第43回日本分子生物学会年会

指定シンポジウム

プログラム委員による指定シンポジウム19企画の開催を予定しております。
※開催言語は全て英語となります。

12月2日(水)(第1日目)※予定

網羅的ゲノム解析が切り拓く生命科学
Unraveling the life sciences with genome-wide analyses
オーガナイザー
山本 拓也(京都大学iPS細胞研究所/WPIヒト生物学高等研究拠点)、山田 泰広(東京大学)
詳 細

超並列シーケンシング技術の普及により、細胞内におけるDNAおよびRNAの配列決定や質的・量的変化、さらにはそれらの制御機構までも網羅的(ゲノムワイド)に捉えることが容易となった。現在では、多くの生命科学の研究分野でNGSを用いた網羅的解析技術が日常的に使用され、生命現象の謎の解明や新しい知見の発見に利用されている。本シンポジウムでは、がん、老化、発生、幹細胞、遺伝、進化といった様々な生命科学の研究分野で、網羅的ゲノム解析がどのように利用されているのかを俯瞰することにより、生命現象の本質を明らかにするために必要となる方法論とは何かを考えたい。

細胞競合による生体制御とがん
Cell competition in development and cancer
オーガナイザー
井垣 達吏(京都大学大学院生命科学研究科)、大澤 志津江(名古屋大学大学院理学研究科)
詳 細

組織中の細胞は互いに生存競争していると考えられ、適応度の低い細胞は適応度のより高い細胞に近接すると細胞死を起こして組織から排除されるという現象が存在する。「細胞競合」と呼ばれるこの現象は、ショウジョウバエから哺乳類まで進化的に保存されており、組織の発生や恒常性維持、さらにはがんの発生過程においても重要な役割を果たすと推測されている。ここ数年の細胞競合研究の進展により、動物の個体発生やがん制御のメカニズムを新たな視点で捉えられるようになってきた。本シンポジウムでは、細胞競合に関する最新の知見を発表していただき、その個体発生やがん制御における役割を考察するとともに、細胞競合の生理的意義や今後の研究の方向性について議論したい。

ウイルス研究の多様性:2020から未来へ
Diversity in virology: 2020 and beyond
オーガナイザー
朝長 啓造(京都大学ウイルス・再生医科学研究所)、PARRISH, F. Nicholas(理化学研究所生命医科学研究センター)
詳 細

20世紀のウイルス学は、動植物に病気を起こすウイルスの克服を目的に進んできた。ウイルス分離とモデル生物を用いた病理解析から始まった研究は、培養細胞と遺伝子工学技術の発展を通じて大きく前進し、ウイルス複製と病原性の分子メカニズムの理解を確立した。そして現在、ウイルス研究は多様性の時代を迎えている。最先端技術を駆使した研究に加えて、以前は顧みられなかった非病原性ウイルスと環境ウイルスの多様性にも注目が集まっている。内在性ウイルスの探索や宿主との共進化解析は、ウイルスの起源そして生命進化への役割を明らかにしつつある。多様化したウイルス学はどこへ行くのか?本シンポジウムでは、ウイルス学の未来を予測する新しいウイルス研究を推進している研究者を国内外から招聘し、その方向性を探る。

WPI生命科学合同シンポジウム
WPI joint symposium for innovative life science & technology
オーガナイザー
柳田 素子(京都大学大学院医学研究科/WPIヒト生物学高等研究拠点)、平尾 敦(金沢大学がん進展制御研究所/WPIナノ生命科学研究所)
詳 細

「世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)」では平成19年から現在まで数多くの拠点が形成され、世界最高レベルの研究が行われている。本事業の1つの目標は「融合領域の創出」である。本シンポジウムでは、大阪大学の免疫学フロンティア研究センター (IFReC)、筑波大学の国際統合睡眠医科学研究機構 (IIIS)、東京大学のニューロインテリジェンス国際研究機構 (IRCN)、金沢大学のナノ生命科学研究所 (NanoLSI)、京都大学のヒト生物学高等研究拠点 (ASHBi) の5拠点から、それぞれの拠点長に新進気鋭の研究者を1名ずつご推薦いただき、そのご研究をご講演いただく。5拠点の領域は免疫、睡眠、ナノ科学、neurointelligence、human biologyと多岐に渡るが、このシンポジウムが拠点横断的な交流の一助になればと願っている。

アーキアの分子生物学が発信するもの
What the molecular biology of archaea tells us
オーガナイザー
跡見 晴幸(京都大学大学院工学研究科)、石野 良純(九州大学大学院農学研究院)
詳 細

