報告するとともに、研究評価、研究公正に通じた2名の講師にご登壇いただく。後半は、講演者とパネリストが、研究活動における評価と研究公正について議論する予定である。
1S04m
日時:10月31日(火) 08:40~10:50 第4会場 (203)
チャネル・トランスポーター研究からヒト疾患に迫る!
オーガナイザー
三木 裕明(京都大学大学院工学研究科)高橋 重成(京都大学大学院工学研究科)
三木 裕明(京都大学大学院工学研究科)
高橋 重成(京都大学大学院工学研究科)
大洞 将嗣(順天堂大学医学部生化学第一講座)
反町 典子(東京大学医科学研究所)
永野 修(藤田医科大学がん医療研究センター遺伝子制御研究部門)
高橋 重成(京都大学大学院工学研究科)
大洞 将嗣(順天堂大学医学部生化学第一講座)
反町 典子(東京大学医科学研究所)
永野 修(藤田医科大学がん医療研究センター遺伝子制御研究部門)
細胞膜は多くの生体分子に対するバリアとして機能することで、生命の基本ユニットとしての細胞を外界から区分けている。チャネル・トランスポーターは特定のイオンや親水性物質などを認識して細胞膜を透過させることで細胞内環境の恒常性維持に機能すると共に、このような物質輸送自身が「シグナル」として作用し、細胞機能の統合的な調節にも寄与していることが明らかとなってきた。また、チャネル・トランスポーターは各種リガンド受容体と同様に細胞表面に存在しており、抗体など生物学的製剤の標的として創薬の観点からも強く注目を集めている。本シンポジウムでは、アミノ酸や金属イオンを通すチャネル・トランスポーターの基本的な機能解析に立脚して、細胞のがん化や免疫応答など高次レベルでの生命機能調節における役割を解明したユニークな研究成果を紹介し、細胞を構成する生体物質のやり取りの重要性を再認識する機会としたい。
1S04e
日時:10月31日(火) 17:00~19:10 第4会場 (203)
次世代シーケンス解析の医学生物学への展開 -NGSコアファシリティ施設とその研究-
オーガナイザー
水上 洋一(山口大学大学研究推進機構・遺伝子実験施設)中村 昇太(大阪大学微生物病研究所)
勝岡 史城(東北大学東北メディカル・メガハンク機構)
清水 厚志(岩手医科大学)
藤江 学(沖縄科学技術大学院大学 研究支援ディビジョン シーケンシングセクション)
元岡 大祐(大阪大学微生物病研究所)
水上 洋一(山口大学大学研究推進機構・遺伝子実験施設)
堀居 拓郎(群馬大学 生体調節研究所附属 生体情報ゲノムリソースセンター)
清水 厚志(岩手医科大学)
藤江 学(沖縄科学技術大学院大学 研究支援ディビジョン シーケンシングセクション)
元岡 大祐(大阪大学微生物病研究所)
水上 洋一(山口大学大学研究推進機構・遺伝子実験施設)
堀居 拓郎(群馬大学 生体調節研究所附属 生体情報ゲノムリソースセンター)
2005年に次世代シーケンサー(NGS)が登場し、機器の機能や性能は年々改善され、解析試薬の開発も進んでいます。同時に様々な生物種のゲノム配列も同定されており、多くの生物種でNGSの利用が進み始めました。また、NGS技術を医学生物学分野に応用した様々な解析技術も開発されています。これらの解析に用いるNGSは大量にデータを取得でき、多くのサンプルを同時に解析することで費用を安価することが可能です。このため、大量のサンプルを解析できるコアファシリティ施設が重要な役割を担っています。今回のシンポジウムでは、NGSコアファシリティ施設を利用した様々な研究をご紹介するとともにコアファシリティ施設の利用方法をご案内させていただきます。
1S05m
日時:10月31日(火) 08:40~10:50 第5会場 (204)
脂質ライフサイクルによるオルガネラ動態制御
オーガナイザー
白根 道子(名古屋市立大学)田村 康(山形大学)
白根 道子(名古屋市立大学)
田村 康(山形大学)
河野 望(東京大学)
西村 多喜(東京大学)
中津 史(新潟大学)
田村 朋則(京都大学)
田村 康(山形大学)
河野 望(東京大学)
西村 多喜(東京大学)
中津 史(新潟大学)
田村 朋則(京都大学)
細胞内オルガネラは動的な構造体であり、細胞のニーズに応じてその形態や性質や存在量を大きく変化させる。オルガネラの形を制御するメカニズムについてはかなり理解が進んでいるが、細胞のニーズに応じたオルガネラの質や量の変化の分子メカニズムについてはあまり研究が進んでいない。これらのメカニズムを解明するためには、オルガネラ制御タンパク質に加えてオルガネラ膜脂質に着目した研究が必須である。本シンポジウムでは、オルガネラ膜脂質の合成や輸送や分解といった脂質のライフサイクルの視点から、オルガネラ接触部位の機能や機構、オルガネラ動態制御、さらにオルガネラ動態を介した細胞や個体における生理機能について、最新の知見を紹介する。また新規のオルガネラ特異的な脂質解析技術も紹介する。このような「脂質ライフサイクルによるオルガネラ動態制御」をテーマに、これからのオルガネラ研究に関して議論したい。
1S05e
日時:10月31日(火) 17:00~19:10 第5会場 (204)
細胞老化と代謝
オーガナイザー
南嶋 洋司(群馬大学)中川 崇(富山大学)
1S06m
日時:10月31日(火) 08:40~10:50 第6会場 (411+412)
オルガネラ定量化による生命現象の理解
オーガナイザー
武田 弘資(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 細胞制御学分野)西頭 英起(宮崎大学 医学部 機能生化学)
馬場 大暉(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 細胞制御学分野)
荒川 聡子(東京医科歯科大学 統合研究機構 リサーチコアセンター)
甲賀 大輔(旭川医科大学 解剖学講座 顕微解剖学分野)
平林 祐介(東京大学 工学系研究科 化学生命工学専攻 神経細胞生物学研究室)
坪井 達久(清華大学 深セン国際研究生院)
立川 正志(横浜市立大学 理学部/生命ナノシステム科学研究科 物質システム科学専攻)
荒川 聡子(東京医科歯科大学 統合研究機構 リサーチコアセンター)
甲賀 大輔(旭川医科大学 解剖学講座 顕微解剖学分野)
平林 祐介(東京大学 工学系研究科 化学生命工学専攻 神経細胞生物学研究室)
坪井 達久(清華大学 深セン国際研究生院)
立川 正志(横浜市立大学 理学部/生命ナノシステム科学研究科 物質システム科学専攻)
様々なオルガネラの「質」については、これまで多くの知見が積み重ねられてきた。一方で、近年の技術革新により「量」を理解することが可能になり、オルガネラの定量化に基づく情報は、細胞の機能や品質に関する重要な洞察をもたらし、細胞分化、細胞分裂、シグナル伝達、疾患など、さまざまな生命現象の理解に利用できる。例えば、ミトコンドリアの定量化からエネルギー代謝や細胞の老化に関する情報を得ることができ、小胞体の定量化は、タンパク質の折り畳み、脂質や糖質のプロセッシングの研究に利用できる。また、ゴルジ体の解析は、細胞の他の区画への輸送や分泌のためのタンパク質の選別などに関する情報を提供できる。これらの例以外にも、発生生物学、神経科学、がん研究など、あらゆる生命現象に関わる根本的なメカニズムをより深く理解するために、オルガネラ定量は重要な研究過程と考えられる。本シンポジウムでは、電子顕微鏡、蛍光顕微鏡、深層学習、数理モデルなどの手法を用いてオルガネラの定量化を試みる若手研究者にご発表いただき、これからのオルガネラ研究の方向性について議論したい。
1S06e
日時:10月31日(火) 17:00~19:10 第6会場 (411+412)
次世代RNAバイオロジーの展望
オーガナイザー
伊藤 貴浩(京都大学)武内 章英(愛媛大学)
竹内 理(京都大学)
岡澤 均(東京医科歯科大学)
増田 章男(名古屋大学)
Josephine Galipon(慶應義塾大学)
松本 有樹修(九州大学)
武内 章英(愛媛大学)
岡澤 均(東京医科歯科大学)
増田 章男(名古屋大学)
Josephine Galipon(慶應義塾大学)
松本 有樹修(九州大学)
武内 章英(愛媛大学)
次世代シークエンサーやオミックス解析を駆使した研究により、RNA結合タンパク質を中心とした標的RNAの特異的な制御・分解、RNA編集・修飾、非コードRNAによる遺伝子発現・翻訳、さらに核内・細胞質内構造体の制御機構の存在が明らかとされようとしている。これらは高次の生命現象である免疫応答や脳の発生・機能等に重要な制御であることが示されつつあり「RNA」を切り口とした研究はまさに新時代に入ったと言えよう。一方で、このような多様なRNAの機能を支える分子機構の全容はまだ大きな謎に包まれており、その仕組みを理解することは今後の生命科学の理解に大きく貢献するものと思われる。本シンポジウムでは、これらに挑戦する新進気鋭の研究者をお招きして、最新の知見について紹介していただき、RNA Biology から高次生命現象の新たな理解を進める機会としたい。
1S07m
日時:10月31日(火) 08:40~10:50 第7会場 (413+414)
DNA二重鎖切断損傷に応答するゲノム維持システム
オーガナイザー
高橋 達郎(九州大学大学院理学研究院)佐々木 真理子(東京大学定量生命科学研究所)
岩崎 博史(東京工業大学・細胞制御工学センター)
篠原 美紀(近畿大学農学部大学院バイオサイエンス専攻、アグリ技術革新研究所)
古郡 麻子(大阪大学 蛋白質研究所)
佐々木 真理子(東京大学定量生命科学研究所)
高橋 達郎(九州大学大学院理学研究院)
篠原 美紀(近畿大学農学部大学院バイオサイエンス専攻、アグリ技術革新研究所)
古郡 麻子(大阪大学 蛋白質研究所)
佐々木 真理子(東京大学定量生命科学研究所)
高橋 達郎(九州大学大学院理学研究院)
DNAの二重鎖切断損傷(DSB)は染色体の連続性を断ち切る致死的な損傷であり、その不正確な修復は、がん細胞に見られるような病的なゲノム再編の原因となる。その一方で、減数分裂期組換えに見られるように、DSBはゲノムの多様性を確保する健全な再編にも必要とされる。また、リボソームRNA遺伝子のコピー数維持にはDSBを介した組換え誘発が必要であり、DSBはゲノムの劣化を防ぎ、機能を維持するためにも重要である。これらの現象の背景には、適切な場所で、適切な応答を引き起こすDSB応答システムが必須であるが、その経路選択、正確性制御や、個別経路のメカニズムについては、いまだ多くの重要な謎が残されている。本シンポジウムでは、DSB修復のメカニズムとその制御に焦点をあて、最前線の研究を紹介したい。
1S07e
日時:10月31日(火) 17:00~19:10 第7会場 (413+414)
疾患病態におけるミトコンドリア機能
オーガナイザー
康 東天(香椎丘リハビリテーション病院)柳 茂(学習院大学)
柳 茂(学習院大学)
服部 信孝(順天堂大学)
内海 健(九州大学)
後藤 和人(東海大学)
服部 信孝(順天堂大学)
内海 健(九州大学)
後藤 和人(東海大学)
ミトコンドリアは細胞内における好気的ATP産生オルガネラとして良く知られているが、アポトーシスや細胞内Ca2+濃度制御を始めとして非常に多様な機能を持っている。ミトコンドリアの機能不全としてはミトコンドリア脳筋症と呼ばれる先天性遺伝性疾患が有名で、多くの臨床医や基礎生物学者によるATP産生能を中心としてその疾患病態の研究には非常に長い歴史がある。近年、ミトコンドリアの多様な機能が、ミトコンドリア脳筋症のような比較的まれな遺伝性疾患だけでなく、癌、糖尿病、神経変性疾患など多様ないわゆるcommon diseaseの病態に深く関わっていることが関心を集め、その研究領域が拡大している。本シンポジウムではミトコンドリアとcommon diseaseの病態に焦点を当てる。
1S08m
日時:10月31日(火) 08:40~10:50 第8会場 (402+403)
架橋酵素トランスグルタミナーゼの比較生物学的研究の成果と応用
オーガナイザー
川畑 俊一郎(九州大学大学院理学研究院生物科学部門)人見 清隆(名古屋大学大学院創薬科学研究科)
柴田 俊生(九州大学大学院理学研究院生物科学部門)
杉谷 加代(金沢大学大学院医薬保健学総合研究科 病態検査学講座)
渡邊 優子(名古屋大学大学院創薬科学研究科)
人見 清隆(名古屋大学大学院創薬科学研究科)
神谷 典穂(九州大学大学院工学研究院応用化学部門 / 九州大学未来化学創造センター)
杉谷 加代(金沢大学大学院医薬保健学総合研究科 病態検査学講座)
渡邊 優子(名古屋大学大学院創薬科学研究科)
人見 清隆(名古屋大学大学院創薬科学研究科)
神谷 典穂(九州大学大学院工学研究院応用化学部門 / 九州大学未来化学創造センター)
生物には、タンパク質のLysとGln側鎖間を架橋する酵素であるトランスグルタミナーゼ(TGase)が普遍的に存在する。本シンポジウムではTGaseについて、バクテリアから哺乳類いたる各種のモデル生物を用いた比較生物学的研究から得られた最新のTGaseの驚きの機能や知見に加えて、将来的なTGaseの応用面についても紹介したい。
1S08e
日時:10月31日(火) 17:00~19:10 第8会場 (402+403)
アクチン細胞骨格の生物学・疾患における多面性と普遍性
オーガナイザー
武谷 立(宮崎大学)石崎 敏理(大分大学)
寺林 健(大分大学)
藤井 悠貴(九州大学)
實吉 岳郎(京都大学)
上山 健彦(神戸大学)
武谷 立(宮崎大学)
藤井 悠貴(九州大学)
實吉 岳郎(京都大学)
上山 健彦(神戸大学)
武谷 立(宮崎大学)
アクチンは細胞を構成する最も基本的なブロックの一つであり、重合体としての形態を変幻自在に変えながら様々な機能を果たす。その制御機構の破綻は、生体システムの多様な局面において多彩な異常・疾患に結びつく。これまでに、アクチン分子の挙動は主に試験管内で解き明かされてきたが、細胞内・生体内で実際にどのようにして細胞機能や個体システムの発現に繋がるのか、依然として未解明な部分が多く残されている。本シンポジウムでは、アクチン細胞骨格が関わる生命現象を幅広く網羅し、分子レベルから疾患レベルまでの様々な階層における最新の知見について、新しい視点からの理解を含めて紹介する。これらの研究成果をもとに、アクチン細胞骨格が生体システムで果たす多面性と普遍性の根幹をなす基本原理の理解に迫りたい。
1S09m
日時:10月31日(火) 08:40~10:50 第9会場 (405+406)
付加体科学とは何か?
オーガナイザー
熊谷 嘉人(九州大学薬学部)内田 浩二(東京大学大学院 農学生命科学研究科)
則次 恒太(東京薬科大学・生命科学部)
森本 睦(岡山大学・学術研究院医歯薬学域)
内田 浩二(東京大学大学院 農学生命科学研究科)
森本 睦(岡山大学・学術研究院医歯薬学域)
内田 浩二(東京大学大学院 農学生命科学研究科)
タンパク質のアミノ酸残基がリン酸化、メチル化やアセチル化のような翻訳後修飾を受けることにより、プロテオミクスの多様性を高めることが知られている。生体内において、このようなタンパク質付加体の形成は、それを解除する酵素によって厳密に制御されている。一方、異物がタンパク質を化学修飾することも報告されているが、その結果、生体内で如何なる変化が生じるのか、それを制御する酵素系は存在するかについて良く理解されていない。このような背景の中、日本毒性学会において昨年「付加体科学部会」が設立された。本シンポジウムでは、関係者から本会設立に至った学問的経緯について説明していただき、新たな研究分野の創成について議論したい。
1S09e
日時:10月31日(火) 17:00~19:10 第9会場 (405+406)
型破りな代謝の制御機構が織りなす糖鎖生物学の新展開
オーガナイザー
平山 弘人(理化学研究所 開拓研究本部 鈴木糖鎖代謝生化学研究室)原田 陽一郎(大阪国際がんセンター 研究所 糖鎖オンコロジー部)
吉田 雪子(公益財団法人東京都医学総合研究所 蛋白質代謝研究室)
兪 史幹(理化学研究所)
蜷川 暁(神戸大学バイオシグナル総合研究センター)
原田 陽一郎(大阪国際がんセンター 研究所 糖鎖オンコロジー部)
平山 弘人(理化学研究所 開拓研究本部 鈴木糖鎖代謝生化学研究室)
兪 史幹(理化学研究所)
蜷川 暁(神戸大学バイオシグナル総合研究センター)
原田 陽一郎(大阪国際がんセンター 研究所 糖鎖オンコロジー部)
平山 弘人(理化学研究所 開拓研究本部 鈴木糖鎖代謝生化学研究室)
生体における物質代謝は、ゲノム情報からだけでは類推できない生命現象の最たる例であり、その制御機構は既存の概念では説明がつかない物も少なくない。また、生物学的な重要性が不明であるために注目されていない代謝経路が未だ数多く存在する。本シンポジウムでは、糖タンパク質の機能調節を担う糖鎖修飾に焦点を当て、本修飾に関連する糖、核酸、糖鎖、タンパク質の研究分野における未解決問題を新たな切り口で解析することで見えてきた、型破りな代謝の作動原理とその重要性について、分野の垣根を超えた気鋭の研究者に最新の知見を紹介いただき、糖鎖生物学の新展開ついて議論したい。
1S10m
日時:10月31日(火) 08:40~10:50 第10会場 (409)
最前線研究から見えてくる低分子量Gタンパク質の新機能
オーガナイザー
扇田 久和(滋賀医科大学)瀬尾 美鈴(京都産業大学)
瀬尾 美鈴(京都産業大学)
久保 盾貴(大阪大学)
加藤 裕教(大阪公立大学)
清水 昭男(滋賀医科大学)
鯉沼 真吾(東京理科大学)
久保 盾貴(大阪大学)
加藤 裕教(大阪公立大学)
清水 昭男(滋賀医科大学)
鯉沼 真吾(東京理科大学)
低分子量Gタンパク質に属する分子は150以上も存在し、5つのサブファミリーに分類されている。その中でもRhoファミリー低分子量Gタンパク質は、アクチン線維の制御を介して、細胞骨格の維持、細胞の運動・増殖・分化など多彩かつ重要な細胞活動を司っていることが多年の研究により明らかになっている。さらに近年の研究から、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質およびその関連分子を含むシグナル系が持つ新たな機能と生命現象や疾患との相関が次々と解明され続けている。Rhoファミリー低分子量Gタンパク質シグナル系には現在でも未知の部分が多く残されおり、生命科学研究における魅力ある研究対象と言える。この様な現状を踏まえて本シンポジウムは、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質シグナル系に焦点を当て、その研究の新展開について発表する場を提供すると共に、若手を含む多様な研究者が一緒になって様々な観点から議論し、最新の知見を共有したい。
1S10e
日時:10月31日(火) 17:00~19:10 第10会場 (409)
実験生物学と理論生物学の間隙を埋めるために
オーガナイザー
程 肇(金沢大学・自然科学研究科)重吉 康史(近畿大学・医学部)
重吉 康史(近畿大学・医学部)
黒澤 元(理研・数理創造プログラム)
久保田 浩行(九州大学・生体防御医学研究所)
宇田 新介(九州大学・生体防御医学研究所)
若本 祐一(東京大学・院・総合文化研究科)
沼野 利佳(豊橋技術科学大学・エレクトロニクス先端融合研究所)
高畑 佳史(大阪大学・歯学研究科)
瓜生 耕一郎(金沢大学・自然科学研究科)
黒澤 元(理研・数理創造プログラム)
久保田 浩行(九州大学・生体防御医学研究所)
宇田 新介(九州大学・生体防御医学研究所)
若本 祐一(東京大学・院・総合文化研究科)
沼野 利佳(豊橋技術科学大学・エレクトロニクス先端融合研究所)
高畑 佳史(大阪大学・歯学研究科)
瓜生 耕一郎(金沢大学・自然科学研究科)
近年まで実験科学を主要な手法として発展してきた生命科学は、数学をはじめとする理論科学との融合を迫られているように見える。あたかも分子レベルでの解像度を有する生化学や分子生物学が勃興してきた時、それが纏う輝かしい普遍的原理や手法の前に狼狽を隠せない、一時代前の学問が置かれた状況に似ている。しかし、今や分子を基盤とする生命科学はすでに揺るぎない地位を占めている。生命科学における実験と理論の融合も一つ時代を下がれば、ごく自然のものとなるに違いない。本シンポジウムでは、同一の研究テーマについて、それぞれ実験と主に数理的手法で解析を進めている方々に、それぞれの立場から講演を依頼した。実験と数理的手法単独ではなしえず協同研究で初めて達成できた成果と、研究途上それぞれの理解を妨げた色々な要因及びその解決方法について議論を深めていきたい。
1S11m
日時:10月31日(火) 08:40~10:50 第11会場 (410)
マルチバレント相互作用にフォーカスした生化学及び創薬の新展開
オーガナイザー
植田 正(九州大学大学院薬学研究院)津本 浩平(東京大学大学院工学系研究科)
前仲 勝実(北海道大学大学院薬学研究院)
高木 淳一(大阪大学蛋白質研究所)
中木戸 誠(東京大学大学院工学系研究科)
浅野 竜太郎(東京農工大学大学院工学系研究院)
井川 智之(中外製薬株式会社)
高木 淳一(大阪大学蛋白質研究所)
中木戸 誠(東京大学大学院工学系研究科)
浅野 竜太郎(東京農工大学大学院工学系研究院)
井川 智之(中外製薬株式会社)
血液凝固の第VIII因子を模倣したバイスペシフィック抗体が血友病A患者の治療に用いられ奏効している。これは第VIII因子が第IXa因子と第X因子とのマルチバレント相互作用が生命現象と深く関連していることを明確に示した例である。また、マルチバレント抗体アナログを利用した創薬への応用や生命現象の解明、マルチバレント相互作用に着目した生命現象の理解も進んでいる。本シンポジウムでは、「マルチバレント相互作用」をキーワードとして、新規な生命現象の解明、創薬への展開に関する研究発表を通じて、生化学を理解することを趣旨とする。
1S11e
日時:10月31日(火) 17:00~19:10 第11会場 (410)
生化学・病態生理学・生物物理学から迫る核膜恒常性維持とその破綻
オーガナイザー
上川 泰直(広島大学大学院医系科学研究科)和田 英治(東京医科大学・病態生理学分野)
上川 泰直(広島大学大学院医系科学研究科)
島本 勇太(遺伝学研究所)
小瀬 真吾(理化学研究所)
平野 泰弘(大阪大学大学院生命機能研究科)
和田 英治(東京医科大学・病態生理学分野)
島本 勇太(遺伝学研究所)
小瀬 真吾(理化学研究所)
平野 泰弘(大阪大学大学院生命機能研究科)
和田 英治(東京医科大学・病態生理学分野)
核膜は真核生物を特徴付けるオルガネラであり、核・細胞質の区画化やゲノム機能の制御に深く関わる。細胞分裂時に劇的な変化を遂げる核膜は、細胞周期に伴うオルガネラやタンパク質複合体の動態研究の優れたモデルとして多くの研究者を魅了し続けている。一方で近年、細胞移動に伴う物理的負荷など、様々なストレスにより間期において核膜が損傷を受けることが明らかとなって来た。現在、損傷を受けた核膜の修復メカニズムとその生理的機能の解明を目指した研究が広がりを見せており、がんや神経変性疾患、筋疾患などとの関連が示唆されている。残念ながら本研究分野における我が国の存在感は決して高くない。そこで本シンポジウムは、核膜恒常性の維持とその破綻について、生化学、病態生理学、生物物理学など、異なる視点から核心に迫る研究を紹介し議論を交わすことで、核膜研究発展の起爆剤となることを目指す。
1S12m
日時:10月31日(火) 08:40~10:50 第12会場 (501)
魚が先導する生化学研究の新しい潮流
オーガナイザー
杉本 幸彦(熊本大学)石谷 太(大阪大学)
石谷 太(大阪大学)
花田 俊勝(大分大学)
土屋 創健(熊本大学)
大久保 範聡(東京大学)
吉原 良浩(理化学研究所)
花田 俊勝(大分大学)
土屋 創健(熊本大学)
大久保 範聡(東京大学)
吉原 良浩(理化学研究所)
ゼブラフィッシュやメダカなどの小型魚類は、in vivoでのハイスループット探索(HTS)やライブイメージング解析、臓器形成や細胞競合、神経回路や行動認知などのシステム生物学、そして発生や老化といった個体単位の研究に適した生物資源である。本シンポジウムでは、こうした魚の強みを活かし、性行動や嗅覚認知、臓器形成、あるいはがんや老化、ヒト遺伝病の病態に注目し、個体間伝達分子や細胞間メディエーターの役割、さらには細胞内シグナル伝達の分子機構を解き明かした秀逸な研究を紹介する。魚を用いて初めてブレークスルーが可能となった研究の醍醐味に触れることで、魚が先導する生化学研究の新たな潮流を体感する機会を提供したい。
1S12e
日時:10月31日(火) 17:00~19:10 第12会場 (501)
グリア多様性の理解に基づく精神・神経変性疾患の機序解明と治療法開発
オーガナイザー
飯島 浩一(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター)菊地 正隆(東京大学 大学院新領域創成科学研究科)
増田 隆博(九州大学 生体防御医学研究所)
斉藤 貴志(名古屋市立大学 脳神経科学研究所 )
加藤 隆弘(九州大学 大学院医学研究院 精神病態医学)
関谷 倫子(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター)
菊地 正隆(東京大学 大学院新領域創成科学研究科)
斉藤 貴志(名古屋市立大学 脳神経科学研究所 )
加藤 隆弘(九州大学 大学院医学研究院 精神病態医学)
関谷 倫子(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター)
菊地 正隆(東京大学 大学院新領域創成科学研究科)
単一細胞レベルでのオミックス解析技術の進展に伴い、様々な組織を構成する細胞の種類や不均一性が分子レベルで明らかにされている。脳は種類の異なる神経細胞やグリア細胞、また血管細胞から成り、それらが協働することで、脳内環境の恒常性や高次脳機能が維持されている。最近、ミクログリアやアストロサイトの性質が脳領域によって異なることや、脳境界領域に存在するマクロファージの詳細が明らかにされた。また、老化脳や疾患脳においてはグリア細胞がダイナミックな変容を遂げており、それを起点とする脳内環境の恒常性の破綻が、老化に伴う認知機能の低下や、精神・神経変性疾患の発症に関わると考えられている。本シンポジウムでは、グリア細胞の多様性や精神・神経疾患との関係について最新の知見と、ヒトグリア様細胞を用いたトランスレーショナル研究を紹介し、グリア細胞を標的とする精神・神経変性疾患の治療薬開発の展望について議論したい。
1S13m
日時:10月31日(火) 08:40~10:50 第13会場 (502)
細胞骨格制御とシグナル伝達におけるDOCKファミリー分子の多彩な機能と構造基盤~DOCK GEF発見から20年を経て~
オーガナイザー
宇留野 武人(九州大学生体防御医学研究所)錦見 昭彦(国立長寿医療研究センター研究所)
ジャン・フランソワ コテ(モントリオール臨床研究所)
柊元(新野) 睦子(理化学研究所 生命機能科学研究センター)
國村 和史(九州大学生体防御医学研究所)
行方 和彦(東京都医学総合研究所)
山内 淳司(東京薬科大学・生命科学部)
柊元(新野) 睦子(理化学研究所 生命機能科学研究センター)
國村 和史(九州大学生体防御医学研究所)
行方 和彦(東京都医学総合研究所)
山内 淳司(東京薬科大学・生命科学部)
Rhoファミリー低分子量Gタンパク質は、細胞骨格の再編成を介した細胞機能の調節において中心的な役割を担う。Rhoファミリーの活性化に寄与するGDP/GTP交換因子(GEF)は、従来DH-PHドメインを有する分子群が知られていたが、異なる構造を有する非典型的なGEFとしてDOCKファミリー分子が同定された。その後、20年を経て、免疫応答や発生、神経機能、がん悪性化など、様々な生体現象において、DOCKファミリー分子が主要な役割を演じることが明らかにされてきた。また、複数のDOCKファミリー分子の変異に起因するヒト遺伝性疾患の存在も明らかにされている。本シンポジウムでは、DOCKファミリーによる細胞骨格制御が織りなす多彩な生理機能とその破綻による病態について、最近の知見を柱に、専門分野を異にする研究者が一堂に会し、議論する場を提供したい。
1S13e
日時:10月31日(火) 17:00~19:10 第13会場 (502)
ポリアミン研究の最前線
オーガナイザー
曽我 朋義(慶應義塾大学先端生命科学研究所)杉本 昌弘(慶應義塾大学先端生命科学研究所)
村井 法之(東京慈恵会医科大学)
茶本 健司(京都大学大学院医学研究科)
栗原 新(近畿大学生物理工学部)
杉本 昌弘(慶應義塾大学先端生命科学研究所)
曽我 朋義(慶應義塾大学先端生命科学研究所)
茶本 健司(京都大学大学院医学研究科)
栗原 新(近畿大学生物理工学部)
杉本 昌弘(慶應義塾大学先端生命科学研究所)
曽我 朋義(慶應義塾大学先端生命科学研究所)
生体内に存在するスペルミン、スペルミジンおよびそれらのN-アセチル化体などのポリアミン類は正電荷を帯びているため、DNAやRNAに結合し、転写や翻訳、細胞増殖、膜安定化、器官形成など、様々な生物学的プロセスに関与していることが知られている。各種のがんでは,ポリアミン代謝の異常が頻繁に見られ,ポリアミンレベルの上昇が形質転換や腫瘍の進行に必要であることが示されており、ポリアミンは抗癌剤の標的としてだけでなく,診断薬としても注目されている。一方、スペルミジンは老化したマウスでは減少し、補充することで回復効果や寿命が延びることが知られているが、近年の研究で、スペルミジンは、T細胞の機能に直接影響を与えていることも判明した。本シンポジウムでは、最先端のポリアミン研究および技術開発を行っている研究者をお招きして、最新のポリアミン研究を紹介して頂く。
1S14m
日時:10月31日(火) 08:40~10:50 第14会場 (503)
生命金属動態の破綻・疾病・創薬
オーガナイザー
長野 清一(大阪大学大学院医学系研究科神経難病認知症探索治療学)内田 康雄(広島大学大学院医系科学研究科)
共催
新学術領域研究「「生命金属科学」分野の創成による生体内金属動態の 統合的研究(生命金属科学)」
長野 清一(大阪大学大学院医学系研究科神経難病認知症探索治療学)
福中 彩子(群馬大学生体調節研究所)
有澤 琴子(東北大学薬学研究科)
黄 基旭(東北医科薬科大学薬学部)
菅波 孝祥(名古屋大学環境医学研究所分子代謝医学分野)
福中 彩子(群馬大学生体調節研究所)
有澤 琴子(東北大学薬学研究科)
黄 基旭(東北医科薬科大学薬学部)
菅波 孝祥(名古屋大学環境医学研究所分子代謝医学分野)
多くの金属元素はタンパク質等の生体内物質との相互作用を通じてその構造や機能を制御する働きを持ち、それにより様々な生命現象に影響を及ぼしている。そのため金属元素の動態に量的・質的変化が生じるとこれらの生命現象を維持できなくなり、場合によっては病的状態を生じる。本シンポジウムでは鉄、銅、亜鉛、セレン、水銀といった金属動態の破綻が様々な疾患の発症につながるメカニズムを新進気鋭の研究者により最新の知見を交えて講演していただく。合わせてその創薬への応用についても議論し、新たな視点から生体における金属代謝の意義を考えていきたい。
1S14e
日時:10月31日(火) 17:00~19:10 第14会場 (503)
マクロファージによる恒常性と病態の制御
オーガナイザー
大石 由美子(日本医科大学大学院医学研究科 代謝・栄養学)真鍋 一郎(千葉大学医学研究院 疾患システム医学)
浅野 謙一(東京薬科大学生命科学部 免疫制御学研究室)
金山 剛士(東京医科歯科大学難治疾患研究所 生体防御学分野)
鈴木 拓児(千葉大学大学院医学研究院呼吸器内科学)
服部 祐季(名古屋大学大学院医学系研究科 細胞生物学分野)
佐藤 荘(東京医科歯科大学医歯学総合研究科 免疫アレルギー学分野)
金山 剛士(東京医科歯科大学難治疾患研究所 生体防御学分野)
鈴木 拓児(千葉大学大学院医学研究院呼吸器内科学)
服部 祐季(名古屋大学大学院医学系研究科 細胞生物学分野)
佐藤 荘(東京医科歯科大学医歯学総合研究科 免疫アレルギー学分野)
マクロファージは、19世紀末にイリヤ・メチニコフによって細菌などの異物を貪食する食細胞として発見された。メチニコフは一連の研究の中で、マクロファージが貪食による生体防御に加えて創傷治癒や発生、老化にも寄与することを既に示唆していたが、マクロファージは予想を超えて実に多彩な機能を持ち、様々な生命現象や病態の形成に重要な役割を果たすことが続々と明らかになっている。本シンポジウムでは、個体恒常性、ならびに、感染性疾患や癌・神経疾患などの加齢関連疾患の病態形成におけるマクロファージをはじめとした骨髄球系細胞の機能について、最新の研究結果を紹介し、その生理的・病態生理学的意義についての議論を深めたい。
2S01m
日時:11月1日(水) 08:40~10:50 第1会場 (メインホール)
新型コロナウイルスの進化とその宿主応答、ワクチン開発:今後のCOVID-19の課題
オーガナイザー
久場 敬司(九州大学)福原 崇介(北海道大学)
石井 健(東京大学医科学研究所)
岡本 徹(大阪大学微生物病研究所)
河岡 義裕(東京大学医科学研究所)
佐藤 佳(東京大学医科学研究所)
橋口 隆生(京都大学 医生物学研究所)
福原 崇介(北海道大学)
岡本 徹(大阪大学微生物病研究所)
河岡 義裕(東京大学医科学研究所)
佐藤 佳(東京大学医科学研究所)
橋口 隆生(京都大学 医生物学研究所)
福原 崇介(北海道大学)
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症のパンデミックが始まってからおよそ3年がたち、Withコロナでの社会活動再開に向けた動きが進んでいる。2019年に出現した武漢株からウイルスは変異を繰り返し急速に進化することで感染性や病原性も大きく変化してきた。またウイルス感染によるCOVID-19の発症や重症化における宿主応答のメカニズムも少しずつ明らかになってきた。さらにmRNAワクチンが開発され感染防御に一定の役割を果たすと同時に治療薬の開発も進んできた。本シンポジウムでは、パンデミックでウイルスが変異・免疫逃避など進化する中で、宿主応答や病原性がどのように変化し、さらにワクチンや治療薬の開発研究がどのように進んできたかについてオーバービューし今後の新型コロナウイルス感染症の課題について議論する機会としたい。
2S01a
日時:11月1日(水) 13:30~15:40 第1会場 (メインホール)
先輩からのメッセージ
オーガナイザー
菊池 章(大阪大学感染症総合教育研究拠点)
菊池 章(大阪大学感染症総合教育研究拠点)
中野 明彦(理化学研究所光量子工学研究センター)
西村 いくこ(奈良国立大学機構)
長田 重一(大阪大学免疫学フロンティア研究センター)
中野 明彦(理化学研究所光量子工学研究センター)
西村 いくこ(奈良国立大学機構)
長田 重一(大阪大学免疫学フロンティア研究センター)
タンパク質や糖質、脂質、核酸の分子間の相互作用や酵素反応、細胞内での分子の安定性や移動を介した細胞機能制御機構と臓器間恒常性維持機構の解明は、生命の正常と異常の理解に必須であり、これらの研究において日本生化学会の研究者が大きく貢献してきました。特に長年にわたり研究を継続されてきた先生方は、そのキャリアの中で多くのことを体験されてきました。一方で、その先輩達にも若い時代があり、失敗を経験したこともあると思われます。生命の解析技術が格段に進歩する時代において、研究手法や研究のあり方が変わりつつあると感じることもありますが、研究の面白さや研究への向き合い方は変わっていないと信じています。そこで、本シンポジウムでは、日本生化学会の先輩からご自身が行われてきた生化学研究につきまして、印象に残る実験等を様々な体験とともにご紹介いただくこととしました。是非メッセージを受け取ってください。
2S01e
日時:11月1日(水) 17:00~19:10 第1会場 (メインホール)
生化学の先輩・先達から聞く「生化学の面白さ・楽しさ」
オーガナイザー
藤木 幸夫(兵庫県立大学理学研究科)
2S02m
日時:11月1日(水) 08:40~10:50 第2会場 (201)
グライココードの解明に向けて-変わった糖鎖構造に真剣に思いを巡らす
オーガナイザー
鈴木 匡(理化学研究所 開拓研究本部)萬谷 博(東京都健康長寿医療センター)
宮本 泰豪(大阪国際がんセンター)
長束 俊治(新潟大学)
佐藤 ちひろ(名古屋大学)
萬谷 博(東京都健康長寿医療センター)
竹内 英之(静岡県立大学)
長束 俊治(新潟大学)
佐藤 ちひろ(名古屋大学)
萬谷 博(東京都健康長寿医療センター)
竹内 英之(静岡県立大学)
この30年間、糖鎖生物学は飛躍的な進歩を遂げ、我々は脊椎動物の"主要な糖鎖構造"のほとんどを理解した気になっているかもしれない。 一方で、“主要な糖鎖構造"が明らかになるにつれ、“未知の糖鎖“に対するアンテナが鈍ってはいないだろうか。昨今、多くの“糖鎖構造解析"は、検出した糖鎖を既知の糖鎖構造に当てはめる作業に陥りがちで、ともすると既存の知識で説明できないものは見ないふり、となりかねない。それではせっかく検出技術が向上しても、大事なものをたくさん見逃すことになる。本シンポジウムでは、ユニークな視点を保ちつつ、“変わった、レアな糖鎖"の存在意義を真面目に研究する研究者にご参集いただき、主要ではない“糖鎖のもつ意味"-グライココード-をマニアに議論したい。
2S02a
日時:11月1日(水) 13:30~15:40 第2会場 (201)
生体シグナル情報の定量化・数値化に基づく生命システムの時空間的理解
オーガナイザー
西田 基宏(九州大学大学院薬学研究院生理学分野)青木 一洋(自然科学研究機構生命創成探究センター/基礎生物学研究所)
共催
JST-CREST「多細胞間での時空間的な相互作用の理解を目指した技術・解析基盤の創出」
青木 一洋(自然科学研究機構生命創成探究センター/基礎生物学研究所)
豊島 文子(京都大学医生物学研究所)
岡本 康司(帝京大学 先端総合研究機構)
藤田 克昌(大阪大学大学院工学研究科)
西村 明幸(自然科学研究機構生理学研究所/生命創成探究センター)
豊島 文子(京都大学医生物学研究所)
岡本 康司(帝京大学 先端総合研究機構)
藤田 克昌(大阪大学大学院工学研究科)
西村 明幸(自然科学研究機構生理学研究所/生命創成探究センター)
近年、1細胞レベルでのオミクス技術やイメージング技術、さらには大量データを処理する計算機科学等の発展に伴い、細胞や生体分子の網羅的かつ定量的な解析が可能になってきた。これにより、個別の遺伝子や分子に着目した研究から、遺伝子群や分子群の1細胞レベルでの変化を対象とするような、より複雑な解析へとライフサイエンスの方法論が変化しつつある。一方で、時空間を考慮した生命システムの研究では、細胞や分子の経時的解析や組織・生体の三次元解析などで多くの技術的な障壁が存在する。本シンポジウムでは、多細胞間での時空間的な相互作用の理解を目指した研究を推進する先生方がもつユニークで革新的な技術を紹介するとともに、現状の課題と今後の展望についても議論したい。
2S02e
日時:11月1日(水) 17:00~19:10 第2会場 (201)
統合的糖鎖情報によってヒト疾患を俯瞰する
オーガナイザー
佐藤 ちひろ(名古屋大学)木下 聖子(創価大学)
共催
ヒューマングライコームプロジェクト 、共同利用・共同研究拠点:糖鎖生命科学連携ネットワーク型拠点
金川 基(愛媛大学)
門松 健治(名古屋大学糖鎖生命コア研究所)
カワハラ レベッカ(名古屋大学)
藤田 盛久(岐阜大学)
松井 佑介(名古屋大学糖鎖生命コア研究所)
木下 聖子(創価大学)
門松 健治(名古屋大学糖鎖生命コア研究所)
カワハラ レベッカ(名古屋大学)
藤田 盛久(岐阜大学)
松井 佑介(名古屋大学糖鎖生命コア研究所)
木下 聖子(創価大学)