生物を構成する3つのドメインのうち、アーキアは細菌や真核生物には見られない固有の生命機能を有する。それに加えて、特にDNA複製・転写・翻訳などの情報プロセシング機能においては、アーキアと真核生物が共通の祖先を有し、アーキアが有する分子メカニズムはより祖先型と考えられている。本シンポジウムではアーキア研究の最前線を紹介することにより、生命進化、DNAの複製・修復、転写および細胞生理に関して、アーキアの分子生物学から学べることを議論したい。

コケ植物とシャジクモ植物から陸上植物を探る
Land plants viewed from bryophytes and charophytes
オーガナイザー
荒木 崇(京都大学大学院生命科学研究科)、榊原 恵子(立教大学理学部)
詳 細

基部陸上植物であるコケ植物の3つの主要な系統(蘚類、苔類、ツノゴケ類)を代表するモデル植物のゲノム情報と実験技術の整備が進み、それは陸上植物の姉妹群であるシャジクモ植物にも広がりつつある。これにより、陸上植物を陸上植物たらしめている諸形質の起源と進化の分子基盤を理解することが可能になってきた。本シンポジウムでは、そうした研究潮流を代表する研究を紹介し、陸上植物の進化について議論したい。

拡大する構造生物学
Expanding Structural Biology
オーガナイザー
杤尾 豪人(京都大学大学院理学研究科)、小林 拓也(関西医科大学医学部)
詳 細

近年のクライオ電子顕微鏡の爆発的な技術的進展により、構造生物学の分野は歴史的な転換点を迎えている。加えて、分子シミュレーションや蛍光イメージング、データサイエンスの分野においても様々な技術革新が進んでおり、生体分子研究を取り巻く環境は大きく変貌しつつある。近い将来、生体分子の理解やその研究法に飛躍的な進歩が起きることは予想に難くない。重要なことは、これら技術革新の恩恵が、専門家周辺にとどまらず、全ての生命科学研究者に届けられ、分子細胞生物学全体の発展に寄与することであろう。本シンポジウムでは、構造生物学的アプローチによって基礎生物学や医学・薬学などの様々な生命科学の課題に取り組む研究者を招き、生体分子研究の最新情報を共有するとともに、今後の構造生物学の展望を議論する。

12月3日(木)(第2日目)※予定

動物における腸内微生物叢の進化:宿主ー微生物間の相互作用と機序
Evolution of gut microbiota in animals: Host-microbe interactions and mechanisms
オーガナイザー
片山 高嶺(京都大学大学院生命科学研究科)、早川 卓志(北海道大学大学院地球環境科学研究院)
詳 細

自然界においては、いかなる動物も微生物との共生なくして生きていくことは出来ない。微生物との関係は、皮膚や口腔内、また腸内において生涯と通じて続く。近年の研究によって、腸内微生物叢が宿主の生理機能や病理に多大な影響を及ぼすことが明らかとなってきており、一部においては、ある種の代謝物や遺伝子・タンパク質が特定の生理機能や病理の変化と関連付けられるようになってきた。しかしながら、何が腸内微生物叢を形成するのか、どのようにして腸内微生物叢が制御されているのか、また、どのような進化の帰結として共生関係が築かれたのかということについては未解明な部分が多く残されている。本シンポジウムは、宿主ー微生物間の相互作用を支える分子基盤を分子生物学的・進化的側面から考えることを目的にしており、昆虫、魚類、げっ歯類、ヒトおよびヒト以外の霊長類を対象にしている研究者に講演を頂く予定である。

生物学における機械学習的アプローチの最先端
Machine learning in biology
オーガナイザー
杉村 薫(京都大学高等研究院 物質-細胞統合システム拠点)、小林 徹也(東京大学生産技術研究所)
詳 細

近年、生命科学の各領域で、深層学習やデータ同化などの機械学習的アプローチの重要性が盛んに提唱されている。本シンポジウムでは、分子動力学計算、一細胞シーケンス解析、細胞工学技術、器官形成モデリングなどに対して、機械学習的アプローチを導入することで生命科学を推進している、新進気鋭の研究者を招聘する。分子から細胞、器官にまたがる多様な研究対象を取り上げることで、各論を超えた、より普遍的な技術やコンセプトの創発に向けた議論の場となることを期待している。

Dynamic and structural regulation of chromosome inheritance in meiosis
オーガナイザー
CARLTON, Peter(京都大学大学院生命科学研究科)、篠原 美紀(近畿大学大学院農学研究科)
詳 細

The correct inheritance of genetic material through sexual reproduction is ensured by a complex array of regulatory mechanisms operating throughout the cell division process of meiosis. While the drastic morphological changes undergone by chromosomes in meiosis, as well as the coordination between recombination and the discrete two-step loss of chromosome cohesion that enables correct chromosome segregation have been the subject of intense investigation, the molecular mechanisms underlying these processes, and by extension all of eukaryotic genetics, have only recently begun to emerge. We will share recent developments in the field and encourage discussion with the aim of generating new connections and understanding.