タンパク質、核酸に次ぐ第3の生命鎖である糖鎖は、そのほとんどが細胞外に存在し、細胞を特徴付ける構造を呈している。とくに、細胞-細胞および細胞-細胞外マトリックス間のコミュニケーションを媒介する役割を担うこと、また糖鎖の不全が種々の疾患をもたらすことからも、その重要性は広く認識されている。一方、糖鎖の研究は、構造の複雑性・多様性、生合成機構の独自性から、これまでは敬遠されることが多かった。しかし近年、糖鎖構造解析技術の開発と糖鎖関連情報データの集積が進展し、これらを統合的に活用した研究が行われるようになってきており、糖鎖というピースをはめた新たな生命科学が生まれようとしている。本シンポジウムにおいては、ヒト疾患に関わる糖鎖の奥深さとその関連情報が生み出す新たな息吹を届けたい。
2S03m
日時:11月1日(水) 08:40~10:50 第3会場 (202)
精神・神経疾患発症のメカニズム解明と治療に向けたエピジェネティック・アプローチ
オーガナイザー
中島 欽一(九州大学大学院 医学研究院)岩本 和也(熊本大学大学院 生命科学研究部)
岩本 和也(熊本大学大学院 生命科学研究部)
前川 素子(東北大学大学院医学系研究科)
石田 綾(理化学研究所 脳神経科学研究センター)
中嶋 秀行(九州大学大学院 医学研究院)
古屋敷 智之(神戸大学大学院 医学研究科)
前川 素子(東北大学大学院医学系研究科)
石田 綾(理化学研究所 脳神経科学研究センター)
中嶋 秀行(九州大学大学院 医学研究院)
古屋敷 智之(神戸大学大学院 医学研究科)
生体の機能は、突き詰めればそれを構成する細胞の中で、どの遺伝子がどの程度発現されているかにより規定されている。DNAやヒストン修飾などのエピジェネティクス機構は、遺伝子発現をDNAの配列変換を伴わずに制御するメカニズムであり、細胞や個体を取り巻く環境によって変動する。例えば、自閉症や統合失調症を誘発する胎生期の薬剤への曝露や母体感染、うつを誘発するストレスなどにより、エピゲノム状態が変化することが知られており、これらの変化により特定遺伝子の発現変化が誘導され、精神・神経疾患発症に深く関わることが明らかになりつつある。本シンポジウムでは、エピゲノム変化が如何に精神・神経疾患の発症へとつながるのか、また、その状態を改善させるための新規な取り組みを紹介するとともに、今後の展望について議論したい。
2S03a
日時:11月1日(水) 13:30~15:40 第3会場 (202)
顕微鏡新技術と糖鎖研究から迫るゴルジ体でのタンパク質品質管理機構
オーガナイザー
吉田 秀郎(兵庫県立大学)清水 重臣(東京医科歯科大学)
後藤 聡(立教大学)
高橋 康史(名古屋大学)
袖岡 幹子(理化学研究所)
北川 裕之(神戸薬科大学)
本田 真也(東京医科歯科大学)
桜井 一(兵庫県立大学)
高橋 康史(名古屋大学)
袖岡 幹子(理化学研究所)
北川 裕之(神戸薬科大学)
本田 真也(東京医科歯科大学)
桜井 一(兵庫県立大学)
分泌タンパク質や膜タンパク質は小胞体でフォールディングが完成し、ゴルジ体では糖鎖修飾など様々な翻訳後修飾が行われて成熟したタンパク質となる。小胞体でのタンパク質品質管理機構(小胞体ストレス応答)は、小胞体シャペロンによるフォールディングとERADによる分解によって行われていることがよく知られている。一方、ゴルジ体でのタンパク質品質管理機構(ゴルジ体ストレス応答)は、糖鎖修飾酵素による糖鎖付加やGOMEDによる分解によって担われていると考えられるが、その分子機構の解明には、新しい顕微鏡技術が求められている。そこで本シンポジウムではGOMEDや糖鎖生物学、ゴルジ体ストレス応答、ラマン顕微鏡、走査型イオンコンダクタンス顕微鏡の専門家が結集し、ゴルジ体でのタンパク質品質管理機構という難題の解決に挑む。
2S03e
日時:11月1日(水) 17:00~19:10 第3会場 (202)
アルツハイマー病の発症機構と発症分子機構に基づいた治療法開発戦略
オーガナイザー
鈴木 利治(北海道大学大学院薬学研究院)道川 誠(日本歯科大学新潟生命歯学部)
安藤 香奈絵( 東京都立大学 大学院理学研究科)
道川 誠(日本歯科大学新潟生命歯学部)
舟本 聡(同志社大学大学院生命医科学研究科)
鈴木 利治(北海道大学大学院薬学研究院)
道川 誠(日本歯科大学新潟生命歯学部)
舟本 聡(同志社大学大学院生命医科学研究科)
鈴木 利治(北海道大学大学院薬学研究院)
高齢化社会を迎えた先進諸国では認知症対策が社会的に喫緊の課題となっている。我が国で500万人以上と推定される認知症の約70%はアルツハイマー病(AD)である。これまでに家族性ADの原因遺伝子(APP, PSEN)や危険因子(apoE ε4 等)が見出され、ADの発症はアミロイド前駆体タンパク質(APP)から生成されたアミロイドβペプチド(Aβ)の可溶性オリゴマーが神経毒性の発端となると理解されてきた。神経傷害の過程では、神経原線維変化を形成するタウの異常、ミトコンドリアの機能低下、脳内炎症が起こり、危険因子がこの過程を増悪することで、認知機能障害と細胞死を引き起こす。しかしながら、Aβとタウを繋ぐメカニズムを含め発症機構の詳細は未解明な点が多く、発症機構に基づいた治療法や疾患修飾薬は実用化されていない。本シンポジウムでは、ADの発症機構の解明に長年取り組んできた研究者が、発症分子機構を解明し、それに立脚した独創的な疾患修飾薬の開発に取り組んだ成果を報告し、新規治療法開発の可能性と問題点を議論したい。
2S04m
日時:11月1日(水) 08:40~10:50 第4会場 (203)
ケミカルプロテオスタシス研究の黎明
オーガナイザー
稲葉 謙次(東北大学)潮田 亮(京都産業大学)
吉田 秀郎(兵庫県立大学)
松本 雅記(新潟大学)
水上 進(東北大学)
潮田 亮(京都産業大学)
荻沼 政之(大阪大学)
稲葉 謙次(東北大学)
松本 雅記(新潟大学)
水上 進(東北大学)
潮田 亮(京都産業大学)
荻沼 政之(大阪大学)
稲葉 謙次(東北大学)
細胞は厳正なタンパク質恒常性維持機構を備えている。これまで国内外の多くの研究者が本機構の解明に取り組んできたが、その多くは分子シャペロンやタンパク質分解系にフォーカスしたものであった。一方で、細胞内のサイトゾルや各オルガネラは驚くほどに厳密にレドックス、pH、金属イオンなどの化学環境が制御されており、当然ながら細胞内各区画の化学環境とタンパク質の構造機能は密接な相関がある。しかしながら、タンパク質恒常性維持と細胞内化学環境の関係について、系統的かつ定量的に深く究明された研究例は意外にも少ない。そこで本シンポジウムでは、細胞内の化学環境を定量的にライブ観察するシステムの開発、細胞内化学環境の摂動がタンパク質の生合成や品質管理に与える影響を網羅的あるいは各論的に深く掘り下げて研究を進めている研究者に最新のトピックスを発表いただく。これにより、「ケミカルプロテオスタシス」という新たな学問分野を構築していきたい。
2S04a
日時:11月1日(水) 13:30~15:40 第4会場 (203)
低酸素応答機構研究における計測系・再構築系・動物モデル系の再検証
オーガナイザー
鈴木 教郎(東北大学 未来科学技術共同研究センター)西川 恵三(同志社大学 大学院生命医科学研究科)
鈴木 教郎(東北大学 未来科学技術共同研究センター)
西川 恵三(同志社大学 大学院生命医科学研究科)
武田 憲彦(自治医科大学 分子病態治療研究センター)
珠玖 仁(東北大学 大学院工学研究科)
原田 浩(京都大学 大学院生命科学研究科)
西川 恵三(同志社大学 大学院生命医科学研究科)
武田 憲彦(自治医科大学 分子病態治療研究センター)
珠玖 仁(東北大学 大学院工学研究科)
原田 浩(京都大学 大学院生命科学研究科)
低酸素応答機構の研究が進み、HIFなどの様々な分子による制御メカニズムがわかってきた。また、低酸素応答機構は、恒常性維持だけでなく、個体発生や多くの疾患に深く関わることが明らかとなり、創薬標的としても注目されている。研究分野が拡大する一方で、組織酸素濃度の測定や細胞・個体への低酸素曝露などの解析系における課題が浮き彫りになってきた。今回は、低酸素応答機構解析を最先端で進める研究者が「それってどうなの?」と感じている点を改めて問題提起し、organ-on-chipやsingle-cell解析などの最新の技術を踏まえた解決策について議論する。
2S04e
日時:11月1日(水) 17:00~19:10 第4会場 (203)
血管形成・成熟化のシステム生化学
オーガナイザー
南 敬(熊本大学生命資源研究支援センター・大学院生命科学研究部分子血管制御学)福原 茂朋(日本医科大学 先端医学研究所 病態解析学部門 (分子細胞構造学分野))
南 敬(熊本大学)
渡邊ー高野 晴子(日本医科大学 先端医学研究所 病態解析学部門)
岩瀬 晃康(東京大学大学院医学系研究科分子細胞生物学専攻代謝生理化学分野)
安田 大恭(秋田大学大学院 医学系研究科 生体防御学講座)
福本 萌(国立循環器病研究センター 細胞生物学部)
渡邊ー高野 晴子(日本医科大学 先端医学研究所 病態解析学部門)
岩瀬 晃康(東京大学大学院医学系研究科分子細胞生物学専攻代謝生理化学分野)
安田 大恭(秋田大学大学院 医学系研究科 生体防御学講座)
福本 萌(国立循環器病研究センター 細胞生物学部)
閉鎖血管系は単に酸素や栄養分を全身に運ぶ管ではなく、免疫細胞の運搬、臓器間ネットワークの構築、組織の形成・機能を制御する生命維持に必須のライフラインである。この血管・脈管構築の礎となる内皮細胞は主に内皮分化及び増殖を制御する VEGF 等のサイトカインによって規定され、更に周囲の組織・細胞間ネットワークを介し、各臓器の特質にあわせた多様性を獲得することが想定されている。しかし、その詳細かつ動的なゲノム・エピゲノム制御や主たる臓器環境に特異的な細胞間相互作用については更なる解明が待たれる。そこで、本シンポジウムでは内皮増殖に関わるサイトカインや脂質シグナルを介した血管形成や肺・心臓微小環境下における血管形成とその安定化・成熟化に至る制御を統合的に解析展開している各研究者からの講演を交え、生化学的な基盤概念からの'血管システム‘を考えていきたい。
2S05m
日時:11月1日(水) 08:40~10:50 第5会場 (204)
日本発のLUBAC、直鎖状ユビキチン鎖研究の新展開
オーガナイザー
岩井 一宏(京都大学・大学院医学研究科)徳永 文稔(大阪公立大学・大学院医学研究科)
池田 史代(大阪大学大学院生命機能研究科)
浅海 裕也(国立長寿医療研究センター 研究所・メディカルゲノムセンター)
柴田 佑里(ウォルターアンドエリザホール医学研究所)
徳永 文稔(大阪公立大学・大学院医学研究科)
岩井 一宏(京都大学・大学院医学研究科)
浅海 裕也(国立長寿医療研究センター 研究所・メディカルゲノムセンター)
柴田 佑里(ウォルターアンドエリザホール医学研究所)
徳永 文稔(大阪公立大学・大学院医学研究科)
岩井 一宏(京都大学・大学院医学研究科)
ユビキチンはタンパク質分解と密接に関連して研究が展開してきたが、現在では分解以外にも多様な様式でタンパク質の機能を制御する可逆的な翻訳後修飾系として知られている。ユビキチンに7個存在するリジン残基を介するユビキチン鎖が存在し、ユビキチン鎖の種類によってタンパク質の制御様式が異なることが示唆されていたが、2006年に日本で発見されたユビキチン鎖のN末端のメチオニンを介した直鎖状ユビキチン鎖と同ユビキチン鎖を特異的に生成するLUBACリガーゼは「ユビキチンシグナリング」の概念形成に大きく貢献してきた。本シンポジウムでは、日本発の研究成果であるLUBAC、直鎖状ユビキチン鎖研究の歴史、現況、疾患研究への展開も含めた将来への展望について議論したい。
2S05a
日時:11月1日(水) 13:30~15:40 第5会場 (204)
オルガネラ・ライフ・サイクル
オーガナイザー
森戸 大介(昭和大学医学部)久万 亜紀子(大阪大学大学院医学系研究科)
柳谷 耕太(大阪大学大学院生命機能研究科)
奥本 寛治(九州大学理学研究院)
遠藤 斗志也(京都産業大学生命科学部)
久万 亜紀子(大阪大学大学院医学系研究科)
折井 みなみ(昭和大学医学部)
松田 憲之(東京医科歯科大学難治疾患研究所)
奥本 寛治(九州大学理学研究院)
遠藤 斗志也(京都産業大学生命科学部)
久万 亜紀子(大阪大学大学院医学系研究科)
折井 みなみ(昭和大学医学部)
松田 憲之(東京医科歯科大学難治疾患研究所)
イメージング、質量分析、タンパク質構造解析などに関する近年の技術革新に基づいて、細胞の構造と機能についての我々の理解は大きく転回しつつある。前世紀末ごろ、オルガネラの構造と機能について大枠の理解は完了したとも錯覚される一時期があった。しかし現在、オルガネラは混沌とした未知の構造・機能体として我々の前に再浮上しつつある。本シンポジウムでは、オルガネラの形成、モニタリング、メンテナンスから分解までつながるオルガネラ・ライフ・サイクルを追いながら、新しいオルガネラ・バイオロジーの現在位置を確認してみたい。またオルガネラに関連する新しい疾患や計測技術にも触れたい。
2S05e
日時:11月1日(水) 17:00~19:10 第5会場 (204)
ディープオミクスから眺める新たな生命現象
オーガナイザー
島村 徹平(東京医科歯科大学難治疾患研究所)大澤 毅(東京大学先端科学技術研究センター)
大澤 毅(東京大学先端科学技術研究センター)
小嶋 泰弘(国立がんセンター研究所)
岡田 寛之(東京大学大学院医学研究科疾患生命工学センター)
菅 翔吾(東京大学工学系研究科)
洲崎 悦生(順天堂大学大学院医学研究科)
鈴木 絢子(東京大学大学院新領域創成研究科)
小嶋 泰弘(国立がんセンター研究所)
岡田 寛之(東京大学大学院医学研究科疾患生命工学センター)
菅 翔吾(東京大学工学系研究科)
洲崎 悦生(順天堂大学大学院医学研究科)
鈴木 絢子(東京大学大学院新領域創成研究科)
がん、生活習慣病などの疾患や感染症の進行には、分子、オルガネラ、細胞、組織などのさまざまなスケールにおけるシステム動態が複雑に関わっているが、どのような生命情報のやり取りが行われているかは未解明なままである。近年、計測技術の進展と、膨大なデータを処理・解析する深層学習やデータ科学との協働により、ライフサイエンス分野においては、細胞内・オルガネラレベルで起きるさまざまな新たな生命現象を焙り出す下地が整いつつある。本シンポジウムでは、新進気鋭の若手研究者が集まり、ディープオミクス、ウルトラレゾリューションイメージングや深層学習やデータ科学を駆使して、生命科学の根幹に迫る生命システムダイナミクスの世界を紹介するとともに、若手研究者の新規参入のきっかけを提供する。
2S06m
日時:11月1日(水) 08:40~10:50 第6会場 (411+412)
上皮組織の形態形成メカニズム ー接着、極性、病態の観点からー
オーガナイザー
池ノ内 順一(九州大学大学院 理学研究院)鎌倉 幸子(九州大学大学院 医学研究院)
池ノ内 順一(九州大学大学院 理学研究院)
鎌倉 幸子(九州大学大学院 医学研究院)
戸田 聡(金沢大学ナノ生命科学研究所)
谷水 直樹(東京大学医科学研究所)
倉永 英里奈(東北大学大学院生命科学研究科)
松本 真司(大阪大学大学院医学系研究科)
鎌倉 幸子(九州大学大学院 医学研究院)
戸田 聡(金沢大学ナノ生命科学研究所)
谷水 直樹(東京大学医科学研究所)
倉永 英里奈(東北大学大学院生命科学研究科)
松本 真司(大阪大学大学院医学系研究科)
上皮組織は、細胞極性 (apical-basal polarity) を持つ個々の上皮細胞が、細胞間接着により1層のシートとなり、それが3次元的な形態を形成することによって管腔構造を有する組織として構築される。本シンポジウムでは、上皮組織の形態形成に焦点を当てて、形態形成の基盤を為す細胞間接着機構や極性形成機構の分子メカニズムから、上皮細胞同士の相互作用によって機能を有する上皮組織が自己組織化される仕組み、またそれらの破綻が病態を引き起こす仕組みまで、幅広い話題を提供する。細胞間接着や極性形成の分子機構に関する最近の知見に加えて、個体における上皮組織のイメージング、オルガノイドを用いた細胞間相互作用の解析、合成生物学的アプローチから明らかになった自己組織化のメカニズムなど、上皮組織の形態形成に関する最先端のトピックスを提供する。
2S06a
日時:11月1日(水) 13:30~15:40 第6会場 (411+412)
休眠・冬眠研究の最前線
オーガナイザー
澤 智裕(熊本大学大学院生命科学研究部微生物学講座)松本 壮吉(新潟大学医学部細菌学講座)
山口 良文(北海道大学低温科学研究所)
見市 文香(長崎大学熱帯医学研究所共同研究室)
山崎 亮太(九州歯科大学健康増進学講座)
松永 哲郎(東北大学大学院医学系研究科環境医学分野)
松本 壮吉(新潟大学医学部細菌学講座)
見市 文香(長崎大学熱帯医学研究所共同研究室)
山崎 亮太(九州歯科大学健康増進学講座)
松永 哲郎(東北大学大学院医学系研究科環境医学分野)
松本 壮吉(新潟大学医学部細菌学講座)
多くの生物は生体活動を一時的に休止するいわゆる休眠(dormancy)をとることができる。このとき、代謝活性は著しく抑制され、エネルギーが節約されている。このような休眠状態には、細菌が形成する芽胞や、植物の種子、ミジンコの休眠卵、動物の冬眠など多彩な生物種で観察される。休眠期への移行と休眠からの覚醒では生物の存在する環境要因が大きく影響する。生物が休眠へと入り、それがどのように維持され、また再び代謝を活性化させているのか、そこに共通するメカニズムや特有の仕組みがあるのかは非常に興味深い。本シンポジウムでは、休眠状態への導入、覚醒、維持機構、エネルギー代謝などの生化学について、異なる生物種でわかってきたことを議論したい。
2S06e
日時:11月1日(水) 17:00~19:10 第6会場 (411+412)
老化を制御するプロテオスタシスとその変容
オーガナイザー
髙橋 良哉(東邦大学 薬学部 生化学教室)丸山 光生(国立長寿医療研究センター 研究所 ジェロサイエンス研究センター)
丸山 光生(国立長寿医療研究センター 研究所 ジェロサイエンス研究センター)
三浦 ゆり(東京都健康長寿医療センター研究所 老化機構研究チーム(プロテオーム))
樋口 京一(名桜大学人間健康学部/信州大学バイオメディカル研究所)
伊藤 尚基(国立長寿医療研究センター研究所 ジェロサイエンス研究センター 中枢性老化-骨格筋代謝-運動機能制御研究プロジェクトチーム)
原田 高幸(東京都医学総合研究所 視覚病態プロジェクトプロジェクト)
髙橋 良哉(東邦大学 薬学部 生化学教室)
三浦 ゆり(東京都健康長寿医療センター研究所 老化機構研究チーム(プロテオーム))
樋口 京一(名桜大学人間健康学部/信州大学バイオメディカル研究所)
伊藤 尚基(国立長寿医療研究センター研究所 ジェロサイエンス研究センター 中枢性老化-骨格筋代謝-運動機能制御研究プロジェクトチーム)
原田 高幸(東京都医学総合研究所 視覚病態プロジェクトプロジェクト)
髙橋 良哉(東邦大学 薬学部 生化学教室)
健康寿命の延伸を意識する高齢者の増加に伴って、老化研究はジェロサイエンス研究という新しい潮流とともに近年、著しい発展を遂げている。加齢に伴った様々な生体機能の低下を探ることで、関連する遺伝子や分子が探索、同定されてきた。こうしたバイオマーカーの時空間的な発現制御を解析することで老化に伴う形態的・機能的な低下が定量化され、老化のレベルが標準化された。結果、いくつかの老化の特徴がそれぞれ互いに強く関連し、個々の老化プロセスが制御されることが明らかになりつつある。本シンポジウムでは、これまで特にアルツハイマー病や白内障といった老化関連疾患との関連が注目されてきた翻訳後タンパク質の恒常性とその破綻について取り上げ議論する。具体的にはミスフォールド、酸化、糖化などを原因とした異常タンパクの蓄積によるプロテオスタシスの障害が老化そのものの制御にどのような影響を及ぼすのか、最新の研究成果も踏まえて紹介したい。
2S07m
日時:11月1日(水) 08:40~10:50 第7会場 (413+414)
医学観点からの生体膜分子呼応と疾患制御