動物行動や神経疾患の神経基盤の解読と操作
Toward understanding and manipulation of neural bases underlying animal behaviors and psychiatric diseases
オーガナイザー
今吉 格(京都大学大学院生命科学研究科)、林(高木) 朗子(理化学研究所脳神経科学研究センター)
詳 細

近年、動物の様々な本能行動や高次脳機能を制御する神経基盤が明らかになってきている。電気生理学や神経活動イメージングに基づいた生理学的な理解に加えて、遺伝子や分子レベルでの神経回路研究も進展している。また、光遺伝学や化学遺伝学などを中心に、神経回路に人工的な摂動を加えることができるツールの分子開発も精力的に実施されている。これらのツールを、ニューロンだけでなく、グリア細胞や神経幹細胞にも適応することで、分子、回路、個体レベルの階層を超えて、脳の作動原理のシステム的理解が進んでいる。また、神経変性疾患や精神疾患など、脳機能の異常・破綻による疾患発症メカニズムや、新規の治療戦略の開発も行われている。本シンポジウムでは、これらの先鋭的研究を進めている研究者の講演に基づき、脳神経回路研究と操作の最先端について紹介し、今後の発展性について議論したい。

独自技術開発を通じた新たなブレークスルーへの挑戦
Challenge to technological breakthrough for a more in-depth understanding of complex biosystems
オーガナイザー
永樂 元次(京都大学ウイルス・再生医科学研究所)、猪股 秀彦(理化学研究所生命機能科学研究センター)
詳 細

近年、分子生物学および細胞生物学の発展により、がん・神経系・個体発生などの複雑な生命現象の基本的な理解が飛躍的に進んだ。さらに深い理解に到達するためには、より高い感度および解像度で生命現象を計測・解析し、新たな側面から生命現象を捉える新規技術の開発が求められている。本シンポジウムでは、複雑な生命現象の理解のためのブレークスルーを求めて、既存の技術を超えた独自技術の開発に取り組む研究者に焦点を当てる。

分子レベルで紐解く植物−微生物間相互作用
Principles of plant-microbe interactions revealed at molecular levels
オーガナイザー
由里本 博也(京都大学大学院農学研究科)、晝間 敬(奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科)
詳 細

植物の地上部表面(葉圏)や地下部(根圏)には多種多様な微生物が棲息しており、植物と微生物との生物間相互作用は、それぞれの成長・増殖だけでなく、生態系、地球環境の維持において重要な役割を果たしている。近年の次世代シーケンサーやその他の解析技術の進歩により、植物共生微生物の菌叢解析や、共生系における植物と微生物双方の生理・生態の解明に関する研究が進展してきた。本シンポジウムでは、植物−微生物共生関係の特異性や微生物による植物生長促進効果等に関わる植物側および微生物側の生理機能やそれを支える原理について、関与する代謝物やタンパク質、遺伝子に着目した分子レベルでの機能解析により解き明かそうとする最新の研究動向を紹介する。また、分子機構の理解だけでなく、農業への展開も含めた今後の展望についても議論したい。

「細胞老化から見た個体老化・加齢性疾患」
A molecular link between cellular senescence and age-relevant disorders
オーガナイザー
近藤 祥司(京都大学大学院医学研究科)、高橋 暁子(公益財団法人がん研究会がん研究所がん生物部)
詳 細

本邦は世界最長寿かつ少子化も同時進行し、現在、高齢化率25%を超える世界唯一の国であり、グローバル高齢化の中で日本はそのフロントランナーである。「老化先進国」日本で観察される、高齢者の多様性は、老化という生命現象の複雑さと、その個人差・地域差の両者を反映する。「老化」したときに初めて顕在化する「多様性」の存在を、我々は意識せざるをえない時代に突入した。「老化の多様性」は、最近の老化研究の成果である「老化の両面性」の積み重なりとも解釈できる。その代表例は、「細胞老化の生物学的両面性」であろう。「細胞老化」は、「細胞癌化に対する生理的防御バリアー」である一方で、「SASP(老化関連分泌因子)を通じて慢性炎症や発癌を促進する」という負の側面も判明した。「細胞老化」の観点からの疾病研究が重要な課題となりつつあり、本シンポジウムでは、その最新の知見を討議いただく予定である。

オミクス解析を起点とする生命科学の最前線
Frontiers in Omics-triggered Life Sciences
オーガナイザー
石濱 泰(京都大学大学院薬学研究科)、FAGARASAN, Sidonia(理化学研究所生命医科学研究センター)
詳 細

次世代シーケンサや質量分析の進歩により、比較的容易に大規模データを産出することが可能になってきた。また、最新の数理統計学により、これらのデータから注目すべき現象や分子を抽出することも可能になりつつある。しかし研究現場では依然としてオミクス解析が仮説証明のツールとして使われることも多い。本シンポジウムでは、オミクス解析がもっとも力を発揮する不偏的オミクス計測を起点として生命科学研究を進めている例を紹介するとともに、それぞれのバイオロジーにおいて、どのようにすればオミクス解析のもつポテンシャルを最大化できるかについて議論したい。

12月4日(金)(第3日目)※予定

統合合成生物学:人工細胞モデルから多細胞システム制御まで
Multiscale Synthetic Biology: From artificial cells to multicellular engineering
オーガナイザー
齊藤 博英(京都大学iPS細胞研究所)、戎家 美紀(EMBL Barcelona)
詳 細

合成生物学は、生物の産業応用とともに、生命システム形成原理の理解を目指す基礎科学を推進する上で重要なアプローチの1つである。生物学、化学、物理学、工学等の異分野の研究者が、異なる階層での人工生命システムや人工細胞の設計及び構築を試みている。本シンポジウムでは、多様な分野から気鋭の研究者を一堂に会し、合成生物学の最新の話題-生命起源の問題に迫る生命システムの創発、多細胞発生システムの構築、応用を志向した哺乳類合成生物学など-を提供する。人工細胞モデルから多細胞システム制御までを含む、様々な階層での合成生物学研究を通じて、生命のように振る舞うシステム形成に必要な原理や、未来の合成生物学のチャレンジについて議論したい。

動植物の概日性ホメオスタシスの共通基盤原理
Common Principles Lying behind Animal and Plant Circadian Homeostasis
オーガナイザー
土居 雅夫(京都大学大学院薬学研究科)、遠藤 求(奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科)
詳 細

細胞・組織・個体に表出する概日リズムは実に多様な階層のフィードバックループ(FL)によって形成される。時計遺伝子の転写および転写後修飾を介した細胞内のFLのみならず、細胞間結合による組織内のFL、複数の臓器をまたいだ円環によるFL、さらには外環境や他個体との相互作用を間に挟んだFLも個体レベルの概日振動の形成維持・調律に重要である。温度、光、エネルギー源の競合等の過酷な環境変化に適応するためには多重の動的制御が必須となる。日夜の劇的な環境変化に生きる動植物が獲得した概日性ホメオスタシスの共通基盤原理を議論したい。

T細胞の老化と疲弊:代謝制御の観点から
T cell aging and exhaustion: from a perspective of metabolism
オーガナイザー
濵﨑 洋子(京都大学iPS細胞研究所)、山下 政克(愛媛大学大学院医学系研究科)
詳 細

T細胞は、様々な免疫細胞の機能を制御するとともにがんや感染細胞を直接殺傷する強力なエフェクターであり、獲得免疫応答において中心的な役割を果たす。近年、加齢に伴うT細胞の機能的変容、すなわち「老化」(T cell aging)が、易感染性のみならず炎症性疾患など様々な加齢関連疾患の発症や病態に深く関与することが明らかになってきた。一方で、がんや慢性ウイルス感染などによる持続的な抗原刺激は、免疫チェックポイント分子の発現を誘導し、T細胞に「疲弊」(T cell exhaustion)と呼ばれる機能低下を引き起こす。本シンポジウムでは、この「老化」と「疲弊」というT細胞の質的変容について、特にここ最近で大きく発展した免疫細胞の代謝制御(イムノメタボリズム)を中心にヒト解析を含めた最新の研究成果を紹介し、その類似点と相違点、分子メカニズム、さらには機能賦活化の可能性について議論したい。

生殖細胞:遺伝情報継承機構の解明とその試験管内再構成
Germ Cells: Mechanism and In Vitro Reconstitution of Genetic and Epigenetic Inheritance
オーガナイザー
斎藤 通紀(京都大学大学院医学研究科)、林 克彦(九州大学大学院医学研究院)
詳 細

生殖細胞は、精子・卵子に分化し、その融合により新しい個体を形成、我々の遺伝情報やエピゲノム情報を次世代に継承する。重要なことに、生殖細胞は、減数分裂、エピゲノムリプログラミング/プログラミングにより、それぞれ遺伝情報、エピゲノム情報の多様性を形成し、種の進化を可能とする。本シンポジウムでは、生命の根源たる生殖細胞による遺伝情報継承機構の解明とその過程を試験管内で再構成する研究の最前線を議論し、これら研究の社会へのインパクトを考察する。

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