オーガナイザー
中瀬 生彦(大阪公立大学 大学院理学研究科 生物化学専攻)阪本 考司(名古屋大学 医学部付属病院 呼吸器内科)
吉岡 靖雄(大阪大学 微生物病研究所)
中瀬 朋夏(武庫川女子大学 薬学部)
江口 暁子(三重大学 大学院医学系研究科 消化器内科)
小嶋 良輔(東京大学 大学院医学系研究科)
阪本 考司(名古屋大学 医学部付属病院 呼吸器内科)
中瀬 朋夏(武庫川女子大学 薬学部)
江口 暁子(三重大学 大学院医学系研究科 消化器内科)
小嶋 良輔(東京大学 大学院医学系研究科)
阪本 考司(名古屋大学 医学部付属病院 呼吸器内科)
生体膜は複雑な分子コミュニケーションの中で、細胞内外の刺激や環境変化への受諾/拒否反応や、それら起因によるシグナル惹起と機能応答、加えて細胞間情報伝達に至る多角的な受信/発信機能を有する。生体膜を舞台とした分子夾雑挙動を紐解くことで、秩序と柔軟性を併せもつ高い生体機能の機序解明と、その制御に大きく繋がる。本シンポジウムでは、特に医学的な観点からがん・炎症を中心とした疾患進展と制御に関連する生体膜の夾雑分子挙動を理解することを重視し、細胞、及び、分泌小胞における細胞応答の検出・制御技術に関して融合視点での講演と議論を行う。免疫誘導に関わる膜分子標的から、分泌小胞を介した生体内情報伝達と膜分子の影響・化学的制御、肝臓や肺を含む炎症疾患に関わる生体膜分子の作動性、イオン輸送体を介したがん進展の機序解明を中心に気鋭のトップランナー研究者で講演を行い、起爆剤的な技術融合の可能性に関しても討論する。
2S07a
日時:11月1日(水) 13:30~15:40 第7会場 (413+414)
ケミカルバイオロジーが挑む生体分子の化学修飾
オーガナイザー
堀 雄一郎(九州大学)佐藤 伸一(東北大学)
共催
学術変革領域研究(B)「糖鎖ケミカルノックインが拓く膜動態制御」
真鍋 良幸(大阪大学)
塚越 かおり(東京農工大学)
佐藤 伸一(東北大学)
寺井 琢也(東京大学)
進藤 直哉(九州大学)
堀 雄一郎(九州大学)
塚越 かおり(東京農工大学)
佐藤 伸一(東北大学)
寺井 琢也(東京大学)
進藤 直哉(九州大学)
堀 雄一郎(九州大学)
生体分子は、化学修飾によりその活性や動態を変化させることで、細胞の生理機能を制御しており、その制御機構の解明は生命科学の大きな課題となっている。一方、逆に化学修飾を人為的に引き起こすことは、生体分子の機能制御や検出を可能とするため、新たな研究の潮流を引き起こしている。ケミカルバイオロジーは、天然と人工の両方の化学修飾に関する研究を実施する強力なアプローチを提供する。このアプローチを用いて、本シンポジウムを共催する学術変革 (B)「糖化学ノックイン」領域では、糖鎖修飾にフォーカスを置いて研究を進めている。本シンポジウムでは、糖鎖に加えてそれ以外の修飾にも展開し、化学修飾の生理的役割の解明、人為的修飾による生体分子の検出・イメージング、医薬品開発を行う研究について、ケミカルバイオロジーの最先端の話題を提供し、議論したい。
2S07e
日時:11月1日(水) 17:00~19:10 第7会場 (413+414)
多因子間相互作用による転写ユニティー機構の解明
オーガナイザー
高橋 秀尚(横浜市立大学 大学院医学研究科 分子生物学分野)二村 圭祐(大阪大学 大学院医学系研究科 遺伝子治療学)
共催
学術変革領域研究(B)「時空間的な多因子間相互作用の理解による転写ユニティー機構の解明」
鈴木 秀文(横浜市立大学 大学院医学研究科 分子生物学分野)
二村 圭祐(大阪大学 大学院医学系研究科 遺伝子治療学)
仙石 徹(横浜市立大学 大学院医学研究科 生化学分野)
粕川 雄也 (理化学研究所 生命医科学研究センター 生命医科学大容量データ技術研究チーム)
遊佐 宏介(京都大学 大学院医学研究科 幹細胞遺伝学分野)
二村 圭祐(大阪大学 大学院医学系研究科 遺伝子治療学)
仙石 徹(横浜市立大学 大学院医学研究科 生化学分野)
粕川 雄也 (理化学研究所 生命医科学研究センター 生命医科学大容量データ技術研究チーム)
遊佐 宏介(京都大学 大学院医学研究科 幹細胞遺伝学分野)
細胞の機能発現には、ゲノム全体に分布する遺伝子の発現を適切に制御することが必須である。タンパク質、RNA、DNAなどの限られた数の転写制御因子間での多因子間相互作用により、転写は時空間的に制御される。転写制御は転写プロセス全体が密な相互連携によって一体化し、遺伝子発現を制御する機構の存在が明らかとなってきた。このような転写制御機構を転写ユニティー(Unity: 一体化)機構と呼ぶ。転写ユニティー機構では、異なる組み合わせの因子間の相互作用(多因子間相互作用)によって、標的遺伝子ごとに特異的な転写ユニティーが構築されると考えられる。そこで本シンポジウムでは、このような時空間的な多因子間相互作用によって形成される転写ユニティー機構とそれによる新たな遺伝子発現の制御について議論したい。
2S08m
日時:11月1日(水) 08:40~10:50 第8会場 (402+403)
組織の発生と恒常性を制御する代謝
オーガナイザー
林 良樹(筑波大学・生存ダイナミクス研究センター)齋藤 大介(九州大学・理学研究院)
林 良樹(筑波大学・生存ダイナミクス研究センター)
佐野 浩子(久留米大学・分子生命科学研究所)
樫尾 宗志朗(東京大学・薬学系研究科)
和泉 自泰(九州大学・生体防御医学研究所)
加納 英明(九州大学・理学研究院)
齋藤 大介(九州大学・理学研究院)
佐野 浩子(久留米大学・分子生命科学研究所)
樫尾 宗志朗(東京大学・薬学系研究科)
和泉 自泰(九州大学・生体防御医学研究所)
加納 英明(九州大学・理学研究院)
齋藤 大介(九州大学・理学研究院)
代謝は生命を維持するエネルギーやバイオマスを生み出す一連の化学反応である。この最も古典的な生化学の研究分野は、近年の質量分析技術や遺伝子解析技術、情報学的技術の発展と相まって、がんや幹細胞の研究を中心に、最も新しくホットな研究領域を構築してきた。一方、生体内組織の発生やその機能・恒常性の制御における代謝の働きについては、その解明の途端についたばかりであり、広大なフロンティアとなっている。本シンポジウムでは、このフロンティアの開拓に、多様なモデル動物(マウス、鳥類、ショウジョウバエ等)や様々な生命階層(細胞の分化や挙動、組織恒常性等)、新規技術(組織内代謝を“見る"、“測る“)から挑む研究者の最新知見の分野横断的な紹介を通じて、この"古くて新しい“生化学領域についての理解を深めたい。
2S08a
日時:11月1日(水) 13:30~15:40 第8会場 (402+403)
フェロフェイト:鉄による生命システムの制御とその病理
オーガナイザー
五十嵐 和彦(東北大学 大学院医学系研究科 生物化学分野)諸石 寿朗(熊本大学 生命科学研究部 分子薬理学講座)
稲垣 毅(群馬大学 生体調節研究所)
田中 敦(山形大学 大学院医学系研究科)
藤田 宏明(京都大学医学研究科細胞機能制御学)
平山 祐(岐阜薬科大学 創薬化学大講座)
西澤 弘成(東北大学 医学系研究科 生物化学)
諸石 寿朗(熊本大学生命科学研究部)
田中 敦(山形大学 大学院医学系研究科)
藤田 宏明(京都大学医学研究科細胞機能制御学)
平山 祐(岐阜薬科大学 創薬化学大講座)
西澤 弘成(東北大学 医学系研究科 生物化学)
諸石 寿朗(熊本大学生命科学研究部)
鉄が制御する細胞死は「ferroptosis」として盛んに研究が進んでいる。これに加え、鉄が細胞増殖や細胞分化の制御に関与する現象も明らかになっており、鉄が細胞運命の決定に積極的に関わることが近年示唆されてきた。つまり、鉄はタンパク質の補因子として働くのみならずその活性制御にも関わることで、様々な局面で細胞運命を決定している可能性がある。本シンポジウムではこれをフェロフェイト(ferro[=鉄]+fate[=運命])として共通の視点に位置づけ、鉄が制御する分子ネットワークの実態とその生理病理的意義、そして求められる研究手法に関する最新の研究を討論し、鉄の生化学を展望する。
2S08e
日時:11月1日(水) 17:00~19:10 第8会場 (402+403)
レドックスシグネチャーの生物学
オーガナイザー
内田 浩二(東京大学大学院 農学生命科学研究科 )居原 秀(大阪公立大学大学院理学研究科)
森本 和志(九州大学 大学院薬学研究院 )
居原 秀(大阪公立大学大学院理学研究科)
張 田力(熊本大学大学院 生命科学研究部 微生物学講座 )
新開 泰弘(筑波大学医学医療系)
居原 秀(大阪公立大学大学院理学研究科)
張 田力(熊本大学大学院 生命科学研究部 微生物学講座 )
新開 泰弘(筑波大学医学医療系)
食、環境因子、薬など、生体に入り込む可能性のある化合物は、レドックス(酸化還元)活性を有する“活性種“の起源であることが知られている。また、こうした活性種による“合目的性のない"タンパク質翻訳後修飾では、タンパク質の変性・凝集・分解反応など、不可逆的な影響を及ぼす場合がほとんどである。この場合、機能を喪失したタンパク質を生体から除去することが、生体の恒常性を維持するためには最も重要となるものと考えられている。こうした背景をもとに、シグネチャーとしての付加体生成に伴うタンパク質機能性の獲得を包括的に研究し、さらにそれらに対する生物応答の仕組みを理解することにより、生命進化を含めた生物学全体への発展・飛躍的な展開が期待できると考え、本企画シンポジウムを立案した。
2S09m
日時:11月1日(水) 08:40~10:50 第9会場 (405+406)
革新的ナノテクノロジーによる脳分子探査
オーガナイザー
川井 隆之(九州大学 大学院理学研究院)竹本 さやか(名古屋大学 環境医学研究所)
共催
学術変革領域研究(B)「脳分子探査領域」
安楽 泰孝(東京工業大学 物質理工学院)
竹本 さやか(名古屋大学 環境医学研究所)
宮田 茂雄(日本薬科大 薬学部)
川井 隆之(九州大学 大学院理学研究院)
太田 誠一(東京大学 工学系研究科)
竹本 さやか(名古屋大学 環境医学研究所)
宮田 茂雄(日本薬科大 薬学部)
川井 隆之(九州大学 大学院理学研究院)
太田 誠一(東京大学 工学系研究科)
近年,核磁気共鳴画像診断法などの生体脳イメージング技術の革新によって脳血流動態などの「マクロな脳機能」の解析が可能となり,中枢神経系 (CNS) 疾患の理解が進んでいる。一方で,CNS疾患に直接的に関与している脳分子やその作用機序などの「ミクロな分子情報」は未だブラックボックスの中にある。そこで本学術変革領域「脳分子探査」では,「血液脳関門を効率的に通過」し,「脳分子を回収」,さらには「血液中に帰還」することで,脳分子情報を知らせる『はやぶさ型ナノマシン』を構築し,CNS疾患の革新的診断法へと展開し,脳内外の物質移動研究に新たな学術的視点をもたらすことを目的に研究を展開している。本セッションでは,脳分子探査を実現するための最先端科学技術を紹介するとともに,研究を通じて新たに見出されてきた現象や課題について詳細に議論する。
2S09a
日時:11月1日(水) 13:30~15:40 第9会場 (405+406)
次世代生化学展望:多様性の中に潜む普遍則の解明
オーガナイザー
井倉 毅(京都大学大学院生命科学研究科附属放射線生物研究センター、クロマチン動態制御学分野)沖 昌也(福井大学学術研究院 工学系部門 生物応用化学講座 生物化学研究室)
井倉 毅(京都大学大学院生命科学研究科附属放射線生物研究センター、クロマチン動態制御学分野)
沖 昌也(福井大学学術研究院 工学系部門 生物応用化学講座 生物化学研究室)
本田 直樹(広島大学大学院統合生命科学研究科)
小林 徹也(東京大学生産技術研究所 )
沖 昌也(福井大学学術研究院 工学系部門 生物応用化学講座 生物化学研究室)
本田 直樹(広島大学大学院統合生命科学研究科)
小林 徹也(東京大学生産技術研究所 )
最近の単一細胞解析の進展により、分子の揺らぎあるいは発現量のバラツキなどが観察されるようになり、個々の細胞応答は、実に多様であることが明らかになった。分子機械論的にはこれら揺らぎやばらつきは負の要素に見えるが、細胞分化、ストレスに対する頑強性の獲得など、細胞集団としてはある一定の法則に従っていることも事実であり、生命はこれら揺らぎやバラツキを有効に活用させている側面があることが窺える。今後は、生命機能の真の理解には、これら多様性の中に潜む普遍的な法則の抽出が重要である。本シンポジウムでは、ウエットからドライあるいはドライからウエットの方向で生化学的手法と機械学習などの数理的アプローチとの融合研究を展開し、転写、エピゲノム、代謝変動などを題材にして原核生物から真核生物に至る多彩な生命機能の多様性の理解に挑戦している研究者の最近の知見を紹介しながら、次世代の生化学研究の展望を議論したい。
2S09e
日時:11月1日(水) 17:00~19:10 第9会場 (405+406)
生殖細胞の品質の定量に向けて
オーガナイザー
林 克彦(大阪大学大学院医学系研究科)北島 智也(理化学研究所 生命機能科学研究センター)
共催
学術変革領域研究(A)「動的な生殖ライフスパン:変動する生殖細胞の機能と次世代へのリスク」
岡田 由紀(東京大学定量生命科学研究所)
北島 智也(理化学研究所 生命機能科学研究センター)
林 陽平(東北大学加齢医学研究所)
木村 龍一(京都大学大学院 医学研究科)
大串 素雅子(大阪大学大学院医学系研究科)
秋光 信佳(東京大学アイソトープ総合センター)
北島 智也(理化学研究所 生命機能科学研究センター)
林 陽平(東北大学加齢医学研究所)
木村 龍一(京都大学大学院 医学研究科)
大串 素雅子(大阪大学大学院医学系研究科)
秋光 信佳(東京大学アイソトープ総合センター)
次世代の個体となる生殖細胞の遺伝情報は、エピゲノムの制御に代表されるように、体細胞系列には認められない特殊な制御を受けている。これらは生殖細胞の機能や次世代個体の発生や恒常性の維持に重要であると考えられているが、その実態は不明な点が多い。近年のイメージングやシークエンス技術等の発展により、これまで不可能であった「生殖細胞の品質」を定量的に解析することが可能となりつつある。本シンポジウムでは、生殖細胞の品質の定量とそれを可能にする最新の技術について、それぞれの分野の最先端の研究者からの講演を通して、理解を深めることを目的とする。
2S10m
日時:11月1日(水) 08:40~10:50 第10会場 (409)
間葉系間質細胞の病的・生理的機能の解明に向けて
オーガナイザー
菅波 孝祥(名古屋大学環境医学研究所 分子代謝医学分野)上住 聡芳(九州大学生体防御医学研究所 細胞不均一性学)
仲矢 道雄(九州大学大学院薬学研究院 疾患制御学分野)
辰川 英樹(名古屋大学大学院創薬科学研究科 細胞生化学分野)
深田 宗一朗(大阪大学大学院薬学研究科 再生適応学分野)
田中 都(名古屋大学環境医学研究所 分子代謝医学分野)
黒澤 珠希(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医薬理学教室)
辰川 英樹(名古屋大学大学院創薬科学研究科 細胞生化学分野)
深田 宗一朗(大阪大学大学院薬学研究科 再生適応学分野)
田中 都(名古屋大学環境医学研究所 分子代謝医学分野)
黒澤 珠希(東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医薬理学教室)
間葉系間質細胞(MSCs)は私たちの体内で最も一般的かつ広範囲に分布する細胞種の一つである。MSCsはin vitroで脂肪や骨といった間葉系譜へ分化する性質を持ち、また、種々の臓器で線維化の起源となることも示されている。しかし、MSCsの生体内での本質的な役割は未だ不明な点が多い。最近の一細胞RNA-seqの発展により、臓器内そして臓器間におけるMSCsの不均一性が明らかとなり、一言でMSCsと言っても実に多様であることがわかってきた。この身近だが謎の多い細胞の本質を理解するには、様々な研究分野をMSCsという共通項の下に集約し、体系的に研究を推進する必要がある。本シンポジウムは、MSCsの様々な機能や病的・生理的役割について最新の研究を紹介いただき、議論を交わすことを目的とする。MSCsに関する最先端の知見を共有することで、MSC研究の体系構築に向けた第一歩としたい。
2S10a
日時:11月1日(水) 13:30~15:40 第10会場 (409)
炎症収束学・その先へ:慢性炎症と炎症性組織修復レジリエンスの統合的理解
オーガナイザー
平原 潔(千葉大学大学院医学研究院 免疫発生学)田中 都(名古屋大学環境医学研究所 分子代謝医学分野)
共催
学術変革領域研究(B)「炎症性組織レジリエンスと組織障害エントロピーの統合的理解と炎症収束学の創成」
新井 郷子(一般社団法人AIM医学研究所)
中野 正博(理化学研究所生命医科学研究センター ヒト免疫遺伝研究チーム)
高堂 裕平(量子科学技術研究開発機構 量子超偏極MRIチーム)
三上 洋平(慶應義塾大学医学部 内科学)
村松 里衣子(国立精神・神経医療研究センター神経研究所 神経薬理研究部)
中野 正博(理化学研究所生命医科学研究センター ヒト免疫遺伝研究チーム)
高堂 裕平(量子科学技術研究開発機構 量子超偏極MRIチーム)
三上 洋平(慶應義塾大学医学部 内科学)
村松 里衣子(国立精神・神経医療研究センター神経研究所 神経薬理研究部)
近年,損傷を受けた組織は,その恒常性を維持するために,以前の状態に戻ろうとする「組織修復レジリエンス」機能が働く一方,炎症が記憶され,「組織障害エントロピー」が増大(様々な負の因子の不可逆的な蓄積)することで,炎症遷延化や組織機能障害がもたらされることが明らかとなってきた。即ち,組織修復レジリエンスと組織障害エントロピーを巧妙に制御する炎症収束機構が働くことで,速やかに炎症を収束させ,良好な組織機能を取り戻すことが可能になると想定されるが,そのためには,組織修復レジリエンス機構を統合的に理解し,体系的に研究を推進する必要がある。本シンポジウムでは,「炎症収束期の組織レジリエンス機構の解明」を目指し,様々な分野の病態研究者に最新の研究を紹介頂き,免疫系や神経系などが複雑に織り成す慢性炎症の病態メカニズムの理解を深め,炎症収束学の発展と新たな研究領域の創成に繋げたい。
2S10e
日時:11月1日(水) 17:00~19:10 第10会場 (409)
UJA留学のすゝめ2023 日本の科学技術を推進するネットワーク構築
オーガナイザー
赤木 紀之(福岡工業大学 工学部 生命環境化学科)江島 弘晃(長崎国際大学 人間社会学部 国際観光学科)
鶴嶋 真紅(一般社団法人 海外日本人研究者ネットワーク)
川又 理樹(九州大学 生体防御医学研究所 器官発生再生学分野)
前田 龍成(熊本大学 生命資源研究・支援センター 資源開発分野)
佐藤 友紀(静岡県立大学 食品栄養科学部)
佐藤 大輔(横浜国立大学大学院工学研究院)
土屋 吉史(同志社大学 スポーツ健康科学部)
稲葉 理美(高エネルギー加速器研究機構)
川又 理樹(九州大学 生体防御医学研究所 器官発生再生学分野)
前田 龍成(熊本大学 生命資源研究・支援センター 資源開発分野)
佐藤 友紀(静岡県立大学 食品栄養科学部)
佐藤 大輔(横浜国立大学大学院工学研究院)
土屋 吉史(同志社大学 スポーツ健康科学部)
稲葉 理美(高エネルギー加速器研究機構)
海外日本人研究者ネットワーク(UJA)は、「留学のすゝめ」と題して様ざまな学会でフォーラムやシンポジウムを企画している。生化学会での「留学のすゝめ」は2018年が第1回目で、今回は第2回目となる。このシンポジウムでは海外で活躍する日本人研究者の方々と海外での成功の秘訣や世界のサイエンスの現状を共有する。会場全体でのパネルディスカッションでは日本人研究者が世界で活躍できる高機能なネットワーク作りについて熱く議論する。2013年にUJAが実施した研究者へのアンケートでは、多くの研究者は海外留学への興味を持っているものの、留学への不安とリスクを感じていることが明らかとなっている。さらに2019年のUJAアンケート2019では、新しい時代に対応した研究者のあり方が見えてきている。本シンポジウムでは、様々なキャリアステージの留学経験者の体験談をご紹介しながら、アンケートの結果をふまえて、これからの時代に個々人の研究留学の効用を最大化するための議論をする。
2S11m
日時:11月1日(水) 08:40~10:50 第11会場 (410)
細胞老化の多様性、その統合と理解
オーガナイザー
樋上 賀一(東京理科大学薬学部)清水 孝彦(国立長寿医療研究センター)
近藤 祥司(京都大学医学部)
長野 太輝(神戸大学バイオシグナル総合研究センター)
清水 孝彦(国立長寿医療研究センター)
樋上 賀一(東京理科大学薬学部)
中村 由和(東京理科大学創域理工学部)
長野 太輝(神戸大学バイオシグナル総合研究センター)
清水 孝彦(国立長寿医療研究センター)
樋上 賀一(東京理科大学薬学部)
中村 由和(東京理科大学創域理工学部)
超高齢化時代を迎えた日本社会において、「老化研究」に対する関心が高まり、マウスのみならず酵母や線虫といった下等生物からサル、ヒトまで多様な研究が展開されている。細胞老化とは、1960年代にHayflickらが定義した「試験管内における細胞の不可逆的増殖停止」のことを意味するが、DNA損傷応答やがん遺伝子の活性化に加え、多様なメカニズムにより誘導される可能性が示唆されている。さらに近年では、老化細胞自体が様々な生理活性物質を分泌し、その周辺で慢性的な炎症や癌化を誘導するSASPや老化細胞を選択的に除去するsenolysisという概念が一般的になってきた。それゆえ、老化研究は新時代を迎えている。そこで、本シンポジウムは『細胞老化の多様性、その統合と理解』と題し、細胞老化研究の王道から、独自の切り口で細胞老化研究を行っている研究者まで、様々な視点で細胞老化の多様性について議論を進めたい。
2S11a
日時:11月1日(水) 13:30~15:40 第11会場 (410)
HTLV-1が引き起こす血液癌(ATL)と脊髄症(HAM)の現状と治療法開発
オーガナイザー
隅田 泰生(鹿児島大学) 久保田 龍二(鹿児島大学)
共催
日本医療研究開発機構
佐藤 賢文(熊本大学)
相良 康子(日本赤十字社 九州ブロック血液センター)
中畑 新吾(鹿児島大学)
吉満 誠(鹿児島大学)
久保田 龍二(鹿児島大学)
隅田 泰生(鹿児島大学)
相良 康子(日本赤十字社 九州ブロック血液センター)
中畑 新吾(鹿児島大学)
吉満 誠(鹿児島大学)
久保田 龍二(鹿児島大学)
隅田 泰生(鹿児島大学)
レトロウイルスHTLV-1はT細胞に感染し、感染T細胞は5年生存率10%以下の血液癌ATLや両下肢の完全麻痺、膀胱直腸障害まで進行する重篤な脊髄症HAMを引き起こす。国内では南九州を中心に82万人、全世界では推定3000万人の感染者がおられる。感染後40年以上の潜伏期間をへて、ATLは感染者の5%以下、HAMは0.3%が発症する。ATLとHAMの発症メカニズムの違いについては、完全には明らかになっていないが、HTLV-1感染T細胞の駆除により治癒または重篤化を防止できると考えられている。一方、いずれも決定的な治療法は無く、生化学者の貢献も必須である。本シンポジウムでは、HTLV-1ウイルスの性状から、ATLやHAMの疫学と検査法、治療の現状、新しい発想での治療法について紹介し、先端的医学のイノベーションに繋がることを願う。
2S11e
日時:11月1日(水) 17:00~19:10 第11会場 (410)
ThermusQ高度好熱菌データベースが拓くフロンティア研究
オーガナイザー
別所 義隆(東京大学大学院農学生命科学研究科)大島 泰郎(共和化工(株)環境微生物学研究所)
Jenny Littlechild(エクセター大学)
由良 敬(お茶の水女子大学・大学院人間文化創成科学研究科)
Shih-Hsiung Wu(台湾中央研究院)
島田 治男((株)バイオクロマト)
浅井 潔(東京大学・大学院新領域創成科学研究科)
本波 康由
由良 敬(お茶の水女子大学・大学院人間文化創成科学研究科)
Shih-Hsiung Wu(台湾中央研究院)
島田 治男((株)バイオクロマト)
浅井 潔(東京大学・大学院新領域創成科学研究科)
本波 康由
高度好熱菌(Thermus thermophilus)は85℃という高温環境下で生存可能なグラム陰性菌で、遺伝子操作ができる好熱菌のモデル生物として基本生命現象の解明や生化学の発展に多大な貢献を果たしてきた。高度好熱菌の生物実験材料としての利点は、第一にタンパク質が耐熱性で安定に存在できることにある。耐熱性の生体分子は構造解析にも適しており、構造ゲノムプロジェクトで機能が予測され、生化学研究により実証された例も少なくない。また、高度好熱菌のゲノムサイズは約2,000kbと比較的に小さく、全細胞システムを解明するために最も適した材料である。我々は、新たにThermusQと名付けた情報サイト構築プロジェクトを発起した。好熱菌に関するあらゆる情報を収集し、生命分子機構を理解するためにそれらを品質の高い情報として統合整理し、最終的に好熱菌シミュレーターの構築を目指している。シンポジウムで、フロンティア分野における研究紹介と、この挑戦を実現するために最新のデジタル技術を議論する。
2S12m
日時:11月1日(水) 08:40~10:50 第12会場 (501)
硫黄代謝研究が拓く新たな生命現象の理解
オーガナイザー
本橋 ほづみ( 東北大学 加齢医学研究所)魏 范研( 東北大学 加齢医学研究所)
共催
学術変革領域研究(A) 「硫黄生物学」
澤 智裕(熊本大学)
秋山 雅博(慶応大学)
関根 弘樹(東北大学)
ウラジミール パラヤ(ドイツがん研究所)
平井 優美(理化学研究所)
魏 范研(東北大学)
秋山 雅博(慶応大学)
関根 弘樹(東北大学)
ウラジミール パラヤ(ドイツがん研究所)
平井 優美(理化学研究所)
魏 范研(東北大学)
硫黄は、太古の海で生命が誕生して以来、地球の生命の歴史を牽引してきた元素であり、酸化還元を受けやすいという特性により、生体内で多くの酸化還元反応を担っている。一方、こうした性質は正確な分析を困難にしており、多くの硫黄代謝物が計測されず見落とされることとなった。近年の分析技術の進歩により、硫黄原子が直列に連結した構造を有する代謝物やタンパク質が新たな生体分子として同定され、その化学的特性の解明と機能的な重要性が明らかにされつつある。学術変革領域A「硫黄生物学」では、こうした分子を超硫黄分子と総称し、生命の新たな理解に向けた研究を展開している。今回のシンポジウムでは、超硫黄分子とその関連分子が織りなす生命現象に焦点をあて、生体の恒常性維持機構やストレス応答機構に関わる最新の研究成果を、国内外の新進気鋭の研究者たちに紹介いただく。
2S12a
日時:11月1日(水) 13:30~15:40 第12会場 (501)
相分離の駆動力:多様な細胞機能への展開
オーガナイザー
名黒 功(東京大学大学院薬学系研究科)北川 大樹(東京大学大学院薬学系研究科)
名黒 功(東京大学大学院薬学系研究科)
山崎 啓也(東京大学大学院理学系研究科)
山崎 智弘(大阪大学大学院生命機能研究科)
野澤 竜介(公益財団法人がん研究会がん研究所実験病理部)
北川 大樹(東京大学大学院薬学系研究科)
山崎 啓也(東京大学大学院理学系研究科)
山崎 智弘(大阪大学大学院生命機能研究科)
野澤 竜介(公益財団法人がん研究会がん研究所実験病理部)
北川 大樹(東京大学大学院薬学系研究科)
相分離という物理現象を新たな「窓」として、細胞内の生命現象が解釈されるようになってから短期間のあいだに、タンパク質、核酸を中心に多彩な分子が緻密な相分離誘導性の液滴を形成することがわかってきた。その制御機構はダイナミックで、分子配列(molecular grammar)、空間要因、環境要因、リン酸化シグナル伝達などが駆動力となり、時空間的に制御された様々な細胞内液滴が形成されることが明らかになりつつある。一方、形成された液滴の物性やその変遷(相転移)が発揮する機能的側面に関しては、注目されつつも未だ俯瞰的な視点で語られるに至っていない。本シンポジウムでは様々な形式の『相分離の駆動力』に着目して研究を進めている若手研究者を演者として迎え、分子レベルにおける液滴の形成原理を理解し、細胞内相分離の制御と機能の連関について一歩踏み込んだ視点から一般性/相違性について議論を展開したい。
2S12e
日時:11月1日(水) 17:00~19:10 第12会場 (501)
細胞内ケミカルネットワークの解明と創出
オーガナイザー
島津 忠広(理化学研究所 開拓研究本部)山次 健三(千葉大学大学院薬学研究院)
共催
学術変革領域研究(B)「人工翻訳後修飾:neo-PTMsが造る細胞内ケミカルネットワーク」
島津 忠広(理化学研究所 開拓研究本部)
五月女 宜裕(理化学研究所 開拓研究本部)
山次 健三(千葉大学大学院薬学研究院)
伊藤 昭博(東京薬科大学生命科学部)
日野 信次朗(熊本大学発生医学研究所)
五月女 宜裕(理化学研究所 開拓研究本部)
山次 健三(千葉大学大学院薬学研究院)
伊藤 昭博(東京薬科大学生命科学部)
日野 信次朗(熊本大学発生医学研究所)
生命は環境や刺激に応じてDNA、RNA、タンパク質や代謝産物など、多種多様な生体物質に化学修飾を行うことで巧みに機能調節を行う。この生体内化学修飾には広くATP、SAM (s-アデノシルメチオニン) やアシルCoAなどのコファクターとその修飾酵素が介在しているが、最近では外因性の化学物質によっても生体内の既存の化学修飾が乱される事が示されるなど、生体は従来考えられてきた以上の多様な化学修飾ネットワークの土台の上に成り立っていることが明らかとなってきた。本シンポジウムでは、細胞内でこれらの生体分子修飾を人為的に導入・操作する化学技術の開発や、それを利用した未知の生体分子修飾の発見とその分子機構と生理的意義の理解、さらには環境等の外部刺激に応答した化学修飾機構について、化学と生物の双方の視点から総合的に議論する場としたい。
2S13a
日時:11月1日(水) 13:30~15:40 第13会場 (502)
体内微小環境シグナルが制御する恒常性の維持とその破綻
オーガナイザー
中山 恒(旭川医科大学)谷水 直樹(東京大学)
合田 亘人(早稲田大学)
白壁 恭子(立命館大学)
片岡 直行(東京大学)
伊藤 暢(東京大学)
田部 俊輔(東京大学)
中山 恒(旭川医科大学)
白壁 恭子(立命館大学)
片岡 直行(東京大学)
伊藤 暢(東京大学)
田部 俊輔(東京大学)
中山 恒(旭川医科大学)
健常時の臓器では、複数種の構成細胞が互いに連携することで臓器固有の機能発現に寄与している。一方、臓器に炎症などの病的な刺激が加わると、細胞間の連携が変化、あるいは、破綻することで、組織構造が崩壊し、最終的には腫瘍形成などが進んでしまうと考えられる。組織を構成する個々の細胞は、細胞間の相互作用を適切に制御することに加えて、酸素、pH、代謝産物などの細胞外微小環境の変化にも応答することで、恒常性を維持している。本シンポジウムでは、炎症や慢性疾患による細胞間相互作用や微小環境の変化に、組織や細胞が応答する時に惹起されるシグナルに焦点を当てて議論を行い、臓器や組織の恒常性維持機構を統合的に理解することをめざす。
2S13m
日時:11月1日(水) 08:40~10:50 第13会場 (502)
ビタミンEと疾患
オーガナイザー
白井 康仁(神戸大学大学院・農学研究科)今井 浩孝(北里大学・薬学部)
野口 範子(同志社大学・生命医科学研究科)
山根 大典(東京都医学総合研究所)
幸村 知子(北里大学・薬学部)
林 大輝(神戸大学大学院・農学研究科)
山根 大典(東京都医学総合研究所)
幸村 知子(北里大学・薬学部)
林 大輝(神戸大学大学院・農学研究科)
alpha-トコフェロールなどのビタミンE類は、栄養素としてだけでなく様々な機能性を有していることが報告され、その抗酸化能を中心に多くの研究がなされている。そのため、研究しつくされた感のあるビタミンE研究であるが、未だその機能や機序については不明な点が多く、日々新しい知見も報告されている。例えば、アルツハイマー病や肝炎ウイルス感染、心疾患や糖尿病腎症に対する効果などである。これらの解析から、フェロトーシス抑制におけるビタミンEの抗酸化の重要性や、抗酸化能以外の機能として、オルガネラ膜脂質の構造維持や腸内細菌およびビタミンE受容体の重要性などが明らかになりつつある。そこで、本シンポジウムでは、脳、心臓、肝臓、腎臓の疾患に焦点をあて、近年報告されている新しいビタミンEの機能及び作用機序を紹介したい。これにより、生化学における“古くて新しいビタミンE研究"の展開が期待できる。
2S13e
日時:11月1日(水) 17:00~19:10 第13会場 (502)
神秘の生命物質、ポリアミンで実現する健康長寿社会
オーガナイザー
辻田 忠志(佐賀大学農学部)植村 武史(城西大学薬学部薬学科)
辻田 忠志(佐賀大学農学部)
南澤 麿優覽(千葉工業大学 大学院 先進工学研究科生命科学専攻)
下川 ひろみ(近畿大学・生物理工学研究科)
Natalia A. Ignatenko (アリゾナ大学)
植村 武史(城西大学薬学部薬学科)
南澤 麿優覽(千葉工業大学 大学院 先進工学研究科生命科学専攻)
下川 ひろみ(近畿大学・生物理工学研究科)
Natalia A. Ignatenko (アリゾナ大学)
植村 武史(城西大学薬学部薬学科)
人生100年時代を迎え、年齢を重ねてもなお健康で、活力にあふれた生活を送る必要性が高まっている。本シンポジウムでは、生理活性物質ポリアミンを中心として健康長寿社会の実現に取り組む研究者が参集し、最新の研究成果を共有する。ポリアミンは生命活動に必須の低分子代謝物であり、バランスの乱れが、認知機能や身体機能の低下などの老化現象や脳梗塞やがんなどの様々な加齢性疾患を引き起こすことが明らかになってきた。ポリアミンの生理機能および代謝制御を明らかにし、ポリアミン代謝バランスを整えることにより、健康寿命の伸長が可能になると期待される。本シンポジウムで、人生100年時代に立ち向かう最先端の研究成果について討論し、研究のさらなる発展、新規研究者の参入、共同研究の締結を促進したい。
2S14m
日時:11月1日(水) 08:40~10:50 第14会場 (503)
染色体DNA複製開始複合体と開始制御メカニズムの新たな展望
オーガナイザー
片山 勉(九州大学)
正井 久雄( 東京都医学総合研究所)
和賀 祥(日本女子大学)
鐘巻 将人(国立遺伝学研究所)
野口 泰徳(九州大学)
尾崎 省吾(九州大学)
和賀 祥(日本女子大学)
鐘巻 将人(国立遺伝学研究所)
野口 泰徳(九州大学)
尾崎 省吾(九州大学)
染色体DNAの複製開始のメカニズムでは、開始複合体の形成、複製起点の開裂(局所的一本鎖化)、複製ヘリカーゼの導入が主要イベントとなっており、いずれも細胞周期やストレス応答と連係する分子機構をも内包している。大腸菌では、複製起点の開裂メカニズムは詳細に解明され、多様なバクテリアの研究に波及効果が及んでいる。ストレス応答による開始メカニズムの多様性の解析も進み共通原理と進化的分化を展望できるようになってきた。酵母でも高度な試験管内再構成系とクライオ電顕が活用され開始複合体の動態メカニズムが詳細に理解できるようになってきた。ヒト染色体の開始複合体の動態や開始制御メカニズムについても多層的な研究が発展している。これらの研究から特殊なDNA立体構造の形成や特定のRNAや核内タンパク質分子との連係の重要性も明らかになってきた。このような最先端研究の背景から将来展望まで十分に議論したい。
2S14a
日時:11月1日(水) 13:30~15:40 第14会場 (503)
細胞内外環境を感知するゲノム作動ネットワークの新局面
オーガナイザー
山城 義人(国立循環器病研究センター)野島 孝之(九州大学生体防御医学研究所)
大学 保一(公益財団法人がん研究会がん研究所)
井上 大地(神戸医療産業都市推進機構先端医療研究センター)
島村 徹平(東京医科歯科大学/名古屋大学)
服部 奈緒子(星薬科大学)
野島 孝之(九州大学生体防御医学研究所)
山城 義人(国立循環器病研究センター)
井上 大地(神戸医療産業都市推進機構先端医療研究センター)
島村 徹平(東京医科歯科大学/名古屋大学)
服部 奈緒子(星薬科大学)
野島 孝之(九州大学生体防御医学研究所)
山城 義人(国立循環器病研究センター)
ゲノムに書き込まれた遺伝情報は正しく作動し、制御される必要があり、その破綻は様々な疾患へと繋がる。また、細胞や組織を取り巻く細胞外環境は、ストレス応答などのゲノム作動制御の破綻を引き起こすことが知られている。しかし、細胞内外の環境がどのように感知され、ゲノムを正しく作動させているのか?その連関やネットワーク制御については未だ不明な点が多い。本シンポジウムでは、細胞運命の決定や疾患関連遺伝子の発現制御を担うゲノム作動のキーステップとして、DNA複製やRNA転写・プロセシング、エピジェネティクスなどのゲノム作動制御の分子メカニズムに焦点を当てる。さらには、個体レベルの表現系、疾患の分子機構の解明と、それらを基盤とした数理モデルなどの情報解析技術の開発に取り組む研究者が集い、最新の研究成果を紹介する。細胞内だけで議論されてきたゲノム作動制御のメカニズムを細胞外情報と融合して議論し、多角的な視点で次なるcutting-edgeとなる研究や解析手法が生まれる場となることを期待する。
2S14e
日時:11月1日(水) 17:00~19:10 第14会場 (503)
多面化したDNA修復研究
オーガナイザー
石野 園子(九州大学 農学研究院)荻 朋男(名古屋大学 環境医学研究所)
岡 泰由(名古屋大学 環境医学研究所)
中田 慎一郎(大阪大学 高等共創研究院)
藤兼 亮輔(福岡歯科大学・基礎医歯学部門)
勝木 陽子(九州大学大学院薬学研究院)
Lewis Bainbridge(University of Sussex)
中田 慎一郎(大阪大学 高等共創研究院)
藤兼 亮輔(福岡歯科大学・基礎医歯学部門)
勝木 陽子(九州大学大学院薬学研究院)
Lewis Bainbridge(University of Sussex)
DNA修復・損傷応答機構は遺伝情報を安定に維持するための重要なメカニズムである。近年は、DNA修復・損傷応答機構の詳細な分子メカニズムの探求はもちろんのこと、その破綻がもたらす生体影響 (がん化・老化・遺伝性疾患の発症など)の解明や、これら疾患に対する治療薬の開発、分子マーカーの探索や、診断技術の開発など、臨床への研究成果の応用がなされている。これに伴い、標準的な分子細胞生物学・生化学的アプローチだけでなく、次世代ゲノム解析やゲノム編集技術など、最新の解析技術や、モデル動物を使用した解析など、多方面からの研究が進んでいる。本シンポジウムでは、DNA修復・損傷応答研究の最前線を知るとともに、その多面的な解析技術に触れ、今後の研究展開について論じてゆきたい。
3S01m
日時:11月2日(木) 08:40~10:50 第1会場 (メインホール)
オートファジー研究から拡大する細胞質ゾーニングの世界
オーガナイザー
野田 展生(北海道大学)小松 雅明(順天堂大学)
共催
新学術領域研究(研究領域提案型)マルチモードオートファジー:多彩な経路と選択性が織り成す自己分解系の理解
中戸川 仁(東京工業大学)
本田 郁子(東京大学)
森下 英晃(順天堂大学)
辻 琢磨(順天堂大学)
戸田 浩史(筑波大学)
下林 俊典(京都大学)
本田 郁子(東京大学)
森下 英晃(順天堂大学)
辻 琢磨(順天堂大学)
戸田 浩史(筑波大学)
下林 俊典(京都大学)
細胞質は1つの大きな水槽ではなく、脂質膜や相分離により複雑に区画化(ゾーニング)されており、様々なシグナル伝達や酵素反応などを混線することなく円滑に進めている。多彩な経路のオートファジー研究により、オートファジーは単にオートファゴソーム形成による新たな細胞質ゾーンを作るだけでなく、オルガネラ変形による細胞質ゾーニングや、小胞体、ミトコンドリアなどの膜オルガネラの再編成や相分離液滴の選択的分解などを通して、細胞質ゾーニングに多大な影響を与えるプロセスであることがわかってきた。本シンポジウムでは、オートファジーを細胞質ゾーニングの再編成機構と捉え、その多様なメカニズムを議論するとともに、オートファジー以外の最新トピックも交えて細胞質ゾーニングの世界を紹介したい。
3S01a
日時:11月2日(木) 13:40~15:50 第1会場 (メインホール)
適応・修復機構における脂質の役割
オーガナイザー
横溝 岳彦(順天堂大学大学院医学研究科)吉村 昭彦(慶應義塾大学医学部)
共催
日本医療研究開発機構
村上 誠(東京大学大学院医学研究科)
有田 誠(慶應義塾大学薬学部 / 理化学研究所IMS)
七田 崇(東京都医学総合研究所)
香山 尚子(大阪大学高等共創研究院)
横溝 岳彦(順天堂大学大学院医学研究科)
有田 誠(慶應義塾大学薬学部 / 理化学研究所IMS)
七田 崇(東京都医学総合研究所)
香山 尚子(大阪大学高等共創研究院)
横溝 岳彦(順天堂大学大学院医学研究科)
2018年にスタートしたAMED「生体組織の適応・修復機構の時空間的理解に基づく生命現象の探求と医療技術シーズの創出(適応・修復)」領域研究では13のCREST研究と30のPRIME研究が採択され、生体の適応・修復機構の時空間的な理解を深め、健康・医療に資する技術シーズの創出を目指した研究が行われている。AMED協賛の本シンポジウムでは、領域内外で得られた最新の研究成果の中から脂質関連の話題を取り上げ、病態や組織修復における脂質の役割を解明するとともに、基礎的視点から将来の医療への応用を目指す討論を行いたい。
3S01e
日時:11月2日(木) 16:10~18:20 第1会場 (メインホール)
ミトコンドリア機能の強靱化~そのメカニズムと介入操作~
オーガナイザー
石原 直忠(大阪大学 理学研究科)神吉 智丈(新潟大学 医歯学総合研究科)
有村 慎一(東京大学)
山田 勇磨(北海道大学)
赤羽 しおり(立教大学)
武安 光太郎(筑波大学)
山下 俊一(新潟大学)
安田 樹(大阪大学)
山田 勇磨(北海道大学)
赤羽 しおり(立教大学)
武安 光太郎(筑波大学)
山下 俊一(新潟大学)
安田 樹(大阪大学)
ミトコンドリアは酸素呼吸により細胞内の主要なエネルギー生産を担うのみならず、細胞死や細胞分化などの細胞応答や代謝制御においても重要な機能を持っている。病態や経年によるミトコンドリアの機能低下は様々な疾患に関わると考えられており、治療標的として長く注目され続けている。呼吸の活性化や活性酸素種の抑制などの生化学的な手法に加えて、近年では膜のダイナミクスを介した障害ミトコンドリアの除去や、ミトコンドリア内への分子送達、さらにオルガネラ内DNA改変操作などの新しい技術の創出が進められつつある。本シンポジウムでは動植物のミトコンドリアの分子理解を基にして、ミトコンドリアを操作し生体機能を活性化する新技術構築に向けた最先端研究を紹介し議論する。
3S02m
日時:11月2日(木) 08:40~10:50 第2会場 (201)
バイオデータベースが切り拓く生命科学の未来
オーガナイザー
伊藤 隆司(九州大学 大学院医学研究院)馬場 健史(九州大学 生体防御医学研究所)
共催
JST-ライフサイエンスデータベース統合推進事業(統合化推進プログラム:DICP)
沖 真弥(京都大学 大学院医学研究科)
石濱 泰(京都大学 大学院薬学研究科)
栗栖 源嗣(大阪大学 蛋白質研究所)
大浪 修一(理化学研究所 生命機能科学研究センター)
石濱 泰(京都大学 大学院薬学研究科)
栗栖 源嗣(大阪大学 蛋白質研究所)
大浪 修一(理化学研究所 生命機能科学研究センター)
生命科学における研究手法・解析技術の進歩は目覚ましく、バイオデータは増大・多様化・高度化の一途を辿っている。再利用性の高いデータの共有と統合的利活用のための環境整備は、色々な意味でこれからの生命科学に欠かせない。しかし、我が国は、突出した研究は評価するものの、幅広い研究を下支えするデータベースなどの基盤を尊ぶ風潮に乏しい。そんな我が国にありながら、実験研究とデータベース開発の二刀流でご活躍中の先生方に、エピゲノム・プロテオーム・蛋白質構造・生命科学画像の各データベースと、それを活かしたデータ駆動型研究への取り組みをご紹介頂く。整備された良質のデータが臨界量を越えた時、人工知能は研究の在り方をどう変えるのだろうか、そんな展望も語って頂く。生命科学の行く末に様々な思いを馳せておられる方々にとって、本シンポジウムがお考えをさらに深めて頂く上での一助となれば幸いである。
3S02a
日時:11月2日(木) 13:40~15:50 第2会場 (201)
AlphaFold時代の構造生物学
オーガナイザー
神田 大輔(九州大学 生体防御医学研究所)真柳 浩太(九州大学 薬学研究院)
古賀 信康(大阪大学 蛋白質研究所)
富井 健太郎(国立研究開発法人産業技術総合研究所)
米倉 功治(特定国立研究開発法人理化学研究所放射光科学研究センター・国立大学法人東北大学 多元物質科学研究所)
ダネフ ラドスティン(東京大学 大学院医学系研究科)
牧野 文信(国立大学法人大阪大学大学院生命機能研究科日本電子YOKOGUSHI協働研究所)
富井 健太郎(国立研究開発法人産業技術総合研究所)
米倉 功治(特定国立研究開発法人理化学研究所放射光科学研究センター・国立大学法人東北大学 多元物質科学研究所)
ダネフ ラドスティン(東京大学 大学院医学系研究科)
牧野 文信(国立大学法人大阪大学大学院生命機能研究科日本電子YOKOGUSHI協働研究所)
ディープマインド社が開発したAlphaFoldがアミノ酸配列情報から立体構造を実用的な精度で予測することができることを示して世界に衝撃を与えたのはわずか2年前のことである。この成果をもとに、逆問題とも言える立体構造の新規デザインも急速な進歩を遂げている。一方、既にクライオ電子顕微鏡技術は単粒子解析がルーチン化したとは言え、新規の技術開発の余地が十分残されている。こうした技術革新のため、当初こそ、構造生物学研究者の生きる道はもはや無くなったと冗談の種にされたが、今や、全ての生物学者にとって構造生物学のリテラシーがないと研究を進められない時代がすぐそこまで来ている。実感が湧かない? ぜひ来聴ください。
3S02e
日時:11月2日(木) 16:10~18:20 第2会場 (201)
細胞のかたちづくりの原理に数理と実験で迫る
オーガナイザー
三浦 岳(九州大学大学院医学研究院)大谷 哲久(大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 生理学研究所)
斉藤 稔(広島大学)
城口 克之(理研BDR)
大谷 哲久(大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 生理学研究所)
杉原 圭(九州大学大学院医学研究院)
城口 克之(理研BDR)
大谷 哲久(大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 生理学研究所)
杉原 圭(九州大学大学院医学研究院)
細胞は生命の基本単位として生物学の中心的な役割を占めている。細胞生物学や組織学では、多種多様な形態をもつ細胞が記載されてきたが、「細胞の多様な形はどのようにつくられるか」という根源的な問題はほとんど答えられていない。近年、生物学でも単なる記載の段階を脱して、物理や科学と同様に支配方程式を立ててメカニズムの本質を理解しようとする研究が出てきた。また、イメージングやsingle cell RNASeq、機械学習技術の普及によって、個別の細胞の分子の局在、ダイナミクスや網羅的遺伝子発現プロファイルが取得できるようになり、モデルを直接検証できる背景が整いつつある。本シンポジウムでは、数理モデリングと実験を組み合わせて単細胞のかたちづくりのメカニズムの本質に迫る研究を紹介する。
3S03m
日時:11月2日(木) 08:40~10:50 第3会場 (202)
化学修飾がトリガーする生命応答鍵分子の機能獲得と変容:生理的意義と人為的導入技術の革新
オーガナイザー
森 泰生(京都大学)清中 茂樹(名古屋大学)
森 泰生(京都大学)
田口 友彦(東北大学)
田中 克典(東京工業大学)
後藤 佑樹(東京大学)
清中 茂樹(名古屋大学)
田口 友彦(東北大学)
田中 克典(東京工業大学)
後藤 佑樹(東京大学)
清中 茂樹(名古屋大学)
タンパク質の化学的構成は、遺伝コードがかける強い制限を超える仕組みを内包する。その代表例として、化学的修飾は共有結合を介して構造を変容させ、新たな機能をタンパク質に賦与するだけでなく、機能する場の移動により特有な生理的役割を担わせることができる。近年の目覚ましい分析技術の進歩は、化学修飾の生物的理解をさらに多様化、拡大、深化させつつある。また、人為的な化学修飾導入においても精製試料から単離生細胞、in vivo組織・個体に至るまで、様々な階層での技術的革新が起きている。本シンポジウムは生体内化学修飾研究における新たな展開を俯瞰する。つまり、nativeの化学修飾においては、タンパク質の脂質付加やアミノ酸酸化に加え、修飾を引き起こす生体内活性種そのものに、また、人為的な化学修飾においては、アミノ酸側鎖の化学的変換によるタンパク質の機能改変、位置選択的標識等に注目する。そして、本研究分野の可能性を検証すべく、化学的修飾研究が生物学と化学のインターフェースにおいてどのような概念を結実させることができるか議論したい。
3S03a
日時:11月2日(木) 13:40~15:50 第3会場 (202)
糖鎖を介した微生物の生存戦略を探る
オーガナイザー
竹川 薫(九州大学大学院農学研究院)伊東 信(九州大学大学院農学研究院)
沖野 望(九州大学大学院農学研究院)
谷 元洋(九州大学大学院理学研究院)
藤田 清貴(鹿児島大学農学部)
橋本 雅仁(鹿児島大学大学院理工学研究科)
舘野 浩章(産業技術総合研究所)
竹川 薫(九州大学大学院農学研究院)
谷 元洋(九州大学大学院理学研究院)
藤田 清貴(鹿児島大学農学部)
橋本 雅仁(鹿児島大学大学院理工学研究科)
舘野 浩章(産業技術総合研究所)
竹川 薫(九州大学大学院農学研究院)
微生物は地球上の様々な環境下で微生物や動植物と相互作用するなかで、遺伝子の水平伝播と収斂進化を繰り返し、独自の糖鎖構造を獲得してきたと考えられる。一部の微生物は、ヒトの免疫系を活性化するリポ多糖や糖脂質を合成し、その構造と機能が注目されている。一方、哺乳類は微生物が作った植物由来のオリゴ糖や自身のミルクオリゴ糖を利用して、生体機能に必要な共生微生物群集を腸や口腔内に誘導してきた。本シンポジウムでは、微生物(細菌、酵母、糸状菌)特有の糖鎖の生合成・分解経路とその生理機能に関する最新知見を紹介し、糖鎖を介した微生物のしたたかな生存戦略への理解を深めることを目的とする。
3S03e
日時:11月2日(木) 16:10~18:20 第3会場 (202)
免疫‐神経連関から見えてきた「かゆみ」のメカニズム
オーガナイザー
津田 誠(九州大学大学院薬学研究院薬理学分野)出原 賢治(佐賀大学医学部分子生命科学講座分子医化学分野)
出原 賢治(佐賀大学 医学部 分子生命科学講座 分子医化学分野)
平原 潔(千葉大学 大学院医学研究院 免疫発生学)
岡田 峰陽(理化学研究所生命医科学研究センター)
高木 祐吾(東京大学 大学院薬学系研究科 衛生化学教室)
津田 誠(九州大学 大学院薬学研究院 薬理学分野)
平原 潔(千葉大学 大学院医学研究院 免疫発生学)
岡田 峰陽(理化学研究所生命医科学研究センター)
高木 祐吾(東京大学 大学院薬学系研究科 衛生化学教室)
津田 誠(九州大学 大学院薬学研究院 薬理学分野)
かゆみは、皮膚に付着した化学物質や外敵を除去するための引っ掻き行動を誘発する感覚であり、生体防御の一翼を担う。しかし、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患では、長引く強いかゆみが発症し、反復的な引っ掻き行動を誘発するため、皮膚バリア障害や皮膚炎の悪化をきたし、更なるかゆみを生むという悪循環が形成される。皮膚での炎症メカニズムは免疫学を中心に盛んに研究されてきたが、どのようにかゆみが生じ、慢性化するのか、その仕組みは未だ不明である。そのような中、近年かゆみの分子・細胞・回路レベルでの理解が大きく進展し、さらに免疫関連因子が感覚神経を直接刺激することも示され、皮膚での免疫‐神経連関,そして神経系の可塑的な変化によるかゆみとその慢性化のメカニズムが注目されている。本シンポジウムでは,それらのメカニズムを先駆的に見出した各演者の最新知見を紹介いただき、かゆみの治療戦略などを含めて議論する。
3S04m
日時:11月2日(木) 08:40~10:50 第4会場 (203)
核と細胞質を繋ぐ核膜孔と様々な生命現象
オーガナイザー
岡 正啓(医薬基盤・健康・栄養研究所)ウォング リチャード(金沢大学 ナノ生命科学研究所)
ウォング リチャード(金沢大学 ナノ生命科学研究所)
淺川 東彦(大阪大学,大学院生命機能研究科)
京極 博久(神戸大学 大学院農学研究科)
向井 智美(愛知県がんセンター)
岡 正啓(医薬基盤・健康・栄養研究所)
淺川 東彦(大阪大学,大学院生命機能研究科)
京極 博久(神戸大学 大学院農学研究科)
向井 智美(愛知県がんセンター)
岡 正啓(医薬基盤・健康・栄養研究所)
本シンポジウムでは核―細胞質を繋ぐ「核膜孔」と、その構成因子「ヌクレオポリン」の機能にフォーカスする。核膜孔を形成する核膜孔複合体は約30種類のヌクレオポリンが1000コピーほど集合して形成される巨大な分子集合体であり、核膜上の小孔としてタンパク質やRNAの分子輸送を担っている。近年、核膜孔が発生、細胞分化、細胞環境など様々な要因によって変化する動的かつ機能的な構造体であることが分かってきた。さらに核膜孔やヌクレオポリンの異常が多様な病態に寄与することが明らかとなりつつある。本シンポジウムは、核膜孔やヌクレオポリンが関わる様々な生命現象や疾患について、最新の知見を議論する場としたい。
3S04a
日時:11月2日(木) 13:40~15:50 第4会場 (203)
マスト細胞研究が切り拓く細胞制御機構のニューフロンティア
オーガナイザー
神沼 修(広島大学原爆放射線医科学研究所)西山 千春(東京理科大学先進工学部生命システム工学科)
西山 千春(東京理科大学先進工学部生命システム工学科)
田中 智之(京都薬科大学薬理学分野)
北浦 次郎(順天堂大学大学院医学研究科アトピー疾患研究センター)
中尾 篤人(山梨大学医学部免疫学講座)
田中 智之(京都薬科大学薬理学分野)
北浦 次郎(順天堂大学大学院医学研究科アトピー疾患研究センター)
中尾 篤人(山梨大学医学部免疫学講座)
血球系細胞の一種であるマスト細胞は、その脱顆粒誘導に関わるIgEが発見された1960年代以降、アレルギー応答の枢軸を担うエフェクター細胞としての地位が確立されてきた。石坂公成博士らによるIgE発見の経緯から、マスト細胞研究においてはわが国が主導的役割を担い、その応答や産生物質を標的としたさまざまな制御法の開発に貢献してきた。さらに近年、生命にも危険を及ぼしかねない重大な生体応答を担うマスト細胞には、脱顆粒やその他の反応制御に関わる、極めて精巧な絡繰が搭載されていることが明らかにされつつある。本シンポジウムでは、マスト細胞研究を先導する研究者が一堂に会し、その制御機構に関する最新の知見を元に、会場も交えて議論できる場を提供したい。それにより、マスト細胞における革新的制御法の開発に加え、生体を構成する多くの細胞種でまだ知られていない、未知の制御機構解明にも結びつきうる、新たな研究展開に繋がることを期待したい。
3S04e
日時:11月2日(木) 16:10~18:20 第4会場 (203)
幹細胞の発生、恒常性応答、老化を造血幹細胞から考察する
オーガナイザー
信久 幾夫(中村学園大学 栄養科学部)田賀 哲也(東京医科歯科大学 難治疾患研究所)
信久 幾夫(中村学園大学 栄養科学部)
岩間 厚志(東京大学 医科学研究所)
三原田 賢一(熊本大学 国際先端医学研究機構)
福原 茂朋(日本医科大学 先端医学研究所)
岩間 厚志(東京大学 医科学研究所)
三原田 賢一(熊本大学 国際先端医学研究機構)
福原 茂朋(日本医科大学 先端医学研究所)
生体内のそれぞれの臓器や組織のもとになる組織幹細胞は「自己複製」により生涯に亘って保たれるとされるが、どこから来るのか、常に同じ性質なのか、組織の異常時にはどう対応するのか、終焉というものはないのか、など興味は尽きない。造血幹細胞は、胎生期に血管との共通前駆細胞から生じて肝臓や胎盤に移行・増殖した後、出生前後に骨髄に生着して、一生涯、自己複製と多分化能を発揮して血液細胞の供給を行う。そして、造血系の不具合に対しては、恒常性応答機構が発動して血液システムを一定に保持する能力がある。本シンポジウムでは、造血幹細胞の出発点(発生)と終焉(老化)に加えて、貧血などの造血系・血管系の不具合に対する恒常性応答の仕組みについて議論を深めたい。
3S05m
日時:11月2日(木) 08:40~10:50 第5会場 (204)
微生物共生の科学への招待
オーガナイザー
林 哲也(九州大学 大学院医学研究院 細菌学分野)深津 武馬(産業技術総合研究所 生物プロセス研究部門)
佐藤 修正(東北大学 大学院 生命科学研究科 共生ゲノミクス分野)
深津 武馬(産業技術総合研究所 生物プロセス研究部門 )
松木 隆広((株)ヤクルト本社中央研究所基盤研究所)
大熊 盛也(理化学研究所バイオリソース研究センター微生物材料開発室)
深津 武馬(産業技術総合研究所 生物プロセス研究部門 )
松木 隆広((株)ヤクルト本社中央研究所基盤研究所)
大熊 盛也(理化学研究所バイオリソース研究センター微生物材料開発室)
地球上に生息する膨大な微生物の大部分はなんらかの相互作用を通じて他の生物と共生関係にあるが、微生物-宿主間の相互作用は、相利共生、片利共生から宿主に悪影響を及ぼす場合まで様々である。オルガネラの起源をめぐる研究や植物根粒菌の研究など、多くの微生物共生の研究例があるが、近年の培養を介さない微生物検出技術(メタゲノム解析を含む)などの進歩によって、微生物集団と宿主の共生関係などを含め、驚くほど多様な微生物共生の世界が明らかになってきている。しかし、その分子基盤の多くは未解明である。本シンポジウムでは、微生物と植物、昆虫、ヒト(腸内フローラ)の共生、微生物間共生の分野での最新のトピックスを紹介して頂き、基礎と応用の両面で今後の発展が期待される微生物共生の科学に、多くの学会参加者、特に若い研究者が興味を持っていただく機会としたい。
3S05a
日時:11月2日(木) 13:40~15:50 第5会場 (204)
一酸化窒素の新規生体内作用と創薬への展開
オーガナイザー
上原 孝(岡山大学)筒井 正人(琉球大学大学院医学研究科薬理学講座)
上原 孝(岡山大学)
筒井 正人(琉球大学大学院医学研究科薬理学講座)
中川 秀彦(名古屋市立大学大学院薬学研究科)
殿城 亜矢子(千葉大学大学院薬学研究院)
筒井 正人(琉球大学大学院医学研究科薬理学講座)
中川 秀彦(名古屋市立大学大学院薬学研究科)
殿城 亜矢子(千葉大学大学院薬学研究院)
一酸化窒素(NO)は血管拡張や神経伝達など多彩な生理機能に関与している.その産生は,神経伝達物質やホルモン受容体を介した細胞内シグナルに依存し,厳密に制御されている.また,細菌・ウイルス感染や脳梗塞時の過剰なグルタミン酸放出により,NOが大量に産生され,殺菌や細胞死が惹起されることも知られている.近年,COVID-19はサイトカインストームを介した爆発的なNO産生により引き起こされることが示唆されている.このように,NOの産生量によって異なる現象が観察されているが,その詳細な作用機序はまだ解明されていない.本シンポジウムでは,NOドナー,NOS阻害薬,NO合成酵素KOマウス,NOの生理作用,NOによる病態形成などの発表を通して,NOの新たな側面について議論したい.
3S05e
日時:11月2日(木) 16:10~18:20 第5会場 (204)
革新的解析法で挑む生体内脂質酸化反応とレドックス制御研究の最先端
オーガナイザー
斎藤 芳郎(東北大学大学院薬学研究科)柴田 貴広(名古屋大学大学院生命農学研究科)
共催
学術変革領域研究(A)「新興硫黄生物学が拓く生命原理変革~硫黄生物学」
柴田 貴広(名古屋大学大学院生命農学研究科)
山田 健一(九州大学大学院薬学研究院)
吉岡 広大(理研)
有澤 美枝子(九州大学大学院農学研究院)
斎藤 芳郎(東北大学大学院薬学研究科)
山田 健一(九州大学大学院薬学研究院)
吉岡 広大(理研)
有澤 美枝子(九州大学大学院農学研究院)
斎藤 芳郎(東北大学大学院薬学研究科)
生体内における脂質酸化反応は、長年にわたり研究されてきた課題であるが、鉄依存的な脂質酸化反応を伴う細胞死“フェロトーシス"が発見され、その分子メカニズムが脚光を浴びている。革新的な解析手法の開発による新たな知見が相次ぎ、トップジャーナルを飾る研究領域となった。脂質酸化反応によって生じるカルボニル類は、生体に特有のシグナルを惹起し、細胞保護あるいは細胞死を誘導する。生体内の脂質酸化反応は厳密に制御されており、酸化を抑制する抗酸化システムでは超硫黄分子など新たな因子も見いだされた。本シンポジウムでは、脂質酸化反応やカルボニルの検出に関する最新の解析手法、ならびに新たな抗酸化システムとして着目される超硫黄・セレン含有化合物のツール開発、フェロトーシス誘導剤開発など、レドックス制御に関わる最近のトレンド研究を紹介する。本シンポジウムを通じて、生体内脂質酸化反応とレドックス制御に関する最新の動向や今後の展望について議論したい。
3S06m
日時:11月2日(木) 08:40~10:50 第6会場 (411+412)
細胞内環境変化の臓器・生体への伝達と疾病
オーガナイザー
井上 啓(金沢大学新学術創成研究機構)土居 雅夫(京都大学大学院薬学研究科)
稲葉 有香(金沢大学新学術創成研究機構)
伊藤 美智子(名古屋大学環境医学研究所)
大石 由美子(日本医科大学医学研究科 )
松坂 賢(筑波大学医学医療系)
土居 雅夫(京都大学大学院薬学研究科)
伊藤 美智子(名古屋大学環境医学研究所)
大石 由美子(日本医科大学医学研究科 )
松坂 賢(筑波大学医学医療系)
土居 雅夫(京都大学大学院薬学研究科)
エネルギー代謝に代表される細胞の内的環境変化は、液性因子や自律神経などを介して、臓器から生体に伝達される。過剰な細胞内環境変化やその伝達の破綻は、2型糖尿病や非アルコール性脂肪肝炎などの重大代謝疾患に直結する。近年、細胞内環境とそれに伴う細胞形質の変化、さらには、その伝達の仕組みの解明が進み、生活習慣病/加齢性疾患の疾病理解に新たな局面をもたらしつつある。本シンポジウムでは、細胞内環境変化とその生体への伝達について、生化学的素因子の振舞まで着目した最先端の知見を共有し、全身エネルギー代謝疾患におけるその役割や創薬応用への可能性について徹底的に議論する。
3S06a
日時:11月2日(木) 13:40~15:50 第6会場 (411+412)
生老病死における疾患生化学の新展開
オーガナイザー
田中 知明(千葉大学 )井上 聡(東京都健康長寿医療センター研究所 )
田中 知明(千葉大学)
井上 聡 (東京都健康長寿医療センター研究所)
伊藤 敬(長崎大学)
野村 征太郎(東京大学)
皆川 栄子(国立精神・神経医療研究センター)
廣田 佳久(芝浦工業大学)
井上 聡 (東京都健康長寿医療センター研究所)
伊藤 敬(長崎大学)
野村 征太郎(東京大学)
皆川 栄子(国立精神・神経医療研究センター)
廣田 佳久(芝浦工業大学)
シングルセルや空間トランスクリプトミクス解析、臓器間/細胞間シングルセルネットワーク解析技術の発達、プロテオミクスやデータサイエンスの先鋭化と相まって、新たな生化学的アプローチから生老病死の疾患病態が切り拓かれつつある。特に、液-液相分離やAPEX2システムなど、細胞内構造体を高精度に分離/解析する生化学的手法を利用して、核内事象およびミトコンドリア代謝シグナル-栄養・代謝シグナルをシステマティックに捉えることで、病態メカニズムやその制御基盤を明らかにしつつある。本シンポジウムでは、「生老病死の疾患生化学の新展開」をテーマに、複合体解析・シングルセル解析やマルチオミクス解析など新たなアプローチを通じて、疾患病態との関わりを切り開いてきた先駆的研究を紹介する。生老病死の生化学について、皆さんと議論を深めたい。
3S06e
日時:11月2日(木) 16:10~18:20 第6会場 (411+412)
Fcエンジニアリングによる抗体機能向上の新展開
オーガナイザー
伊東 祐二(鹿児島大学大学院理工学研究科理学専攻化学プログラム)内山 進(大阪大学大学院工学研究科生物工学専攻)
木吉 真人(国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部)
真壁 幸樹(山形大学大学院理工学研究科)
内山 進(大阪大学大学院工学研究科生物工学専攻)
伊東 祐二(鹿児島大学大学院理工学研究科理学専攻化学プログラム)
真壁 幸樹(山形大学大学院理工学研究科)
内山 進(大阪大学大学院工学研究科生物工学専攻)
伊東 祐二(鹿児島大学大学院理工学研究科理学専攻化学プログラム)
抗体は、抗体医薬品としての利用を筆頭にその利用を広めているが、その適応拡大の可能性はまだまだ大きな余地があると思われる。抗原結合領域あるいはFab領域のエンジニアリングは、抗体の抗原認識における親和性、特異性の観点から、多くの研究が行われてきた。一方で、抗体のFcは、そのエフェクタ機能や血中半減期延長の機能性が重要視されてきた。近年、Fc改変もしくはFcへの種々の機能付加によって、抗体機能の可能性を広げようとする新たな試みが行われている。本シンポジウムでは、この部分にフォーカスを当てた研究を中心に紹介するとともに、将来的な展望を議論したい。具体的には、Fc受容体との相互作用解析から安定性、機能性の向上に関わる研究、Fcを軸に新たな二重特異性抗体を創製する技術、Fabとの相互作用によるFcの機能性との関連、Fcの化学修飾による機能付加戦略の内容の講演を予定している。
3S07m
日時:11月2日(木) 08:40~10:50 第7会場 (413+414)
革新的なケミカルテクノロジーと生化学への展開
オーガナイザー
中川 秀彦(名古屋市立大学大学院薬学研究科)花岡 健二郎(慶應義塾大学薬学部)
異島 優(京都薬科大学)
大金 賢司(お茶の水女子大学理学部)
勝田 陽介(熊本大学先端科学研究部)
堂浦 智裕(名古屋大学大学院工学研究科)
闐闐 孝介(理化学研究所)
花岡 健二郎(慶應義塾大学薬学部)
大金 賢司(お茶の水女子大学理学部)
勝田 陽介(熊本大学先端科学研究部)
堂浦 智裕(名古屋大学大学院工学研究科)
闐闐 孝介(理化学研究所)
花岡 健二郎(慶應義塾大学薬学部)
近年、生命機能の解明や病態の解析において様々な新しい現象が発見・報告され生命機能の生化学的な理解が一層進んでいる。これらの新しい発見には、新しい技術の開発が重要な役割を果たしており、新発見には常に新しい検出技術や解析技術の開発が鍵となっている。特にケミストリーにおける新奇な技術の開発が新しい生化学的・細胞生物学的発見につながる例は数多くあり、現在細胞観察には欠かせない蛍光プローブはその典型といえる。本シンポジウムでは、次代の生化学の発展を導く新奇な技術、特にケミストリーにおける新技術に着目し、第一線の若手・中堅研究者によるケミカルテクノロジーの先端研究を紹介する。また異なる先端技術を一度に紹介し議論を深めることにより、生化学分野におけるさらなるケミカルテクノロジーの進化を期待する。
3S07a
日時:11月2日(木) 13:40~15:50 第7会場 (413+414)
臓器リモデリング・可塑性とその破綻
オーガナイザー
豊島 文子(京都大学医生物学研究所)淺原 弘嗣(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
淺原 弘嗣(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
石井 優(大阪大学大学院医学系研究科)
小野 悠介(熊本大学発生医学研究所)
西田 基宏(九州大学大学院薬学研究院)
難波 大輔(東京大学医科学研究所)
上月 智司(京都大学医生物学研究所)
石井 優(大阪大学大学院医学系研究科)
小野 悠介(熊本大学発生医学研究所)
西田 基宏(九州大学大学院薬学研究院)
難波 大輔(東京大学医科学研究所)
上月 智司(京都大学医生物学研究所)
生体内の各臓器は、ライフステージやライフスタイルに伴う体の生理変化に応じて再編成される。この生理的な臓器リモデリングは、組織再生と可塑性を有した機構であり、生体の恒常性維持に必須であることが明らかとなりつつある。一方、疾患や加齢に伴う臓器リモデリングは、慢性炎症や線維化を惹起し、組織可塑性は低下する。本シンポジウムでは、様々な臓器を対象として、生理的・病的臓器リモデリング機構の理解を目指した研究を推進する先生方にご講演いただき、再生医療・アンチエイジングへの応用展開について議論したい。
3S07e
日時:11月2日(木) 16:10~18:20 第7会場 (413+414)
グリケーション研究で病気がみえる
オーガナイザー
山本 靖彦(金沢大学医薬保健研究域医学系血管分子生物学)永井 竜児(東海大学農学部食生命科学科)
水上 浩哉(弘前大学大学院医学研究科分子病態病理学講座)
永井 竜児(東海大学農学部食生命科学科)
山本 靖彦(金沢大学医薬保健研究域医学系血管分子生物学)
新井 誠(東京都医学総合研究所精神行動医学研究分野統合失調症プロジェクト)
永井 竜児(東海大学農学部食生命科学科)
山本 靖彦(金沢大学医薬保健研究域医学系血管分子生物学)
新井 誠(東京都医学総合研究所精神行動医学研究分野統合失調症プロジェクト)
グリケーション研究は、当初、食品科学分野におけるアミノカルボニル反応としての研究から始まりました。この反応を最初に報告したフランスの科学者Louis Camille Maillard博士の人名から、メイラード反応とも呼ばれています。生体内における病態生理学的な視点から見ると、グリケーションはありとあらゆる細胞・組織・臓器でランダムに生じ、様々な病気の発症や病態の形成に関与していると考えられます。糖尿病・糖尿病合併症、動脈硬化、神経変性疾患、統合失調症、白内障、加齢黄斑変性症などの加齢関連疾患、そして、老化そのものにも深く関連します。グリケーションの分子経路の解明、反応生成物の同定と高感度定量解析法、そして、本反応の分解代謝系の理解と制御手段の確立などが重要な観点です。日本メイラード学会のメンバーが、グリケーションと疾患発症の関連についての最先端の研究成果を分かりやすく解説し、議論を行います。
3S08m
日時:11月2日(木) 08:40~10:50 第8会場 (402+403)
細胞リプログラミング制御の最前線
オーガナイザー
鈴木 淳史(九州大学)家田 真樹(慶應義塾大学)
家田 真樹(慶應義塾大学)
山田 泰広(東京大学)
堀澤 健一(九州大学)
岩渕 真木子(シンシナティ・チルドレンズ・ホスピタル・メディカル・センター)
山田 泰広(東京大学)
堀澤 健一(九州大学)
岩渕 真木子(シンシナティ・チルドレンズ・ホスピタル・メディカル・センター)
からだの組織や臓器を構成する細胞の運命は、それらが形作られる発生過程で決定(プログラミング)し、一度決定した細胞運命は二度と変更されることはない。ところが、細胞運命の再編成(リプログラミング)に関する近年の目覚ましい研究の進展により、細胞の遺伝子発現や周辺環境に人為的操作を加えることで、その細胞の分化状態を強制的に変更して全く別の性質をもった細胞を生み出せることが明らかになってきた。本シンポジウムでは、進展著しい細胞リプログラミングの技術開発や分子機構の解明で世界をリードする研究者、並びにリプログラミング技術の医療応用に向けて精力的に取り組む研究者にご登壇いただき、生物・医学両面における細胞リプログラミング制御の発展的ビジョンについて議論する。
3S08a
日時:11月2日(木) 13:40~15:50 第8会場 (402+403)
酸化脂質が関与する多様な細胞死研究の最前線
オーガナイザー
山田 健一(九州大学大学院薬学研究院)今井 浩孝(北里大学薬学部)
仲川 清隆(東北大学大学院農学研究科)
松沢 厚(東北大学大学院薬学研究科衛生化学分野)
今井 浩孝(北里大学薬学部)
四元 聡志(東京薬科大学生命科学部免疫制御学研究室)
池田 昌隆(九州大学大学院医学研究院循環器内科)
松沢 厚(東北大学大学院薬学研究科衛生化学分野)
今井 浩孝(北里大学薬学部)
四元 聡志(東京薬科大学生命科学部免疫制御学研究室)
池田 昌隆(九州大学大学院医学研究院循環器内科)
近年、酸化(リン)脂質が、細胞死や炎症反応さらに疾患誘発の原因となるなど、その多様な機能が明らかにされつつあり、まさに“Hot topics"となっている。例えば、フェロトーシスは、抗がん剤エラスチンやRSL3に代表される細胞内のグルタチオンペルオキシダーゼ4(GPx4)の活性低下および2価鉄によるフェントン反応により生成する酸化脂質が起点となり誘導される細胞死である。そこで、本シンポジウムでは、酸化脂質が関与する多様な細胞死研究として、酸化脂質の構造解析技術、また、酸化脂質がフェロトーシス、ネトーシス、リポキシトーシスにどのように関わっているのか、さらには、ドキソルビシン心筋症におけるフェロトーシスとその治療法の提案など、酸化脂質が誘導する細胞死に焦点をあて、その多彩な機能について議論する予定である。
3S08e
日時:11月2日(木) 16:10~18:20 第8会場 (402+403)
加齢に伴う病態変化の生化学
オーガナイザー
自見 英治郎(九州大学大学院歯学研究院 OBT研究センター)兼松 隆(九州大学大学院歯学研究院 口腔機能分子科学分野)
自見 英治郎(九州大学大学院歯学研究院 OBT研究センター)
兼松 隆(九州大学大学院歯学研究院 口腔機能分子科学分野)
谷田 以誠(順天堂大学大学院 医学研究科 老人性疾患病態・治療研究センター)
西頭 英起(宮崎大学医学部機能生化学)
兼松 隆(九州大学大学院歯学研究院 口腔機能分子科学分野)
谷田 以誠(順天堂大学大学院 医学研究科 老人性疾患病態・治療研究センター)
西頭 英起(宮崎大学医学部機能生化学)
入院や介護が必要になる疾患で一番多いのがアルツハイマー型認知症であり、加齢に伴い脳に異常タンパク質が蓄積することが原因である。また、女性では閉経によりエストロゲンが欠乏すると骨粗鬆症になりやすく骨折リスクが高くなる。さらに全国の死因の1位は悪性新生物であり、細胞内情報伝達機構の変調が細胞のがん化を引き起こす。こうした病態変化は、加齢による細胞の機能低下に端を発し、細胞での異常タンパク質の蓄積やタンパク質修飾機構の変調がホルモンバランスの変調や免疫力の低下をもたらすなどして、全身臓器の機能低下、延いては様々な疾患をもたらす。本シンポジウムでは、異常タンパク質の蓄積による神経変性と脳神経疾患の発症、閉経後骨粗しょう症と体重増加、およびタンパク質修飾機構の変調によるがん化機構に焦点を当て、加齢に伴う身体的変化や高齢者の病気の特徴を分子・細胞レベルで理解し、健康寿命の延伸に貢献したい。
3S09m
日時:11月2日(木) 08:40~10:50 第9会場 (405+406)
活性酸素産生酵素NOXファミリーNADPHオキシダーゼ~発見から半世紀、現状、そして未来へ~
オーガナイザー
上山 健彦(神戸大学バイオシグナル総合研究センター分子薬理分野)勝山 真人(京都府立医科大学中央研究室RI部門)
神田 朗(九州大学大学院医学研究院生化学分野)
菊池 義智(産業技術総合研究所生物プロセス研究部門)
宮嵜 岳大(京都大学大学院医学研究科分子遺伝学)
毛利 宏明(1)神戸大学バイオシグナル総合研究センター分子薬理分野 2)京都第一赤十字病院耳鼻咽喉科)
吾郷 哲朗(九州大学大学院医学研究院病態機能内科学)
菊池 義智(産業技術総合研究所生物プロセス研究部門)
宮嵜 岳大(京都大学大学院医学研究科分子遺伝学)
毛利 宏明(1)神戸大学バイオシグナル総合研究センター分子薬理分野 2)京都第一赤十字病院耳鼻咽喉科)
吾郷 哲朗(九州大学大学院医学研究院病態機能内科学)
NOXファミリーNADPHオキシダーゼは、酸素からスーパーオキシドまたは過酸化水素を生成する膜酵素群である。当初は「触媒サブユニットgp91phox(NOX2)を含む複合体であり、食細胞で呼吸バーストを引き起こし、その遺伝子変異が慢性肉芽腫症の原因となる」と認識されていた。しかし1999年に大腸上皮で新規触媒サブユニットNOX1が発見され、哺乳類では計7種類の触媒サブユニットNOX/DUOX が存在することが明らかとなり、「食細胞以外にも全身の様々な臓器で発現し、多彩な生理作用・病態形成に関与する酵素」と概念が一変した。植物や菌類を含む多くの真核生物においても様々な高次生命機能に関与することが解明されたが、近年遂にバクテリアにおいてもその存在が示された。選択的阻害薬の開発も進み、一部は臨床試験中である。これまでの研究の推移と活性調節機構や生理機能・病態への関与に関する最新の知見を紹介し、今後の可能性について議論したい。
3S09a
日時:11月2日(木) 13:40~15:50 第9会場 (405+406)
微生物と植物の細胞外小胞・細胞外微粒子:形成機構と異種との相互作用
オーガナイザー
松岡 健(九州大学 農学研究院)栗原 達夫(京都大学 化学研究所)
栗原 達夫(京都大学 化学研究所)
倉田 淳志(近畿大学 農学部)
田中 茂幸(摂南大学 農学部)
濱田 隆宏(岡山理科大学 理学部)
松岡 健(九州大学 農学研究院)
倉田 淳志(近畿大学 農学部)
田中 茂幸(摂南大学 農学部)
濱田 隆宏(岡山理科大学 理学部)
松岡 健(九州大学 農学研究院)
細胞外に分泌される小胞や微粒子は、高等動物において知られる個体内での各種制御や循環器系での物質輸送機能とは異なり、微生物や植物においては他種との相互作用に関わることが近年明らかになりつつある。本シンポジウムではこれに関する最新のトピックとして、細菌における細胞外小胞の形成機構、腸管在住菌と宿主動物の相互作用、植物病原性真菌と宿主植物の相互作用、高等植物における細胞外小胞の多種多様な機構、および植物における細胞外小胞や細胞外微粒子の形成機構について取り上げ、細胞外での多種生物との相互作用に果たす役割等について、その普遍性と多様性について議論を深める。
3S09e
日時:11月2日(木) 16:10~18:20 第9会場 (405+406)
脈管と周囲組織とを結ぶ多彩な生命科学
オーガナイザー
坂上 倫久(愛媛大学)小林 美穂(東京医科歯科大学)
小林 美穂(東京医科歯科大学)
間石 奈湖(北海道大学)
水谷 健一(神戸学院大学)
中山 寛尚(広島国際大学)
岡田 欣晃(大阪大学)
坂上 倫久(愛媛大学)
間石 奈湖(北海道大学)
水谷 健一(神戸学院大学)
中山 寛尚(広島国際大学)
岡田 欣晃(大阪大学)
坂上 倫久(愛媛大学)
脈管は多細胞生物が進化の過程で獲得した優れた物質輸送システムである。特に組織の恒常性維持のためには脈管が必須であるが、そのデリバリーシステムの破綻は動脈硬化や組織浮腫など様々な疾患を引き起こすことが知られている。最新技術を用いた解析から、脈管と周囲組織とが密接にコミュニケーションをとることで双方が協調的に形態や機能を変化させることが明らかになってきており、組織の恒常性維持や病態形成における脈管の重要性は日増しに高まっている。本シンポジウムでは、脈管と周辺組織との細胞間コミュニケーションに焦点を当て、組織恒常性維持の破綻から疾患発症まで幅広い学問領域における最新の脈管研究成果を紹介するとともに、脈管を中心とした次世代の細胞間コミュニケーション研究の重要性について議論を深めたい。
3S10m
日時:11月2日(木) 08:40~10:50 第10会場 (409)
代謝を知るから操作するへの挑戦
オーガナイザー
榊原 陽一(宮崎大学農学部)井上 謙吾(宮崎大学農学部)
井上 謙吾(宮崎大学農学部)
松田 史生(大阪大学)
小玉 学(九州大学生体防御医学研究所分子医科学分野)
小川 順(京都大学大学院農学研究科 応用生命科学専攻)
松田 史生(大阪大学)
小玉 学(九州大学生体防御医学研究所分子医科学分野)
小川 順(京都大学大学院農学研究科 応用生命科学専攻)
長い生化学の歴史は代謝を理解することからはじまったと言っても過言ではない。パスツールによる発酵過程の理解や、キューネによる酵素(enzyme)の提唱などを経て、主要な代謝経路を理解することで生化学、特にタンパク質や酵素に関する研究は大きく進展してきた。近年になって、質量分析装置に代表される分析機器の発展はめざましく、情報科学的な解析と組み合わせることで飛躍的に代謝過程の網羅的な理解が進み、新たな発見がもたらされるようになった。今時代は代謝過程の全体像(metaborome)の理解から、その制御そして意図した方向へ自由に操作する技術開発を目指している。将来的には、世界規模での環境問題やエネルギー問題の解決や健康増進への応用へと期待されており、これらに関連した最新のトピックスを紹介する。
3S10a
日時:11月2日(木) 13:40~15:50 第10会場 (409)
「ミトコンドリアーアミノ酸ーエネルギー代謝調節」をキーワードにした未病の理解
オーガナイザー
伊東 健(弘前大学)高橋 伸一郎(東京大学大学院農学生命科学研究科)
高橋 伸一郎(東京大学大学院農学生命科学研究科)
尾池 雄一(熊本大学大学院生命科学研究部 分子遺伝学講座)
北見 俊守(理化学研究所 生命医科学研究センター)
古山 和道(岩手医科大学生化学講座分子医化学分野)
赤木 一考(富山大学 未病研究センター)
尾池 雄一(熊本大学大学院生命科学研究部 分子遺伝学講座)
北見 俊守(理化学研究所 生命医科学研究センター)
古山 和道(岩手医科大学生化学講座分子医化学分野)
赤木 一考(富山大学 未病研究センター)
超高齢化社会において、未病の段階から病気を予防する必要性は益々重要性を増しているが、未病の理解は進んでいない。ミトコンドリアはATP産生やカルシウムホメオスタシスなどに関わり、その機能低下は種々の疾患や老化に関わっている。しかしながら、病気あるいは未病の段階で、ミトコンドリアのdysfunctionがどのようにおこり、回復、あるいは病気の悪化につながるのか、その制御機構はよくわかっていない。本シンポジウムでは、未病や疾患におけるミトコンドリアの役割、肥満の病態、アミノ酸等によるエネルギー代謝調節などの未病の理解に向けての研究を紹介し、未病の定義づけや未病段階における病気の予防法に向けての戦略を討議する。
3S10e
日時:11月2日(木) 16:10~18:20 第10会場 (409)
オルガネラヒモロジー~オルガネラで紐解く生体恒常性~
オーガナイザー
安藝 翔(東京大学先端科学技術研究センター ニュートリオミクス・腫瘍学分野)杉浦 歩(順天堂大学大学院医学研究科)
安藝 翔(東京大学先端科学技術研究センター ニュートリオミクス・腫瘍学分野)
杉浦 歩(順天堂大学大学院医学研究科)
椎葉 一心(学習院大学理学部生命科学科)
栗川 義峻(東京大学大学院医学系研究科)
本田 瑞季(京都大学大学院医学研究科)
長島 駿(東京薬科大学 生命科学部)
杉浦 歩(順天堂大学大学院医学研究科)
椎葉 一心(学習院大学理学部生命科学科)
栗川 義峻(東京大学大学院医学系研究科)
本田 瑞季(京都大学大学院医学研究科)
長島 駿(東京薬科大学 生命科学部)
真核細胞の特徴の一つとしても挙げられるオルガネラ(細胞小器官)は、生体物質や酵素の“容器"にとどまらず、時々刻々とその形態や局在を変化させ、局所的な生体物質の調節やシグナル伝達の場として機能し、積極的に細胞機能を制御している。近年、超解像度顕微鏡をはじめとしたイメージング技術の飛躍的な向上により、個々のオルガネラ(点)が直接的な接着を介して互いに連関し、オルガネラネットワーク(線)を形成していることが明らかになってきた。あるオルガネラの機能や形態変化が他のオルガネラにも影響するように、このネットワークは物理的な繋がりに留まらず、代謝物やシグナル伝達、オルガネラ形態制御など互いの機能を協調的に制御することで生体恒常性に重要な役割を果たしている。本シンポジウムでは新進気鋭の若手研究者が集まり、世界最先端のイメージング解析や新規解析技術を駆使して、複雑に絡まり合ったオルガネラネットワークの紐を解くオルガネラヒモロジー研究を紹介するとともに、若手研究者の新規参入のきっかけを提供する。
3S11m
日時:11月2日(木) 08:40~10:50 第11会場 (410)
神経変性疾患の原理探究と革新的治療法開発に挑む
オーガナイザー
羽田 沙緒里(産業技術総合研究所)齋尾 智英(徳島大学 先端酵素学研究所)
矢木 真穂 (名古屋市立大学大学院薬学研究科)
齋尾 智英(徳島大学 先端酵素学研究所)
村岡 貴博(東京農工大学 グローバルイノベーション研究院)
堀 由起子(東京大学大学院薬学系研究科)
新海 陽一(産業技術総合研究所 )
羽田 沙緒里 (産業技術総合研究所)
齋尾 智英(徳島大学 先端酵素学研究所)
村岡 貴博(東京農工大学 グローバルイノベーション研究院)
堀 由起子(東京大学大学院薬学系研究科)
新海 陽一(産業技術総合研究所 )
羽田 沙緒里 (産業技術総合研究所)
先進諸国では高齢化社会の到来に伴い神経変性疾患の患者の急増が社会問題となっている。神経変性疾患の代表例であるアルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などに対して、これまでに多くの治療法開発を目指した研究が実施されてきたものの、有効な治療法確立には至っていない。治療ニーズを満たすことができていない現状を打破するためには、異分野融合によるイノベーションの創出が不可欠である。本シンポジウムの演者は、神経変性疾患の分子レベル、細胞レベル、個体レベルの多層的な研究および化学ツールの開発によって、原理解明や革新的治療法の開発に挑む若手研究者により構成されており、最新の研究成果を共有することによって新たな融合研究への発展を目指す。
3S11a
日時:11月2日(木) 13:40~15:50 第11会場 (410)
DOHaD学説の生化学的基盤研究
オーガナイザー
有馬 勇一郎(熊本大学国際先端医学研究機構 心臓発生研究室)楠山 譲二(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 生体情報継承学分野)
粂 昭苑(東京工業大学 生命理工学院)
根本 崇宏(日本医科大学生理学 生体統御学)
柳田 圭介(国立国際医療研究センター 脂質生命科学研究部)
小坂元 陽奈(基礎科学特別研究員 理化学研究所 生命機能科学研究センター 栄養応答研究チーム)
楠山 譲二(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 生体情報継承学分野)
根本 崇宏(日本医科大学生理学 生体統御学)
柳田 圭介(国立国際医療研究センター 脂質生命科学研究部)
小坂元 陽奈(基礎科学特別研究員 理化学研究所 生命機能科学研究センター 栄養応答研究チーム)
楠山 譲二(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 生体情報継承学分野)
Developmental Origins of Health and Diseases(DOHaD)説は、胎生期や生後早期の発育環境が成人後の疾病素因形成に影響するという概念である。複数の疫学研究やゲノムワイド解析によって、虚血性心疾患、高血圧、慢性腎臓病、糖尿病などの生活習慣病がDOHaD関連疾患であることが明らかとなっている。本邦では少子化が加速するのみならず、およそ10人に1人が低出生体重児で生まれており、DOHaDを引き起こす機序の正確な理解に基づいた先制治療・予防戦略の策定が望まれる。 しかし、慢性代謝性疾患の発症には多段階のステップを経るため、周産期環境ストレスが成人後の疾病素因にどのように影響を及ぼすのかという分子メカニズムは十分に説明しきれていないのが現状である。そこで本シンポジウムでは、精微な生化学的実験系と考察に基づき、DOHaDの病態解明を進める気鋭の研究者を集め、環境ストレスに伴う体質変化の理解につながる最新の知見を共有し、DOHaD学説の本質的機序に迫る。
3S11e
日時:11月2日(木) 16:10~18:20 第11会場 (410)
技術革新が切り開く細胞応答研究の新展開
オーガナイザー
石井 雅樹(武蔵野大学)松本 靖彦(明治薬科大学)
山中 大輔(東京薬科大学)
上野 圭吾(国立感染症研究所)
松本 靖彦(明治薬科大学)
宮下 惇嗣(帝京大学医真菌研究センター)
石井 雅樹(武蔵野大学)
荒木 信(明治薬科大学)
上野 圭吾(国立感染症研究所)
松本 靖彦(明治薬科大学)
宮下 惇嗣(帝京大学医真菌研究センター)
石井 雅樹(武蔵野大学)
荒木 信(明治薬科大学)
生命は、タンパク質、脂質、多糖類、核酸などの多様な物質が有機的に働き、細胞を単体として、また、集合体として機能させることで成り立っている。生命の理解には、これらの物質や、細胞、生理活性の可視化が必要であり、生化学はまさにこれを可能にする学問領域である。多様な物質や現象を可視化する新たな評価系の開発は、生命科学の多様な分野への波及効果を生み、生命科学に多くの発見をもたらしている。本シンポジウムでは、生命の理解や病態解明の基礎となる新技術について、生化学を基盤とした若手研究者を中心に、多糖構造、細胞内シグナル伝達、免疫、疾患モデル、ワクチン開発といった多様な領域で活躍している研究者を招聘し、各領域の最先端の研究をお聞かせいただくことで、学際的な研究の発展を狙う。
3S12m
日時:11月2日(木) 08:40~10:50 第12会場 (501)
脂質メディエーター受容体シグナル研究の新しい潮流
オーガナイザー
青木 淳賢(東京大学大学院薬学系研究科)杉本 幸彦(熊本大学生命科学研究部)
稲住 知明(熊本大学生命科学研究部)
ディーン タムケオ(京都大学医学研究科)
近江 純平(東京大学大学院薬学系研究科)
志甫谷 渉(東京大学理学系研究科)
木村 郁夫(京都大学生命科学研究科)
ディーン タムケオ(京都大学医学研究科)
近江 純平(東京大学大学院薬学系研究科)
志甫谷 渉(東京大学理学系研究科)
木村 郁夫(京都大学生命科学研究科)
細胞膜リン脂質に由来する生理活性脂質は、刺激に応じて産生され、主にGPCRに認識され多彩な生理病態作用を発揮する。その作用は、局所の恒常性維持に働くため、古くから医薬標的として注目されてきた。例えば、プロスタグランジン(PG)は感染時に産生され、受容体を介して発熱や疼痛を引き起こすが、アスピリンはPG生合成を阻害することで解熱鎮痛作用を発揮する。リゾホスファチジン酸(LPA)に代表されるリゾリン脂質は、受容体を介して血管形成やリンパ球動態に関わるが、フィンゴリモドは受容体に結合することでT細胞の移行を抑制して多発性硬化症を緩和する。また最近では、中鎖脂肪酸がその受容体を介して代謝性疾患の進展を制御することが判明し、創薬標的として注目されている。本シンポジウムでは、こうした生理活性脂質とそのGPCR型受容体による多彩な生体制御に関する第一線の生化学研究を紹介し、画期的な疾患治療薬への応用を考える機会としたい。
3S12a
日時:11月2日(木) 13:40~15:50 第12会場 (501)
ストレス応答と制御メカニズム
オーガナイザー
池田 史代(大阪大学)鈴木 淳(京都大学)
鈴木 淳(京都大学)
本橋 ほづみ(東北大学 加齢医学研究所)
中井 彰(山口大学)
稲田 利文(東京大学 医科学研究所)
田中 元雅(国立研究開発法人理化学研究所)
本橋 ほづみ(東北大学 加齢医学研究所)
中井 彰(山口大学)
稲田 利文(東京大学 医科学研究所)
田中 元雅(国立研究開発法人理化学研究所)
細胞は、様々なストレスに応答するメカニズムを持っており、その制御は極めて複雑な機構により成る。また、ストレスにより誘導される細胞生物学的、および生化学的出力も様々である。本シンポジウムでは、特化したストレスに限定せず、酸化ストレスや熱ショック応答、さらにはエクスポゾームへの応答の制御について、またストレスにより誘導されるタンパク質凝集体の形成、異常タンパク質の除去システムや細胞死といった応答についての最新知見を、より広い視点から議論する。
3S12e
日時:11月2日(木) 16:10~18:20 第12会場 (501)
タンパク質寿命学の創出
オーガナイザー
村田 茂穂(東京大学大学院薬学系研究科)佐伯 泰(東京都医学総合研究所)
共催
学術変革領域研究(A)「タンパク質寿命が制御するシン・バイオロジー」
小林 妙子(京都大学大学院生命科学研究科)
野口 あや(東京都医学総合研究所)
佐伯 泰(東京都医学総合研究所)
今見 考志(理化学研究所生命医科学研究センター)
出水 庸介(国立医薬品食品衛生研究所)
大竹 史明(星薬科大学先端生命科学研究所)
野口 あや(東京都医学総合研究所)
佐伯 泰(東京都医学総合研究所)
今見 考志(理化学研究所生命医科学研究センター)
出水 庸介(国立医薬品食品衛生研究所)
大竹 史明(星薬科大学先端生命科学研究所)
タンパク質は生命体を構成する必須の機能素子であり、細胞機能は数千から数万種類に及ぶタンパク質のセットと存在量(プロテオーム)により形作られている。プロテオーム形成において、タンパク質合成と両輪をなすのがタンパク質分解である。個々のタンパク質は数分から数年と千差万別の寿命を持つが、タンパク質は形作られた後に、どのように寿命が決定されるのか、その仕組みは未だ明らかではない。また、細胞が機能を大きく変容させるときには、タンパク質の構成を大幅に作り替える必要がある。タンパク質合成の変動はよく知られるが、選択的かつ大規模なタンパク質分解が生じる機構は不明である。包括的なタンパク質寿命制御の理解を新しい切り口として、生命現象の真の姿の理解が可能となることが期待される。本シンポジウムでは、タンパク質分解の新しい機構、タンパク質寿命の計測と操作、大規模分解による新しいバイオロジーについて議論する。
3S13m
日時:11月2日(木) 08:40~10:50 第13会場 (502)
老化の生物学~個体老化と細胞老化を制御する細胞応答の新知見~
オーガナイザー
高橋 暁子(公益財団法人がん研究会がん研究所細胞老化研究部)河野 恵子(沖縄科学技術大学院大学 膜生物学ユニット )
菅原 祥(公益財団法人がん研究会がん研究所細胞老化研究部)
早野 元詞(慶應義塾大学 医学部 精神・神経科学教室)
城村 由和(金沢大学 がん進展制御研究所 )
勝海 悟郎(順天堂大学医学部内科学教室 循環器内科学講座)
カレン クラスタ(シンガポール国立大学)
河野 恵子(沖縄科学技術大学院大学 膜生物学ユニット )
早野 元詞(慶應義塾大学 医学部 精神・神経科学教室)
城村 由和(金沢大学 がん進展制御研究所 )
勝海 悟郎(順天堂大学医学部内科学教室 循環器内科学講座)
カレン クラスタ(シンガポール国立大学)
河野 恵子(沖縄科学技術大学院大学 膜生物学ユニット )
多くの生物は時間の経過に従って老化する運命にあり、哺乳動物の生誕から死を迎えるまでの生命現象の全てが加齢といっても過言ではない。個体の老化を司るものは年齢だけでなく、ストレスをどれだけ受けたかを反映して細胞の老化が誘導され、個体老化を加速することも明らかになりつつある。本シンポジウムでは、細胞のストレス応答として誘導される細胞の老化がどのような表現型を介して個体の老化に関与するのか、エピゲノム・代謝・炎症応答・免疫などに着目して最先端の研究成果を出している若手研究者が議論する。
3S13a
日時:11月2日(木) 13:40~15:50 第13会場 (502)
情報計算科学にもとづく酵素の創成と応用 ~スーパー酵素が切り拓く生化学の新時代~
オーガナイザー
佐藤 匡史(株式会社アグロデザイン・スタジオ)古川 亜矢子(京都大学大学院 農学研究科)
西増 弘志(東京大学先端科学技術研究センター)
谷中 冴子(九州大学大学院薬学研究院)
奥田 綾(京都大学 複合原子力科学研究所)
小野田 浩宜(名古屋大学シンクロトロン光研究センター)
小杉 貴洋(分子科学研究所)
谷中 冴子(九州大学大学院薬学研究院)
奥田 綾(京都大学 複合原子力科学研究所)
小野田 浩宜(名古屋大学シンクロトロン光研究センター)
小杉 貴洋(分子科学研究所)
近年の著しい情報計算科学の進展により、機能性タンパク質の中核をなす酵素の高機能化の研究「スーパー酵素創成」は大きな転換期を迎えている。まず鋳型とする酵素の立体構造に関しては、実験的な結晶構造やクライオEM構造に加えて、AlphaFold2等を用いた構造予測モデルが積極的に利用されるようになった。ゼロからタンパク質をつくるde novo設計も進んでいる。また、高機能化を目的とした変異導入のデザインについては、NMRやMDシミュレーション等の結果に基づきダイナミクスを制御する、機械学習を用いるなど、情報計算科学データを取り入れた試みが盛んに進められている。本シンポジウムでは、今後の酵素研究に求められる情報計算科学の観点から酵素を見つめ直す機会を作りたい。本シンポジウムの演者は、若手研究者を中心に構成し、基礎から応用における酵素研究の将来展望について議論する。
3S13e
日時:11月2日(木) 16:10~18:20 第13会場 (502)
リソソーム膜の多彩な機能を担うLAMP2タンパク質
オーガナイザー
横山 三紀(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)関 貴弘(姫路獨協大学 薬学部 薬理学研究室)
株田 智弘(国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第四部)
濱崎 万穂(大阪大学 大学院生命機能研究科 細胞内膜動態研究室)
高倉 大輔(横浜市立大学 大学院生命医科学研究科 創薬再生科学研究室)
納富 昭司(九州大学病院 眼科)
横山 三紀(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
関 貴弘(姫路獨協大学 薬学部 薬理学研究室)
濱崎 万穂(大阪大学 大学院生命機能研究科 細胞内膜動態研究室)
高倉 大輔(横浜市立大学 大学院生命医科学研究科 創薬再生科学研究室)
納富 昭司(九州大学病院 眼科)
横山 三紀(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
関 貴弘(姫路獨協大学 薬学部 薬理学研究室)
Lysosomal-associated membrane protein 2 (LAMP2)はLAMP1と共にリソソーム膜に豊富に存在する高度に糖鎖付加された膜タンパク質である。LAMP2はリソソーム膜における種々の細胞機能に関与し、LAMP2の機能異常による疾患が報告されている。本シンポジウムでは、LAMP2の多彩な機能を支える道具立て(複合体形成の構造基盤)、スプライスバリアントLAMP2Aによるリソソームへのタンパク質の取り込みと分解(シャペロン依存性オートファジー)、LAMP2を介したミクロオートファジーの新たな分子機構、損傷リソソームの除去(リソファジー)におけるLAMP2の役割、LAMP2と神経変性疾患、ダノン病、加齢黄斑変性、との関連、がんにおける糖鎖構造変化、という異なった視点から見た「LAMP2タンパク質」の知見を紹介する。
3S14m
日時:11月2日(木) 08:40~10:50 第14会場 (503)
動物毒って特異性が高いだけじゃない!どんどん拡がる面白い世界
オーガナイザー
上田 直子(崇城大学 薬学部)小川 智久(東北大学大学院農学研究科)
上田 直子(崇城大学 薬学部)
柴田 弘紀(九州大学 生体防御医学研究所 ゲノミクス分野)
小川 智久(東北大学 大学院 農学研究科)
宮下 正弘(京都大学 大学院 農学研究科)
北 将樹(名古屋大学大学院生命農学研究科)
木村 忠史(Veneno Technologies株式会社)
福田 智一(岩手大学総合科学研究科、理工学専攻 細胞工学・分子遺伝学研究室)
柴田 弘紀(九州大学 生体防御医学研究所 ゲノミクス分野)
小川 智久(東北大学 大学院 農学研究科)
宮下 正弘(京都大学 大学院 農学研究科)
北 将樹(名古屋大学大学院生命農学研究科)
木村 忠史(Veneno Technologies株式会社)
福田 智一(岩手大学総合科学研究科、理工学専攻 細胞工学・分子遺伝学研究室)
毒動物は、獲物を捕獲するために、極めて多種多様な毒成分を産生している。それらは、極めて特異性が高く、貴重な生理活性成分であり、創薬シーズとして注目されてきた。最近では、生理活性成分の探索のみならず、毒動物のゲノムを始めとしたオミクス研究(ベノミクス)が進み、新規な毒成分の発見の他、毒成分遺伝子の発現調節機構や多様な毒をつくりだす加速進化の機構解明などその研究分野は拡がっている。本シンポジウムでは、特に毒動物の中でも、毒腺を有する毒動物に注目した。前半では、日本の貴重な生物資源である毒蛇(ハブ)を対象に、その研究の背景、遺伝子発現、ベノミクス、毒蛇の特殊機能等についての最新の研究成果を、後半では、毒蛇以外の毒動物のユニークな成分や、毒成分の新規ターゲット探索の効果的な技術開発、さらには希少動物の培養細胞関連の研究など、基礎から応用へと多岐にわたる研究成果を紹介し、毒動物研究の魅力を伝えたい。
3S14a
日時:11月2日(木) 13:40~15:50 第14会場 (503)
多様な病原体研究が生み出す新たな生化学領域
オーガナイザー
宮崎 真也(長崎大学 熱帯医学研究所 細胞環境構築学分野)藤幸 知子(東京大学 生産技術研究所)
麻田 正仁(帯広畜産大学 原虫病研究センター 地球規模感染症学分野)
古山 若呼(長崎大学 感染症共同研究拠点)
久留島 潤(群馬大学 大学院医学系研究科 細菌学講座)
今井 孝(国立感染症研究所 寄生動物部 薬剤耐性研究センター)
吉河 智城(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
藤幸 知子(東京大学 生産技術研究所)
古山 若呼(長崎大学 感染症共同研究拠点)
久留島 潤(群馬大学 大学院医学系研究科 細菌学講座)
今井 孝(国立感染症研究所 寄生動物部 薬剤耐性研究センター)
吉河 智城(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
藤幸 知子(東京大学 生産技術研究所)
細菌、ウイルス、寄生虫などの病原体はヒトや動物などの宿主に感染し病原性を発現することにより、様々な病気をひきおこす。感染時におこる病原性発現の過程ではダイナミックな宿主-病原体間のせめぎあいが存在し、それらの無数の積み重ねにより、宿主に病気が引き起こされるかどうかが決定する。この宿主-病原体相互作用の基盤を成すのは生化学であるため、病原体の研究を深化させることにより新たな治療法や予防法の開発が進展するだけではなく、新たな生化学領域が開拓されることが期待される。本シンポジウムでは、細菌・ウイルス・寄生虫・感染免疫を専門とする若手・中堅研究者を招聘し、多様な病原体研究を対象とした活発な議論を期待する。
3S14e
日時:11月2日(木) 16:10~18:20 第14会場 (503)
生化学で切り拓く腎疾患のメカニズム
オーガナイザー
山原 真子(滋賀医科大学 医師臨床教育センター)淺沼 克彦(千葉大学大学院医学研究院 腎臓内科学)
渡辺 博文(新潟大学医歯学総合病院 腎・膠原病内科)
菱川 彰人(慶應義塾大学 医学部腎臓内分泌代謝内科)
桒原 孝成(熊本大学大学院生命科学研究部 腎臓内科学)
安藤 史顕(東京医科歯科大学 腎臓内科学)
井上 剛(長崎大学 内臓機能生理学)
菱川 彰人(慶應義塾大学 医学部腎臓内分泌代謝内科)
桒原 孝成(熊本大学大学院生命科学研究部 腎臓内科学)
安藤 史顕(東京医科歯科大学 腎臓内科学)
井上 剛(長崎大学 内臓機能生理学)
腎臓は老廃物の排泄の他、全身の恒常性維持に重要な臓器であり、様々な高度に分化した細胞により複雑に構成される臓器である。これら細胞の機能破綻が最終的に腎機能低下、腎不全を惹起するが、そのメカニズムには遺伝子発現、代謝、炎症、免疫など多様なシステムの異常が関与しているとされている。本シンポジウムでは、腎臓における様々な細胞の特性やその障害機構について焦点をあて、腎疾患の病態解明にむけた最先端の研究を紹介いただく。日本腎臓学会では、腎臓研究の裾野を広げることが重要であると考えている。日本生化学会の会員の皆様に腎臓研究の新知見を紹介し、腎臓学への興味と研究参加を呼びかける目的で本シンポジウムを企画した。
バイオインダストリーセミナー
1BS04
日時:10月31日(火) 12:45-13:35 会場:第4会場(203)
共催:(株)島津製作所
司会:渡辺 淳((株)島津製作所)
深化した細胞培養プロファイリング Ver3のご紹介
ショートランチョンセミナー
2SL02
日時:11月1日(水) 12:45-13:05 会場:第2会場(201)
共催:グローバルライフサイエンステクノロジーズジャパン(株)
組織分散の常識を覆す画期的なシングルセル最適化ソリューション
瀬古 大暉(グローバルライフサイエンステクノロジーズジャパン(株))
次世代シーケンス(NGS)技術の進歩とコストダウンの恩恵により、1つの組織サンプルから数万個の細胞を解析し、個々の細胞集団と疾患組織におけるその挙動を理解することができます。シングルセルRNAシーケンス(scRNA-seq)は非常に繊細であるため、組織の取り扱いと処理を慎重に行うことが重要です。人の手による組織処理は時間がかかり、オペレータのスキルによって大きく変動します。理想的には、自動化された、より穏やかな処理であれば、生存率と完全性が十分に担保され、元のサンプル状態が保持されます。また近年、低温で組織を分散することにより、細胞の健全性が保たれ、転写アーティファクトを軽減し、組織本来のトランスクリプトームがより正確に保持されることが明らかになっています。本セッションでは、組織分散装置VIA Extractor™と新製品Cold Dissociation Enzyme Kitのパワフルな組み合わせの特徴、パフォーマンスデータをご紹介いたします。
2SL04
日時:11月1日(水) 12:45-13:05 会場:第4会場(203)
共催:(株)島津製作所
司会:渡辺 淳((株)島津製作所)
全自動SPE-GC/MSおよびSPE-LC/MSによる代謝物分析